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あなたもできる!「映像を作るコツ」06~「テクネ映像の教室」マルチスクリーン×クワクボリョウタ

2024年3月17日(日)

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3月17日(日)にも放送された、「テクネ映像の教室」。この「まなびノート」では番組ディレクターが取材を通じて知った「映像を作るコツ」を発信します。

 「テクネ映像の教室」の<テクネトライ>というコーナーは、第一線のクリエーターたちに「〈お題〉の技法で実際に映像を制作してもらう」もの。

 クリエーターたちが普段映像を制作する際には「この音楽の世界観を表す映像」とか「この商品の良さを伝える映像」が大半で、「この技法の映像」という依頼を受けることはまずありません。番組に参加したクリエーターたちは、その依頼が新鮮だと引き受けてくれ、普段とは違う七転八倒しながらチャーミングな映像を作ってくれたそうです。

番組ディレクターの織田聡さんが綴ってくれた「映像を作るコツ」。あなたにもできるかも!?

「テクネ 映像の教室」マルチスクリーン×クワクボリョウタ「モバイルフォン・リレー」

技法「マルチスクリーン」の映像制作にチャレンジしたのはクワクボリョウタさん。

アナログとデジタル、人間と機械、情報の送り手と受け手など、さまざまな境界線上で生じる関係性をテーマに作品を発表。代表作に「ニコダマ」「10番目の感傷(点・線・面)」などがあります。

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  「マルチスクリーン」技法とは複数の画面を組み合わせて同時に見せる技法。 クワクボさんは一画面の中にマルチスクリーンを作るのではなくスマートフォン一つ一つの画面をマルチスクリーンの一画面に見立ててストーリーを構成しようと考えました。

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「テクネ映像の教室」はTV番組ですが、映像はTVだけではないですからね!映像が流れる媒体から発想する、というクワクボさんらしい考え方だと思いました。

画面が一つのモニターから自由になると、技法の特徴だと思っていたものも別な考え方があるのだと分かってきます。

 

・一つの画面から別の画面へと境界線をまたいで移動する際に、実際にモニター画面を手で

 動かすアナログな動作を行う

・画面から画面への移動は、上下左右だけではなく立体的な移動が可能になる

・媒体の形によっては表・裏など視点の切り替えも可能

・画面と画面の間の空間を自由に使うことができる(例えば、画面をくっつけずに離しておくことができる)

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番組で放送する作品としてはひとつの映像作品になっている必要があるので、たくさんのスマホ画面の中を人が渡り歩きながら進んでいく様子全体をもう一回撮影しなければなりません。

スマホの数がたくさんあれば画面内を1回人が通り過ぎる映像を作りただそれを並べればマルチスクリーンは出来てしまいますがクワクボさんはさらに面白い方法を考えました。

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・限られた台数のスマホで、一斉に映像を再生

・スマホを操作する担当者全員がタイミングを合わせ、画面内の人物がうまく次の画面へ移動できるようにスマホを順番に並び替えていく

・スマホに流れる映像は順番通りに映像が繋がるようにあらかじめ編集しておく

・さらに再撮影用のカメラワークもタイミングをバッチリ合わせて

 

公園などでいろんな場所を歩く映像を撮影したクワクボさん

順番を計画しながら編集した映像を各自のスマホに振り分けて再生の準備をしました。

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クワクボさんも、スマホ操作で参加してくれたスタッフも、それを“映像作品”として撮影することになったNHKのカメラマンも緊張する中、失敗を繰り返すこと十数回なんとか成功、「OK!」のテイクを撮影することができました。

みんなでタイミングを合わせるのは大変でしたが、使ったのは撮影も再生もスマホのみ。みなさんもアイデア次第で面白いマルチスクリーンの使い方を見つけることができるかもしれませんね。