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アマチュア天文家“最後の星”に命名

  • 2024年03月12日

    高知市の世界的なアマチュア天文家が、自らが命名権を持つ最後の小惑星に名前をつけました。これまでの軌跡をたどり、命名の思いに迫ります。   (野本宗一郎)

    93歳のコメットハンター

     

    高知市の関勉さん(93)。

    関さんは、昭和25年から天体観測を開始。このころの望遠鏡は高価で、すべて手作りでした。

    手作りの望遠鏡をのぞく関さん

    昭和40年、「Ikeya-Seki彗星」を発見するなど、全国に天文ブームを巻き起こします。

    世界的なコメットハンターとして知られるようになり、これまでに6つのすい星を見つけました。

    レンズをのぞいた時、1961年秋の明け方の空にぱっと新しい天体が現れた。それを見た瞬間、私は思わず立ち上がり、非常に感動した。一生懸命、その位置を観測して東京天文台に電報を打った。それから24時間くらいたち、東京天文台から「おめでとう、あなたの発見を認めました」と連絡が来た。その時点で、初めて関すい星が生まれた。(関勉)

    関さんは、なんと223の小惑星も発見。小惑星には、命名権があり、幕末の志士・坂本龍馬など、高知ゆかりの人物や名所などの名前をつけてきました。

    最初は命名というのは、全く意識していなかった。ただ、せっかく名前をつけるのだったらと思い、高知県の名所というのも随分つけた。鏡川・五台山・浦戸湾・桂浜が宇宙にある。(関勉)

    名前をつけていない星は、残り1つとなっていました。

    最後の星の名は・・・

    「Nobutakagoto」

    芸西天文学習館に寄贈した五藤斉三さんです。同じ高知県出身で、望遠鏡やプラネタリウムを製作している会社の初代の社長です。五藤さんの望遠鏡が天体観測を支え続けました。

     

    およそ40年前に贈られた望遠鏡のおかげで、223すべての小惑星を発見できたといいます。今回、ひ孫の信隆さんの名前を最後につけたのです。

    高知県、いや日本で最大級の望遠鏡をこしらえて、あなたに送りたいと話していてびっくりした。それが結果的には、高知県に贈られ、芸西村に据えられた。それで新しい世界の観測が始まったわけだ。(関勉)

    関さんは今でも天文施設に通い続け、新しい星を見つけようと観察を続けています。

    人にしても出来事にしても自分の感動したものを、星に名前をつけて、その輝きを永久に宇宙に残したいというのが私の考えだ。だからもっともっとつけたい名前が出てくると思う。そのためには、これからまた、観測をやらなければいけないということになる。だから生涯現役。一生生きてる限りは。望遠鏡をのぞき続ける。(関勉)

      • 野本宗一郎

        高知放送局 記者

        野本宗一郎


        関さんの生きざまに魅せられました。

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