ページの本文へ

あなたもできる!「映像を作るコツ」05~「テクネ映像の教室」マルチスクリーン×土岐梓~

2024年3月17日(日)

記事サムネイル画像

3月17日(日)にも放送された、「テクネ映像の教室」。この「まなびノート」では番組ディレクターが取材を通じて知った「映像を作るコツ」を発信します。

「テクネ映像の教室」の<テクネトライ>というコーナーは、第一線のクリエーターたちに「〈お題〉の技法で実際に映像を制作してもらう」もの。

 クリエーターたちが普段映像を制作する際には「この音楽の世界観を表す映像」とか「この商品の良さを伝える映像」が大半で、「この技法の映像」という依頼を受けることはまずありません。番組に参加したクリエーターたちは、その依頼が新鮮だと引き受けてくれ、普段とは違う七転八倒しながらチャーミングな映像を作ってくれました。

番組ディレクターの織田聡さんがつづってくれた「映像を作るコツ」。あなたにもできるかも!?

「テクネ 映像の教室」マルチスクリーン×土岐梓「GRAVITY」

技法「マルチスクリーン」の映像制作にチャレンジしたのは土岐梓さん。

金沢美術工芸大学卒業後。フリーでミュージックビデオ制作やライブ撮影などを行っていました。卒業制作「帰るのうた」、寺前未来「徒歩5分」MV、寺前未来ワンマンライブ映像 「夢かと思った~special~」が代表的な作品です。

 「マルチスクリーン」技法とは複数の画面を組み合わせて同時に見せる技法。土岐さんはマルチスクリーンの画面ひとつひとつから音を出して、それを組み合わせることで“楽器のように音も重なり合う映像”を考えました。

 tekune5_1.png

 

 

 

 

 

 モチーフは、日常の中にあるガラス素材のさまざまな品々。カチンと鳴る可愛らしい音や、ビー玉の音が重なり合います。

 モチーフを集めたら、まずは一画面ごとの素材作り。自宅に撮影スペースを作り、1人で試行錯誤を始めました。

tekune5_3.png tekunne5_2.png 

 

 

 

ここで新しいアイデアが。白い背景に透明なガラスたちが並ぶ空間の映像は、実際の上下左右にとらわれず方向を自由に変えて画面同士を繋げてはどうかとひらめきました。

ガラス素材をさまざまな方向から撮影し、マルチスクリーンで組み合わせた時に、たとえばビー玉が画面同士の境界線を超えた動きをするような、重力の向きがわからなくなる不思議な世界になればと考えたのです。

とはいえそれは、撮影しながら、音のタイミングを調整し、さらに頭の中でマルチスクリーン画面の組み立てを想像するというなかなか難しい撮影になりました。

 tekune5_5.pngtekune5_4.png

 

 

 

自宅での撮影なので、撮影は周りが静かな夜の間に進めなければなりません。

夜中に何かひらめいてもいいように、さまざまなガラス素材をどっさり買い込んでおきます。(翌日の朝までお店は閉まってますからね)

tekune5_6.png

 

 

 

 

 

 

 マルチスクリーンで必要なことは

・画面をどう配置するかの事前の設計図

・1画面ごとの画角サイズや時間の計算

・それぞれの背景やモチーフの意味をはっきりさせる

 イメージを統一するのか、逆に対立させる素材にするのかで意味が変わる

・最後は編集でタイミングや動きを調整する

 土岐さんはたくさんの画面を組み合わせるので編集にもとても時間をかけました。

作品タイトルは「Gravity」。

まるで騙し絵のように、重力が変わる瞬間が訪れる作品になりました。

tekune5_7.png