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あのとき、何食べた? 逆境でも前を向く力をくれた アヒデパンサ


皆さんには、"忘れられない食事"はありますか?
「あのとき、何食べた?」は、中部に住む外国籍や外国にルーツのある方々の"忘れられない一品"を掘り下げるグルメドキュメントです。

車夫の衣装、そして車いすを改造した人力車を引くりりしい男性。
ジャパニーズ感強めの風貌ですが・・・

実は、ボリビア出身のネイバーズ!豊橋市に住む美容師・エリック・バリオスさん(36)です。
3歳で来日し日本で育ったため、言葉も外見も、一見外国人には見えません。
しかし、国籍の壁にぶつかり、夢をあきらめた"あの時"がありました。
くじけず、前を向く力をくれたのが、家族と一緒に食べる「アヒデパンサ」でした。

目次

【エリックさんの"あの時"】初めて知り、衝撃・・・国籍の壁で夢破れる

エリックさんは、豊橋市を拠点に、訪問美容を行っています。訪問美容とは、障害や高齢などの理由で外出が難しい人のご自宅や施設に出張して、カットやカラーなどを行うサービス。人力車スタイルにしたのは、ふだん外出が難しい人に、旅に出たようなワクワク感を味わってほしいと思ったから。サービス精神にあふれた人柄です。

日系3世のエリックさん。日系2世の父、ボリビア人の母と共に3歳で来日。以来、日本で育ち、少年時代からの夢だった美容師のキャリアを20歳でスタートさせました。

25歳の時、早くも副店長に昇進。同じころ、腕を買われて、米・ロサンゼルスでのヘアショーに参加したことをきっかけに、海外で美容師として活躍したいと考えるようになりました。海外志向の強さには、日本からボリビアに渡った父方の祖父母、そしてボリビアから日本に渡った両親のDNAも影響していると話します。

写真:エリックさんの祖父母
エリックさんの両親

夢を実現しようと、27歳の時、店を退職。ところが、渡航に必要な手続きや法律について調べていたとき、衝撃を受けます。
日本では、永住できる在留資格を取得して暮らしているエリックさん。在留資格は、日本を1年以上離れると、場合によっては失効してしまうことがあると初めて知ったのです。

資格の維持のために、短期間で国内外を行き来する余裕はない。しかし、資格を失えば、日本に住む家族と、暮らせなくなってしまうかもしれない・・・。エリックさんは悩みます。
帰化して日本国籍を取れば、海外に長期間行くことも可能になりますが、自分のルーツであるボリビア国籍も失いたくない。まだ若かったエリックさんは決断できず、夢をあきらめました。

【エリックさんの"いま"】逆境から奮起 美容室オーナーに

夢も職も失ったエリックさん。八方塞がりの状況に、初めて両親の前で泣いてしまったといいます。そんなエリックさんを家族は静かにハグして、見守ってくれました。
どん底にいたあの時、母親がよく作ってくれたのが、エリックさんの大好物「アヒデパンサ」でした。

日系1世だった祖父母も食べたというボリビアの家庭料理。ピリッと辛い味付けと、スタミナたっぷりの牛モツ。そして、この料理を家族と一緒に食べる時間が、エリックさんに前を向く力をくれました。

1年がたったころ、エリックさんは新たな夢を見つけます。テレビで偶然見た「訪問美容」に、ビジネスチャンスを見いだしたのです。祖父母と暮らした経験がなく、高齢者と関わってみたいと思っていたことも背中を押しました。訪問美容に脚光が当たるように、人力車スタイルを組み合わせることもひらめきました。
豊橋市のビジネスプランコンテストに出場したところ、みごと最優秀賞に。つかんだチャンスをきっかけに、地元の金融機関から融資を受けることができ、自らの会社を立ち上げました。

訪問美容の仕事で実績を積み、4年前には店舗もオープン。"いま"では12人のスタッフを抱えるまでになり、2号店を出す計画も進めています。事業を大きくするうち、一度はあきらめた海外の夢に、またチャレンジしたいという思いも強くなってきました。
どん底を味わってから、およそ10年。逆境で踏ん張れたのは、異国の地に渡り、必死に生きる両親と、祖父母の姿を知っているから。「アヒデパンサ」は、エリックさんの家族の頑張ってきた歴史を象徴する一品です。

【アヒデパンサのレシピ】とうがらし×牛モツ おいしくないわけがない!

<材料(4人分)>
  • ハチノス・・・400グラム
  • ニンニク・・・1片
  • タマネギ・・・1個
  • パプリカ・・・1/2個
  • ジャガイモ・・・4個
  • トマト・・・1個
  • サラダ油・・・大さじ1
  • クミンパウダー・・・大さじ1
  • ターメリックパウダー・・・大さじ1
  • ローレル・・・1枚
  • とうがらしペースト・・・大さじ2~3(好みで加減)
  • 水・・・300cc~400cc
  • 塩・こしょう・・・適宜
  • 米・・・2カップ
<赤タマネギのレモンマリネ>
  • 赤タマネギ・・・1個
  • トマト・・・1個
  • 青ネギ・・・2本
  • レモン・・・1/2個
  • 塩・・・少々
★おいしくするポイント★
  • ハチノスは、表面の黒い皮を取り除いた下処理済みのものを購入すると、調理が楽で、臭みも軽減されます。
  • 黄色のとうがらしペーストは、インターネット通販などで「アヒ・アマリージョ(黄色とうがらし)」と検索して購入できます。赤とうがらしでも、パウダーでもOKです。
  • 最後に赤タマネギのレモンマリネをプラスすることで、おいしさがアップします!
<つくり方>
(1)

ハチノスを1cmほどの角切りにして、圧力鍋で水煮しザルにあげておきます(沸騰してから約20分)。圧力鍋がない場合は、大きな鍋で水からゆで、沸いたら水で洗うという作業を数回繰り返し、ザルにあげておきます。

(2)

タマネギはみじん切りにし、パプリカ、トマトは1cm角に、じゃがいもは皮をむいて2cm角に切ります。

(3)

鍋にサラダ油を熱し、潰したニンニクを炒め、タマネギを入れあめ色になるまで炒めます。

(4)

パプリカ、ジャガイモ、トマトを入れて炒め、クミンとターメリックを入れて更に炒めます。

(5)

香りが出たら、とうがらしペーストを入れて、具材がかぶる位の水を足して10分ほど煮込みます。

(6)

(5)にザルにあげておいたハチノス、ローリエの葉を加え、5分ほど煮込み、塩・こしょうで味を整えます。

(7)

赤タマネギのレモンマリネを作ります。ボウルに薄切りにした赤タマネギ、トマトの角切り、青ネギの小口切りを入れて軽く混ぜ、レモン汁であえます。お好みでオリーブオイルを加えてもおいしいです。

(8)

器にご飯と煮込んだ(6)を盛り、(7)のマリネをのせて完成です。



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