森下龍矢 グランパスからサッカー日本代表 チームの元気印
- 2023年06月14日
サッカーJ1で前半戦を2位で終えた名古屋グランパス。好調なチームで存在感を高めているのがディフェンダーの森下龍矢選手です。プロ4年目の今シーズンはもともと定評があった守備に加え、2ゴール3アシストをマークし攻撃面でも数字以上の貢献をしています。日本代表の強化試合のメンバーに初めて選出されるなど、今波に乗っている森下選手を亀蔦なごみキャスターが取材しました。
(記録は2023年6月11日現在)
日本代表で最高のプレーを!
日本代表合宿に初めて合流する前日の6月11日。本拠地の豊田スタジアムでの試合後、グランパスサポーターが集まるゴール裏スタンドに1枚の横断幕が掲げられました。『限りなき世界へ 森下龍矢』。そしてサポーターからは応援歌も。この激励を受けて、森下選手は拡声機を手にし今の思いを口にしました。
森下選手
いつも応援ありがとうございます。代表合宿へ行ってきます。豊田スタジアムで代表の試合ができるというホームアドバンテージを生かして最高のプレーをしてきたいと思います。応援よろしくお願いします。
ミックスゾーンで森下選手はその時の思いを振り返りました。
森下選手
感動しました。ファミリーに支えられてここまで来たんだなと実感しました。
持ち味は疲れを知らない圧倒的な運動量
プロ4年目の森下選手は静岡県出身の26歳。明治大学を卒業後にサガン鳥栖でプロデビュー。2年前のシーズンからグランパスでプレーしています。最大の武器はスピードを上げて走るスプリント。今シーズンここまで1試合でもっと多いスプリントが32回でJ1の選手で4位タイ。圧倒的な運動量でピッチを縦横無尽に駆け回ります。
日本代表の経験があるチームメートの永井謙佑選手(34)もその能力の高さに太鼓判を押していました。
永井選手
あいつのように上下動はできないね。あいつはすごいよ。代表に選ばれてほしいよね。
ピッチ上では疲れ知らずのように見える森下選手ですが、そうでもないようです。今回の取材では本音も教えてくれました。
森下選手
疲れますよ。特に戻ってくる時が疲れます。上がっていく時はめっちゃワクワクしているんですよ。疲れすら何もかも忘れておれが決めてやるって。でもボール奪われて戻る時、待てよ。これ戻るのきつくねえか?みたいな感じで。自分のポジションに戻る時に中谷君とか稲垣君の顔が見えるので、戻らなきゃみたいな。
労をいとわないハードワークが日本代表の森保一監督の目にとまり、6月に2試合組まれた強化試合に向けた日本代表に初選出されました。メンバー発表の会見で森保監督は選出した理由をこう説明しました。
森保監督
両サイドどちらでもプレーができる。攻撃の部分ではチャンスに絡み、守備の部分でもハードワークをしてしっかりとチームに貢献している。成長が見受けられる。
森下選手
日本を率いる監督が僕のことを評価してくれたというのは積み重ねてきてよかったなと。素直にうれしいです。
去年の悔しさを糧に
前半戦を2位で終えた好調なチームを引っ張る森下選手ですが、去年は悔しさが残る1年でした。持ち味のスプリントでサイドを突破するものの、最後のプレーに正確さを欠き、思うように得点に結びつかなかったのです。
森下選手
森下、あそこまでいくけど、どうせクロスミスするから怖くないよねみたいな。そういうのが悔しかったんですよ。
相手チームから恐れられる選手になりたい。そのための必要な自身のレベルアップに大の読書好きであることが役立っています。子どもの時から自分の行動を論理立てて考えていると言います。
森下選手
小学校中学校のころ「何で自分はサッカーするのか?」というようなことをよく考えていて、「サッカーが好きだから」というところに行き着きました。それがなんか自分の原動力になっています。僕は分析するタイプだと思うんですよ。悪いプレーもどうやって改善するのかをことばにしますね。
昨シーズン感じた課題解決のため、ラストプレーの精度を上げることに重点的に取り組みました。これは最後の場面でどれだけ余裕を持てるかによって、プレーの質が変わってくると分析した結果からです。
森下選手
ボールが自分のところに届くまでいかに早く準備できるかだと思う。要は早く動いて早く準備できたら、その分止まってプレーできるじゃないですか。そのためスピードアップに取り組みました。
オフからのトレーニングで意識したのは走力に磨きをかけることでした。最高時速は昨シーズンの31キロから3キロ速くなって34キロに。3月に行われた第4節の柏レイソル戦では、森下選手が右サイドを猛スピードで駆け上がり余裕を持ってクロスボール。これが相手のオウンゴールを誘って得点につながりました。
うれしい日本代表初選出はありましたが、まずはグランパスでタイトルを取りたいと意気込み、チームの勝利のためにこれからも走り続けます。
森下選手
優勝を狙える立ち位置にいれるのが僕自身初めてなので、(2010年以来)2度目の(優勝)シャーレを掲げられるように頑張りたいと思います。
取材を終えて…
今回の個別インタビューは日本代表メンバー発表の1週間前に行いました。私たち取材クルーが待つ部屋に入って来るやいなや、森下選手は大きな声であいさつ!その場の空気が一気に明るくなりました。言語化するのが得意と話していましたが、まさにそのとおり。ひとつの質問に120パーセントで答える誠実な姿勢が今の活躍にもつながっていると思いました。グランパスでは勝負の後半戦も太陽のような笑顔でチームを盛り上げていってほしいです。そして日本代表でもピッチで躍動する姿を是非とも見たいです。