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第1440回
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2024年2月16日(金)公表

日本放送協会第1440回経営委員会議事録
(2024年1月23日開催分)

第1440回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1440回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2024年1月23日(火)午後1時20分から午後4時20分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 大 草   透
    尾 崎   裕    原 一 夫 堰 八 義 博
    不 破   泰   前 田 香 織 水 尾 衣 里
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  稲 葉 会 長 小 池 専務理事 林   専務理事
  山 名 専務理事 根 本 理 事 中 嶋 理 事
  安 保 理 事 熊埜御堂  理事 山 内 理 事
  寺 田 理事・技師長

 

 

< 場   所 >
○放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

< 議   題 >

 

1 今後の議事運営について

 

2 議事録確認

 

3 視聴者のみなさまと語る会(水戸)開催報告

 

4 会長報告(資料)

 

5 報告事項

 (1) 2023年度第3四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (2) 2024年度(令和6年度)国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (3) 2024年度(令和6年度)国際放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

 (4) 視聴者対応報告(2023年10〜12月)について(資料)

 (5) 2023年度子会社の決算見通しについて(資料)

 (6) 子会社管理状況等の報告(資料)

 

6 監査委員会報告

 (1) 子会社管理状況等の報告に対する監査委員会の意見

 

7 報告事項

 (7) 関連団体事業活動審査委員会報告(資料)

 

8 監査委員会報告

 (2) 関連団体事業活動審査委員会報告に対する監査委員会の意見

 

9 報告事項

 (8) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 

10 監査委員会報告

 

11 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

<熊埜御堂理事 入室>

 

 

1 今後の議事運営について

 今後の議事運営について、情報共有と意見交換を行った。

 

<熊埜御堂理事 退室>

原委員 退室>

<稲葉会長、専務理事、理事 入室>

 

 

2 議事録確認

 第1439回(2024年1月9日開催)の議事録および、第1427回(2023年6月27日開催)、第1429回(2023年7月25日開催)、第1430回(2023年8月29日開催)、第1432回(2023年9月26日開催)、第1433回(2023年10月10日開催)、第1436回(2023年11月21日開催)の「経営計画(2024-2026年度)(案)について」に関する議事録、第1436回(2023年11月21日開催)、第1437回(2023年12月5日開催)、第1438回(2023年12月19日開催)の「2024年度(令和6年度)収支予算、事業計画及び資金計画」に関する議事録、第1437回(2023年12月5日開催)の「2024年度(令和6年度)国内放送番組編集の基本計画について」に関する議事録、第1437回(2023年12月5日開催)の「2024年度(令和6年度)国際放送番組編集の基本計画について」に関する議事録を承認し、所定の手続きを経て、2024年1月26日に公表することを決定した。

 

 

3 視聴者のみなさまと語る会(水戸)開催報告

 (事務局)
 2023年度5回目の「視聴者のみなさまと語る会」を、11月18日(土)に茨城県にお住まいのみなさまを対象に開催し、29人が参加しました。今回は水戸放送局で参集形式にて開催しました。
 経営委員会から前田香織委員、水尾衣里委員の2人、執行部から根本拓也理事、山内昌彦理事、宮本愛子水戸放送局局長の3人が出席し、前田委員から、経営に関する基本方針や経営委員会の役割、受信料、インターネット活用業務、中期経営計画、中期経営計画の修正などについて説明しました。
 司会は水戸放送局の小松宏司アナウンサーが担当し、「全国向け放送・インターネット・イベントなどのサービス、経営全般などについて」、「地域放送・サービスについて」をテーマに、NHKの放送・サービス全般について意見を伺いました。
 参加者からは、経営全般について、「経営委員会が経営を監督するということだが、具体的にどのようなことをするのか」との質問が出されました。
 また、放送・サービスについては、「ラジオのAM1波の削減で、教育関連の番組などが削減されるのを懸念している」、「高齢者にもわかりやすいインターネットサービスについて、NHKの方針を伺いたい」、「視覚障害者が公開番組にインターネットで申し込みをするのは非常に難しい。書面での応募もできるようにしてほしい」などの声が寄せられました。
 地域放送・サービスについては、非常に多くの声があがり、「茨城県は民放のテレビ局がなく、NHK水戸に頼らざるを得ない」、「 20年前に水戸でデジタル放送が始まったころは多くの地域ニュースが放送されていたが、時間が減ってきている。内容もおもしろかったのに最近はおとなしくなったと感じる」、「魅力度ランキングで茨城は全国的に低い」として、もっと地域の魅力を発信してほしいとの要望が相次ぎました。
 ミーティング終了後には、「地域の人を主人公に〜あの時の水戸局、そして今」と題して、小田切千アナウンサーによる講演会を開催しました。

