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あなたもできる!「映像を作るコツ」11~「テクネ映像の教室」タイポグラフィ×吉田ユニ

2024年3月17日(日)

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3月17日(日)にも放送された「テクネ映像の教室」。この「まなびノート」では番組ディレクターが取材を通じて知った「映像を作るコツ」を発信します。

 「テクネ映像の教室」の<テクネトライ>というコーナーは、第一線のクリエーターたちに「〈お題〉の技法で実際に映像を制作してもらう」もの。

 クリエーターたちが普段映像を制作する際には「この音楽の世界観を表す映像」とか「この商品の良さを伝える映像」が大半で、「この技法の映像」という依頼を受けることはまずありません。番組に参加したクリエーターたちは、その依頼が新鮮だと引き受けてくれ、普段とは違う七転八倒しながらチャーミングな映像を作ってくれたそうです。

番組ディレクターの織田聡さんが綴ってくれた「映像を作るコツ」。あなたもできるかも!?

 「テクネ 映像の教室」タイポグラフィ×吉田ユニ「LAYERD」

技法「タイポグラフィ」の映像制作にチャレンジしたのは吉田ユニさん。
グラフィック・デザイナー、アート・ディレクター。女子美術大学卒業後、広告デザイン、プロダクトデザイン、装丁、CDジャケットデザイン、パッケージデザインなど各方面で活躍。「テクネ 映像の教室」タイトル映像のアート・ディレクターでもあります。
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「タイポグラフィ」技法とは文字をモチーフとしデザインと動きで映像を作る技法。

最近ではCGやモーショングラフィックで表現されることが多い「タイポグラフィ」ですが、吉田ユニさんは一見するとそういったデジタル表現のように見えながら、手の動きを活かしたアナログな手法によって文字をデザインしようと考えました。

スタジオに組まれたセットは、格子状の筒がきっちりと並べられた透明な水槽。一つ一つが独立した容器になっています。

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この水槽の一つ一つに色のついた液体を注ぎ、真下から撮影することでドットで文字を表現したような「タイポグラフィ」を作ろうとしました。

撮影までの手順は・・・
・正方形のドットの数を正確に描いた設計図上で文字をデザインする
・実物のセットにはマス目を間違えないように文字の形に印をつける

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容器ひとつひとつに、色のついた液体を注ぎ、文字を表現します。吉田さんはこの文字にモーショングラフィックのような、動きを作りたいと考えていました。
映像のは最初、透明なグリッドスクリーンに色の付いた液体が注がれてドット文字を形作っていく。その後、完成した文字の色を変えるのだと言います。CGではなく手作業で実際に液体の色を変えるにはどうすればいいのでしょうか。

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思いついたのは、比重の違う液体に別々の色を付け、ゆっくり順番に注ぐことで色を変えるというアイデア。まず、比重の軽い紫色の液体を注ぎ、いったん文字が完成した後に比重の思いピンク色の液体を注ぐ、するとピンクの液体が沈んでゆき、真下から撮影しているカメラを通してみると、紫だった文字がピンク色に反転するように変わるはずです。

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 本番では大勢のスタッフが一斉に液体を注いでいきます。真下からその様子を全て撮影し、人間ならではの動きを感じさせるタイポグラフィを完成させます。

とはいえ、一回で成功したわけではありません。段取りを間違えたり、液体がうまくひっくり返らなかったり。その度に全ての容器をきれいに洗って、次のテイクの撮影スタートです。

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 CGだったら簡単にやり直しできますが、用意した色水の量には限りがありますし、やり直すにも時間がかかる。さあ、次こそは成功目指して!全ての準備を終え、動きを確認して本番です。

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 結果は成功、撮影した映像を早回しすると、文字が鮮やかに変化する可愛らしいタイポグラフィ作品が完成しました。

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