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大相撲ブームを巻き起こす 相撲推しの野望とは…

相撲好きは遺伝子レベルから!家族全員、相撲好きの一家に誕生した、赤井麻衣子さん。5歳のときに電車の中で(!?)生・お相撲さんと運命的な出会いを果たしてからは相撲人生まっしぐら。

相撲推し歴はかれこれ25年以上。いまでは、相撲好きが高じて、夕方のニュース番組「ニュースLIVE!ゆう5時」で相撲コーナーを担当するまでになりました。

24時間365日頭の中は相撲でいっぱい!相撲を見る彼女の着眼点は超マニアックです。

取組だけではなく、土俵下の力士の動き、そして行司や呼出の場内アナウンスにも耳を傾けるなど、彼女ならでは推しポイントを紹介するとともに、相撲ファンだからこその独自視点で作る番組の裏側に迫ります。

(#教えて推しライフ 取材班)

赤井さんが副部長を務める「ニュースLIVE!ゆう5時」はこちらから👇

ルーツは“草相撲”をしていた祖父

「母からは『相撲好きはDNAに刻まれているね』、とよく言われていました」と語る、赤井さん。そのルーツは、祖父・駿さんにありました。

駿さんは、若い頃から相撲が大好きで、みずからも草相撲で活躍。地元の大会ではたびたび優勝し、一時はプロをも目指すほどでした。

赤井さんの祖父・駿さん
赤井さん

「地元の大会なので優勝したら『横綱』って言われたりして、身長も185センチくらいあって、当時としてはかなり背も高いほう、体もがっちりしていて本当に強かったみたいです」

家でも、よく大相撲をみていたという駿さん。その影響から、相撲好きは、祖父・駿さん⇒母・菜穂子さん⇒赤井さんと順当に遺伝。

幼少期から、1年に1度は家族で相撲を見に行くのがイベントになっていたといいます。

赤井さん

「大阪に住んでいたので、3月の大阪場所は家族で見にいくのが恒例行事でした。父も相撲が強い大学を出ていたこともあり、出身校の力士を応援していたり、家族の共通の話題は相撲。小さいころから身近な存在でしたね」

春場所は家族で一緒に

お相撲さんがヒーローになったとき 出会いは電車の中で…

赤井さんが、その後、明確に「お相撲さん」と認識したのは、5歳のころ。運命的な出会いをします。

祖父・駿さんの家に向かうため、電車に乗ってお母さんと移動中のときのことでした。赤井さんが背負っていたリュックサックが大きかったため、お母さんが電車の網棚の上に置いてくれました。

最寄り駅に到着したとき、お母さんも赤井さんも網棚に乗せたリュックサックの存在をすっかり忘れていたところ…電車の中に居合わせたお相撲さんがリュックを手渡してくれたんです。

赤井さん

「めちゃくちゃかっこいい!もう私の中ではヒーローでした!もうこの瞬間にお相撲さん自体が自分の中ですごくかっこいいものだっていうのができあがったんですよね」

その瞬間は、お礼も言えなかったそうなのですが、そのお相撲さんが窓越しに手を振ってくれたんだとか…。

「これは私がもう生ではじめてお相撲さんを見て、沼に落ちた瞬間ですね。明確な瞬間です」

まさにfall in love!

いま思えば、春場所で大阪に来ていた力士のひとりで、その電車の沿線上に宿舎を構えている力士だったということは推測できたそうなのですが、お母さんも分からず、いまでもそのときの力士の名前は分からずじまいとのこと。

ですが、この5歳のときの強烈な出会いから、赤井さんの相撲推し人生が幕を開けます。

相撲の魅力は「美しさ」

年頃になってもアイドルなどいろんな興味は広がっていきましたが、赤井さんの胸の中にはいつも相撲が!

特定の力士を好むよりも、取組をみることが好きだったといいます。

小学校の運動会の出し物で四股を踏む赤井さん(真ん中)

相撲のどんなところが魅力的ですか?と聞くと…「美しさ」と答えた赤井さん。

相撲のことを知れば知るほど、独特な相撲の世界の虜(とりこ)になっていったといいます。

赤井さん

「この時代にまげを結って、着物で生活し、相撲部屋で共同生活を送り、土俵ではさまざまなしきたりがあり、でもほんの一瞬で勝負が決まる。それがどこか異質でありつつも、美しさがあると思うんです。競技自体もそうなのですが、お相撲さんとして生きる人生そのものが、美しい、そう感じてきました」

ほかにも細かいことをいうと無限にでてきてしまう…といっていた赤井さん。
「力士と弟子の師弟関係のストーリー」、「ライバル力士との関係のストーリー」、「四つ相撲でしっかりと腰を割ってでていく瞬間の体の美しさ」…などそのひとつひとつに美しさを感じていました。   

“音が違う” 生でみる醍醐味(だいごみ)とは…

赤井さんの推し活が本格化するようになったのは、社会人になってから。自由にお金を使えるようになってから、掲げた目標は「相撲を生で見れるだけ見る」というもの。

年6場所にはすべていき、1場所5日間は滞在。時には次の日の取組が気になりすぎて、急きょチケットを手配して延泊することも。

巡業にも足しげく通い、「生」での観戦を思う存分楽しんできました。

生観戦の魅力とは…?

