みなかみ “地域の宝”を使っていちご作り! 暖房費の節約にも
- 2023年03月06日

「ほっとぐんま630」でお伝えしている「菅原が行く、中谷が行く」。今回は今が旬の「いちご」です。みなかみ町で「地域の宝」ともいえる“あるもの”を活用したユニークないちご作りに取り組んでいる生産者のもとを訪ねました。
(前橋放送局キャスター菅原成美/2023年2月取材)
“地域の宝”を活用して いちご栽培

今回はみなかみ町の猿ヶ京温泉にやってきました。ユニークないちご作りとはいったいどのようなものなのでしょうか?

訪ねたのは、いちご農園を経営する田村和寿さんです。

「ハウス内には、いちごの甘い香りが広がっています!」

ハウス内は一見特に変わったところもなく、ごく普通のいちご園に見えますが…。
いったい、いちご作りに活用している“あるもの”とは何でしょうか?

「温泉を利用してハウスを暖めています」

そう、“あるもの”とは、猿ヶ京が誇る「温泉」。実は、田村さんの本業は3代続く民宿の経営者なんです。

もともと温泉を活用したいちごの栽培は、7年前、県内企業と大学でつくる「みなかみ地域活性化研究会」が地域資源を活用した農業の実証実験として始めました。
実証実験に参加した田村さんは、実験が終わった後も設備を借りて、いちごの栽培を続けています。

「猿ヶ京は結構温度も60度くらいあって湯量の方も多いので、何か利用できればと。せっかくの熱を使って何かできないかなと思って」
温泉のおかげで暖房費も節約!
では、温泉をいちご栽培にどのように活用しているのかというと…。その答えはハウスの端にあるヒーターにありました。

「手を出してみて下さい」


「そうです。温泉の熱だけなんですよ。ヒーターから温泉熱を送風することで、ハウス内を温めているんです」
さらに、ハウス自体にも工夫が施されているんです。

ハウス内にもビニールの覆いをすることで、温泉熱を逃がさないようにしているんです。

外の気温を測ってみるとマイナス0.3度なのに対し、ハウス内に気温計を入れると温度はみるみる上昇し、17度に。冬場は氷点下となるこの地域でも、ハウス内は0度を下回らない設計になっているんです。

2月までは暖房を併用することもあるものの、3月以降は温泉熱だけでハウス内の温度を保てるため、暖房費の節約にもつながっているといいます。

「暖房費をだいたい3分の1くらいはカットできたかなと思っています。これから工夫すれば、半分とかそのくらいは抑えていけるかなと思っています」
そんな、温泉を生かして育てた いちごのお味は?


「すごく口の中に入れた時にいちごの爽やかな甘い香りがすごく広がって、とてもおいしかったです!!」

「寒いとその分だけ赤くなるのが遅いんですけど、その分だけ甘みが出てきます」

田村さんの農園では、5月の半ばまで収穫が続くということです。

田村和寿さん
「温泉をうまく利用して、いちごもそうなんですけれども、猿ヶ京が活性化してるような感じになっていけばうれしいです」
温泉熱を活用して育てたいちごは、田村さんの民宿で予約販売しているほか、みなかみ町にある温泉施設などで1パック500円から700円で販売しているということです。