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「舞いあがれ」滑走路のヒミツ!離着陸の方向はどう決まる?

  • 2022年12月08日

飛行機が滑走路に離着陸する方向はどうやって決めるの?決定するのはパイロット?管制官?
「舞いあがれ!」で舞ちゃんが猛特訓に励む「滑走路のヒミツ」を航空大学校や元パイロットに取材しました。

離着陸の方向は?

飛行機の離着陸の方向は、どうやって決まるのか。宮崎空港に隣接する航空大学校に取材しました。

小泉雅彦さん(航空大学校・特任教授)
飛行機は翼に風を受けて、“揚力”(上にあげる力)をもって飛びますので、基本的には離陸・着陸は風に向かって飛んでいきます。冬になると冬型の気圧配置といって、北西風が吹いてきますので、基本的には西側に向かっていくことが多くなります。

つまりこの時期、飛行機は西からの風に向かって進むため、宮崎空港では海側から着陸し、山側へ離陸することが多いのだそうです。本当に風向きによって離着陸する方向が変わるのか、宮崎空港で始発便から最終便まで、すべて調査してみます!

宮崎空港ですべての便を確認

始発便が飛び立つ午前7:30の風は、西北西の風2.6m。小泉教官に教えていただいた原則に従うと、山側に飛び立つことになるのですが、果たして…。

まずは原則通りに山側へ離陸しました。そして、その後も次々に山側へ向かって離陸します。一方、到着便は海側から着陸していきます。こちらも原則通りです。
しかし、調査開始から6時間。ここで風向きが東寄りに変わります(北北東の風7.4m)。原則に従うと、今度は山側から到着し、海側から出発することになりますが、いかに…。

風向きが変わったため原則に従い、先ほどとは逆に山側から着陸して、海側へ離陸することになりました。そしていよいよ最後の飛行機!これは「海側」から着陸しました。午後9:24、外はすっかり暗くなっていました…。宮崎空港で始発から最終便まで飛行機を観察した結果がこちら。おおむね『向かい風の原則』に従った結果となりました。

始発から最終便まで観察した結果

離着陸の方向はだれが決めてるの?

離着陸の方向の最終決定権は「管制官」にあるといいます。しかし、管制官はパイロットと相談しながら、原則どおりに向かい風を使うかどうか、その都度決めているそうです。

宮崎空港には3000回近く降り立ったという元パイロットの上島栄さんに、宮崎空港特有の事情も伺いました。

上島栄さん(元パイロット)
宮崎空港は滑走路の陸地側には、住宅がいっぱいありますのでね、非常に神経を使うし、難しいし。できれば山側からは入りたくないですね。なかには“腕の見せ所”だと言って、楽しんでやってるパイロットもいらっしゃいますけど、操縦技術が必要になりますので結構神経を使います。

さらに、滑走路には管制官とパイロットのやりとりで間違いがないように、下図のような数字が書かれています。宮崎空港では海側が「27」で、山側が「09」です。

この数字は、「パイロットが進む滑走路の方位」を示しています。
航空の世界では、北を起点とした東西南北の角度(方位角)を1/10にした二桁の数字で表します。
例えば、東は90度なので「09」、南は180度で「18」、西は270度で「27」、北は360度で「36」といった具合です。宮崎空港では、海側から山側へ離発着する場合、西へ向かうことになるので「27」。山側から海側へ離発着する場合、東へ向かうことになるので「09」になっているのです。

パイロットと管制官はこの数字を使って、

パイロット

Request Landing(着陸をしたいです)

管制官

Cleared to Land(着陸を許可します)Runway「27」

という形で離着陸する方向を決めているそう。「Runway27で着陸」とは海側から着陸してください。という意味になります。

2024年2月15日追記:上記の滑走路に表示されている数字の説明について、一部誤りがありました。記事の内容を修正して再掲いたします。

舞ちゃんは帯広キャンパスで着陸の猛特訓中ですが、離着陸にもたくさんのルールがあることが分かりますね。大河内教官との着陸訓練は実を結ぶのか…今後の展開にご期待ください。

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