拉致を知らない世代へ 「再会を待つ家族」
- 2022年10月04日
2002年に行われた日朝首脳会談で、北朝鮮が初めて拉致を認めてからことしで20年。
政府が認定する北朝鮮による拉致被害者17人のうち、帰国を果たしたのは5人です。
拉致被害者と再会を果たせないまま亡くなる家族が相次ぎ、解決に向けて一刻の猶予も許されない状況となっています。
その一方で、時間の経過とともに拉致問題を知らない若い人たちが増えているのも事実です。
『拉致を知らない世代へ』と題して、拉致問題についてシリーズでお伝えします。
新潟放送局 記者 油布彩那
再会を果たせぬまま亡くなる家族も
拉致被害者のうち安否がわかっていない12人の親で、子どもとの再会を果たせぬまま亡くなった人は2002年の日朝首脳会談以降だけでみても、8人にのぼります。
横田めぐみさんの父・滋さん
横田めぐみさんの父、滋さん。
2020年6月、めぐみさんとの再会を果たせぬまま87歳で亡くなりました。
家族会の初代代表を務めるなど、拉致被害者の救出活動の先頭に立ってきました。
有本恵子さんの母・嘉代子さん
有本恵子さんの母・嘉代子さん。
2020年2月、嘉代子(かよこ)さんは94歳で亡くなりました。
健在なのは2人
健在なのは、横田めぐみさんの母親で86歳の早紀江さんと、有本恵子さんの父親で94歳の明弘さんだけです。
田口八重子さんの兄・飯塚繁雄さん
2021年12月には、田口八重子さんの兄・飯塚繁雄さんも亡くなりました。
飯塚さんは滋さんのあとを引き継いで家族会の代表を務めていました。
「メッセージには期限がある」
家族会はキム・ジョンウン総書記宛てに
「全員の早期帰国が実現するなら被害者から秘密を聞き出し、日朝国交正常化の妨げになるようなことはしない」というメッセージを出していて、
さらに去年は家族の高齢化を踏まえ、「メッセージには期限がある」としています。
親世代に会えなければ解決ではない
飯塚さんのあと、家族会の代表に就任した横田めぐみさんの弟・拓也さんは、家族と再会出来なければ本当の解決とは言えないとして、危機感を募らせています。
拓也さん
再会できたとしても待っていた親世代が仮にも他界をしていたということであれば、それは本当の解決にはならない
拉致問題は進展がないまま、家族の高齢化が進み、解決に向けて一刻の猶予も許されない状況となっています。