ページの本文へ

NHK熊本WEB特集 クマガジン

  1. NHK熊本
  2. 熊本WEB特集 クマガジン
  3. 夏の高校野球熊本大会組み合わせ決定!

夏の高校野球熊本大会組み合わせ決定!

九州学院元監督・緒方徹さん 済々黌元監督・池田光頼さんがこの夏を展望!
  • 2023年06月27日

夏の高校野球熊本大会
組み合わせ決定! 注目校はどこに?

各都道府県で続々と組み合わせが決まる中、熊本でも6月22日、第105回全国高等学校野球選手権熊本大会の組み合わせ抽選会が行われました。
連合チーム3チームを含めた60校55チームが、甲子園を目指し熱き戦いを繰り広げます!
シード校8校がくじを引いたあと、各チームのキャプテンがそれぞれくじを引き、組み合わせが決まりました。やぐらの左から順に組み合わせを見ていきます。
(熊本局アナウンサー・法性亮太)

Aブロック 
第一シード文徳を、城北などが追う

文徳は、昨秋と今春の県大会で準優勝、RKK旗優勝、直近のNHK旗では、主戦のメンバーをベンチに多く置きながら準優勝と、新チームになってからの1年、最も安定した成績を残し続けてきました。森田監督はNHK旗のあと「チーム力の底上げができ、夏に向けてもう一度チーム内の競争を促すことができた収穫の多い大会だった」と振り返りました。去年から活躍する最速140キロ中盤の森平投手を中心に守り勝つ野球を体現する一方で、新チーム以降の主要大会での平均得点が7.5点以上と、破壊力のある打撃も持ち味です。投打のバランスの取れた布陣で、1997年以来26年ぶりの甲子園を狙います。

文徳高校・安武東洋主将

相手関係なく、自分たちの野球をすること徹底して1年間やってきた。今日組み合わせ決まっていよいよ自分たちの夏がきたと感じている。どこのチームも夏に仕上げてくると思うが、これまで通りバッテリーを中心とした守りからリズムを作って持ち味の攻撃へつなげる野球をしたい。目標は甲子園出場。でもそれ以上に悔いなく終われるようにしたい。

もう一つのシード校は、春の県大会ベスト4の城北。チームの軸は、県内一のサウスポーとの呼び声もある井口投手。春は、3回戦・熊本学園大付属戦で9回1失点完投。準々決勝でも、熊本工業、九州学院を破った八代東を相手に9回完封とベスト4に大きく貢献しました。夏に向けては「打たないと勝てない」と、打撃をテーマに取り組んでいる城北。春は井口投手に助けられることが多かった打線が、どれだけ奮起できるかがポイントになりそうです。

Bブロック 
専大熊本、熊本工業、九州学院、済々黌と、大混戦

甲子園出場、夏22回、春21回と県内トップの数字を誇る熊本工業が本命。去年秋はベスト8に入ったものの、今春は1回戦負け。その中、直近のNHK旗で優勝し、シード権を掴みました。守りは、左の沼投手、右の廣永投手と安定感のある2人が中心。特に2年生の廣永投手は、140キロ台のストレートと多彩な変化球が持ち味で、NHK旗の決勝で、文徳に対し2失点完投という夏に繋がる見事な投球を見せました。打撃では去年もクリーンアップを務めた井上選手が中心です。
今年も、夏に強い熊工を見せることができるのか、NHK旗優勝の勢いそのままに、2年ぶり23回目の夏の甲子園への戦いが始まります。

このブロックには、そのほかにも、有力校が揃っています。
もう一つのシードは去年秋の県大会ベスト4、2011年以来の夏の甲子園を目指す専大熊本(2023年4月に専大玉名から校名変更)。
県内屈指のサウスポー、エース松本投手を中心に、充実をのぞかせる済々黌。
そして、去年夏の甲子園ベスト8の九州学院もこのブロックです。
九州学院は、去年秋の大会で、熊本工業に1回戦負け、春は八代東に3回戦で敗れ、この夏の大会はノーシードで臨みます。しかし、去年夏の甲子園でもエースとして見事な活躍を見せた直江投手のほか、同じく右投げの西嶋投手も140キロを超えるストレートを投げる投手。2人を引っ張るキャプテン渡辺捕手も去年からマスクをかぶっています。さらに、俊足の大城戸選手、甲子園ではホームランも放った瀬井選手など、去年からレギュラーだった選手が数多く残っていて、個々の能力はシード上位校にもまったく引けを取りません。狙うのは、ノーシードからの甲子園出場です。

