みんなでプラス メニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなでプラス

"ロシア兵は酔っ払って市民を撃った”【ナターリャさん・ブチャから避難】

「現実は公開された映像よりもずっと恐ろしいものでした」

決死の覚悟でブチャから避難したナターリャ・プセービナさん。ナターリャさんはメディアで明らかにされたブチャの映像が事実かどうかについて、強い口調でそう話しました。
(国際報道2022で取材)

“置き去りにされた遺体を犬が食べていた”

道に放置された遺体、両手を縛られ殺害された人々…キーウ近郊の街ブチャの映像が世界に衝撃を与えました。殺害された市民は400人に上ると伝えられています。

4月初め、ロシア軍が撤退したあとのブチャで多くの遺体が発見され、ゼレンスキー大統領は”大虐殺“だと国際社会に訴えました。

一方のロシア側は政権幹部や国営メディアを通じて民間人の殺害を否定、ウクライナや欧米によって“ねつ造”されたものだと主張しています。

実態を探ろうと、私たちがまず連絡をとったのは決死の覚悟でブチャから避難したナターリャ・プセービナさんです。

3月上旬に話を聞いたとき、砲弾が飛び交う中で”地獄を見た“という証言をしていました。

ナターリャさんにメディアで明らかにされたブチャの映像が事実かどうかたずねると、強い口調で答えました。

ナターリャさん

「私はまったく驚きませんでした。戦争が始まったばかりの頃、私もすべてを見たからです。埋葬できず、路上に置き去りにされた遺体を犬が食べていました。他の人に伝えようとしてきましたが、すぐに真実だとは受け止めてもらえなかったのです。現実は公開された映像よりももっともっと恐ろしいものでした」

<ロシアのネベンジャ国連大使>

ナターリャさんに話を聞いた前日の4月5日、ロシアのネベンジャ大使が国連で演説をしていました。

主張したのは「市民の命を守るため民間施設は攻撃していない」「ロシア軍がブチャにいた時、市民は自由に携帯電話を使うこともできた」ということでした。

ナターリャさんは、ネベンジャ大使の言い分に憤りを隠せませんでした。

ナターリャさん

「ロシアの主張はうそです。軍隊が来て通信手段が破壊されているのに、電話を使うことなどできるわけがありません。街にロシア軍がいて銃撃が続く中で、自由に歩き回るなんてできるはずがありません。彼らは恥も外聞もなく、自分たちにとって都合のよいことを話しているだけです。相手の目を見ながらうそをつく、どうしてそんなことができるのか私には分かりません」

“女性はレイプされ殺された”

さらに長く街にとどまっていた人たちの中には、街に侵入したロシア軍を間近で見ていた人もいました。

20代でITエンジニアを務めるヤロスラフさんは、地下室にこもり、とにかく目立たないように毎日を過ごしてきたといいます。

ヤロスラフさん

「あと1日、あと10分生き延びることができるかさえ分からず、本当に恐ろしい思いをしました。生き延びるために私はロシア兵に言われたことには素直に従い、何も言わず、何もしないように心がけてきたのです」

従順になるしかなかったのは、ロシア兵たちの行動のせいでした。

街に入った部隊は統率もされず、わがもの顔で振る舞っていたといいます。

<国際報道2022 4月7日放送より>
ヤロスラフさん

「ロシア兵は本当に市民を撃っていました。通りを歩くのも大変でした。兵士はいたるところにいて、ドアを破って略奪をしていました。一般の家やアパートを撃ち、人々を調べては服を脱がしたりしていたのです。人道支援物資を受け取る場所も射撃されるので、食料品を手に入れるのも困難でした」

さらに、ヤロスラフさんは知り合いから聞いた話だとした上で、女性が性的暴行の犠牲になっているという凄惨(せいさん)な情報も伝えてくれました。

ヤロスラフさん

「何人かの知り合いが性的暴行の被害にあいました。若い女性がレイプされて殺されたということも知っています。事件が起きた場所に住んでいる人が話してくれた、確かな話です。そのうちの1人は子どもの頃から知っています。これ以上ありえないほどおぞましいことです。こんなことはあってはならない。怒り、屈辱、憎しみ、あらゆる気持ちが混ざり合っています」