赤井さん

「やっぱり『音』が違います。体と体がぶつかる音も聞こえますし、力士が吐く吐息も聞こえます。その緊張感も感じられますし、迫力は当然満点。なんて幸せなんだと…。

テレビは、取組自体はすごくわかりやすいんです。解説やスローで何度も見せてくれたりして、理解しやすい。でも私は、取組以外に並び出した土俵入りの力士とかも見ちゃうし、行司さんや呼出さんの動きなんかも注目していたりします」

もちろんテレビ中継も大好きです…!相撲のことはすべて実況のアナウンサーや解説の親方たちに教わってきました。

超マニアック向け、赤井さんの細かすぎるポイントは「座布団」だそうで…。幕内力士になると、土俵下で控えているときに「控え座布団」といわれる座布団を使うことができるようになります。

赤井さん

「新入幕だと座布団が新しいから、ふかふかなんですよ。座布団は2つに折って使うので、その上に力士が座るとちょっとよろけちゃったりして…逆にぺっちゃんこの座布団を使っていると長く幕内で戦っているんだな、すごいなって思いますし、ぺっちゃんこだった座布団がふかふかになっていたら、綿を打ち直してもらったのかな…とも思います」

と、細かすぎるポイントを羅列する赤井さん!みなさんも、次回は座布団に注目して見てみてください。

一番の宝物は「番付表」

場所に赴くと、ついつい手が伸びてしまうというのがグッズ。推し歴25年の赤井さん、そのグッズは数知れず…。

これでもほんの一部…

その中でも一番大切にしているというのが「番付表」だといいます。古いものでは自分が生まれるもっと前の40年以上前のものも。古書店などで探して手に入れているそうです。

まず注目するのは、「相撲字」です。番付表はすべて手書き、時代によって書く人も異なるため、その人ごとに特徴が見つかるんだとか…。

赤井さん

「人によって味がちがいますよね。この人はちょっと余裕がある書き方をするなとか、この人は丸めの文字じゃないですか、こっちははっきり目とか、そういうのも見るのが好きですね」

2か月に1回発表される番付表。そこには力士たちの歴史も感じられるといいます。

赤井さん

「番付って簡単に言うと、いま誰が一番強いか、ランキングなんですよね。だから、前回(先場所)までは下のほうに名前があった力士がここまで上がったんだなとか、がんばって稽古して上を目指しているんだなってことがよくわかるんですよね。

そして番付によって待遇も給与もすべて変わる。入門当初から長く応援してきた力士が上がってきたり、逆に怪我をして番付を下げたり、まさに彼らの歴史。そのたびに一緒になって喜んだり、悲しんだり。私の相撲ファンとしての歴史でもある。いいことばかりじゃないけれど、それもまた大相撲を応援する醍醐味ですね」

心配事や悩みがあったら「稽古の動画」を見るという赤井さん。力士が稽古に打ち込む姿を見て気持ちを奮い立たせてもらうところがあるといいます。

赤井さん

「相撲を見たら、こんなことで悩んでいる場合じゃないなって、力士はこんなにがんばっているんだぞと…そうすると私の悩みなんてたいしたことないなって、一番力をもらっていますね」

相撲推しあるある 「番付予想」

番付表は、本場所終了後3日以内に行われる「番付編成会議」によって作成されます。

「番付は生き物」と称されるように、ただ強いから急に番付があがることもなく、周りの関係性なども重視されながら相対的に作成されるため、予想がつかないことも多々あるというのですが…。

そこで、赤井さんが高校の時からやっているのが、「番付予想」。ホワイトボードとオリジナルの名前マグネットを使って行います。名前が入ったマグネットの色は、力士ひとりひとりのまわしの色にあわせる徹底ぶり。似たような色を求めて、文房具店で試行錯誤するんだとか。

東と西、上から横綱、大関、関脇、小結…と順に並べていく時間はあっという間!幕内だけではなく十両の予想もしていると一日中かかって並べることもあるんだとか。そして番付が出たら答え合わせをするんだそうです。

