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島唄 元THE BOOMの宮沢和史さん 沖縄とふるさと山梨【前編】

  • 2024年03月04日

「島唄」や「風になりたい」など、数々のヒットソングを手がけた 元THE BOOMの宮沢和史さんは、甲府市の出身。

元THE BOOMの宮沢和史さん
ふるさと甲府のイベントで熱いステージを披露!

沖縄で初めて会い、山梨で再会を果たした宮沢さんと三橋アナ 

 

10数年ぶりに再会!
三橋アナ

10数年ぶりですね! かつて沖縄局でインタビューさせていただいて。まさか宮沢さんのふるさとで、またこうやって会えるとは。歌い終えていま、どんな心境ですか?

宮沢さん

帰ってくると、冷たーい空気と、月が近くに見えて、みなさんが優しく温かくて、あーふるさとに帰ってきたなーっていうのを実感した中で歌わせてもらったんで。

いろんな旅をしてきましたけども、いつも帰ってくるたびに、ココに帰ってくるために今まで旅をしてたのかなーって。今日も思いましたね。

一度去ったからこそ “ふるさとの良さ” が分かった

♪ 走りだせー
三橋アナ

「中央線」という曲を歌われていましたが、やはり、ふるさとから生まれてきた曲なんでしょうか?

宮沢さん

山梨の出身者は、たぶん、東京へ出たときに中央線沿線に最初住む人が多いと思うんですよね。怖くなったりつらくなったりしたら「あずさ」や「かいじ」に乗れば1本で帰れるし。僕もそうでした。中央線沿線に最初住んで、何かあったらいつでも帰れるから安心だな、ライフラインっていうか。

でも結局、プロになるためにバイトをしたりお金をためたり、大学に行ったり、バンドのメンバーとリハーサルをしたりしていると、帰ることはなかなかできないんですけれども、でも安心感というか、これに乗れば帰れるっていう思うだけで頑張れるっていう。僕にとってそういうものでしたね。

三橋大樹アナと宮沢和史さん
三橋アナ

宮沢さんは沖縄という、ある意味ふるさとを持ってらっしゃるし、山梨もふるさとだし。 山梨に感じるものは、沖縄とはまた全然違う? それとも同じ?

宮沢さん

山梨県甲府市って、とても良いところだと思うんですね。空気も水もきれいですし、やっぱり醸造所があるぐらいきれいだし、ワインがたくさん作れる。日照時間も多いし、四季もはっきりしていて、すばらしい場所ではあるんですけれども、やっぱり若い頃ってそういう良さが分からなくて、早く東京へ出てプロになるんだっていう風に、ふるさとにある意味、背を向けて、別れの言葉を言わず飛び出ちゃった感じがあるんですけれども。

でも沖縄に出会って。沖縄って全然、甲府と山梨と違うし、無い物ねだりで即、沖縄に飛びついていったんですけれども、行ってみたら、すごく近い部分がたくさんありましてね、助け合う気持ちとか。どこかで誰かが困っていたらすぐこう手を差し伸べる人が出てきたりとか、「無尽」ですとか。やっぱり助け合って、みんなで。その代わり、うわさ話が広がったりとか、そういうことはあるけれども、助け合う精神「ゆいまーる」と沖縄では言いますけれども、山梨にも「ゆいまーる」あるよな。

遠くて全然違うようだけれど、似てるところがたくさんあるなっていうのが僕の最近、思うところですね。大人になって、やっぱり甲府って山梨ってすばらしいところだなって。世界中いろんなところを回って音楽をやって来ましたけれども、だからこそ山梨のすばらしさ、甲府の美しさに、いまさらながらすごく感動していて、いろんな人に知ってもらいたいなっていう風な思いですね。

沖縄を知ったからこそ、ふるさとの良さが分かったのかもしれないですね。

子どもたちよ、“夢” を口に出そう!

甲府駅北口広場にあります
三橋アナ

私たちがいるこの場所も、ふるさとの重要なものの1つで、国の重要文化財「旧睦沢学校(藤村記念館)」。明治時代の小学校の教室を再現したもので、子どもたちの声が聞こえてきそうな感じがします。 宮沢さんは、いま甲府市の「ドリームキャンパス」という事業をされていらっしゃる。

宮沢さん

子どもたち全員から自分の夢をアンケートに書いてもらって、職業でもいいし、「お母さんになりたい」とか書いてもらって、じゃあそれになるために今、何をしたらいいのかっていうことも書いてもらったりして。

僕は、事前にそれを見て、子どもたちに話してもらって、それに対して僕が自分の経験の中からちょっと言える言葉を少し届けたり。そういうプロジェクトですね。

甲府市立甲運小学校のみなさん
三橋アナ

子どもたちから、どのような声が宮沢さんに届くんですか?

