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「選挙の風景を変える」 投票率1ミリアップ作戦!

「1ミリ革命 ~投票率1ミリアップ作成!~」(6/16放送)に1ミリーガーとして参加してくれた、高校生による投票率アップのキャンペーンNERIMA VOTERSの主導者で、東京学芸大学附属国際中等教育学校公民科教諭の楊田龍明さん。同じくメンバーで高校1年生の安齋佑望さん。そして、パタゴニア日本支社の中西悦子さん。参議院議員選挙に向けて、“選挙の風景を変えて”投票率をアップするための挑戦をお伝えします。
(1ミリ革命プロジェクト ディレクター)

1ミリ革命 投票率1ミリアップ作戦!

選挙の風景を変えようと取り組む3人の1ミリーガーも参加した白熱議論はこちら?

期日前投票所で投票記念のステッカーを配布

参院選を目前に控えた休日。練馬区役所の期日前投票所を訪れると、あるステッカーを持ち帰る人たち・・・。このステッカーは、練馬区内にある東京学芸大学附属国際中等教育学校と都立井草高校の高校生たちがデザインしたものです。

ドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」をモチーフに投票に行くことを呼びかけるものや、絵本スイミーのように1票が集まれば大きな力になることを表したもの。そして投票用紙から滴る水により、バラの花が咲く様子を描き、“投票により何かを変えられる” ということを表現したものの3点。練馬区内にある期日前投票所7カ所で合計2万4000枚を配布しています。若者をはじめとした幅広い世代に向けて、政治への関心を高めることが狙いです。

練馬区役所に置かれた投票記念のステッカー

“こんな主権者教育で果たして若者が投票に行くだろうか?”

この取り組みを主導したのが、1ミリーガー・楊田龍明さん(公民科教諭)です。投票の仕組みや重要性を授業で伝えていましたが、2019年の参院選で、20代の投票率が30.96%となるなど若者の投票率が伸び悩む中、これで本当に若者が投票に行くようになるのか、疑問を感じていたといいます。

そうした中で、ふと目に入ったのが、若者に人気があるインフルエンサーのエッセイ。「投票所にインスタ映えする写真を撮る場所があれば、若者はもっと投票に行くのではないか」と書かれていました。

楊田龍明さん

「若者の投票率が低すぎるという危機感があって、自分は何を教えているのか?と考えていたときだったので、すごく共感したんです。投票に行くか行かないかって、いくら論理的に説明しても解決できる問題ではないなと。“投票に行きましょう” と押しつけがましく言うよりも、若者に人気のインスタなどを使うことで、投票のイメージを変えたり、楽しくすることが大切なんじゃないかなと思ったんです」

選挙をおしゃれに NERIMA VOTERS 始動

取り組みを始めた去年は、選択授業の中で、若者が “かっこいい” “おしゃれ” と感じる選挙の啓発方法を生徒と考えることにしました。練馬区の選挙管理委員会にも協力してもらい、高校生による投票率アップのキャンペーン「NERIMA VOTERS」が始まりました。去年の衆院選では、地元のカフェと協力し、投票済みの証明書を渡した人に、インスタ映えするラテアートを割引価格で提供するなどの取り組みを行いました。

今年はさらに同じ練馬区内にある都立井草高校と協力し、授業の課題として、投票所で渡すステッカーをデザインすることにしました。スマートフォンにステッカーを貼る若者は多いため、SNSで拡散するなどして、話題になると考えたのです。

特に工夫したのが、「投票についての会話が生まれる仕組み」です。ステッカーのデザインを考える前に、周りの大人と「自分が投票しなくても政治に影響はないと思うから選挙に行かない人をどう思うか?」などについて話し、そこからデザインを考えるような課題にしました。生徒たちの取り組みをきっかけに、その周りにいる大人たちにも投票について考えてもらおうというのです。

さらに、投票所で配られるステッカーは、コンテスト形式で決めることにしました。挑戦したい生徒たちには、ステッカーのデザイン案をインスタグラムに投稿してもらい、一般の人から集まった“いいね”の数も審査の基準に入れることにしました。

“政治(まつりごと)” は “祭りごと” だ

画家ドラクロワの絵画をモチーフにした作品「民衆を自由に導く女子高生」(作:永井 初奈さん)
絵本「スイミー」から着想を得た「BE THE EYE」(作:安齋 佑望さん)

