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同性婚の現在地 当事者の思いとパートナーシップ制度との違い

  • 2023年06月14日

福岡地方裁判所が今月8日、同性婚が認められていないのは「憲法に違反する状態だ」とする判断を示しました。
当事者たちの思いと、全国で導入されているパートナーシップ制度との違いを解説します。

同性婚をめぐる集団訴訟

同性どうしの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、福岡県と熊本県に住む3組の同性のカップルが国を訴えた裁判の判決で、福岡地裁は「同性のカップルに婚姻制度の利用で得られる利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていないのは憲法に違反する状態だと言わざるを得ない」と指摘しました。

同性婚をめぐる集団訴訟は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の全国5か所で起こされていて、6月8日までに1審の判決が出そろいました。裁判所の判断の内訳は、「憲法違反」とはっきり認定したのが2件、福岡地裁を含めて「違憲状態」としたのが2件、「合憲」と判断したのが1件となっています。

意識調査では2%が

4年前に大阪市で行われた意識調査では、同性も恋愛対象になるという人は人口の2%ほどだったというデータがあります。これを単純に宮崎県の人口に当てはめると、県内にも2万人前後いることになります。今、そうした人たちが結婚を望んでもかなわないという現実があります。

宮崎県内での受け止めについて、LGBTを支援する団体の代表・山田健二さんに話を伺いました。山田さんはゲイであることを公表しています。

山田健二さん

(今回の判決に)まず安堵したっていうのが大きいです。パートナーシップ宣誓制度を利用されている方とか、もしくは制度は利用してないけれども同性婚っていうものを待ち望んでいるカップルの方と連絡を取り合いましたけど「よかったね」っていうひと言はありましたけど、もうちょっと踏み込んで欲しかったよねとか、ちょっと残念な面はありますけど、まず違憲な状態っていうところはすごく大きいメッセージだなって思います。

同性婚とパートナーシップ制度

パートナーシップ制度という言葉を最近よく耳にしますが、同性婚とは何が違うのか解説します。
パートナーシップ制度は、国ではなく自治体が同性カップルを認め、証明書などを交付する制度です。全国的に広がり、県内でも宮崎市や延岡市など10の市町村で導入されています。

しかし、パートナーシップ制度に法的な効力はないため、結婚している夫婦とは違って税制上の配偶者控除が受けられないほか、子どもの親権を共同で持つことができません。山田さんも、パートナーシップ制度の導入は性の多様性を認める社会の実現につながると評価していますが、やはり、さまざまな権利の保障には同性婚の法制化が必要だと訴えています。

立法措置を促す判決

同性婚をめぐる多くの判決が、社会の変化や生活上の不利益などを考慮して同性カップルを法律上も家族と認めるよう、国に対し、立法措置を促すものとなりました。

唯一、憲法違反ではないと判断した大阪地裁でも「憲法が同性婚や、それに準ずる制度を禁止していると解釈すべきではない。国の伝統や国民感情、時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められるべきだ」と指摘し、社会状況の変化によっては同性婚などを認める立法措置を取らないと憲法違反になりうると言及しました。

判決について

国は「婚姻に関する民法などの規定が憲法に反するとは考えていない。まだ確定前の判決であり、今後の裁判所の判断を注視していきたい」としています。

これについて、山田さんは次のように話しています。

山田健二さん

(同性婚が実現すれば)自分が幸せになりたいって思った時に結婚っていうものが当たり前に準備をされる社会の中で暮らすことができるわけです。それは心理的な安全性とかもそうですし、自分が自分でいていいんだって思えると思います。
宮崎で活動していて、この同性婚訴訟に原告で参加されてる方はいらっしゃらないんですけど、待ち望んでいる当事者の方ばかりなので、同性婚が一日も早く実現してほしいと思います。

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