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群馬 新生活前に物価高直撃 家電や制服「リユース」需要高まる

  • 2023年03月16日

来月から新年度。
引っ越しや入学のシーズンとなり、新生活を迎える人も多いのではないでしょうか。
入学には制服やランドセルなどの「学用品」。引っ越しでは「家電」などにお金がかかり、その負担は物価高騰の中でさらに大きく家計にのしかかります。そんな中、関心が高まっているのが、「リユース=再利用」。需要が高まるリユースの現場を取材しました。

(前橋放送局記者田村華子/2023年3月取材)

リユース家電の専用工場に潜入!

ずらりと並んだ洗濯機。
これらの家電、実は、新品ではなく、すべて中古品。
こちらはリユース家電の販売を強化しようと群馬県内に本社を置く家電量販店が去年5月、藤岡市に新たに作った工場です。

1日あたりおよそ500台の中古の洗濯機や冷蔵庫が運び込まれてきます。

こちらが洗浄のコーナーです。1人1台完結で分解、洗浄を1人60分かけて完成させます。

買い取った製品は汚れているためこのままでは販売できません。機械と手作業で汚れを落としていきます。洗浄され最終点検を終えた製品は、全国の店舗へ。この工場だけでも1日に400台出荷するということです。

リユース家電の需要が増加

生まれ変わったリユース家電。
半導体不足や円安の影響で、新品の家電の値上げが相次ぐ中、節約志向も高まり、いま、リユース家電の需要が高まっているといいます。

家電量販店 店長
こちらがリユースの商品になります。販売当初の3分の1程度の金額で購入できます。

工場で点検されたリユース家電を中心に販売する高崎市の店舗です。

その売りはなんといっても、安さ。
店舗には1万円台の洗濯機や冷蔵庫も。

買い物客

新品の製品が高くなっているからアウトレットの製品を買おうかなと

この店舗では専用の工場の稼働に伴い、扱う製品の数も増え、去年のリユース家電の売り上げは前の年と比べておよそ5倍に急増しているということです。

家電量販店広報担当 清村浩一さん
新しく発売された製品が総じて価格が高くついているので、慎重に買い物するお客様の声が多い。私どもの想像以上にリユース製品がお客様に認知されていてご利用してもらっているのを実感している。

物価高騰は子育て家庭にも

物価高騰の影響は、新学期を迎える子育て家庭にも。入学シーズンにあわせて学用品を買いそろえる必要がありますが、この時期、一気に費用がかさみ、大きな負担となります。

高崎市で子ども食堂やフードバンクを運営する丸茂ひろみさんです。少しでも家計の負担を減らそうと力を入れているのが、「制服バンク」という取り組みです。制服やランドセルなどの学用品の寄付を募り、購入が困難なひとり親家庭などを対象に、無償で提供しています。

丸茂さん

生活が困窮していない家庭でも物価高をとても気にしていて、魚1つ油1つ、卵1つ買うのも高い高いという会話が聞かれる。生活に困窮してる方としたらもっともっと深刻な問題だと思います。

「制服バンク」への問い合わせも増加

この日、丸茂さんのもとを訪れたのは、来月、中学校に入学する女子児童とその母親です。

丸茂さん

サイズがどうかな?スカートの長さってどれくらいなの?

母親

よかった本当に、準備できるかひやひやしていた。全部そろえるとなると相当な金額がかかってしまう。働いていてもそこまでいかないので、こういうところがあって本当によかったなって。

新学期を前に「制服をゆずってもらいたい」などの問い合わせが増えていて、ことしに入り、5人の子どもたちに制服やランドセルを渡しているということです。

「制服バンク」を運営 丸茂ひろみさん
お母さんが「ほっとした、ほっとした」と何回もおっしゃって、涙ぐんでいる様子を見るとお金がかかって本当に準備ができるのかなと不安でいっぱいだったんだろうなと思うんですよね。困った時って、手を挙げにくいんですけども声を上げていただきたいし、ご連絡いただきたいなと思います。

寄付や支援の希望
「制服バンク」に取り組む団体の電話番号 0274-42-0111

取材後記
取材に応じてくれた親子は、地元の自治体職員が「制服バンク」のニュースを見て、丸茂さんに連絡し、今回の支援につながったといいます。取材中、制服を受け取ったお母さんが涙ぐむ様子、女の子が照れながらも制服をあわせてうれしそうにしている様子を見ました。その姿に、改めて支援の必要性を強く感じました。丸茂さんは「制服バンク」の認知度を高めることが課題だとしています。こうした企画がこの取り組みを知ってもらうきっかけとなり、1人でも多くの人の助けにつながってほしいと願います。

  • 田村華子

    前橋放送局記者

    田村華子

    2021年入局。県政担当。視聴者に"身近な"話題を"わかりやすく"発信していきます。

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