高専ロボコン2023 23年ぶりロボコン大賞 長岡高専大活躍の軌跡
- 2023年12月06日
関東甲信越代表として長岡高専がロボコン全国大会へ
10月15日(日)に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で開催された「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2023関東甲信越地区大会」(通称:高専ロボコン)。
学生たちによる熱い戦いが繰り広げられ、以下のチームが全国大会への切符を手にしました。
大会結果
優勝チーム | 小山工業高等専門学校Bチーム | ワンダフルケーキ君 |
推薦チーム | 東京工業高等専門学校Bチーム | S∅PNIR(スレイプニル) |
長岡工業高等専門学校Aチーム | ダブルラリアット | |
東京都立産業技術高等専門学校 荒川キャンパスAチーム |
Fruits full 2 |
新潟県からは長岡高専Aチーム「ダブルラリアット」が全国大会へ出場します。
この記事では、全国出場を決めた長岡高専ロボティクス部メンバーへインタビューを実施。
地区大会で見えた課題や、全国大会の目標と抱負などを聞きました。
大会概要(そもそも高専ロボコンって?)
アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)は、1988年から始まった、若い人たちに既成概念にとらわれず「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを体験してもらい、発想する事の大切さ、物作りの素晴らしさを共有してもらう全国規模の教育イベントです。
全国の高専学生が、毎年異なる競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競うもので、“発想力と独創力”を合言葉に毎年開催され、2023年で36回目を迎えます。
今年の競技テーマは「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」。
マシンを遠隔操作して障害物の設置されたフィールドを進み、天井に吊るされたフルーツを手に入れ自陣に戻ることでポイントが加算され、ポイントの合計数を競います。
段差やロープといった障害物をどう通り抜けるのか、天井に引っかかったフルーツをどうやって手に入れるのかといった課題を柔軟な発想で乗り越えていきます。
地区大会をふり返っても、ロボットアームでフルーツを掴むチーム、下から空気圧でフルーツを落とすチームなど十人十色ならぬ十チーム十色のマシンや作戦にはワクワクの連続でした。
全国大会は2023年11月26日(日)に国技館で開催されます。
より詳細が掲載されている公式サイトはこちら(NHKサイトを離れます)
あの「魔改造の夜」にも出演経験あり
長岡高専と言えば、NHKの人気番組「魔改造の夜」(総合月1回木曜日よる7:30~)に“N岡高専”としてたびたび出演し、そのアイデア力でお茶の間をワクワクさせてくれました。
技術力は一級品です。
長岡高専からは、Aチーム(ダブルラリアット)とBチーム(もぎ杉謙信)の2チームが出場し、それぞれ特別賞を受賞しましたが、全国へ進むのは審査員の推薦を受けたAチームです。
今回は地区大会優勝ではなく審査員推薦での全国出場決定ということもあり、悔しさも感じさせるインタビューとなりました。
Aチームインタビュー
全国大会までに徹底的に操縦をやり込みます。
"N岡高専"としてではなく、技術力で全国にインパクトを残してみせます。
どんな雑用でもやります(笑)
試合前日の試走では、マシンを動かすコントローラーとマシンを繋ぐ電波が他の電波と混線してしまうトラブルもあったそう。
予期せぬトラブルにいかに冷静で迅速に対応できるかが重要とも語っていました。
ロボティクス部からのエール
Aチームと共に大会に出場し、惜しくも地区大会敗退となったBチームのリーダー小田さん・顧問の井山先生にも話をうかがいました。
試合後には悔しくてピット裏で泣いてしまった。
同じロボティクス部として全力でAチームをサポートしたい。
本気で悔しそうにする小田さんは、間違いなく来年以降さらにパワーアップしてカムバックしてくれると感じました。
おわりに
悲喜こもごもの青春ドラマも魅力の高専ロボコン。
ロボティクス部一丸となっていざ全国大会へ!
全国大会は12月17日(日)に放送!