宮沢さん

例えば、女の子だったら保母さんになりたいとか、美容師になりたいとか、パン屋さんになりたいとかそういうものもあるし、時代を反映してユーチューバーとか、そういうものに憧れたりっていう子もいて、さまざまですけどでも。

僕はよく言うのは、夢って、かなえたときに初めて人に言いたいというか、口にしたい、かなえてから伝えたいって思うものですけれども、それはそれでいいんだけれども、こういう「ドリームキャンパス」みたいな場で、口に出して言うことで、彼はそんなこと思っていたのかと。あの子はこんなこと思っていたのかってみんな知るわけですよね。

そうすると、みんなの夢になるし、みんなの夢になるとすごい力とパワーが生まれてきて、みんなの夢になっていくんですよね。

子どもたちと給食を食べる宮沢さん
三橋アナ

自分だけじゃなくて、みんなの夢になる!

宮沢さん

僕自身もそうでした。子どもの頃からプロの音楽家になりたくて、そういうことを口に出してコンサートをしたりしてると、やっぱりみんなが応援してくれるし、大学までそういう感じで、周りの人たちが支えてくれたって実感があるもんですから。

子どもたちには、口に出さずに頑張るのもいいけれども、口に出して、みんなの夢になるのもいいと思うよ! みたいな話をするようにしてます。

「みんなの夢になるのもいいと思うよ!」
三橋アナ

ところで宮沢少年は、どんな少年だったんですか?

宮沢さん

全然自信のない、引っ込み思案でしたし、小さい時はホント体も弱くて。本当に心も体も弱い人間でしたね。だけれども友達が、釣りをやらないか? 野球をやらないか? ってすごく声をかけてくれて。山梨なんで釣りはいろんなところでできるので、そこで山梨の自然のすばらしさっていうのを子供の頃、知ったんですけれども。

それで、体も強くなっていったり、野球をしたり、ドンドン自信もついてきたり、体も強くなって。音楽でいつかプロになりたいっていうのは、中学ぐらいからおぼろげながらも思うようになって。今思えば、周りの友達とか先生とかのひと言とか、僕を応援してくれたりとか構ってくれたりとか。甲府で育って良かったなと思います。

「友だちが “釣り” をやらないかって声をかけてくれて」

扉を開けて! 奥に浮かぶ “本質” を知ってほしい。

宮沢さんは “やまなしんちゅ”= 山梨の人 です
三橋アナ

宮沢さんは、シンガーソングライターとして “沖縄” に出会いますね。今や、甲府市出身の宮沢さんを、沖縄の方「うちなーんちゅ」かって思う人が多いくらい!
沖縄に出会ったきっかけは?

宮沢さん

沖縄に行く前に、沖縄を好きになったんですね。「民謡」です。こんな美しい音楽がこの世にあったのか!っていう。

旋律、そして言葉、うちなーんちゅことば。あれだけいろんな波にのまれてきた島ですからね。一人では太刀打ちできない、みんなで何とかしようっていうこと。それが「ゆいまーる」であるだろうし、「かちゃーしー」かき混ぜるっていうこと、これもただかき混ぜる「チャンプルー」みたいなことじゃなくて、受け入れざるを得ない。地理的に、歴史的に、受動的ですよね。来る者を受け入れなきゃいけないっていう。そこの、どうにも行き場のない矛盾とか、怒りとか、喜びとか、それはもうかき混ぜるしかないっていう、そういうところから「カチャーシー」は来てると思うんですよね。

そういう言葉を知って、その言葉の奥には何があるんだろう? みたいな扉を開けてくれると、今インターネットの時代ですからいろいろ調べられますし、なにか沖縄の歌でいい歌があったな、なんて思ったらそれを調べていくだけでも、扉がドンドンいっぱいあって、その奥に “本当の沖縄” が浮かんでいるっていう。

「芸能」って入口になり得ると思うんですね。踊り、琉球舞踊でもいいですし、組踊でもいいし、沖縄のうちなー芝居でもいいし、歌でもいいし。何か気に入ったものがあったら是非、扉を開けて沖縄の本質を見る。「芸能」が一番、近道かもしれないですね。

「 “芸能” は、本質を知る入口になりうる」

THE BOOM(ザ・ブーム)でデビューして35年のことし、宮沢さんは、同じ山梨県出身のミュージシャン・藤巻亮太さんと、新曲「遠影(えんえい)」を共作しました。
この曲は、2月~3月の「深夜便のうた」として、NHKラジオ深夜便で3月まで放送されています。4月に発表するニューアルバムにも「遠影」が収録されるということです。

  • 三橋 大樹

    甲府放送局 アナウンサー

    三橋 大樹

    1994年入局、ポルトガル生まれ
    東京アナウンス室・沖縄局・ラジオセンターなどを経て2022年から甲府局
    沖縄局で「おきなわHOTeye」キャスターや平成23年~25年「沖縄全戦没者追悼式」の特番キャスター・司会を務め、ラジオセンターでは森口博子さんらとともに「今夜も大入り!渋谷・極楽亭」の司会を担当。
    報道からエンターテインメントまで幅広く活躍中

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