Cブロック 
九州大会優勝の有明が中心 
打撃持ち味の熊本商業が対抗

今大会第一シードの文徳を倒し春の県大会で優勝、さらに九州大会でも熊本勢として春35年ぶりの優勝を果たし、一気に優勝候補に名乗りを上げた第2シードの有明。特徴的なのが「機動力」。冬に、走りの専門家を呼び鍛えてきた走力はもちろん、九州大会では、1,3塁でのランナーの動き、ヒットエンドランなど、足を絡めた攻撃にも手ごたえを感じています。さらに、稲岡投手、吉田投手という左の2枚看板のほか、打撃では、九州大会で、藤崎台球場のバックスクリーンにホームランを放った村田選手など、投打にハイレベル。チームの掲げる目標は「甲子園初出場、初勝利、初優勝」です。

有明高校・山下登阿主将

抽せんを終え、夏が始まる実感がようやく湧いてきた。春の九州大会で優勝したが、夏は必死に戦わないと足をすくわれる。春以降は、少なからず慢心した気持ちがチームの中でもあると思ったので、一日一日大切にしながら、もう一度気をひきしめてやってきた。夏のテーマは「挑戦者」。目標は優勝だが、1戦1戦戦っていきたい。

また、県内の主要な公式戦4大会中3大会でベスト16以上と好成績を残してきた熊本商業が第6シード。春の県大会は3位に入り、72季ぶりに九州大会にも出場。ここ数年、バッティングで印象を残してきた熊本商業。今年は食事の改善も行い、根本的な体作りから見直して、打撃の力強さにより磨きをかけてきました。率いる古川監督はそのほか「スイング量」にも自信をのぞかせます。持ち味の打撃で、1960年以来の63年ぶりの甲子園を目指します。

そのほか、今年の春の県大会では、熊本工業、九州学院を相次いで破った、好投手、山口投手を擁する八代東もこのブロックで上位進出を狙います。

Dブロック 
投打のバランス東海大星翔が中心
経験豊富な秀岳館が追う 

新チーム最初の大会、去年秋の県大会を制した第3シード東海大星翔。去年も2年生ながらエースとして活躍した140キロ中盤のストレートを持つ玉木投手が中心。今年に入ってからは特出した成績は残していないものの、高校野球関係者からは「強いのは間違いない。どれくらいのチームを作ってきているのか不気味」という声も聞こえる、文徳、有明と並ぶ前評判があるチームです。昨夏は、その後、甲子園ベスト8の成績を残した九州学院に準決勝で3-4で敗れ、あと一歩のところで甲子園を逃しているだけに、今年の夏にかける並々ならぬ思いがありそうです。

東海大熊本星翔・川道樹主将

相手ではなく自分たちの野球をすることを大切にしているので、組み合わせを終えてから、気持ちに大きな変化はない。去年秋以降、県内では勝てていないが、練習試合では県外の強豪相手にもしっかり勝てているので自信はある。ほかのチームからは、打撃の印象を強く持たれていると思うが、自分たちは玉木投手を中心とした守りから攻撃につなげていく野球。それをしっかり体現していきたい。

このブロックには、過去に3季連続で甲子園ベスト4の成績を残した秀岳館もいます。去年夏はあと一歩の準優勝。その時のメンバーが複数残る今年、2017年以来、夏は4度目の甲子園を狙います。

そして今大会の選手宣誓は、抽せんの結果・・・

熊本学園大付属・福山翔大主将

熊本学園大付属福山翔大主将に決まりました!

名前を呼ばれてびっくりした。この2年半、野球をする中でいろいろな思いをしてきて、その思いを自分の言葉で伝えたいと思っていたのでうれしい。伝えたいことの一番は「仲間の大切さ」。これから監督、部長などと考えてきたい。今年はコロナの状況も良くなって、多くの方が見に来られると思うので、緊張すると思うが、多くの方が球場に足を運んでくれるような宣誓をしたい。

甲子園出場監督 
九州学院・緒方徹さん 
済々黌・池田満頼さんに聞く!