 

 

4 会長報告(資料)

 (稲葉会長)
 能登半島地震における災害免除について、小池専務理事よりご報告します。
 (小池専務理事)
 現時点で適用している災害免除の状況についてご説明します。
 NHKの受信料免除基準第1項第7号では、災害救助法が適用された区域内において、半壊、半焼、または床上浸水以上の程度の被害を受けた建物の放送受信契約を免除することとなっています。今回の能登半島地震においては、石川など4つの県の47市町村にそれぞれ災害救助法が適用され、現在2か月間の受信料を免除することとしています。加えて、国が特定非常災害に指定するなど被害が甚大であり、過去の災害の事例を踏まえて免除期間を延長するとともに、免除の対象を追加することが必要と考えられます。このため、免除期間の延長などについて免除基準第1項第8号に基づき、総務大臣に申請を行うこととしたいと考えています。免除対象には1か月以上避難指示などを受けた契約者を加えます。免除期間は4か月延伸して、6か月とします。免除の見込件数は、避難指示などを受けた契約者を加えて約6,000件、免除の見込額は約6,000万円です。資料2ページでは、参考情報として過去の特定非常災害の指定例を記載しています。特定非常災害の指定は過去7例ありますが、そのいずれもが災害免除期間を延長しています。
 ご報告は以上です。

 (森下委員長)

 このエリアは結構ケーブルテレビを視聴している方が多いのでしょうか。ケーブルテレビが見られなくなっているということですが。

 (小池専務理事)

 ケーブルテレビが被災し、見られなくなっている地域があります。今、BSの103チャンネルで石川県内の総合テレビを放送していますが、視聴者の皆さんから好評の意見をいただいています。

 (森下委員長)

 災害の状況がまだ、なかなか全容がつかめているのかよく分からないのですが、非常に厳しい状況が続くようですので、NHKとしても様子をよく見ながら対応していただければと思います。

 (小池専務理事)

 承知しました。

 

<稲葉会長 退室>

 

 

