みんなでプラス メニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなでプラス

震災と向き合おうという気持ちになりました|「あの日」の子どもたちへの10の質問

東日本大震災を経験し、大切なものを失った子どもたちに、いまだから語れる気持ちを尋ねる、「『あの日』の子どもたちへの10の質問」。

今回答えていただいたのは、福島県浪江町出身の菅家菜々子さん(16)。震災当時は5歳でした。
原発事故後、避難した秋田県で10年間を過ごした菅家さん。仕事のため福島県で単身暮らしていた父が病に倒れたことがきっかけとなり、去年、母とともに福島県に戻ってきました。
福島県で暮らし始めて1年が経とうとする菅家さんに、「10の質問」をしました。

菅家さん

最近うれしかったことは、新しく筆箱を買い替えたことです。高校に入って新しいものを一つ買ったんですけど、それが少し痛んできてしまったので、新しい筆箱をもう一つ購入しました。それが思ったよりも早く届いて、もう今日使っているんですけど、デザインがすごい好みなもので、これから愛用していこうかなって思ってます。

菅家さん

授業で震災に深く関わっている方と交流を持つときによく思い出します。私が通っている高校だと授業の中で、復興に向けて頑張っている人たちや、震災でつらい経験をした人たちにインタビューをして、その内容を劇にする、ということをやっているんですけど、そのときに、自分の班の劇も含め、他の班の劇を見て、いろいろな方がいろいろなところで復興に向けて頑張っていたんだなということを思います。

菅家さんは高校では演劇部に所属していて、震災や原発事故をテーマにした創作劇の制作を行っています。自らが福島に帰ってくることになったときに抱いた複雑な思いも劇の中でセリフとして語りました。

菅家さん

震災から10年経って福島県に戻ってきたことで自分の中で変わったことは、震災と向き合おうという気持ちの変化がありました。避難先では震災と「壁」を作ってしまって、どうしても関わりを持ちたくないと思っていたのですが、福島へ戻ってきて、高校の授業などを通してその壁を少し乗り越えられたように思って、震災と向き合うきっかけとなり、心境が変わりました。変わらなかったことは、うーん…。
変わらなかったことはちょっと難しいです。

菅家さん

「今、何を考えているの」って聞いてみたいと思います。震災を経験して「壁」を作ってしまって、それが私の生活にも影響していて、母にも思っていたことを言えないというのも、震災の影響もあったのではないかと思っていまして、それを私が最近やっと理解できたので、今、震災当時の私は、どんなことを思っていたんだろうか、という思いを聞きたいなと思います。

菅家さん

気持ち的にはすごく短かったけど、時間で言えば10年というすごい長い期間がたってたんだなって思います。被災したのがまだ5歳だったので、そこから15歳になるまで、本当にあっという間でしたし、その間でいろいろな人に支えられて経験をさせてもらって、その1つ1つが宝物になっています。

菅家さん

そうですね…26歳。10年後、多分私は海外にいると思います。私は外交官を目指していまして、いろいろな場所に留学したいと思っています。私がずっと行きたいと思っているのはスウェーデンなんですけど、できれば私は10年後、ノルウェーとかスウェーデンの北欧に行って、その教育現場を学んできたいなって思っています。

菅家さん

「何が変わったの?」って聞いてみたいですね。今の16歳の私と10年後の私だとどんな心境の変化があったのかとか、見た目も変わっていると思いますし、家族との関わり方とか、いろいろなものが10年の間で変わっていると思うので、それがどんな風に変化しているのか、聞いてみたいです。

菅家さん

今一番会いたい人は、中学生のときに担任を務めていただいた先生です。その人に伝えたいことは、今福島に帰ってきて、こんな頑張っていますという、自分の現状を伝えたいなと思っています。中学を卒業して福島に来るときにもお手紙をくださって応援してくださったので、私が今その応援に応えて、精一杯努力していますというところを見てもらいたいです。

菅家さん

何でも受け入れてくれる存在だと思います。最近それを理解、やっとできたんですけど、自分が何を言ってもそれを受け入れてくれる優しさがあって、それを肯定してくれるような温かさもあって。そういう家族間でしかできないような温もりというのが、家族だと思います。

菅家さん

私の宝物はいっぱいあって、毎日が宝物なんですよね。秋田にいたときの生活も1日1日が充実していて、いろんな発見があって、雪も多くてとても楽しかったですし、今も毎日新しいことをどんどん学んでいって、今まで知り得なかったこと、震災のことや復興のこと、福島が今どういう現状なのかということを知ることができて、「これが一番の宝物だ」というものはないですが、毎日1日1日が私の中でかけがえのない宝物になっています。

クローズアップ現代+ 「東日本大震災から11年 今だから話せる“あの日”のこと 家族の対話」

菅家菜々子さんを取り上げたクローズアップ現代+です。(2022年3月2日放送)

東日本大震災で被災した子どもたちが、胸の内にしまい込んできた思い。
「家族を心配させたくなかった」「傷つけることが怖かった」
10代半ばや20代に成長した今、初めて家族に打ち明けました。
震災から11年を経て行われた家族の対話。再び歩み始める姿を見つめました。

東日本大震災11年 特設ページはこちら

東日本大震災が起きた2011年3月11日から11年。
NHKは今年も、被災地・東北の「これまで」と「これから」、地域の人々の思い、震災を「忘れない」ことの大切さなどを、さまざまな視点から番組を通じてお伝えします。

みんなのコメント(0件)