組み合わせ抽せんを終え、いよいよ開幕する夏の高校野球熊本大会。
過去に監督として甲子園にチームを導いたNHK熊本高校野球解説のお二人に、この夏の展望、夏のポイントを聞きました!甲子園に行くための要素の中には共通している部分も・・・

昭和50年、62年の2度、夏の甲子園に導いた九州学院元監督・緒方徹さん

まず緒方さんに、今年の大会の展望について伺いました。

非常にバランスの良い組み合わせになったなという印象。力があると感じているのは、文徳有明東海大星翔のシード3校と、九州学院の4校。まず文徳は何より勝ち続けている安定感。打撃も素晴らしい。気がかりなのは投手力。森平投手はいるが、一人で抑えきるというチームの戦い方ではないので、継投がかなり重要になると感じている。 有明はバッティングは一番良いのではないか。稲岡投手、吉田投手も良い。そのほかの投手も良く、投手層が厚い。何よりチームがまとまっていると感じている。 東海大星翔は主戦の玉木投手の制球が良くなったと聞いている。また、東海大相模から編入してきた百崎選手が加わり層が厚くなっている。 そしてノーシード九州学院。県内では勝てていないが、遠征に出て結果も出ている。そして去年夏甲子園ベスト8に残り、あの雰囲気の中で試合した選手たちがセンターラインが残っているのが強い。あの経験だけで、ミスが出なくなる、出ても修正できるようになる、そういう部分繋がってくると感じている。とはいっても、近年稀に見る混戦。一つの大きな理由は有明が春の九州大会で優勝したことではないか。ああいう試合をすると、熊本のほかのチームの選手たちも「自分たちも」という気持ちになる。相乗効果があると感じている。

自身の経験も踏まえ、夏勝ち上がり、甲子園にいくための要素も聞きました。

夏の勝利のために必要な3条件は「強さ」「運」そして何より「勢い」だと思っている。運は、日々の努力。勢いは、よく声を出す、攻守交替をきびきびする、リードしていてももう1点という粘り、勝ち方、そういう小さな積み重ねでついてくるもの。シード校以外にも十分チャンスはある。私が監督時代の甲子園も、ノーシードからの躍進だった。各チーム自分たちの力を出し切る夏にしてほしい。

平成24年に夏の甲子園に導いた済々黌元監督・池田満頼さん

池田さんは、平成24年夏、25年春センバツと、現阪神タイガース大竹耕太郎投手を擁し勝利もあげました。

組み合わせ全体の印象は、バランスよく分かれたなというところ。しいて言えば、Bブロックに少し入りすぎたか・・・。 「打力の夏」とは言え、投手力がしっかりしているところが甲子園に近いと思っている。 左の好投手、稲岡投手と吉田投手が2人いる有明。直江投手、西嶋投手という右の好投手が2人いる九州学院熊本工業も沼投手、廣永投手が良い。 一方で文徳は森平投手、東海大星翔は玉木投手はいるが、2人目以降は?と考えると少し不安。おそらく対戦相手を見ながら、先のことも考えての投手起用になりそう。とはいえ、上位はかなり拮抗している今年の夏と言えそう。

その中で、夏の大会で大切だと思うことをあげてもらいました。

夏は、スキを見せたチームが負ける。普段通りできるかが大事。普段通りというのは「練習と同じことをやる」ということ。これが「100パーセントの力を出す」ということだと思っている。言葉にすると、普段通りにすることは簡単そうだが、負けている場面、プレッシャーがかかる場面では、高校生は、練習でしていないことをやろうとしてしまう。私が大竹投手を擁して甲子園に行った時も「練習でしたことを信じてやるだけでいい」とだけ言い続けた。そして、今年のように拮抗していると、勝敗が「運」によって左右されることもある。その運は、全力疾走など、できることをしていないと逃げていってしまう。 そして最後は「監督の采配」。特に投手の起用法。先発投手は誰で行くか、継投をどのタイミングでするか。投手起用は個人的に非常に楽しみしている。 今年は、球が速いレベルの高い好投手がたくさんいるので期待している。 その好投手をどう攻略していくか、攻略しようとしてくるチームを投手がどう抑えていくか、しっかり見ていきたい。

いよいよ始まる第105回全国高等学校野球選手権熊本大会。大会は7月8日に開幕し、順調に日程が進めば7月24日に決勝が行われます。
NHKでは、今大会もラジオ、テレビで試合の模様を生放送でお伝えします。
私たちもできる限り、球児たちと同じ方向を向き、試合のポイント、プレーの意味、すごみ、高校野球の面白さを伝えていけるよう精いっぱい努めます!
ぜひNHKの放送でも高校野球をお楽しみください!

  • 法性亮太

    NHK熊本 アナウンサー

    法性亮太

    大学まで野球一筋15年
    世田谷西シニア(全国優勝)-慶應高-慶應大

ページトップに戻る