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海で子どもと安全に楽しむために 守ってほしい9つのポイント

「海で遊ぶ」

子どもはもちろん、大人も胸躍る夏のキーワードですよね。何して遊ぼう?持ち物は?準備しながらワクワクで頭がいっぱいになると思います。

でも、お父さん、お母さん、海遊びは常に命の危険も隣り合わせであることだけは絶対に忘れないでください。
家族の安全を守るためのポイントを、イラストと実際に海の危険に身を投じる動画でまとめました。

2022年7月に放送されたニュースの内容です

目次

    ※ポイントをイラストにまとめました。海に行く時に思い出せるよう保存して、安全な海遊びにお役立てください。

    海の何が怖い?

    ポイント①どこが危険か分からない

    風が強くて波が高い…。そんな目に見えて危険なときに子どもを連れて海に行くことはないと思いますが、海水浴日和の天気がいい日、一見穏やかに見えても危険が潜んでいます。

    全国の水難事故の調査を行う水難学会の斎藤秀俊会長らによると、「見えない深み」や「急に押し寄せてくる高い波」も事故の原因になりますが、特に「離岸流」に注意してほしいとしています。

    「離岸流」とは沖に向かって流れる速い流れのことです。

    波やうねりは沖から海岸へと打ち寄せてきますが、打ち寄せられた海水は、流れやすい場所から沖へ戻ろうとします。この沖へ戻ろうとして発生する流れが「離岸流」で、海水浴場でも速ければ1秒間に1メートル、波が高いと2メートル/秒以上も流されることもあります。

    この離岸流、専門家でもどこで発生しているか見ただけでは分からないそうです。許可を得て、海に緑色の着色剤を流して離岸流の流れを可視化してみました。

    再生時間 0:26

    ポイント②泳げる大人でも溺れる

    離岸流に流されたらどうなるのか。水難学会の指導のもと、安全を確保したうえで、NHKの潜水撮影の訓練を積んだ高橋大輔カメラマンが離岸流に身を投じてみました。

    再生時間 0:44

    (高橋カメラマン)
    海での泳ぎは慣れたもの、あえて流れに逆らって泳いでみましたが、岸は一向に近づきません。息も上がり、波をかぶって水を飲んでしまいそうでした。子どもはもちろん、泳ぎに自信のある大人でも体力を消耗して溺れてしまう危険性があると実感しました。

    【リスクを減らす①】出発する前に

    ポイント③必ずライフジャケットを

    海の近くで遊ぶなら、離岸流に流される危険をゼロにはできません。大人は海に入るつもりがなくても、興奮した子どもが海に駆け寄っていくこともあると思います。必ずライフジャケットを着用するようにして、万が一の時に少しでも助かる可能性を上げてください。

    この時、子どもだけではなくて、大人も必ずライフジャケットを着用することも重要です。万が一、子どもが流された際に大人がライフジャケットを着ていないと、自分だけでなく、子どもの命も危険な状態にさらすことになります。

    ポイント④ライフジャケット選びはマークをチェック

    ライフジャケットは、浮力や構造、耐久力などの基準を満たしたものを選ぶとより安心です。国土交通省や海上保安庁では次のマークが入ったものを推奨しています。

    ポイント⑤ライフセーバー・監視員がいる場所を選ぶ

    繰り返しになりますが、もしも子どもが離岸流に流されてしまったら、泳ぎに自信があっても救助に行くのは危険です。海に入って遊ぶなら、ライフセーバーや監視員がいる場所を選ぶようにしてください。実際、流された子どもを助けに海に入ったお父さんやお母さんが命を落とす事故が発生しています。

    【リスクを減らす②】海についたら

    ポイント⑥「ひざ下」まで

    水難学会では、子どもと海に入るのは流れの影響が少ない「ひざ下」までにしてほしいとしています。それでも絶対に安全ということはないということですが、急な深みにはまったり、転倒して海に引き込もうとする強い流れにさらわれたりするリスクを減らすことができるとしてます。

    ポイント⑦子どもと一緒に遊ぶ

    遊ぶ時は「子どもから目を離さない」ではなく、必ず「子どもと一緒に遊ぶ」ようにしてください。溺れるとき、流されるときは一瞬です。離れていては手遅れになってしまうような場合でも、隣で遊んでいればすぐに気づいて助けることができます。

    複数の大人がいる時は、子どもたちと一緒に遊ぶ人と、陸から海で遊んでいる子どもたちを見守る人に役割分担をして、異変を見逃さないようにしてください。

    それでも流されてしまったら

    ポイント⑧最後は「浮いて救助を待つ」

    それでも流されてしまったら、最後の手段は「浮いて救助を待つ」です。水難学会の斎藤秀俊会長によると、ライフジャケットを着ている場合、背浮きではなく、膝を抱え込む「ヘルプ姿勢」で待つのがいいとしています。顔が水面よりも上で保てるほか、体温が下がるのを防ぐ効果もあるということです。

    流されたときの「ヘルプ姿勢」

    事前にプールなどで子どもと一緒に練習するのが理想ですが、動画でも具体的な方法を解説した記事を用意しましたので、お子さんと一緒に確認してください。

    「浮いて救助を待つ」ってどうすれば?動画で詳しく

    海水浴場の注意書きで、離岸流に流されてしまったら岸と水平に泳いで流れから脱出するよう書いてあるのを見たことがある人もいると思います。ただ、水難学会によると、海で泳ぐのがよほど得意な人でなければ、浮いて救助を待った方が助かる可能性が高いとしています。

    海上保安庁は、流されてしまったらまずは落ち着いて、無理に泳ごうとせずに浮くことに専念するよう呼びかけています。海での泳ぎに自信がある場合は、岸と並行に泳いで流れから脱出する、あるいは沖への流れを感じなくなってから岸に向かって泳ぐと助かる可能性が高まるとしています。

    ポイント⑨ためらわず救助を呼ぶ

    子どもが流されてしまったことに気づいたら、ためらわずに救助をすぐ呼んでください。海の水難事故は119番(消防)もしくは118番(海上保安庁)です。

    取材・撮影:首都圏局 浅石啓介 阿部和弘 千葉局 高橋大輔
    イラスト:森下絵里香アナウンサー
    編集:報道局 村堀等

    子どもは静かに溺れる…

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    NHK潜水班の裏話

    知っていますか?溺れたときの「ヘルプ姿勢」

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