ページの本文へ

NHK宮崎WEB特集

  1. NHK宮崎
  2. 宮崎WEB特集
  3. 宮崎 新燃岳で火山活動活発化!噴火のおそれは?専門家に聞く

宮崎 新燃岳で火山活動活発化!噴火のおそれは?専門家に聞く

  • 2022年04月11日

2022年3月末から火山性地震が増えている新燃岳。3月28日には地震よりも長く揺れが続く「火山性微動」とともに、2018年の噴火以来となる「地殻変動」も確認されました。4年ぶりの噴火はあるのか?2011年のような爆発的噴火の可能性は?京都大学防災研究所・宮崎観測所の山下裕亮助教に聞きました。

新燃岳で何が起きている?

佐藤 翔(記者)
火山性地震が増えたことなどに伴い、気象庁は3月に噴火警戒レベルを2に引き上げて周辺での警戒を呼びかけています。これまでも何度かレベルの上げ下げはありましたが、今回の状況はどうですか?

山下 裕亮(助教・京都大学防災研究所・宮崎観測所)
変化が顕著に見られるのは地震活動です。新燃岳山体の直下で起こる地震活動が3月末から少し増えだしていて、4月に入っても継続しています。また「地殻変動」というここ最近見られなかった現象も確認されています。2018年の噴火が収束して以降は、おとなしい活動が続いたのですが、活動の段階は「明らかに上がっている」と考えていただいて結構だと思います。

佐藤 翔(記者)
地殻変動は2018年の噴火が収束して以降は初めて確認されたと気象庁も発表しています。どういった現象が起きているのでしょうか?

山下 裕亮(助教・京都大学防災研究所・宮崎観測所)
気象庁のデータなどと照らし合わせると、2018年の噴火以降、初めて地下の深いところのマグマだまりが収縮しています。マグマだまりを球だと仮定すると球が小さくなるような変化を、観測の中で捉えました。一方で、新燃岳の山体は膨らんでいる動きを確認しています。つまり深いところで縮んで、浅いところで膨張という2つの動きを捉えられました。下の写真は京都大学防災研究所が管理する装置で、地面の伸び縮みを観測したデータです。

2022年3月28日のデータ

3月28日の午後4時半ごろ青い線が変化しています。これは、地下深くにあるマグマだまりが収縮したことを示しています。

2017年10月のデータ

2017年10月噴火の2日前のデータを見ると、変化は急激ですが、青が上へ、緑が下へ、同じように動いているのが分かります。こうしたデータを考えると、地下で恐らくマグマだまりがしぼんでいて、それと時をほぼ同じくして新燃岳の山体の方が膨らんでいるので、マグマやガスなどの何かが新燃岳の方に移動しているのは間違いないと言えます。こうした傾向は2022年に入るくらいから出始めていて、警戒が必要です。

佐藤 翔(記者)
2011年や2017年から2018年のような噴火につながる可能性はありますか?

山下 裕亮(助教・京都大学防災研究所・宮崎観測所)
3月28日に見られたマグマだまりの収縮の規模は、2018年と比べて100分の1ほど、2011年の爆発的噴火と比べて1000分の1ほどだと見られます。そうした点で考えると、過度に心配する必要はないとは思いますが、2011年のような大きな噴火につながらないとは言えません。
改めてですが、火山活動のレベルは確実に上がっていますので、この機会にもう一度あの2011年や2017年の噴火のことを思い出していただいて、もし、噴火が起こった時にすぐに対応できるよう、備えを見直していただけるといいと思います。
また、これから登山シーズンを迎えるので、周辺の山に登る人は新燃岳の活動が活発だというリスクをしっかり認識して注意してください。

  • 佐藤翔

    宮崎局・記者

    佐藤翔

    2015年入局
    2021年に長女が誕生。"新米パパ"として、防災を考えるようになっています。

ページトップに戻る