嬬恋村 キャベツ畑を支える外国人 畑の1日に密着してみた!
- 2022年10月12日
群馬県北部に位置する嬬恋村。全国に誇る “嬬恋高原キャベツ” の産地です。
そのキャベツ畑で働く外国人はおよそ400人。高齢化が進む村の産業を支えています。
キャベツ畑で働く外国人は、どんな人たちなのか?ある農家さんを訪ねました。
(前橋放送局ディレクター 猪飼奈々・杉山裕美/2022年6月取材)
キャベツ畑に行ってみた
訪ねたのは、家族3人でキャベツ畑を経営する宮﨑さん一家です。
父の久一さんは、農家の三代目。
次男の裕さんは、後を継ぐため、ことし4月に嬬恋にUターンしたばかりです。
そんな宮﨑さん家族が、強力な助っ人だと話すのは、ベトナムから来た2人。
来日2年目のナムさん(32)と来日3年目のカインさん(25)です。
ベトナム中部の農村出身だという2人。
キャベツ畑が忙しくなる春から秋にかけては嬬恋で働き、冬は太田市など場所を変えて、機械関係など別の仕事をするそうです。
この日の畑作業は、キャベツの苗採り。
日が照りつけるなか、ナムさんカインさんも慣れた手つきで、手際よく苗を採っていました。
「家族3人では手が足りないので、ナムさんとカインさんが来てくれてありがたい。2人は、仕事の飲み込みも早くて器用。とても助かっている」
仕事仲間であり、家族
苗採りの作業はひと段落し、ちょっとお休みタイム。
朝、6時半からの畑仕事の疲れを癒します。
終始、冗談を言い合って、笑う5人。楽しいトークが止まりません。
移動はいつも裕さん、カインさん、ナムさんの3人一緒。
どんな話をしているんだろう?車のなかをのぞいてみると…
「かわいいにも、ほどがあるでしょ」
ディレクターの私たちにお褒めのことばをいただきました…ありがとうございます(笑)
見事な”男子トーク”が繰り広げられていました。
ナムさん、カインさんは、普段から裕さんにベトナム語を教えたり、ベトナム料理をふるまうこともあるそうです。
「裕さんにとって2人はどんな存在ですか?」
「最初は『畑を手伝ってくれる人』くらいに思っていたんですが、一緒に移動したりご飯食べたりしてると、今ではもう家族みたいな関係なのかなって。疲れた時とか、お互いを励まし合いながらやってるので、その分僕も仕事が楽しくできています」
さらに、母のかおるさんは、外国人の入国に制限がかかったコロナ禍で、彼らの存在の大きさを実感したといいます。
「2年前、外国人が入国できなくなった時、嬬恋村の畑は人手不足でパニックになりました。外国の方々がいないと産地が成り立たないということを身に染みて感じた瞬間でした。来てくれるのが当たり前と思わずに、感謝の気持ちを忘れないようにしています」
夜、体育館に集まったのは…?
この日の夜8時。
裕さん、ナムさん、カインさんがいつも楽しみにしているという場所を案内してくれました。
ん…!?
まっ暗の村の夜に、ぽつりと光る体育館。
中に入ってみると…フットサルをする大勢の人が!
国籍を聞くと…
ベトナム、ミャンマー、そして、インドネシアの人たちでした。
みな、嬬恋のキャベツ農家で働いているそうです。
「毎週木曜日、4か国対抗でフットサルをしています!口コミで広がって、みんな集まってくれるようになりました」
これは…まるでサッカーワールドカップin嬬恋👏
みなさん朝からの畑作業終わりにも関わらず、元気!大盛り上がりです。
「日本人だけなら1チームしかできないけど、外国から来てくれるおかげで、4チームも作って対戦できる。若くて元気のある外国人のみんなが来てくれて、高齢化している嬬恋村を活気づけてるなって思います」
キャベツ畑も、夜のフットサルも、外国人の仲間たちがいてこそ成り立っているものなんですね。
ネイバーズたちの夢
嬬恋の畑を支えるネイバーズたち。そんな彼らに“夢”を聞いてみました。
「レストランつくる」
「うちたてる」
「むすめに、ゆかた、かう」
みなそれぞれ、思いを語ってくれました。
嬬恋村のキャベツを、そして私たちの暮らしを支えるネイバーズたちの笑顔が、夢が、どうかずっと続きますように!
ネイバーズに密着してみて
今回の取材後は、これまでなんとなく手にしていたスーパーの野菜も「外国人の方が収穫したのかな?」と考えるようになりました。取材の中で嬬恋村の住民の方々からは「農作業を手伝ってくれる外国の人には感謝しないといけない」という多くの声を聞きました。感謝しないといけないのは、産地の住人だけでなく、それを手にする私たちも同じなのかもしれないなと感じました。