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緑内障 あなたの目は大丈夫ですか?

2022年3月11日

3月6日~12日は「世界緑内障週間」。名古屋のテレビ塔など全国700箇所あまりが、シンボルカラーの緑色にライトアップされました。

緑内障は、目の内部の圧力などが原因で目の神経が傷ついて視野が欠けていく病気。
症状が進むと、視野の一部がかすんだり、ぼやけて見えたりして、「めがねを変えてもぼやける」とか「目の前に何かあるようで見にくい」と訴える人もいるそうです。

40歳以上の20人に1人と言われる緑内障。その特徴や必要な検査などについて取材しました。

緑内障ってどんな病気?

緑内障に詳しい、岐阜県多治見市の眼科医、岩瀬愛子医師です。
まず緑内障とはどんな病気なのか、教えてもらいました。

岩瀬愛子医師

「眼球はちょうどいい機能を保つための柔らかさというか圧力がかかっているんですが、その人にとって圧力がどのくらいがいいかは個人差があるんですが、その数字を超えた圧力がかかると視神経がダメージを受けて、ダメージを受けたところが担当していた視野が見えなくなっていく」

40歳以上の20人に1人 9割は気付かず

岩瀬医師は20年あまり前、日本緑内障学会の一員として、多治見市の40歳以上の市民を対象に調査を行いました。
その結果、40歳以上の20人に1人が緑内障で、年齢が上がるにつれて増えることが分かったのです。しかも、およそ9割の人は自分が緑内障であることに気づいていませんでした。

岩瀬愛子医師

「緑内障は初期中期が症状がないのが特徴なので、両目とも見にくくなってからやっと気がつくって方が多い。目薬もどんどん増えて、手術など治療法の選択肢がいろいろ増えていますので、とにかく早く見つけて、進行して見つかったとしてもそこで維持することが大事」

早期発見に必要な検査は?

進行するまで気づきにくい緑内障。
早期発見のために必要な検査とは、どういったものなのか。記者が検査を受けてみました。

検査項目はこの4つです。
①「眼圧検査」(目の中の圧力を測る)
②「視力検査」(1.0とか0.5という、いつもの検査です)
③「眼底検査」(目の奥の視神経などを観察する)
④「視野検査」(中心を見つめて上下左右どの範囲まで見えるかを調べる)

結果は・・・

岩瀬愛子医師

「近視が結構強くて、眼圧が20mmHgって数字までが正常なんですけど、このデータを見ると左目が22あるんです。正常をちょっと越えている。こちらは左目の眼底写真なんですけれど、この視神経のへこみが少し広さが広いんですね。緑内障で眼圧が高いことでダメージがあって神経の所見が変わっているかを調べる必要はあると思うので、精密検査をすべきという結果になります」

視野に異常はないものの緑内障の疑いがあり、3か月ほどしてから詳しい検査を受けるよう勧められました。詳しい検査を受けて、眼圧を下げる必要があると診断されれば、目薬による治療を始めることになるそうです。

緑内障の治療は?

緑内障は、眼圧を下げるために以下のような治療法があります。

▼目薬による治療(これが基本です)
▼レーザーによる手術
▼外科的な手術

ただ、いずれも症状が進まないようにする治療であって、視野を元に回復させることはできません。
進行すると、階段を踏み外したり、運転で信号や標識を見落とすといった危険があります。また、かすんだり、ぼやけたりする症状は、緑内障だけでなく、白内障や老眼などの可能性もありますので、異常を感じたらとにかく早めに眼科を受診することが重要だということでした。

眼の定期検診と治療の継続を

緑内障の啓発のため、全国各地で行われたライトアップ。
コロナ禍で緑内障の治療を中断してしまう人もいるため、岩瀬医師は目の定期検診とともに、治療の継続を呼びかけています。

岩瀬愛子医師

「治療中に目薬がなくなったにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染が怖いからということで、そのまま治療を中断してしまっている方がずいぶんあるように思うので、それはせっかく治療を開始しているのに残念なことなんで、早期発見も大事、継続も大事だってことだと思います」

筆者

松岡康子 記者(NHK名古屋放送局)
愛知県小牧市出身。
NHKに入局後、静岡局、豊橋支局、名古屋局、科学文化部、生活情報部を経て、2013年から再び名古屋局勤務。
新型コロナなど医療分野の取材をメインで担当。
2人の息子の母。