G7農業大臣会合 農相会合で持続可能な宮崎モデルを示せるか?
- 2023年04月19日
G7広島サミットにあわせて、4月22日と23日に行われる宮崎での農業大臣会合。
開催地・宮崎で期待される効果とは?飼料や肥料価格の高騰が脅威になるなか、農業の持続可能性に世界が注目しています。
開催地の宮崎への効果は?
今回のG7農相会合で、宮崎への影響が期待されているポイントは3つです。
1つ目は、国際会議に適した場所として宮崎をアピールすること、2つ目は、宮崎県の特産品をG7各国に売り込むこと、そして、最後の3つ目が宮崎県内の農業を転換するきっかけを作ることです。
今回の農相会合のテーマの1つに「農業の持続可能性」が挙げられていますが、実は県内の農業も持続可能な形へと転換が求められています。長年、地球温暖化を防止する観点からCO2削減などが言われていますが、宮崎の場合は、脅威はもっと差し迫っています。それは多くを輸入に頼ってきた飼料や肥料価格の高騰です。
農家に重くのしかかる価格高騰
宮崎の主力産業である肉用牛の生産で見てみます。日之影町の子牛の繁殖農家で、牛たちが食べているのは「配合飼料」というエサです。中身はトウモロコシや小麦といった穀物で、すべてアメリカやブラジル、オーストラリアなど海外からの輸入に頼っています。
ところがウクライナ情勢や世界的な需要の高まりなどで、こうした配合飼料の価格は3年前から1.5倍ほどに高騰しました。今も下がる気配はありません。
価格に転嫁できない状況
原材料費が上がった分を価格に転嫁できれば問題ありませんが、牛の世界で起きていることはその逆です。県内の子牛の平均価格はおよそ62万円で、5年前から1頭あたり12万円ほど下がっています。
その理由は、子牛を買って育てる「肥育農家」も同じように輸入された配合飼料を使っているためです。「肥育農家」も育てるのにお金がかかるので、子牛を高く買ってしまうと育てれば育てるだけ損、という状況になってしまいます。
こうした状況が続くなか、繁殖農家の廃業も相次いでいます。県内の繁殖農家の数はこの5年間で2割も少なくなりました。
ウクライナ情勢が落ち着けば解決するように見えますが、実際は配合飼料の中心であるトウモロコシは中国など買い手が増えて争奪戦になっています。今後、お金を払っても買えない事態も考えられます。
県も強い危機感・G7で打開なるか?
こういった状況はピーマンやきゅうりといった宮崎自慢の野菜でも同じで、輸入に頼る化学肥料の高騰で大打撃を受けています。食料生産基地・宮崎を成り立たせていたのは「必要な資源は海外から安い価格でいくらでも調達できる」という前提でした。宮崎県も強い危機感を持っています。
生産者の方にも飼料・燃油等の高騰が直撃していますので、なんとかしないといけない危機感は非常にもっています。好事例を1つ2つ作っていって、今回のG7「宮崎農相会合」を契機として、点が線になって面になって、どんどん広がっていく形になればと思っています。
好事例とは、輸入の配合飼料を食べさせるのをやめて放牧で育てるとか、 これまでお金を払って処分していた「ざんさ」を活用するなどのことで、県内でも様々な挑戦が動き出しています。
宮崎牛の特長である、脂肪のサシがたっぷり入った肉質は配合飼料のたまものです。スーパーに行けば季節を問わず野菜が買えるのも、重油を燃やして農業用ハウスの中を暖めているからです。とても便利ですが、果たしてそれは持続可能なのか?今後はそうしたことも問われてくるかもしれません。