熱中症 子どもを守るために知っておきたいこと
2018年7月17日、校外学習に参加していた愛知県の小学1年生の男の子が熱中症で亡くなりました。厳しい暑さの中、行き帰りに「疲れた」と話していたと言います。
専門家に話を聞くと実は子どもは大人よりも熱中症にかかりやすいさまざまな事情がありました。
子どもの体を、そして命を守るために知っておきたいこと、まとめてみました。
2018年7月放送の熱中症ニュースに関連する内容です
目次
連日の猛暑の中で…
2018年7月17日、愛知県豊田市。男の子は学校から1キロ離れた公園での校外学習に参加、学校に戻ったあと、意識を失って倒れました。病院で死亡が確認され、「熱中症」と診断されました。
気温は午前中から30度超え。公園に行く際、仲間から遅れたため、担任の教師が手を引いて歩き、帰りも「疲れた」と話していたそうです。
これだけの理由
「子ども、特に乳幼児は大人と比べて熱中症になりやすいんです」
そう話すのは国立成育医療研究センター救急診療科の鉄原健一医員です。いくつかの理由があります。
(1)体温調節機能が未発達
子どもは汗びっしょりのイメージがあります。しかし実は、子どもは汗をかく機能が未発達だそうです。
「このため大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間がかかってしまうんです。だから大人より体に熱がこもりやすいんです。体温を調節する機能、それが未発達だと考えてください」
(2)照り返しにも注意!
「子どもは体重に比べて体表面積が広い。その分、気温など周囲の環境の影響を受けやすいと言えます」
「また、大人よりも背が低いため地面からの照り返しの影響を強く受けます。たとえば大人の顔の高さで32度の場合、子どもの顔の高さではそれより高い35度ということもあるんです」
赤ちゃんをベビーカーに乗せる場合にも地面に近くなり注意が必要です。
(3)自分では予防できない
そして大きいのが夢中になって遊んでいる子どもは、体の異変になかなか気づかないことです。
「子どもは自分で体調の変化をうまく表現できず訴えられないことがあります。異変がないか、周囲の大人が気にかける必要があると思います」
子どもの熱中症対策
では子どもの熱中症をどう防げばいいのか、プロスポーツ選手のトレーナーの経験があり、子どもの熱中症対策にも詳しい村田一恵さんに聞きました。
「何よりも大切なのは睡眠です。睡眠が十分でない状態で、暑さの中にいると熱中症になりやすいんです」
睡眠をしっかりとるためにも、冷房を効果的に使ってよく眠れる環境を整えることが大切だと話していました。
朝、1杯のみそ汁を
暑くて汗をかくと、水分とともに塩分も体の外に出て行きます。村田さんは水分、それに塩分の補給が大切だと強調していました。
「塩分補給といっても気負わないで下さい。朝、1杯のおみそ汁をとる。忙しいならインスタントでもかまいません。塩分を意識してとる心がけが大事です。ちょっと行儀が悪いと感じるかもしれませんが、なかなか食欲が出ないような時は、みそ汁をごはんにかけて食べても良いと私は思っています」
水と塩分両方をとる方法
水分と塩分、両方補給できる手作りのスポーツドリンクのレシピも聞きました。
水は1リットル。それに小さじ半分程度の塩を入れます。そこにオレンジやグレープフルーツなどの果汁や果汁の入ったジュースを、好みで入れると飲みやすくなります。
おしっこにも注意を
村田さんによると意外と知られてなく、熱中症の兆候に気づくのに役立つのが“おしっこ”の色だそうです。
尿の色が濃い時は要注意。目安を聞くと「おしっこの色がレモネード色なら大丈夫、それより濃い色の時は水分が足りていないのかもしれません」と話していました。
乳児の場合は、おむつ替えの時に尿を観察したり、また自分で用を足せるようになった時は、排尿のあと便器を見るよう伝えたりすることで、水分をとった方がいいのか、気づくことができるということでした。
また医師に話を聞くと「おしっこの回数にも要注意。ふだんより減っているようならそれも水分が足りないかもしれないサインです」と話していました。
熱中症かも!その時は
子どもにどんな症状が出たら熱中症と疑った方がいいのでしょうか。
「睡眠がとれているのにあくびをしていたり、汗を大量にかいていたりする時は、注意が必要なサインです。筋肉痛のような手足の痛みを訴えることもあります」
「だるさや吐き気、それに頭痛やけいれんが起きたりすれば熱中症の状態が重くなっているかもしれません」(鉄原健一医員)
こうした症状が出たら衣類を緩め、涼しいところに頭を低くした状態で寝かせることが大事で水分をこまめに少しずつ飲ませます。全身がだるそうなら冷たいぬれタオルで体を拭いたりクーラーの効いた部屋に寝かせたりして積極的に体を冷やします。
「しかし体温が40度以上あったり汗が出なくなったり、もちろん意識がないといった症状がある場合にはすぐに救急車です。救急車が着くまでの間は体を冷やし続けることが大切です」(鉄原健一医員)
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