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韓国人観光客 ゴルフで呼び込め 新発田が温泉・食も売り込み

新潟とソウル結ぶ定期便再開 訪日客の評価はいかに?
  • 2023年11月10日

10月31日、新潟と韓国・ソウルを結ぶ定期便が3年7か月ぶりに再開しました。インバウンドなど旅行への需要の高まりが期待されるなか新発田市は「ゴルフ」を売りにして韓国からの観光客誘致に乗り出しました。韓国のプレイヤーの評価はいかに。(新潟放送局 記者 草野大貴)

到着1時間半でゴルフ 韓国人観光客に熱視線

 

10月31日、新潟と韓国・ソウルを結ぶ定期便が約3年7か月ぶりに再開しました。韓国からの最初の便には約60人が搭乗し、次々と新潟空港に降り立ちました。新潟の人々が韓国からの乗客を待ちかまえる中、ひときわにぎやかに出迎えていたのは新発田市の職員です。市の職員をはじめ芸妓や、ゆるキャラの姿も。合流した訪日客と車で向かったのは?

 

新発田市内のゴルフ場です。空港で合流したのは韓国の旅行会社の社員たち。ソウル便再開にあわせて新発田市はゴルフを通じた韓国人観光客の誘客に力を入れているのです。

旅行会社の社員たちは、空港に到着してからわずか1時間半でプレーを開始。秋空の下のびのびとプレーを楽しみました。日本のゴルフ場は韓国と比べると自然の地形を生かしているということで、非日常の体験を楽しんだようです。初日はキャディーを付けずハーフラウンドを楽しみました。支払いは4500円でした。

韓国の旅行会社社員
造園やきれいな水の出るところもあって、プレーをしていくうちにどんどん満足度が高まりました。キャディーフィーもいらないしカート利用料も入らないので日本のゴルフ場の方が安いと思います。

コロナ禍でゴルフ人気高まる韓国 

 

なぜ、わざわざ韓国から「ゴルフ」のために日本を訪れるのか。

韓国では新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、屋外でできるゴルフへの関心が高まりました。現地のメディアによれば韓国国内のゴルファーは560万人あまりで日本国内を越え、ゴルフ場の市場規模も日本とほぼ同規模になっているされます。一方、日本のゴルフ場が2100か所あまり(日本ゴルフ場経営者協会調べ)あるのに対し、韓国ではおよそ500か所と数が限られているほか、料金も日本円で2万円から3万円するところが多いといいます。日本政府観光局によれば、比較的料金が安く、地理的に近い日本が注目を浴びているということです。

そこに目を付けたのが新発田市。新潟空港から約30分という地の利や、市内ゴルフ場が5つある点を最大限生かすことにしました。

新発田市観光振興課 渡辺貴守課長
実はわれわれの足元にこんな光るものがあるんだと気づきました。バラエティーに富んだゴルフ場に何度も何度も来てもらってゴルフと言ったら新発田といってもらえるようアピールしたい。

日本らしさ残る新発田 富裕層向けマーケットの可能性

ゴルフの後、一行が訪れたのは月岡温泉です。旅行プランを作る際の参考にしようと高級旅館を視察しました。案内された高価格帯の部屋では、部屋のしつらえやアメニティーも細かくチェック。スマートフォンで写真を撮るなど入念に下調べをしていました。

旅行のプロから見た新発田の評価はいかに。

韓国の旅行会社社員
私の知るかぎり最高の旅館だと思います。雄大で圧倒されるような雰囲気を感じています。

韓国の旅行会社社員
(旅館のある地区からゴルフ場まで)移動距離が短いのでよいと思う。富裕層が来るマーケットに十分になると思う。まずは富裕層をターゲットにしたラグジュアリーなゴルフ商品を企画し、その後にもう少しリーズナブルな商品も作りたい。ただ「新潟」や「新発田」という名前は韓国では知名度が低いので広報をする必要はあると思います。

韓国の旅行会社社員
手付かずの日本の伝統的な家屋、それに温泉、日本の感じがそのまま残っているんです。ああ日本に来たんだと感じることができました。新潟ならではの魅力があるので、沖縄や宮崎などゴルフが有名な他の地域とは別の市場を開拓できると思います。観光、温泉、ゴルフ、それから味めぐりがまとまった商品を考えようと思っています。

ゴルフで「新発田」のアピールを

今後について新発田市観光振興課の渡辺貴守課長は、他の観光資源を組み合わせながら新発田をアピールし、農産物の輸出などにもつなげていきたい考えです。

新発田市観光振興課 渡辺貴守課長
お城や庭、歴史的な建造物も市内にはありますが、ひとつひとつで勝負すると東京、京都、北海道など有名な観光地とは厳しい戦いになります。新発田の誇る月岡温泉やお酒、米などの農畜産物と、いろんなものを掛け合わせることで唯一無二のオンリーワンの商品ができると考えています。ゴルフを中心に据えて新発田のおいしい食、温泉、そういったものを味わっていただければ、次は農産物の輸出、そしてより多くのお客さんを新発田に呼び込む、そういう経済の好循環を図っていきたいと考えています。

新発田市では、今後雪のシーズンが終わった来年の春から韓国からの観光客の誘致に力を入れていくことにしています。観光振興へ”フルスイング”の新発田市から目が離せません。

  • 草野大貴

    新潟放送局 記者

    草野大貴

    徳島局から2022年8月に新潟局に赴任。現在は県政を担当。この取材で初めてゴルフ場へ。同行のカメラマンからゴルフを始めるよう勧められ、いま迷っている。

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