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通学の自転車ヘルメット 宮崎は今のままでは進まない? 調査へ

  • 2023年04月18日

4月から自転車用ヘルメットの着用が努力義務化されました。
しかし、宮崎県内の県立高校では、校則などで通学時の着用を義務化はしていません。生徒の主張や学校・宮崎県教育委員会の対策を取材しました。

県立高校でヘルメットの着用は進むか?

取材をしたのは、8割の生徒が自転車で通学する宮崎西高校。13日の朝には、ほとんどの生徒がヘルメットをつけずに登校していました。生徒会が開いた新入生向けのオリエンテーションでも、正しいヘルメット着用の仕方などが説明された一方、着用を求める呼びかけはありませんでした。

改正道路交通法が施行され、4月から自転車に乗るときのヘルメット着用がすべての人を対象に「努力義務」となりましたが、宮崎県内では自転車通学が多い高校生の着用はまだ進んでいません。

去年の自転車事故の3割は高校生が関わる

宮崎県警察本部によりますと、県内で去年起きた自転車事故のうちおよそ3割の117件が高校生が関わるもので、あわせて110人がけがをしています。

宮崎県教育委員会は、14日に県立高校などに対し、ヘルメットの着用を促すように求める通知を出しました。通知では、ヘルメットの着用が努力義務となったことを生徒や保護者に周知するとともに、各学校でヘルメット着用の実態調査を行ったり、生徒会などで議論の機会を設けたりして、着用の促進に努めるよう求めています。

一方、通学時のヘルメット着用を校則などで義務化する議論には踏み込みませんでした。

生徒の自主性を促したい

県教委の通知では「悲惨な事故を防ぐためヘルメット着用の促進が急務であり、その機運を醸成していく必要がある」としていますが、担当者は「生徒一人ひとりがヘルメットの必要性を理解したうえで、自主的につけるようにしていきたい」と話します。

取材をした宮崎西高校でも「着用してほしいが、我々から強制するのではなく、生徒会がまずヘルメットの必要性を訴えかけて、その中で生徒が自主的に意識を高めてほしい」としています。

一方で、生徒たちからは「前髪が崩れると学校で直すのが大変なのでヘルメットはかぶっていません。校則になればつけるしかないかなと思います」といった意見や「自転車の通学距離が長い(1時間程度)ので、安全を第一に考えてヘルメットをつけています」といった意見がありました。

ヘルメット先進県?愛媛では

民間団体が3年前に行った自転車用ヘルメットの着用率の調査では、全国平均が11.2%だったのに対して、愛媛県は29%と全国1位でした。

朝の通学時間帯には、ほとんどの高校生がヘルメットをかぶって通学していて、実際に中高生に限って着用率を見ると、県警が去年10月に行った調査では、ほぼ100%という結果でした。

背景には自転車による重大事故

愛媛県の中高生の間で、自転車用ヘルメットが定着した理由は、かつて通学中の高校生が巻き込まれる悲しい死亡事故が相次いだことがありました。

愛媛県教育委員会は、自転車の死亡事故があった翌年の平成27年、県立高校の生徒などに対して自転車に乗るときのへルメットの着用を義務化しました。さらに、愛媛県も県立高校の生徒に自転車用ヘルメットを無償で配布するなど、予算の面でも支援を行いました。

当時、愛媛県内に高校生がおよそ3万人いて、9000万円の費用がかかったということです。

大切な命を交通事故から守るため、自転車に乗る時には、まず大人が率先してヘルメットをかぶり、子どもたちに模範を示すことが大切です。

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