赤井さん

「自分が合っていた、合っていなかったとか、思ったよりこの力士はあがらなかったなとか、また答え合わせも楽しい。予想しながら、マグネットを貼っていくと、脳内でその力士の取り組みが再生されるんですよね、幸せな時間です」

能町さんとの「ゆう5時相撲部」秘話

ここまでくれば筋金入りの相撲好きの赤井さんだということはおわかりいただけたと思います。公私ともに「相撲好き」をアピールし続けてきた赤井さんにある転機が訪れます。

4年前、番組プロデューサーに相撲好きであることを買われ、ゆう5時の相撲部の番組制作を任されることになったのです。

パートナーである部長の能町みね子さんとは、お互いに相撲ファンだからこその視点を大切にして、企画を考えるといいます。

赤井さん

「企画会議は、2人で基本的に行うんですけど。場所が終わった後は、本当に感想会みたいになっていて、お互いにおもしろかった取組とかを言っていく感じです。その中から、2人がおもしろいと思ってトピックを抽出し、企画のタネが生まれます。能町さんは視点がおもしろい方なので、同じ相撲を見ていても着眼点が違うのでその中から生まれた企画もありますよ」

部長、副部長の関係性とはいえ、相撲ファンとしては大先輩の能町さん。いつもは教えてもらうことも多いそうですが…赤井さん、日々の取材などを通じて、能町さんさえも知らない情報を手に入れるため日々努力しているといいます。

赤井さん

「会議で『こういうエピソードがあったんですよ…』って言ったときに、能町さんから『その話、知らない!』って言われると、内心『やったー!』って思っています。それは裏返すと、こんなに詳しい能町さんが知らないなら、大体の相撲ファンの方が知らないことだと思うので、お伝えする情報に値するとも思っています」

夢は「大相撲ブームを巻き起こす」

赤井さんが番組を作る上で軸にしていることが2つあるといいます。

①「番組をきっかけに相撲を見る人が増えてほしい」

赤井さんが番組に携わるようになってから、場所前後の放送だけでなく、場所がない時期も相撲の情報を届けるコーナーやYouTubeへの展開も立ち上げました。その心は…?

赤井さん

「多くのコンテンツを作ることで、少しでも相撲に触れてもらえる人が増えたら。まずは興味をもってもらいたい。取組の内容とか技とかは初心者の人には難しいので、まずは力士に興味をもってもらえるように、趣味はなんだとか、出身はどこだとかそういうライトな情報を提供しています」

そしてふたつめ、
②「同じ相撲ファンの人に楽しんでもらいたい」

自分自身もファン故、自分が深く見たいものや知りたいことは膨大にあるという赤井さん。いまはそのひとつひとつ紐解いて(ひもといて)企画につなげています。

そして、何より大切にしているのは、誰も知らない新しい情報を伝えるということ。

赤井さん

「取材に行く前はありとあらゆるコンテンツを見て読んで研究して、視聴者の方々が知らないことって何だろう、というところを徹底的に突きつめます。世の中にまだ出ていない情報は何なのか探すんです。こういう面は知られているけど、こういう面はまだ伝わっていないはずと…」

これまでも力士の健康診断を取材して、どんなことを検査しているのか、力士が様々な道具を入れるための箱、「明け荷」を現役力士に見せてもらう企画など…力士たちのいろんな表情を撮影。

ちょっとマニアックだけど、ディープな情報を伝えています。

さて、赤井さん、今後の野望は…?

赤井さん

「大相撲・大ブームを巻き起こしたい!ずっと昔から思っています。こんなにおもしろいんだから、日本中の人が大相撲みればいいのにって思っているんです。だからこそ相撲の魅力をもっと伝えていきたいし、そして相撲を見る人が増えて、相撲についてみんなでもっと語りたいって思います。その日までがんばります!」

取材後記

ひとたび相撲について質問すると「これもなんですけど…」といいながら延々に話し続ける、赤井さん。その顔はとても楽しそうで、好きなことを知ってもらいたいという気持ちが伝わってきました。

「好きなことやモノを極める」ということはそんなに簡単なことではないと思います。ましてや職業に結びつけるとなると、それはもっと難しいことだと思っています。

それを叶えた(かなえた)赤井さん。ただの相撲ファンではなく、番組を制作するプロとして放送を通じて、相撲の魅力を伝えたいという目標に向かって突っ走る姿がとても印象的でした。

マニアックな視点だけでなく、「おもしろく」、「楽しく」を大切にして企画を制作していると語っていました。

ゆう5時で相撲部が放送されるときには、赤井さんの思いがたくさん詰まっていることを少しでも感じてもられれば幸いです。

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