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高校からアイドルデビュー!? 

初ライブまでの2か月間に密着!
  • 2023年11月16日

この春、佐久市の高校の普通科に「アイドル」を目指して学ぶユニークなコースが新設され、6人の女子生徒が入学しました。歌やダンスを授業で学びながら、アイドル活動をするという全国的にめずらしい取り組みです。そんな彼女たちがことし、はじめてのステージに立ちました。どんな思いを胸にステージに立ったのでしょうか?(浅野怜央)

高校からアイドル誕生!!

長野市内で開催されたデビューライブ(8/10)

「私たち、7限目のフルールです!」
この春から高校でアイドル活動をしながら学ぶ生徒たちがこの夏、長野市内のライブハウスで300人ほどのファンを前にデビュー曲「青に咲くシンフォニー」などを披露しました。メンバーは佐久長聖高校の普通科にできた「パフォーミングアーツコース」の6人です。

授業でアイドルを学ぶ・・?

授業を受けるメンバー

6人は、毎日普通科の生徒と一緒に授業を受けています。

しかし週に3日、彼女たちには7限目の授業が待っています。
7限目の先生は、芸能界で数多くのアイドルを指導する振り付け師やボイストレーナーなどです。授業の度に東京から佐久を訪れ、歌やダンスの指導をします。さらに専属のマネージャーまでついて、スケジュールの管理などを行っています。
ライブの衣装はAKB48などを担当する人気デザイナーが手がけています。さらに彼女たちのためのオリジナル曲も作られ、定期的にライブや写真会などのイベント活動も行います。
信州から歌って踊れるアイドルグループを目指して日々レッスンに取り組んでいます
 

長野県の高校は、30年前に比べて生徒の数は半分ほどとなっています。
佐久長聖高校では少子化が進む中、生徒を集めるためには魅力的な授業が必要だと考え、このコースを新設しました。
入学した生徒たちは3年間限定のグループを結成し、学校の勉強をしながらアイドルとしても活動します。しかし、実は彼女たちの卒業後の夢はアイドルだけとは限りません。航空会社の客室乗務員やレストラン経営などさまざまです。競争の厳しい芸能界での経験を、将来に生かしてほしいとコースを考案した校長先生は話します。

佐藤康
校長先生

アイドルを目指したという経験が少なくとも3年間はこの高校に来て生まれる。アイドル活動を通じて輝かしい面だけではなくて、苦しい経験も今後きっとあると思います。それらの経験は必ず生徒たちの人生に役に立つと私は信じています。

祖母に憧れて

このコースに特別な思いで入学した生徒がいます。飯田市出身の勝見奏花さんです。
幼いころから芸能界に憧れ、入学を決めました。

勝見さんと祖母の待子さん

華やかなステージに立ちたい!と強く思うようになったのは、祖母の待子さんの影響が大きかったといいます。

勝見さん

私はおばあちゃん子だったんで。おばあちゃんのことが小さいころから本当に大好きで。おばあちゃんはまわりの人を笑顔にして勇気づけることができるので、私も人を勇気づけたいし、笑顔にしたいなと思いました。

厳しい練習 そして祖母の病・・・

アイドルとして輝く姿を祖母に見せたい!練習にはげむ勝見さんですが、歌もダンスも初心者。
日々の厳しいレッスンについていくのがやっとです。
じつは勝見さんには大きな心配事があります。
祖母の待子さんが脳出血で倒れ入院しているのです。

マネージャー

笑顔がないですね。奏花さんは真顔になりがちですね。

厳しい練習と祖母の病。いつしかアイドルに欠かせない笑顔を忘れかけていました。

勝見さん

おばあちゃんが倒れてしまってから笑顔を作ろうと思うとどこかにおばあちゃんのことが浮かんでしまって。笑顔イコールおばあちゃんみたいなのがあって・・・。

笑顔を取り戻したい

祖母の待子さんと勝見さん

ライブまで1週間を迎えたこの日。入院する祖母との面会の許可が下りました。

勝見さん

おばあちゃん大丈夫?

待子さん

私は大丈夫。奏花ちゃんは自分のこと頑張らなきゃね。

勝見さん

おばあちゃん、私笑顔を作るのが苦手なの。どうすればいいかな?

待子さん

そんな風に言っちゃだめだよ。
アイドルなんだからにこっとしなきゃ。私はこうよって感じで。
いい?頑張るんだよ。
しっかり自分の目標を達成してちょうだい。

自宅で練習を重ねる勝見さん

大好きな祖母に勇気づけられた勝見さん。
祖母や応援してくれる人に”笑顔”を届けるため、空いた時間を見つけては練習を重ねます。

勝見さん

心配なことはたくさんあります。
すごい奏花ちゃん、笑顔出来ているじゃんって祖母に褒めてもらえるように頑張りたいです。

夢のステージへ!!

迎えたライブ当日。会場には300人のファンが駆けつけました。

勝見さんは心からの笑顔でステージを飾ることが出来ました。

病室でライブ映像を見る祖母の待子さん

体調を崩し、ライブに来ることが叶わなかった祖母の待子さん。
勝見さんは後日、ライブ映像を持って病院に駆けつけていました。

待子さん

かわいい。こんなに頑張ってダンスや歌を習って。
うれしくて言葉にならないです。ありがとう。

信州から全国へ!!
アイドルとして念願のデビューを果たした勝見さん。
夢へと続く道のりはまだ始まったばかりです。

勝見さん

楽しくて素の笑顔が出せたと思います。
いつか直接おばあちゃんにステージを見てもらえるためにこれからもアイドルを頑張っていきたいです!

取材後記

「学校から生まれたアイドル」としてSNSなどで話題になり、デビュー前から注目を集めていた「7限目のフルール」。3年間限定のアイドル活動だということで初ライブは成功しましたが、彼女たちは今後さまざまな壁にあたって悩んだり苦労したりすることもきっとあると思います。この3年間で彼女たちがどんなふうに成長していくのか?取材者として、さらに1人のファンとして、私はこれからも見守っていきたいと思います。

  • 浅野怜央

    長野放送局映像取材

    浅野怜央

    2018年入局。名古屋局をへて2020年から長野局。カメラマンとして幅広く地域のニュースの取材や撮影を行う。アイドルが大好きです!

  • 石川淳也

    長野放送局ディレクター

    石川淳也

    2020年入局。2児の父。アイドルから時事ネタまで幅広く取材。

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