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あのとき、何食べた? ナシクニン 夢を応援してくれる料理

2022年3月17日


皆さんには、"忘れられない食事"はありますか?
「あのとき、何食べた?」は、中部に住む外国籍や外国にルーツのある方々の"忘れられない一品"を掘り下げるグルメドキュメントです。

愛知県高浜市のケアハウス(軽費老人ホーム)で働く、イダ・イスマイルさん(30)。2年前にインドネシアからやってきた技能実習生です。夢は、"故郷のインドネシアに介護施設を建てること"。そのために仕事をしながら、勉強に貯金にと、日々奮闘しています。彼女を突き動かすのは、"ある料理"。

目次
【イダさんの"あの時"】お母さんの味ナシクニン

イダさんの思い出の食は、インドネシアの米料理"ナシクニン"。「ナシ=ごはん」「クニン=黄色」という意味で、ココナッツミルクにターメリックパウダーなど、数種類のハーブとスパイスを加えて炊く、黄色いごはんのことです。インドネシアでは黄色に幸せという意味があり、お祝いの席でふるまわれる、日本でいう赤飯のような存在。ハーブのさわやかな香りとココナッツミルクの甘さが、食欲をそそります。
イダさんの誕生日の時に、お母さんが作ってくれたのが、この"ナシクニン"。

イダさんが幼かったころから、糖尿病や痛風など様々な持病を抱えていたお母さん。でも、どんなに体調が悪くても、誕生日の時は必ずナシクニンを作ってくれました。
お母さんの闘病生活が始まったとき、当時24歳のイダさんはインドネシアで助産師として働いていました。1日中仕事がある日も多く、お母さんを病院に通わせ、看病することが難しかったといいます。

そして4年前、お母さんは53歳の若さで亡くなります。亡くなる寸前は、お母さんのそばにいることができたイダさん。その時に感じたのは、深い後悔でした。「もっとケアしてあげたかった」。イダさんは取材中、何度もこの言葉を口にしていました。4年経った今でも、その後悔は消えないと言います。

【イダさんの"今"】夢は「インドネシアに介護施設を建てること」

「お母さんにできなかった分、他の人を助けたい。」そんな思いから、日本で介護の仕事をはじめて2年。日本語も上達し、現在はスタッフで行う朝礼の司会も任されるようになりました。朝礼では、それぞれの今日の担当業務や、利用者についての連絡事項を伝えます。イダさん以外のスタッフは全員日本人。担当表の専門用語や分からない漢字は、事前に読み仮名を書いて練習します。
朝礼の前は「緊張する~いつもドキドキする~」と撮影クルーにこぼしていたイダさん。しかし、スタッフを前に司会をする姿は、不安を感じさせない堂々としたものでした。

介護の仕事と日々向き合い、奮闘するイダさん。驚いたことは、利用者の人たちがインドネシアに比べ、とても長生きであること。若くしてお母さんを失ったイダさんの目に、その姿はとてもまぶしくうつりました。
「日本のように整った施設があれば、お母さんももっと長生き出来たかもしれない。」
今、イダさんには"故郷インドネシアに老人用の介護施設を建てたい"という夢があります。インドネシア人にも、日本人のように穏やかに、幸せに、長生きして欲しい。そんな強い願いが、イダさんを突き動かしています。

【ナシクニンのレシピ】インドネシアのお祝い料理!

私が取材中、何度も振る舞ってくれたナシクニン。私の思い出の料理にもなりました。
イダさんのナシクニンの特徴は、ニンニク!お母さんから受け継いだレシピです。
香ばしいニンニクの香りと、爽やかなハーブの香り、そしてココナッツミルクの甘みが広がります。食べるとクセになる、"幸せの黄色いごはん"を是非、ご家庭で。

<材料(米三合分)>
  • 米・・・三合
  • ココナッツミルク・・・500ml
  • 水・・・150ml
  • ニンニク・・・3片
  • コブミカンの葉・・・3枚
  • ターメリック・・・大さじ1
  • 牛だしの素・・・大さじ1
  • レモングラス・・・2本
  • ローリエ・・・3枚
<作り方>
1)ニンニクをみじん切りにして炒める

ニンニクをいれるのは決まりではなく、イダさんの家庭ならではのもの。
苦手な人はなくてもOK!とのことでした。

2)材料を煮込む

ニンニクの色が変わったら、ココナッツミルクを加え、牛だしの素、レモングラス、ローリエ、コブミカンの葉を加え、一煮立ちさせてから、ターメリックを加えます。

※イダさん曰く、レモングラスは結ぶとより香りが出るそうです!

3)煮立ったら、お米と一緒に炊く
4)盛りつけはお好みで!

インドネシア料理は辛いものが多く、ナシクニンの周りに盛りつけるおかずも辛かった印象があります。でも、ナシクニンが甘いので、相性は抜群!


今回紹介したイダさんのナシクニン。「ニンニクを入れること」や「レモングラスを結ぶこと」などこだわりが詰まっています。味や香りづけがもっとシンプルな家庭もありますが、イダさんはお母さんのナシクニンの味が大好きだったそうです。取材した私も、イダさんのナシクニンのとりこになりました!
イダさんは、仕事に持って行くお弁当にナシクニンを詰めることも多く、「ナシクニンを食べると、仕事を頑張ろうと思える!」と語っていました。3日間のロケの最後に見せてくれた、ナシクニンを食べるイダさんの最高の笑顔が忘れられません!


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