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あのとき、何食べた? カイピリーニャ ルーツを受け入れる事が出来た一杯


皆さんには、"忘れられない食事"はありますか?
「あのとき、何食べた?」は、中部に住む外国籍や外国にルーツのある方々の"忘れられない一品"を掘り下げるグルメドキュメントです。

名古屋市港区のカフェで働く小田ビニシウスさん(28)。幼少期、ブラジルにルーツがあることにコンプレックスを感じていましたが、25歳の時に"あるカクテル"と出会い、生き方を見つめ直したそうです。「自分のルーツを受け入れる事が出来た一杯」とは?

目次
【"あのとき"を取材して】思いを言葉や態度で示す大切さ

日本で生まれ育った小田さん。ブラジルか日本のどちらかを選ばなくてはならない状況だったり、どちらかである事が正解のように扱われたりすることが日常茶飯事。日本で生まれ育っても"外国人"であることが、どのコミュニティーにいても板挟みになる原因になっていました。

25歳の時、ブラジルに旅行へ。20年ぶりに帰国した小田さんを親族たちはサプライズパーティーを企画して歓迎してくれました。再会を泣いて喜んでくれる祖父母、遠方から駆けつけてくれた親族たち。
そこでふるまわれたのが、ブラジルの伝統的カクテル「カイピリーニャ」でした。
変えることのできない生い立ち、それは人種や国籍以外にも性別・障がい・性的指向・性自認などさまざまあると思います。それを"違い"と捉えるのか"個性"と捉えるのか。
個人にゆだねるのではなく、周囲の大人やコミュニティーがより大きな受け皿を作っておくことができれば自然と受け入れる事ができる。小田さんは取材やインタビュー中になんども「肯定」という言葉を使っていました。小田さんがカイピリーニャを飲みながら親族と過ごした時間のように、両手を広げて待っている姿勢を見せることや言葉にして伝えることが大切だと感じたと言います。

【小田ビニシウスさんの今】どんな境遇の人たちも寄り合える場を

小田さんがマネージャーを務めるカフェは"大きな受け皿"そのもの。お客さんは3歳から90歳と幅広く、常連さんも通りすがりのお客さんも関係なく意気投合してしまう不思議な空間です。ディレクターも取材で出向いたはずなのに、「次はお酒を飲みながら話そうな!」なんて約束して帰る日もありました。

初めて行っても帰り際にはまた戻ってきたいなと思ってしまうあたたかさの秘訣は、小田さんの会話やコミュニケーションには"プラスワン"があること。挨拶一つとっても「おはようございます。最近見かけなかったけど元気でしたか?」と一声加わり、雑談の中でも「僕もその気持ちすごい分かります、怖いですよね」と感情を乗せます。

そういった表現をするようになったのもブラジルに滞在した時の経験が関係しているそう。「まだ意識しないと出来ないですけどね」とはにかみながらも、価値観が異なる相手だろうと重なり合う部分を見つけ続ける姿につよさとやさしさを感じました。

【保見団地で行うフリーコーヒー】その一杯が繋がるきっかけに

小田さんはカフェ運営の傍ら、幼少期を過ごした保見団地でフリーコーヒースタンドも定期的に行っています。ロケに行った日の気温はなんと3度。日も昇る前で体感温度はもっと寒く感じられる中、小田さんが丁寧にドリップしたコーヒーを出勤前に口にする人たちには笑みがこぼれていました。

将来的には生まれ育った保見団地でカフェバーを開きたいと思っている小田さん。
同じような境遇で悩む外国にルーツを持つ子どもたちにより多くの選択肢を持ってもらえるようなワークショップを開きたい。国籍関係なく交流できるスペースを作りたい。より多くの人が居心地の良いと思える居場所を増やしたいと意気込んでいます。

【ロケ地の情報】
小田さんが働くカフェ「NUCO」

・・・築地口駅から徒歩約4分 毎週木・金・土 12:00~18:00

まち作りの一環としてかつて編み物教室だった空き家を再生し、2019年にカフェとして再スタート。社交場として息を吹き返しています。

フリーコーヒースタンド

・・・豊田市保見団地 毎週金曜・朝 6:30~

2020年に始まった「多文化多様性が輝く保見団地プロジェクト」の活動の一つ。
住民同士の交流を増やそうと有志のメンバーによって卵配布や子ども食堂も行われています。

【カイピリーニャのレシピ】材料も少なく調理もカンタン!

小田さんは取材段階から「"あのとき、何食べた?"ですけど、飲み物で大丈夫ですかね(笑)」なんて心配して下さっていましたが、ディレクターとしてその味はもちろんのこと、自分を受け入れてくれる人や場の大切さが凝縮された小田さんのカイピリーニャのとりこになりました。

<材料(1杯分)>
  • カシャーサ・・・60ml
    →サトウキビの蒸留酒
  • ライム・・・1/4個
  • 砂糖・・・大さじ2杯
  • 氷・・・適量
<作り方のポイント>
1)ライムは細かく切りすぎず大きめに

ザク切りでつぶしても原型が残る程度にするのがポイント、見栄えも良くなります!

2)砂糖はたっぷりと入れる

サトウキビの蒸留酒であるカシャーサ自体も甘みのあるお酒ですが、砂糖を多めに入れることで飲みやすさがぐっと増します。

3)お酒と氷をよく混ぜること

最後に氷を入れたら、スプーンやマドラーを使ってしっかり混ぜて氷を溶かします。アルコールが強めに感じる方はソーダで割ってもいいかもと教えてくれました。


ライムのすっきりとした酸味と砂糖の甘さが絶妙なカイピリーニャ。しかしアルコール度数は強いため氷を溶かしながらちびちび飲むのが小田さん流。とはいいながら、とにかくイイ飲みっぷり。「人が集まる大人数の場所とかで振る舞うのがおすすめ。楽しくなっちゃいますね、ある意味危ないお酒かも(笑)」作ったカイピリーニャを飲む小田さんの笑顔は、撮影中で飲めないクルーの心をしっかり満たしてくれました・・・(^-^;)♥


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