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あなたもできる!「映像を作るコツ」10~「テクネ映像の教室」プロジェクション ×添雅嗣

2024年3月17日(日)

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3月17日(日)にも放送された「テクネ映像の教室」。この「まなびノート」では番組ディレクターが取材を通じて知った「映像を作るコツ」を発信します。

「テクネ映像の教室」の<テクネトライ>というコーナーは、第一線のクリエーターたちに「〈お題〉の技法で実際に映像を制作してもらう」もの。

クリエーターたちが普段映像を制作する際には「この音楽の世界観を表す映像」とか「この商品の良さを伝える映像」が大半で、「この技法の映像」という依頼を受けることはまずありません。番組に参加したクリエーターたちは、その依頼が新鮮だと引き受けてくれ、普段とは違う七転八倒しながらチャーミングな映像を作ってくれたそう。

番組ディレクターの織田聡さんが綴ってくれた「映像を作るコツ」。あなたもできるかも!?

「テクネ 映像の教室」 プロジェクション×長添雅嗣

 

技法「プロジェクション」の映像制作にチャレンジしたのは長添雅嗣さん。
武蔵野美術大学卒業。デザイナーとして数々のCM、MV制作に関わった後、映像ディレクターとしてグラフィックデザインやアニメーションの手法で表現の幅を広げる。幅広い興味や遊びの中から生み出される新しい感覚や独特のリズム感を持つ編集、観客を引き込むストーリーづくりなどに定評がある映像作家です。現在は、映像チームKICKSを主宰しています。

「プロジェクション」技法とは映像をスクリーンや立体物に投影して鑑賞させる技法。

長添さんは当時(2012年)作られ始めていたプロジェクションマッピングを用いた作品について、「高度なテクノロジーを競ったり、大規模な作品が多くどこか無機質な技」法というイメージを持っていたそうです。

そこで「身の回りにあるモノに目と口を投影ししゃべらせる」という、プロジェクションの技術的にはシンプルな方法を選び、作品のトーンやキャラクターたちの魅力を引き出す作戦を考えました。

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・ストリート文化を感じるような部屋を再現し、そこに置かれている日常のモノに顔が現れ言葉をしゃべりだす。

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 ・顔が現れたモノが自らの日常品としての想いをラップにのせて歌い出すことでプロジェクションによって物に命が吹き込まれたように見える。

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 ・合成ではなく、実際のものに顔を投影させているので自由なカメラワークを可能になり、映像も曲の雰囲気に合わせたユルさを表現

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 「プロジェクション」の技術としてはシンプルというのは、複雑なマッピング技術を使用せず1台のプロジェクターで平面に投影しているという意味であって、撮影技術的には難しいことにチャレンジしている撮影でした。

・プロジェクターからの映像は明るい場所では見えづらくなってしまうので空間の明るさは抑えたい。しかし、それだと作品自体のトーンが夜のような暗いイメージになるので部屋は明るく、しかもキャラクターの顔ははっきりと見せるために露出の調整が必要

・大きな物にプロジェクション、ではなくどれだけ小さな物に投影できるか挑戦

ご飯粒に投影させた顔に、ラップさせました。
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 ご飯粒のようなとても小さな物に投影するには、かなりの調整が必要になります。レンズをいくつか繋げて顕微鏡ぐらいご飯粒に寄ることができるようにすると、レンズを繋げた分画面が暗くなってしまいました。そこでプロジェクターの明るさを強くするために光源の近くに置くなど、工夫を凝らしました。

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 物体に映像を投影することで、投影された物を他のモノに変化させるという「プロジェクション」技法の特徴を上手に使いユニークなキャラクター達が次々とラップを歌いながら登場する楽しい作品が出来上がりました!

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