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拉致を知らない世代へ 「政府の取り組み」

  • 2022年10月01日

2002年に行われた日朝首脳会談で、北朝鮮が初めて拉致を認めてからことしで20年。
政府が認定する北朝鮮による拉致被害者17人のうち、帰国を果たしたのは5人です。
拉致被害者と再会を果たせないまま亡くなる家族が相次ぎ、解決に向けて一刻の猶予も許されない状況となっています。
その一方で、時間の経過とともに拉致問題を知らない若い人たちが増えているのも事実です。
『拉致を知らない世代へ』と題して、拉致問題についてシリーズでお伝えします。 
                            新潟放送局 記者 油布彩那

北朝鮮が拉致を認めた日朝首脳会談

2002年9月17日、当時の小泉総理大臣がキム・ジョンイル(金正日)総書記と首脳会談を行いました。

このとき、北朝鮮が日本人の拉致を初めて認めて、謝罪。

この年の10月には、5人の拉致被害者が帰国しました。

2度目の首脳会談  家族が帰国

2004年5月22日には、2度目の首脳会談が行われました。

2002年に帰国した拉致被害者の家族5人が帰国したほか、北朝鮮が拉致問題を再調査することで合意しました。

一方、行方がわかっていない拉致被害者や北朝鮮による拉致の可能性を排除できない特定失踪者などに関する新しい情報はありませんでした。

北朝鮮「生存者はすべて帰国」

その後、北朝鮮の拉致被害者らに関する説明を裏付ける具体的な証拠は出されず、北朝鮮は「生存者は全て帰国した」とする主張を繰り返しました。

解決への期待「ストックホルム合意」

 

拉致問題の解決への期待が高まったのが、2014年5月でした。

いわゆる「ストックホルム合意」です。

スウェーデンのストックホルムで開かれた日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮は「特別調査委員会」を設け、拉致被害者や特定失踪者の包括的かつ全面的な調査を行うと約束したのです。

日本側も独自の制裁措置の一部を解除することで合意しましたが、その後やりとりは停滞します。

北朝鮮が調査の中止を発表

2年後の2016年、北朝鮮による核実験や長距離ミサイルの発射で日本が制裁措置を強めると、北朝鮮は調査の中止と「特別調査委員会」の解体を発表し、「ストックホルム合意」は頓挫しました。

トランプ前大統領も拉致問題を提起

2018年6月には初めての米朝首脳会談が行われ、トランプ前大統領が会談で拉致問題を提起しました。
日米が連携し、拉致問題の解決を北朝鮮に迫る姿勢を見せた形となりました。

家族がキム委員長宛にメッセージ

そして2019年には、拉致被害者の家族会が北朝鮮のキム・ジョンウン委員長宛のメッセージを初めて出し、決断を迫りました。

被害者全員の帰国が実現するなら帰国した被害者から秘密を聞き出し、日朝国交正常化の妨げになるようなことはしない

当時の安倍総理大臣も拉致問題の解決のため、前提条件をつけずに首脳会談の実現を目指す考えを明らかにしました。

安倍総理大臣(当時)
私自身が条件をつけずに向き合わなければならないと考えている

拉致被害者の帰国に進展なし

一方で、北朝鮮は「拉致問題はすべて解決された」とする談話を繰り返し発表し、この20年間、拉致被害者の帰国に進展がみられない状況が続いています。

動画はこちら

  • 油布彩那

    新潟放送局 記者

    油布彩那

    令和元年入局
    警察取材や拉致問題を担当

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