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自分の人生を、自分で考えられるようになった|「あの日」の子どもたちへの10の質問

東日本大震災を経験し、大切なものを失った子どもたちに、いまだから語れる気持ちを尋ねる、「『あの日』の子どもたちへの10の質問」。

今回答えていただいたのは、宮城県南三陸町出身の西條育美さん(25)。震災当時は14歳、中学2年生でした。
家族は全員無事だったものの、津波で自宅が流されてしまった西條さん。
震災を機に「人を支える仕事がしたい」と考え、高校卒業後は福祉を専門に学ぶ大学に進学。言語聴覚士の資格を取得し、現在は茨城県内の病院で患者のリハビリをサポートする仕事をしています。
そんな西條育美さんに、「10の質問」をしました。

西條さん

うれしかったことですか。えー…うれしかったこと… おばあちゃんに会えたことですかね。

地元・南三陸町には母、祖母、兄の3人が住んでいて、この取材の日、西條さんは実家に帰省していました。

西條さん

ふとしたきっかけもあるし、3月11日が近くなると、毎年いつも思い出します。

西條さん

変わったことは、ちゃんと自分の人生を自分で考えられるようになったところで、変わらなかったところ…、変わらなかったところは全然思いつかないですね。震災をきっかけに自分の考え方が大きくがらっと変わったので。変わらなかったことは、自分の身(体)くらいですか(笑)。

西條さん

今、住んでいる場所とか、住んでいる町を、あのときは私は「早くここから出たいな」とか、全然魅力を感じていなかったんですけど、失ってからはすごく良いところだったと。また戻りたいけど今戻れないので、今の時間をすごく大切にしてほしいということを言いたいです。

西條さん

震災後から結構いろいろな活動に参加させてもらっていたので、ただ11年過ぎたというよりは、いろんな経験をして、たくさん成長して。なので、私としては結構長く感じました。

西條さんは大学進学後、地元の友人たちと南三陸の今を知るスタディーツアーを企画し、同世代の人たちに町の復興の様子を伝える活動などをしていました。

西條さん

えー、全く想像つかないです(笑)。何だろう。もしかしたら、ここに戻っているかもしれないし、日本のどこか遠くに行っているかもしれないし、海外に行っているかもしれないし。多分その時々でやりたいことがころころ変わるので。でも、自分が好きな場所で、自分が好きなように生きているのではないかと思います。

西條さん

今の年から10年した経験の中で、一番大事なこと教えてくださいって聞きたいです(笑)。

西條さん

もういないんですけど、(震災の半年前に)亡くなったお父さんに一番会いたいです。伝えたいことは、お父さん亡くなったときは、あんまり良い関係ではなかったんですけど、お父さんのことは昔から大好きだったので、ちょっと冷たくしてしまったけど、昔から変わらず好きだったよということは伝えたいですね。

西條さん

家族は、今離れてはいるんですけど、どこにいてもすごくたくさん支えてくれているので、私にとってはなくてはならない存在ですね。

西條さん

モノというよりは、今までの経験だったり、出会ってきた人たちとか、そこから学んだことがたくさんあるので、その1つ1つの全部が宝物なのではないかなと思います。

クローズアップ現代+ 「東日本大震災から11年 今だから話せる“あの日”のこと 家族の対話」

西條育美さんを取り上げたクローズアップ現代+です。(2022年3月2日放送)

東日本大震災で被災した子どもたちが、胸の内にしまい込んできた思い。
「家族を心配させたくなかった」「傷つけることが怖かった」
10代半ばや20代に成長した今、初めて家族に打ち明けた。
震災から11年を経て行われた家族の対話。再び歩み始める姿を見つめた。

東日本大震災11年 特設ページはこちら

東日本大震災が起きた2011年3月11日から11年。
NHKは今年も、被災地・東北の「これまで」と「これから」、地域の人々の思い、震災を「忘れない」ことの大切さなどを、さまざまな視点から番組を通じてお伝えします。

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