1ミリーガー・安齋佑望さんの作品も選挙ステッカーに選ばれました。絵本「スイミー」から着想を得たものです。黒い魚のスイミーが仲間の赤い魚と力を合わせ、巨大な魚の形を作って天敵と戦う物語。ステッカーではそれぞれの魚を投票用紙に置き換えました。“一枚の投票用紙であっても、たくさん集まることで、大きな力になる” という思いが込められています。

実は、スイミーを使うアイデアは、父親と話す中で、「選挙ってスイミーみたいだね」と父親が出したアイデアだといいます。

安齋佑望さん

「最初はインスタを使った授業って面白いなっていう程度で、選挙への関心もなかったけど、ステッカーの課題の中で、父親と話したりする中で、選挙についても興味が出てきました。インスタでステッカー案に、いいねを押してくれた人の8割くらいは友達だったんですが、残りの2割くらいは、知らない人だったので、投票の大切さについて広められていると感じて、うれしかったです」

楊田さんは、練馬区だけでなく全国の高校でも選挙管理委員会と連携し、高校生の選挙キャンペーンが広がって欲しいといいます。高校生の目線で選挙を表現する取り組みが、選挙を “じぶんごと” に変えると考えているからです。

楊田龍明さん

「政治は “まつりごと” とも言いますが、まさに、生徒たちにはステッカーのデザインやインスタへの投稿を通じて、お祭りのように投票を楽しんでくれたと思います。まさに “選挙の風景を変える” というか、選挙を押しつけがましいものにするのではなく、若者が足を運びやすくする工夫も大切ではないでしょうか」

論理では人は投票しないという楊田さんの言葉、なるほどと思いました。投票に行かない人の多くも、その大切さは、メディアなどでたくさん目や耳にしているはずですよね。そうした中で、“選挙の風景を変えて”ちょっとおしゃれで楽しいものにしてしまおうというこの取り組み。すごくおもしろいと思いました。高校生の時にこの授業を体験したら、そのまま大人になっても投票に行こうと想うのではないかと感じました。

地球のために投票しよう

店内にディスプレイされた「VOTE OUR PLANET」キャンペーン

アウトドア企業のパタゴニアも “選挙の風景を変える” ことに取り組んでいます。渋谷店に入ると目に入ってきたのは、目を引く「VOTE OUR PLANET」のディスプレイ。日本支社で取り組む、投票を呼びかけるキャンペーンです。参院選に向けてステッカーを配ったり、#地球のために投票しよう のハッシュタグをつけてのツイートを呼びかけることで、選挙への関心を高めようとしています。

こうした投票を呼びかけるキャンペーンを始めたのは2013年。当初は「なぜアウトドア企業が投票を呼びかけるのか?」などの声が寄せられることもあったと言いますが、今は、取引先企業100社以上の賛同も得て、投票することの重要性を訴えています。

その1つが、選挙や身近な問題について気軽に語り合おうという「選挙カフェ」の取り組みです。今回の参院選では、コロナ禍のため、オンラインで開催しています。さらに、特設ホームページに、誰でも選挙カフェのようなイベントを企画・発信できるプラットフォームを用意。特定の政党・候補者に関連するものでなければ、誰でもここで参加を呼びかけることができるといいます。

政治について話すきっかけを作りたい

キャンペーンを主導しているのは、1ミリーガー・中西悦子さんです。

中西悦子さん

「まず、選挙があることを知らなければ投票にもいかないので、店舗やSNSでのハッシュタグ付きの投稿が、選挙があると知っていただくきっかけになればと思っています。

日本では政治の話題がタブー視されているところもあると思うんですが、私たちのようなアウトドア企業が選挙について取り組むことで『この服を作っているメーカーがこんなキャンペーンやってるんだって』『選挙カフェっていうイベントがあるんだって』と、選挙について周囲のかたと話題にすることができるという声もいただいています。

投票率が半分程度というのは、やはり低すぎるんじゃないかと思っています。今の制度の中で投票率がきちんと上がっていくこと、また今後はネット投票など、みんなが投票にいきやすくなる仕組みが整っていくこと、何より社会や自分たちが住む地域について考えたり対話が生まれることが大切だと思っています」

日本では、確かに選挙のことは話題にしづらい雰囲気がありますよね。そうした中で行われている、若者に人気のアウトドア企業による投票率アップのキャンペーン。投票に行くことや、社会課題について話すことが、少し身近でかっこよく感じられるものになるのではないかと大きな可能性を感じました。

「選挙の風景を変える」新しいアイデアや、私も取り組んでみたいという方を今後も募集しています。是非コメントをお寄せください。

みんなで1ミリ革命、起こしちゃおうぜ~!

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