「パプリカ」ダンス監修 山梨大 中村学長 おもしろい大学に
- 2024年02月05日
小中学生の音楽ユニットのダンスで話題となったNHK2020応援ソング「パプリカ」やEテレの「ブンバ・ボーン!」のダンスを監修した山梨大学の中村和彦学長。令和5年度に学長に就任してから、大学の“おもしろさ”を追求し、地域に開かれた大学改革に取り組んでいます。山梨大学の水素研究や他大学との連携など、目指す大学の将来像を聞きました。(大友瑠奈記者)
パプリカの“おもしろさ” 大学にも
NHK2020応援ソングとして親しまれた「パプリカ」や教育テレビの「おかあさんと一緒」で話題になった「ブンバ・ボーン!」。
これらのダンスを監修したのが、子どもの発育や発達などを研究している山梨大学の中村和彦学長です。
山梨大学 中村和彦 学長
それぞれの人におもしろく踊ってもらうというのがいちばん大事なので、踊ってもらっておもしろくてまたやってみようと思える。そんなことをイメージして監修しました。
学長としても重視しているのは、ダンスと同じ“おもしろさ”です。
大学そのものをやっぱりおもしろくしたい。
大学の研究もそうだし、大学で仕事をしたり大学で学んでいることがおもしろいと思えるような大学にして、山梨大学をこれから強みのある大学にしていく第一歩だと思っていますので、そういうことを進めていきたいなと思っています。
大学が地域に知られていない
しかし、学長に就任して痛感したのは、大学が地域に知られていないということでした。
残念ながら山梨大学がどういう研究をしているとか、どういう取り組みをしているとか、どういうふうに地域に貢献できるかということを、一般の方、地域の方あるいは山梨大学を受けてくる高校生があまりにも知らない。
水素で産業界・行政と連携
そこで研究や取り組みを広く知ってもらうための改革として始めたのが、産業界や行政などとの連携です。
その1つが、水素をはじめとするクリーンエネルギーの研究です。
2023年8月、全国で初めて、自治体や企業と共同で水素燃料電池を載せた電動アシスト自転車の実証実験を始めました。
一般向けに無料で自転車を貸し出し、実用化に向けて水素の消費量などを調べます。
産業界とか自治体の方と、例えば少子化の問題あるいは温暖化の問題とか、そういったことをお互いに協力しながら解決できる実質的な連携をやっていきたいなと思っています。
新たな研究施設も整備
研究を強化するための拠点の整備も進んでいます。
中村学長に案内してもらったのは、令和6年度に完成予定の研究施設「ゼロエミッションみらいラボ」の予定地です。
この辺に新しいクリーンエネルギー、水素燃料電池の新しい建物を造る。
ここで造る意味っていうのは武田通り沿いからその研究室が見える。山梨大学はこんなことをやっているんだということを分かってもらえるような施設にしたいと思っています。
国の事業に採択され、およそ10億円かけて、国内のクリーンエネルギー研究の拠点となる施設を建築する予定です。
県立大学の講義も単位に
さらに、地域に貢献できる人材を育てるために他大学との連携も強化しています。
令和3年度からは山梨県立大学と連携し、どちらの大学の卒業単位としても認定される科目を設置しました。令和5年度は156科目に増やし、2つの大学の学生のべ460人余りが受講しています。
山梨大学はどちらかというと理系の大学、山梨県立大学はどちらかというと文系の大学なので、学生がさまざまな観点から学んでいると、それによって自分の専門性も明らかにしていったり、あるいは社会に出たときに役立てるような、そんなことを実感しています。
この日、県立大学で行われた「地域のチャレンジ」という科目では、大月市の酒造会社の社長が酒造りや海外市場での日本酒の広がりについて講義し、山梨大学の学生も受講しました。
山梨についてのいろいろな地域とか社会とか文化とか、いろいろ勉強することができてうれしかったです。
山梨大学はどちらかというと専門のこととかの授業が多いので、県に密着した内容っていうのは県立大学の方が多いなというふうに感じていて、そういうものもとる選択肢が出来るというのはとてもいいかなというふうに思います。
ことしは“創造”の年に
大学の“おもしろさ”を突き詰めていく改革。中村学長のことしにかける思いを聞きました。
ことしは創造の年にしていきたい。
新しい試みをしてみたり、あるいは大学をこれから積極的に皆さんにわかってもらえるようなそんな大学にしていきたい。創造しながら新しいものを生み出しながら、よりクリエーティブな大学にしていきたいなと思っています。