茨城 「熱中症特別警戒アラート」運用開始 日立市はクーリングシェルター準備
- 2024年04月24日
人の健康に重大な被害が生じるおそれがある暑さが予測された場合に新たに発表される「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まりました。
これまでの「熱中症警戒アラート」と何が違うのか、具体的にどのような行動が必要なのか、県内のクールシェルターの準備状況はー。詳しく解説します。
(水戸放送局 記者 安永龍平)
「熱中症警戒アラート」と「熱中症特別警戒アラート」
4月24日から運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」。
従来の「熱中症警戒アラート」は気温や湿度などをもとに算出される「暑さ指数」が県内に※14ある観測点のどこかで33に達すると予測される場合、発表されます。
これに対して「熱中症特別警戒アラート」は14あるすべての観測点で暑さ指数が35に達すると予測される場合、発表されます。
(※観測地点:北茨城、大子、常陸大宮、日立、笠間、水戸、古河、下館、下妻、鉾田、つくば、土浦、鹿嶋、龍ケ崎)
「熱中症警戒アラート」の一段上に位置づけられ、「人の健康に重大な被害が生じるおそれがある過去に例のない広域的な危険な暑さ」が想定される場合、発表されます。
県によりますと茨城県を含めて全国的にこの基準を満たしたことはありません。
しかし、茨城県内では去年、熱中症により救急搬送された人は2600人といまの方法で統計を取り始めてから最も多くなっていて、ことしも警戒が必要です。
このアラートは前日の予測値をもとに翌日向けに出されますが、過去に例のない危険な暑さだと考えてください。
どんな対応が必要?
まずは基本的な対策ですが、エアコンを使って涼しい環境で過ごすことや、こまめな水分・塩分補給などが必要です。
そのうえで環境省が特に強調しているのが「共助」の考え方で、高齢者や乳幼児など熱中症にかかりやすい人が涼しい環境で過ごせているか確認し、周りの人の命を守ってほしいとしています。
また、自治体に対してはエアコンが効いた施設を「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定するよう求めています。
水戸市とつくば市では現在、指定に向けて検討を進めています。
日立市は昨年度、「まちなかオアシス」として公共施設など60か所を休憩所にしていましたが、さらに数を増やす方針です。
県は今後、県内の各市町村の設置状況について調べることにしています。
子どもへの対策は
新たに運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」やすでに使われている「熱中症警戒アラート」は気温だけでなく、湿度や地面などからの熱を計算した「暑さ指数」をもとに発表されます。
ただ、熱中症を防ぐためには暑さ指数も考慮した対応が必要です。
例年、多くの高齢者が熱中症で救急搬送されていますが、去年も学校の部活動や運動会の練習中などの際に生徒や児童が熱中症とみられる症状で搬送されるケースが相次ぐなど子どもの対策も必要です。
NHKが日本スポーツ振興センターから提供を受けて行った都道府県や発生日時、時間などが記載された詳細なデータの分析では、2003年から2021年までの間に生徒や児童28人が熱中症で死亡していたことが分かりました。
これらを環境省が公表している「暑さ指数」のデータと照合したところ、分析可能な2010年以降に起きた15件のうち、▼運動の原則中止を求める「危険」が2件、▼激しい運動を中止するよう求める「厳重注意」が10件と8割で熱中症になる危険性が高い環境だったことがわかり、気温だけでなく「暑さ指数」を考慮した対応の必要性がデータからも見て取れます。
日本スポーツ協会の指針では「暑さ指数」が31以上では“運動は原則中止”、28以上では“激しい運動は中止”すべきとしていて、文部科学省などの手引きではこれを参考に体育などの授業や運動会、遠足といった活動の参考に学校での熱中症対策を進めるよう呼びかけています。
環境省は、熱中症特別警戒アラートが出た場合、学校の部活動やイベント開催にあたっては、校長やイベント主催者などの管理者は、「熱中症対策が徹底できていない場合は、運動やイベントの中止や延期などを判断してほしい」としています。
これは従来の警戒アラートより踏み込んだ表現になっていて、子どもへの対策も必要です。
引き続き「熱中症警戒アラート」への警戒も
最後に強調したいのが「熱中症特別警戒アラート」は最上位の注意喚起になりますが、従来の「熱中症警戒アラート」へ警戒が不要になるというわけではありません。
暑さがこれから本格化する中、こうした情報に注意して熱中症に警戒してほしいです。