ページの本文へ

NHK岡山WEBリポート

  1. NHK岡山
  2. 岡山WEBリポート
  3. 祝!グッドデザイン賞受賞 津山のデザイン家具プロジェクト

祝!グッドデザイン賞受賞 津山のデザイン家具プロジェクト

NHK岡山「もぎたて!」〜津山家具がグッドデザイン賞を受賞〜
  • 2023年10月05日

 

暮らしや社会を豊かにするすぐれたデザインにおくられる「グッドデザイン賞」。
今年度の「グッドデザイン賞」に津山市内の5社が共同で展開する家具プロジェクト
「TSUYAMA FURNITURE」(ツヤマ・ファニチャー)が選ばれました。
すぐれたデザインをどう実現したのか。各社の試行錯誤を取材しました。

TSUYAMA FURNITUREとは

木目の美しさや
木の持つ肌触りを生かしたシンプルなデザインの家具
美作地方産のヒノキや
スギが使われています
木材を選定することで生まれる規則正しい木目

手がけたのは令和3年に発足したデザイン家具プロジェクト
「TSUYAMA FURNITURE」(ツヤマ・ファニチャー)です
京都を拠点に活動するデザイン事務所がデザインを担当
津山市内の木製品製造会社5社が製造にあたっています
津山市の「つやま産業支援センター」も全面的にバックアップしている取り組みです

ヒノキの持つ「軽さ」を生かしたパーテーション

「グッドデザイン賞」の選考にあたっては
・温かみのあるデザイン
・木材自体の品質の良さ
・加工技術の高さ
などが評価されました

プロジェクトの特徴は

このプロジェクトには大きな特徴が2つあります

ひとつはデザインを外部のデザイナーに依頼したこと

京都に拠点をおくデザイン事務所 SEIKI DESIGN STUDIO に依頼

もう一つはヒノキやスギを材料に用いたこと

岡山県は全国でもトップクラスのヒノキの生産地
柱や土台などの構造材として欠かせない

通常ヒノキやスギは柱や土台など建築用に使われ、家具として使われることは多くありません 


優れたデザインどう実現?各社の試行錯誤は

製品が完成するまでにはデザインとヒノキをめぐってさまざまな挑戦がありました。
すぐれたデザインをどう実現したのか、各社の試行錯誤を取材しました

プロジェクトに参加した会社
ふだんはオーダーキッチンなどを取り扱っています
外部デザイナーのデザインを元にヒノキのキッチンを制作
美しい木目を生かしたデザイン
丸みを帯びたコーナーも特徴

これまで自社でもデザインを手がけていましたが・・・

松永建材

松永真樹

代表取締役

作る立場としては、どうしても使い勝手を優先しがち
今回はデザインありきで新鮮でした

デザイナーの細かい要望に応えるため工夫をこらしたといいます
松永建材

松永真樹

代表取締役

作りやすさを優先すると、デザインが変わってしまう
外から見た時に隠せるように、かつ、メンテナンスができるように
点検口を用意した


プロジェクトに参加した家具メーカーです
ケヤキやトチなどの堅い木を使った強度のある家具を得意としています
今回ヒノキの折りたたみテーブルを制作
慣れないヒノキに苦労もありました
津山銘木

山本拓磨

専務取締役

ヒノキはやわらかい木なので
強度を出すことをすごく難しく感じました

 

アイアン(鉄)を入れて強度を出したそう

こちらもプロジェクトに参加した会社
ふだんは寺社などにおさめるお札などを作っています
ヒノキのソファー制作にあたり デザインと強度の両立に苦心しました
特に苦労したのがこの部分
髙橋工芸

小椋直樹

専務

ひじと背の部分が普通はつながっていて強度を出すんですけど
裏から強い木材を何箇所も通して強度を出しました


老舗家具メーカーもヒノキの扱いに試行錯誤だったと話します
ふだんはブラックウォールナットやオークなどで家具を制作
すえ木工

須江健治

代表取締役社長

北米材とか海外の材料を使うことが多い
家具用なので乾燥がしっかりしてあるんですね

 

すえ木工

須江健治

代表取締役社長

ヒノキは建築用なので含水率が高い
結構動いたり、木が収縮したりするので最初はそれで苦労しました
乾燥をコントロールしたり、組み方を工夫したりして、クリアしていった

 

抜け止めの木のピンを打つなど 木が乾燥しても抜けないような工夫が

”品質を上げる大きなポイントはデザイン”

今回のプロジェクトの中心となった建具メーカーです
これまでもデザインに力をいれた製品作りをおこなってきました
外部のデザイナーを起用したこちらの商品で・・・
グッドデザイン賞を受賞
TSUYAMA FURNITUREでも
外部のデザイナーを起用することにこだわりました
イマガワ

赤松洋一

代表取締役

とにかくデザインを良くしなければ
品質を上げる大きなポイントはデザイン
自分たちでもデザインはしてきたんですけど
力量のあるデザイナーにお願いしないと商品の高度化がはかれない

技術力も生かし 今回のプロジェクトでは格子のテレビボードなどを制作
グッドデザイン賞の受賞に手応え
イマガワ

赤松洋一

代表取締役

ものすごくうれしい
第三者のきちんとした機関が評価して賞をくれたということになると
相手に与える影響が違う

PRにつながると期待
イマガワ

赤松洋一

代表取締役

残念ながら岡山県が木材の産地であるということはあまり知られていない
どちらかといえばジーンズなどが有名
岡山県の木材がこんなにすばらしいということを
わかっていただけるチャンスが来ている

地域の課題解決をはかれるか?

グッドデザイン賞の選考に当たった日本デザイン振興会は・・・

日本デザイン

振興会

森林保全など地域産業が抱える課題解決の役割としても取り組みの価値は高い
5社が関わるメリットとそこから広がる共感力を生かし
今後の躍進にも期待したい

今回プロジェクトに参加した会社からは「地域への貢献」を強く意識した言葉が聞かました

松永建材

松永真樹

代表取締役

ヒノキの名産地であるというPRが
津山を知ってもらえるスタートになればありがたい

津山銘木

山本拓磨

専務取締役

これから木材がすごく貴重なものになると思いますし
地元の木材を無駄なくいろんな形でお客様に届けていきたい

すえ木工

須江健治

代表取締役社長

津山県域の地元の材を使っていく地産地消や
循環のコミュニティーが広がって仲間がもっと増えていけばうれしい

髙橋工芸

小椋直樹

専務

今、森が荒れ果ててしまっている
森を育て、植え、切って、加工して、使っていただく
この循環をうまくやっていけるように津山のこの地域が
さきがけてやっていきたい

イマガワ

赤松洋一

代表取締役

山が守られて、製材所が守られて、我々が良い商品を作って、
それを買ったお客さんに喜んでもらう
自然の環境を守りながらそういう循環ができればいい

津山の技術力とチャレンジ精神が実現したデザイン家具
地域の将来をデザインできるのか 今後の取り組みに期待が高まります

ページトップに戻る