5 報告事項

 (1) 2023年度第3四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (根本理事)
 2023年度の第3四半期の業務報告を行います。この報告は、放送法第39条第4項の「会長は3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を経営委員会に報告しなければならない」という規定に基づいて行うものです。
 2ページは今期の概況です。今期は10月に発生したイスラエルとハマスの大規模衝突など、視聴者・国民の関心の高い情報を多角的に伝えました。受信契約については、10月から受信料の1割値下げと、学生免除の拡大を実施しました。12月には、衛星放送を再編しました。「ニュースウオッチ9」の新型コロナ関連動画や、報道局職員の不正な経費請求に関する問題については、信頼回復や再発防止策の徹底に取り組んでまいります。以上が今期の概況です。
 3ページからは、「5つの重点事項」について主な進捗を記載しています。まず、「1.安全・安心を支える」です。イスラエルとハマスの大規模衝突や「全銀システム」のトラブル、埼玉の郵便局の立てこもり事件などへの対応について記載しています。
 4ページは、「2.新時代へのチャレンジ」です。12月に衛星放送の3波を2波に再編しました。再編前後の特集番組で、新BSの魅力や今後の見どころをお伝えしました。その下では、情報空間の健全性確保への貢献について記載しています。
 5ページは、「3.あまねく伝える」です。11月に「スゴEフェス」と題して、教育コンテンツをEテレで集中編成しました。また、10月から、日曜夜8時45分の総合テレビのニュースで手話通訳を始めました。
 6ページは、「4.社会への貢献」です。第50回日本賞について、第90回を迎えた「NHK全国学校音楽コンクール」について記載しています。
 7ページです。地域局からのコンテンツ発信について記載しています。その下では、「人事制度改革」についての今期の進捗をまとめています。
 8ページは、「新しいNHK」を目指す構造改革についての取り組みです。まず、「保有メディアの整理・削減」について、その下は、「インターネット活用業務」の新たな取り組みを記載しています。続いて、「受信料の価値を最大化するためのマネジメント施策」についてです。NHK経営計画(2024-2026年度)への検討と、その下、営業活動の強化について記載しています。
 9ページは、中間持株会社「NHKメディアホールディングス」などの取り組みと、リスクマネジメントについての取り組みを記載しています。その下は、「計画期間中の収支と受信料の考え方」です。10月から「受信料値下げ」と「学生免除の拡大」を実施しました。
 11ページは、質的指標です。放送波別については、すべての項目で安定しています。一方、インターネットでは、前期に比べると全体的に低下していますが、前年同期の水準は維持できています。
 12ページは、量的指標です。放送接触者率は、地上波では総合テレビ・Eテレともに前年同期・前期比で減少となりました。衛星波については、12月の「BS再編」の効果が表れました。BS1やBSプレミアムの前年同期や前期の接触者率をそれぞれNHK BSの1か月と比較すると、NHK BSが大きく上回っています。
 13ページで、「今期の評価」を記載しています。「NHK紅白歌合戦」は、NHKプラスでの視聴UB数が約180万と過去最多となりました。長時間での視聴という点が特徴で、新たな視聴スタイルが生まれたと見ています。その下、「中央放送番組審議会の意見」は、2月開催のご意見を改めてご報告します。
 14ページは、「受信契約の状況」です。契約総数は年間目標58万件の減少に対して、12月末時点で22万件の減少、衛星契約は年間13万件減少の目標に対し、5.4万件の減少となっています。この中には、10月から開始した学生免除拡大の影響(契約総数△11万件、衛星契約△5万件規模)が含まれており、実質的には前年同時期の実績を上回っています。衛星契約割合は53.2%でした。
 「契約取次」の進捗です。年間計画に対して総数取次数は75.5%、衛星取次数は68.8%の達成率となっています。
 15ページと16ページは、12月末時点での「予算の執行状況」についてです。事業収入は4,984億円で、標準進捗を上回っています。財務収入の配当金の受け入れや雑収入の増等によるものです。事業支出は4,721億円で、標準進捗を下回っています。国内放送費や契約収納費、調査研究費などを中心に標準進捗率を下回ったことが影響しています。以上により、事業収支差金は262億円となりました。
 17ページには、課題に対する今後の取り組みをまとめています。
 以上、「2023年度 第3四半期業務報告」でした。

 

<小池専務理事、山名専務理事、根本理事、寺田理事・技師長 退室>

 

