てげスポ!バーチャル合成の仕組み NHK技術職員が解説
- 2023年07月04日
NHK宮崎のニュース番組、「てげビビ!」のスポーツコーナーでたびたび登場しているバーチャル合成。今回はその技術がどのような仕組みでできるのか、わかりやすく解説します。
一般的なバーチャル合成とは
テレビで使われる一般的なバーチャル合成は主にグリーンバックと呼ばれる緑色の背景を使います。
天気予報などで、予報画面の中で話している気象予報士の映像を皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
この技術はクロマキー合成と呼ばれ、色の違いを利用して人物などの被写体を切り出し、CGなどのまったく別の画像を組み合わせることができます。
こちらは現在、NHK宮崎で放送中の「バーチャル防災解説~」のバーチャル合成の制作過程です。
グリーンバックを使って撮影することで人物を切り出し、
グリーンの部分にCGで作ったアーケードの映像を組み合わせます。そうすることで、切り出された人物があたかもアーケードの中にいるかのような映像にすることができるのです。
てげスポ!のバーチャル合成はここがすごい!
一方、てげスポ!でたびたび登場しているバーチャル合成。このクロマキー合成とは違い、グリーンバックを使うことなく、現実のスタジオにCGを映し出して合成する、いわばリアルとバーチャルをかけ合わせて見せる技術なんです。
「現実(リアル)の映像にCG画像を合成することの何がすごいの?」と思ったあなた!するどいですね~
こちらの画像もリアルのスタジオの映像にCGで作った「ビビっとおしえて!」の文字画像を重ねたものではありますが、決まった形・サイズの画像を重ねたものであり、放送用語では「スーパー」などと呼ばれる一般的な技術です。英語のSuperimpose(重ね合わせる)が語源です。
てげスポ!のバーチャル合成は単なる「スーパー」とは異なり、カメラの位置や動きにCG画像が連動しているように見えるところがすごいんです。
一般的な「スーパー」ではCG画像がカメラの動きと連動することはありません。ところが、てげスポ!のバーチャル合成は、このようにカメラの動きにCG画像が連動して見えるため、実際にはスタジオにないないものが、あたかもそこに存在し、しかも立体的に見える演出が可能になるのです。
カメラと一緒に動くバーチャル映像はどのようにできている?
カメラに連動するように見えるバーチャル合成。作り出すために肝となっているのがカメラに取り付けられた「センサー」と灰色のマットに貼り付けられた多数の反射シールです。
このセンサーが反射シールからはね返ってくる赤外線を読み取ってカメラの位置情報を検出します。そして、検出した位置情報に加え、カメラレンズのズームやフォーカスなどの情報を専用のパソコンに送り込み、リアルタイムで、バーチャル合成を実現しています。
このようにして、実際には存在しない物や人物を違和感なく、パソコン上で合成し、テレビの映像として表現している訳です。
今後も、てげビビ!では、さまざまなコーナーで、このバーチャル技術を用いた演出手法をお見せする予定ですので、ご期待ください!