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元日本テレビアナウンサー・桝太一のまなびノート「やっぱり海が好き!」

2023年7月24日(月)

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転職して活動の幅を広げて以降、さらなる「海愛」がほとばしっている桝太一さんに「海の生き物」に関するイチオシ動画を選んでもらいました!桝さんと一緒に見ることで、その面白さを再発見できるプレイリストになっています!

知っているようで知らない海の生き物のこと、夏本番を前に楽しく学んでみませんか?

《桝太一(ます・たいち)》

1981年生まれ。東京大学では農学部に学び、同大学院では農学生命科学でアサリの研究をしていた。2006年に日本テレビ入社、報道番組からバラエティまで幅広く担当し、日テレの看板アナウンサーとして活躍。2022年に退職し、同志社大学ハリス理化学研究所で専任研究所員として研究・実践活動に取り組んでいる。

目次

 

Q:率直に聞きます!なぜ“アサリ”の研究をしようと思ったのですか?

もともと、なるべく身近な生き物の秘密を知りたいと思っていたので・・・アサリって誰もが知っていて、味噌汁で食べたことがある生き物。でも、分かっていないことも意外と多かったので、そこを解き明かす研究を選びました。1年を通して潮干狩りをするのですが、真冬の雪の降る中でアサリが何をしているかって、みなさんご存じなかったりするので、本当に楽しくやりがいのある研究でした。

 Q:確かに知らないですね・・・1年中潮干狩りをする研究だったんですか?

アサリの貝殻を削って、断面にある縞(しま)の数を数えてアサリの誕生日だったり、成長スピードを解明する研究でした。アサリの殻を削るのが難しいんですよ。ハマグリはキレイに削れるのですが、アサリはでこぼこになってしまう。アサリとハマグリって同じようなものだと思っていると思いますけど、やはり生き物によって、種によって全然違う生き物だなと理解しましたよ。

 Q:今回のプレイリストで少しでも“海の生き物”に興味・関心をもってもらいたいですよね?

いかに短い時間で分かりやすく、しかもエモーショナルに伝えるかというサイエンスコミュニケーションを研究している人間としては、「NHKラーニング」にはギュッと内容が詰まっている動画がたくさんあっていいですね。

70年にわたって人に映像を使って何かを伝えることを研ぎ澄ませてきたのが“テレビ”ですから、それが各動画5~6分でもしっかりできているなと思いますので、その部分にも注目してもらえると、作り手としてもうれしいです。

1.【しぜんとあそぼ】貝の生態をここまで見せる!?桝太一も大興奮(※動画は画像↓をタップ)

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 Q:桝さんと言えばやはり貝、特にアサリは気になるんですね?

僕は、思春期ぐらいのアサリの研究をしていたんですね。アサリを砂から捕っちゃって・・・小指の爪ぐらいのサイズのアサリもいっぱいるんです。だんだんアサリに愛着が湧いてきて・・・「アサリだって親がいて、子どもが生まれて、赤ちゃんがだんだん大きくなって大人になるんだよな」というのを研究を通して実感していたんですよ。だから、最後のナレーションの「元気で育てよ」みたいなところにすごい共感します。どんな生き物にも命の巡りがあって、人生というか貝生があるんだというのが、改めて感じられる動画だと思います。

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Q:作り手の視点でのこの動画の見所は?

多分、アサリの前にカメラを置いて何十時間もずっと撮っていると思うんです。それをそんな苦労を感じさせずに、珠玉の部分だけを当たり前のように出している。テレビの、NHKの自然番組のプライドを感じます。一歩間違えると「ついに捉えた!」とかやっちゃいそうですけど、スッと出す感じが味わい深くいいですね。

Q:サラッとスゴいことやっているこの動画をご覧になった方に伝えたいことはありますか?