全国大会の模様はNHK総合で放送します。
(スペシャルナビゲーター:カズレーザーさん、朝日奈央さん)
その前に関東甲信越地区大会の様子も放送されます。
こちらもお見逃しなく。
全国大会 12月17日(日)NHK総合 13時50分~14時44分
関東甲信越地区大会 11月23日(木)NHK総合 13時5分~13時59分
追記 全国大会でロボコン大賞に輝く
会場の国技館には全国124チームの中から地区大会を勝ち抜くなどした27チームが集まりました。
その中で最も優れたアイデアに贈られる「ロボコン大賞」は、2つのアームでフルーツをもぎとる工夫をみせた長岡高専が受賞しました。
表彰式で長岡高専チームリーダーの石川さんは「すごくうれしいです。応援してくれたチームメイトやOBに感謝を伝えたいです」と話していました。
大会のもようは、総合テレビで12月17日(日)13時50分から放送される予定です。
12月5日(火)の新潟ニュース610にロボティクス部が登場
NHK新潟放送局では、ロボコン大賞に輝いたロボット「ダブルラリアット」を長岡高専から中継で紹介しました。
全国大会に参加して
中継でも話をうかがった3人に、放送で語りきれなかった全国大会の話を聞きました。
ー 全国大会前の取材では、大会までにロボットの設計を根本的に見直すと言っていましたが。
90度ほどしか曲げられなかったアームを180度近く曲げることが可能なように設計しなおしました。
可動範囲が広くなることでフルーツをつかみやすくなることはもちろん、コンパクトにアームが収納できることで、移動時の安定性も向上しました。
ー 課題だった得点力の面は解決できましたか?
アームの握力を強くすることでフルーツを落とさないように調整しました。
またハード面(ロボット)をしっかり固定させることで、ダブルアームが動いた際の揺れを軽減し、安定感を向上させることで全国大会での得点力アップに繋がったと感じています。
以前インタビューを受けた際、操縦を徹底的にやり込むと宣言した通り、地区大会からの1か月は練習時間を増やしました。
地区大会では整備と操縦練習を同時に行っていたのですが、足回りの動きの良さは地区大会の時点で確認できていたので、全国大会にむけては操縦練習に専念できたことはよかったと思います。
ー A・Bチームが一丸となって全国大会にむけて努力すると石川リーダーが言っていましたが、その点はどうでしたか?
全国大会にむけたロボットの設計変更などには、Bチームリーダーの小田が相談に乗ってくれるなど、サポートしてもらいながら進めることができました。
— 全国大会で印象に残っていることを教えてください。
全3試合いずれも想定外のトラブルにおそわれました。
ダブルアームの片方の指パーツが破損してしまいフルーツをつかめなかったり、パンタグラフを伸ばすケーブル線が切れてしまったり、障害物にあたってしまってやり直しになってしまう試合もありました。
試合にトラブルはつきものですが、そんな時に4・5年生の先輩に的確な指示をもらえたことでパニックにならずに済みました。
本当に感謝しかありません。
— 他校で印象的だったチームはありますか?
和歌山や大阪など、どこも強いチームばかりですが、長野高専のアイデアはよく参考にさせてもらっています。
— 今回の「ロボコン大賞」という経験をどういかしていきたいですか?
今回は半年間チームで動いてきましたが、みんなで“モノを作りあげる”良い経験になりました。
チームとして動く際に、情報はどう伝えたら相手に伝わるのかなど周りを見て動くことができるようになりました。
先輩がチームをまとめて動いてくれたことで一丸になれました。
次は自分がそういう立場になれるように頑張っていきたいです。
— 最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
今回のロボコン大賞は「ダブルアーム」を評価されての受賞でした。
そういった目立つ機構が注目されがちですが、足回りも見てほしいと思っています。
次は足回りの機構で全国をアッと言わせてみせます。
具体的に挑戦ということではありませんが、幼少時代にテレビで放送しているロボコンを見て、すごい!と思って、今があります。
小さい子たちにロボットの魅力が伝わり「すげー」って言ってくれるような発信をしていきたいです。
放送では、月面探査ロボットという大きな夢を掲げましたが、AIの犬型ロボットの開発に携わってみたいなと思っています。
— ありがとうございます。今回の「ロボコン大賞」受賞おめでとうございます。