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伝統×メタバース バーチャル長崎くんち 福光瞳が体験!

  • 2022年10月21日

長崎伝統の秋祭り「長崎くんち」は3年連続で奉納踊りが中止となっています。
地域の伝統の灯を消してはいけないと立ち上がったのは、
バーチャルユーチューバー、いわゆる「Vチューバー」でした。
“伝統×バーチャル”に挑戦したイベント「バーチャル長崎くんち」を実際に体験しました。
                             NHK長崎放送局 福光瞳

長崎くんちの気分をバーチャルで体感!

インターネット上の仮想空間「メタバース」で行われたイベント「バーチャル長崎くんち」は、バーチャル空間で誰でも「長崎くんち」の気分が味わえる一般参加型のイベントです。
イベント会場にはくんちには欠かせない龍(じゃ)が舞い、実際にくんちが行われる場所も再現されています。
私はメタバースを始めて経験したので少しドキドキしました。

再現された会場
VRゴーグル装着!!

立ち上がったのはVチューバー

主催者の「チャトラ」さんは、長崎で活動するVチューバーです。
大好きなくんちのために何かできないかと行動を起こしました。

チャトラさん

チャトラさん
「長崎くんちが大好きで、庭先回りについていったり、桟敷の立ち見のところで写真を撮ったりしていました。今のくんちの状況は、本当につらくて心の何かが欠けたような思いでした。踊町の人達からも『練習を重ねたのに、、、』といった言葉が聞かれたので、長崎くんちの伝統の灯を消してはいけないと思い企画を立ち上げました」

バーチャルくんちの世界に出発!

VRゴーグルをつけて会場に向かうと、まず目の前に現れたのはカステラの形をした椅子でした。
到着してからすぐに長崎らしさを感じます。

バーチャル長崎くんちに出発!

会場の2階へ向かう階段を上がると、写真が見えてきました。
SNSを通じて集まった過去のくんちの写真が展示されていて、近づいて詳細にみることができ、バーチャル空間の中でも躍動感が伝わってきます。

私のお気に入りの写真です

「私が気になったのはオランダ船の写真です。3年前、私が長崎に来た年に奉納された演し物です。庭見せに行って、お囃子や賑わいに圧倒されたことを懐かしく感じます。船体の鮮やかな色がきれいでとても好きです。船に乗った子どもたちの元気な掛け声やお囃子が今にも聞こえてきそうです!」

また、イベント内の別会場を訪れてみると、そこには多くの人が集まっていました。
ステージでは、チャトラさんたちVチューバーを進行役に、長崎くんちについてのクイズといった出し物を通して参加者たちが盛り上がっていました。

みなさん答えわかりますか?

私もクイズに参加してみました!長崎くんちの掛け声と言えば「もってこーい!」だと思っていたのですが、傘鉾の演技中の掛け声は「ふとーまわれ」。まだまだ知らないことが沢山あるなと勉強になりました。参加型で楽しみながら、長崎くんちについて知ることができてとてもよかったです。

そしてイベントの最後には、もちろん“あの”掛け声が

長崎くんちの気分をたっぷり味わいました!

長崎くんちの魅力を全国へ

今年、初開催となった「バーチャル長崎くんち」は、当初、会場へのアクセス数の目標を500としていましたが、最終的な数は1222と目標を大幅に超えました。
さらに、イベント内でアンケートを取ったところ県外からの参加者がおよそ60%に上ったといいます。
この結果についてチャトラさんは、次のように分析します。

チャトラさん
「今回、これまでのVチューバーとしての活動を生かしバーチャルでのイベントを考え、インターネットを介してバーチャル空間につながるメタバースを用いました。そこに反応した人たちは全国に散らばる『バーチャルコンテンツへの興味がある人』たちで、これを機にメタバースに初挑戦した方もいたようです。
また、メタバースを使ったことに加え、SNS を用いて全国に散らばる『バーチャルコンテンツへの興味』を刺激し、取り込むことができたため、『長崎くんち』という“地域のイベント”に対しても県外から多くアクセスがあるという結果になったのではないでしょうか。
このことは、これまで『長崎くんち』を知らなかった人にも知ってもらうきっかけにもなったと思います」

目指すはリアル×バーチャルが生み出す盛り上がり

今回の成果を踏まえてチャトラさんは、来年の長崎くんちでは、リアルとバーチャルの双方が盛り上げ合う新しい形を目指したいといいます。

チャトラさん
「イベントが盛り上がってガッツポーズです!もともと、バーチャル長崎くんちは継続しようと思っていましたが、この実績をもとに次はもっとリアルとの連携を目指して、踊町の方とコミュニケーションをとっていきたいです。来年は、実際の長崎くんちを盛り上げるため、くんちの開催の前の日にバーチャル長崎くんちを行って、リアルのくんちにバトンパスできるようなイベントにできたらと考えています」

取材後記

今回、チャトラさんたちを中心に有志が集まって、「バーチャル長崎くんち」は開催されました。
メタバースや3DCGのノウハウを使って、自分たちの作りたいものをバーチャル空間に作りイベントまで開催したことには、新しさと長崎くんちに対する情熱を感じました。
私自身、長崎に来てからくんちを経験したのは2019年だけでしたが、当時の熱気を思い出すイベントでしたし、来年以降の開催へ向けた機運が高まっていると感じました。
そして、「長崎くんち」という地域の伝統がバーチャルを通して全国に広がっていくところに、文化継承におけるこれまでとは違った形を見た気がしました。
来年は実際の長崎くんちに加えて、「バーチャル長崎くんち」が開催され、さらなる盛り上がりがあればいいなと思います。

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