毒キノコやクマ、、、キノコ採り何に注意?食中毒になったら?
- 2023年10月23日
秋の深まりとともにキノコ採りを楽しみにしているという人も少なくないと思います。ただキノコ採りでは毎年、山の中で危険な目にあったり収穫したキノコを食べて食中毒になったりするケースが後を絶ちません。安全にキノコ採りをするにはどうすればいいのか、専門家に聞きました。(新潟放送局 記者 草野大貴)
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毒キノコと食べられるキノコ 見分け方は?
この季節になると山歩きを楽しみながらキノコ採りにチャレンジしたいという人も少なくないと思います。毒キノコは色も形もおどろおどろしく、自分でも見分けることができると思っている方も多いかもしれません。では実際にはどうでしょうか?上の画像は毒きのこと食べられるキノコを並べたもの。赤色の枠で囲まれたものが毒キノコ、緑色の枠で囲まれたものが毒のないキノコです。毒キノコと食べられるキノコは形や色もそっくりで判別がつかないものが多くあります。
キノコ採りの注意点 採取歴50年のベテランに聞きました
安全にキノコ採りをするにはどうすればいいのでしょうか。新潟県十日町市で50年以上キノコ採りをしてきた滝沢博さんに聞きました。滝沢さんは新潟県から「食の安全・安心サポーター」に選ばれ、初心者に向けて食べられるキノコの見分け方などの研修も行っています。
長袖・長ズボンにクマよけの鈴も忘れずに
滝沢さんが最初に指摘したのが、山に入る時の「服装」と「クマ対策」です。
滝沢さん
長袖ですね。半袖ですと虫やハチにさされるんで。足元は長靴、登山靴のいいやつを履いてください。サンダルや革靴はダメですよ。滑るし、マムシなんかいるとかまれちゃうんですよ。
滝沢さん
(クマよけの鈴も)用心のためにつけてください。ラジオやクマよけの鈴は必需品です。人数は1人ではなく2、3人で入るように。1人がねんざとか怪我をした場合、1人はそこで介護をしないといけない。もう1人は連絡、外に出て連絡しないといけないので。
キノコが採れる山中は危険がいっぱい
準備を整え、滝沢さんとともにいざ十日町市の山へ。滝沢さんによると、この山にはキノコが少なくとも700種類はあるということで、さまざまな色や形のきのこと出会いました。夢中になりがちなキノコ採りですがキノコの周りには危険が潜んでいることもあるので注意が必要です。
滝沢さん
私は1回だけあるんですけど大きいマイタケの下にマムシがいたんですよ。素手でとるんだけれども、そういう時には気をつけてやっぱり用心していかないと。
毒キノコの見極め 熟練者に相談を
山の中に入ってしばらくして滝沢さんが見つけたのは白いキノコ。かさにはとげのようなものがついています。その名は「タマシロオニタケ」。毒があります。滝沢さんはタマシロオニタケを例に毒キノコについて説明してくれました。
滝沢さん
(キノコの)下が膨らんでますね。こういう根元から極端に膨らんでいるものは毒キノコが多いですね。ちなみに縦にさければ毒キノコではないだとか、虫が食べていたら大丈夫というようなものは迷信です。
キノコに毒があるかどうかについてはある程度の目安はあるものの種類によって当てはまらないものもあるということです。滝沢さんは図鑑などを参考にして判断することはせず、熟練者に確認してほしいと言います。
滝沢さん
図鑑と照らし合わせる、これがいちばん悪いです。図鑑はきれいなキノコの写真ばっかり載っているんですよ。汚れているような写真は載っていません。なかなかそれに合うようなキノコはないんです。分からないものは食べない、絶対に食べない。ましてや人にやらない。
嘔吐や下痢 肝不全も 恐ろしい毒キノコの被害
もし毒キノコを食べてしまった場合どうすればよいのでしょうか。消化器内科が専門で新潟医療センター副院長の佐藤祐一医師に聞きました。佐藤さんによりますとキノコの食中毒には▼摂取30分から2時間以内に嘔吐、あるいは下痢などを起こす「消化器障害型」▼神経症状や知覚障害を起こす「神経障害型」▼消化器症状のあと肝不全などに進行する「多臓器障害型」の3つがあります。いずれも予兆は全くないといいます。
新潟医療センター副院長 佐藤祐一医師
予兆は全くないですね。症状が出たら、あっという間に症状が悪化していく。いちばん問題なのは多臓器障害型。本当に死に至るというような病気になります。いちばんひどいものになると肝臓の移植まで至るようなこともあります。
もし症状が出た場合は原則入院する必要があるので「すぐに医療機関を受診してほしい」と佐藤さんは呼びかけています。
佐藤医師
症状が出て自分が毒キノコを食べたというふうに認識したら早急に病院に行っていただきたい。あるいは救急車を呼んでいただきたいと思います。できれば自分が食べた実物あるいは写真でもあれば、ぜひ病院に一緒に持ってきていただきたい。
注意しながら 楽しいキノコ採りを
2人の専門家に聞いた「キノコ採り」の注意点を改めて振り返りたいと思います。
・長袖長ズボン、長靴を履くなど服装を整える クマ対策の鈴も忘れずに
・採ったキノコを食べられるかは自己判断せずに熟練者に相談
・判断がつかないキノコは決して食べない
・もし食中毒の症状が出たらすぐ病院へ
山歩きをしながら、お目当てのキノコを見つけた時の気分は格別のものです。
一方で専門家が指摘する注意点を忘れず、安全にキノコ採りを楽しんでもらえたらと思います。