アサリの味噌汁、ボンゴレとかでも中身をしっかり食べてもらいたい。僕はアサリへのリスペクトがあるので、最後までほじくって全部食べてます。この動画から、そういう気持ちも学んでいただけたらうれしいです。

 

2.【サイエンスZERO】魚は“自分”が分かるのか?こんな実験やるなんて・・

(※動画は画像↓をタップ)

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Q:この動画は研究者の桝さんも驚きの連続だったみたいですね。

僕は魚にはあまり知性がないっていう先入観があったので、こういう実験の発想自体を持っていなかったですね。仮説の立て方からしてすごいです。その仮説を確かめるための実験も、魚の画像の顔を加工して水槽に貼るっていう・・・もう冗談みたいな発想。本当にすてきな動画です。コレを見て面白いって思える人は研究者向きなのではないかと思います。

Q:研究と聞くと、難しいそうって思ってしまって見る前に諦めちゃう人も多いのではないでしょうか?

研究の面白さというのは、みんなが「え?」って思うところを解き明かすところだと思うので・・・。この実験ってやろうと思えば誰でもできることなんですよね、「魚に鏡を見せて反応を見る」なんて。一瞬、何かふざけてるのかなって思うんですけど、そこから鮮やかな事実が分かる!この動画には研究の面白さが詰まっているので注目してみてもらいたいです。

 

3.【ダーウィンが来た!】あの「鉄腕DASH」とのコラボが実現(※動画は画像↓をタップ)

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Q:桝さんにとっても夢のコラボだったんですよね?

この動画の推しポイントは「私の表現」ですね(笑)。サイエンスコミュニケーションぶりをぜひ見てもらいたいです。わかりにくい研究とか現象というものを、分かりやすい言葉にするかにこだわったロケでした。私の言葉1つ1つに注目してご覧下さい!

Q:確かに桝さんのアナウンサーとしての言葉のセンスがスゴい動画ですね

僕が穴子の耳石(じせき)を「魚の日記」と表現しているのもそうですが、これがある意味、サイエンスコミュニケーションの1つですね。専門用語じゃなく、誰もが直感的に分かりやすい言葉でものごとを伝える。これがテレビの役割であり、アナウンサーの役割だと思います。 研究者のお二人とは、色々なお話をこのショート動画の200倍ぐらいしゃべっています(笑)本当はそれもフルで流したいぐらいですけど・・・

 

  4.【クローズアップ現代】シチズンサイエンスで日本の食卓に迫る!(※動画は画像↓をタップ)

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Q:桝さんはシチズンサイエンスに注目されていますよね

今はデータが多ければ多いほど分析できる時代で、一般市民のみなさんも科学に関われる時代だと思います。データを取るというのは、研究者界わいだけだと限界があって、実はちょっとした日常の中にも手伝えることがいっぱいあるんです。市民のみなさんにも広がって行くといいなと思いますね。

Q:シチズンサイエンスに興味を持ったら何から始めればいいですか?

バイオームというアプリがあるのですが、生物の写真を撮ると名前を推定してくれるのですが、その写真を撮った経度緯度とか位置情報を集めていて、それがビックデータとして蓄積されています。市民は生き物の写真を撮って「ああ、これの名前はこういうんだ」というのを楽しむ、そして、そのデータが研究に使われる。そんなアプリも出ています。

▶NHKでもシチズンサイエンス実施中!詳しくは下記URLからどうぞ~

https://www.nhk.or.jp/citizenlab/

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Q:ここまでご覧くださった皆さんに一言お願いします

NHKラーニングの動画は、僕自身も見ていて勉強になりますし、研究者の方にも見てもらいたいです。こうやって伝えるんだというヒントを得るような使い方もできるかなと思います。さらに最近は、いろいろな動画を当たり前に見られる環境ですが、NHKさんだから持っている贅沢な映像を自由に見られる面白さを意識すると、もっと面白くなると思いますよ。

最後に、私が公式ナビゲーターを務める特別展「海-生命のみなもと-」が、東京・上野の国立科学博物館で2023年7月15日(土)から10月9日(月・祝)まで開催されます。そもそも海はどこから始まったのか、また人間と海は歴史的にどんなかかわりがあったのかなど、様々な視点から海について考えます。これから私たちが「海」とどう関わっていくべきなのか、考えるヒントになればと思います。
※特別展「海-生命のみなもと-」(東京・上野の国立科学博物館)は終了いたしました。
 同展は、2024年3月16日(土)~6月9日(日)に名古屋市科学館で開催予定です。