“ロシア兵は酔っ払って銃を撃ち始めた”

ロシア兵はヤロスラフさんの自宅にも訪れ、ノートパソコンや携帯電話を押収していきました。

それでもヤロスラフさんは逆らわず、息を潜めていました。

ヤロスラフさん

「ロシア兵は酒を飲んで酔っ払い、理由もなく残虐な行動を始めました。私たちの住む通りにもやってきて、私の家の入口で飲み始めました。自動小銃を空に向けて撃ち、車や窓を撃つこともありました。酒はスーパーマーケットから略奪したものです。個人の住宅から持っていくこともありました。彼らは権力を握ってやりたい放題でした」

ある日ヤロスラフさんは、酔っ払ったロシア兵から話を聞きました。

後ろ手に縛られた遺体が、いったいどのような状況で殺されたのかという告白でした。

ヤロスラフさん

「ロシア兵が市民を縛ったのです。みんな普通の市民だったのに『諜報員だ、スパイだ』として敵だとみなしたのです。ロシア兵は自分からそう言っていました。『スパイだから、悪いやつだから撃ち殺したのだ』と酔っ払って私に言ったのです。ロシア兵にとっては気に入らないというだけで射殺できたということです」

国際報道2022でも「ウクライナからの声」を連日発信しています

この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

みんなのコメント(6件)

感想
MK
20代 女性
2022年11月21日
私には何の力もありません。自分の目で凄惨な現場や卑劣な行いを見たわけでもありません。しかし、この記事を読んでこの世の地獄を想像することはできました。どれだけの人権が軽んじられているか、兵士の気分でモノとして扱われていたり、酒を強奪して酔って気分で人を撃つなんて許されたことではありません。誰も守ってくれない無法地帯で、人目を忍びながら生きていくことはどれだけ怖かったでしょう。いまウクライナにいるすべての方々がサバイバーであり、みなさんが闘っているのでしょう。祈っています。
感想
まぁ
19歳以下 女性
2022年5月9日
同じ世界で起こってることとは思えない、酷いという言葉なんかでは言い表すことはできません。何かしてあげたいのに何もできない自分が無力に感じてしまいます。なにか小さなことでもできないかと考え、コメントを書かせていただきました。
1人でも多くの人が生き延びて、ウクライナの人々が平和な世界で暮らせる日が再び来ることを心から願っています。
悩み
にっぽんじーじ
70歳以上 男性
2022年4月26日
遠く日本からあなたがたのこと、我が事の様にしんぱいして見ています。
どーぞ死なないで元気に生き延びてください。
そして日本に来て下さい。決して豊かではありませんが助け合って生きて行きましよう。死なないで。
感想
ブリルビ
40代 女性
2022年4月19日
酷すぎる!涙が出ました。
ロシア兵は、心があるんでしょうか?狂ってる。完全に… 自分の家族、友人、近所の人が同じことをされたらどうなんでしょうか?よく平気で生きていられますよね?ロシアのリーダーは、地獄を作りたいのでしょう。戦争からは、憎しみ、怒り、悲しみしか残りません。早く気づいてほしい。
感想
akissd
70歳以上 男性
2022年4月19日
平和な日本にいて毎日ウクライナの悲惨な状況を目の当たりにして何かしなければと思いつつもどうしてイイか分からず辛いです。今の時代に堂々とロシアはこんな残酷なことがよく出来るなぁと思います、きっと彼らの未来はないでしょう。
感想
ウィロー
60代 女性
2022年4月19日
何故、どうして、今現在このような残虐行為が世界で止められないのか?虚しさではち切れそうです。隣国をこれだけ破壊しながら、何事もない様に暮らしているロシア系国民が恐ろしい。