 (2) 2024年度(令和6年度)国内放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

(中嶋理事)
 来年度、2024年度の「国内放送番組 編成計画」についてご報告します。
 この「編成計画」は、前回、1月9日の経営委員会で議決いただいた「2024年度(令和6年度)国内放送番組 編集の基本計画」を踏まえて、来年度の具体的な放送計画をまとめたものです。
 来年度の編成計画は、次期中期経営計画と足並みをそろえて策定した「編集の基本計画」の6つの重点目標を踏まえて組み立てました。改めて重点事項を確認させていただきますと、「1.放送とデジタルが連携して 災害・減災報道を進化」「2.拡大する情報空間で 信頼のジャーナリズムを構築」「3.民主主義の一翼を担い 平和で持続可能な世界の構築に貢献」「4.社会の変化に応じて 学びのコンテンツを深化」「5.放送100年 未来を見つめ人生を豊かにするコンテンツを開発」「6.幅広いジャンルで 多様性を確保」となります。きょうは、この6つの戦略が表れているところを中心にご説明します。
 まず、1ページの一番下をご覧ください。改定日を4月1日、月曜日とします。
 2ページからは、放送波ごとにポイントをまとめています。まず、総合テレビです。これは先ほどの重点事項2と3に対応するところですが、緊迫化する国際情勢や物価高の中での実質賃金の目減りなど、暮らしの安全・安心が揺らぐ時代に、ニュース・報道番組を強化します。国際情勢を伝えるニュース番組は放送時間を拡充。解説番組は視聴習慣のある昼のニュースに続いて編成します。
 続いて、平日の午後1時から6時までは、生放送ゾーンに大きく衣替えします。これは重点事項1と2に対応したものです。課題となっている緊急報道への対応強化などを意識した編成です。1時から2時台は、全国ネットワークを生かして、その地域ならではのニュースをきめ細かく全国発信する番組を大きく拡充します。3時から5時台は、新たに生放送の「ワイド情報番組」を立ち上げます。ニュースや生活情報をお届けしていきますが、さまざまな形で、放送とデジタルの一体的な連携を模索する意味合いも持たせています。この時間帯の生放送ゾーン化に伴い、より柔軟に緊急報道に対応し、地震・津波や豪雨などの災害、それから事件・事故などのニュースを迅速に伝えたいと思っています。
 続いて、ゴールデンタイムには、今を生きる人々に知恵と勇気を届ける新番組を編成します。フラッグシップコンテンツとして育てていくことを期待しています。これは重点事項6に対応する取り組みです。
 それから、アーカイブスの活用戦略としては、「連続テレビ小説アンコール」をドラマの視聴習慣がある昼の時間帯に編成します。また、今見ても色あせないアーカイブス番組を、放送当時の背景や制作の舞台裏とともに伝える番組を新設します。重点事項5に対応した動きです。
 続いてEテレです。重点事項4の方針に基づき、子どもから大人まであらゆる世代の学びにつながる本物志向へと深化させていきます。今年度も実施してきた、視聴者の世代や生活スタイルに合わせる「ゾーン編成」はさらに強化します。
 平日の午後7時台は家族で楽しみながら学びも得られる番組を充実、土曜の午後8時から9時台は若年層に向けた番組を編成します。
 平日の午後5時台の子ども番組は、放送時間を5分間拡充するとともに、内容を強化します。データ放送でリアルに参加できる演出で幼稚園児や帰宅した小学生とのつながりを大切にし、接触増を狙います。
 平日の午後9時から10時台、土曜の午後10時台は大人のライフ教養ゾーンとして幅広い世代の知的好奇心に応える番組を一層充実させます。中でも午後9時台は、本格的な教養講座番組を新設したり、すでにある趣味番組の放送時間を拡充したりして、強化します。
 月曜、火曜、土曜の午後10時台には、アーカイブス活用の番組を新設します。音楽・教養・美術などEテレらしい番組を掘り起こし、えりすぐりの映像資産を視聴者に還元します。
 続いて、NHK BSです。12月に再編したばかりで、BS1とBSプレミアムの魅力を融合した新たなチャンネルとして、現在定着を図っているところです。ですので、来年度の改定でも、今の方針を継承、発展させていきます。ひとつ、大きく変わりますのが、MLBと日本のプロ野球の放送がかなりの試合数、入ってくることです。4月以降、スポーツ、国際情報、エンターテインメントが凝縮されたチャンネルという、NHK BSの真価がまさに問われることになります。これは重点事項6に対応する取り組みです。
 編集のポイントです。週末の夜は、自然・紀行・歴史・エンターテインメントなど、見応えのある特集番組を多彩にお届けしながら、JリーグやMLBに関する番組を編成します。平日の夜は、これまでBSプレミアムで放送してきた人気番組の多くを移設するとともに、水曜から金曜には、プロ野球を中心に関心の高いスポーツ中継を編成します。幅広い視聴者に満足いただけるよう、多彩な番組をお届けします。
 国際情報発信については、平日の午後10時からの報道番組を拡充するほか、国際放送のコンテンツを日本語化して伝える番組を編成して、平日夜の時間帯を強化します。これは重点事項3に対応した取り組みです。
 また、アーカイブスの活用では日曜の夜に、サッカーFIFAワールドカップの歴史を彩る伝説の試合の数々を高画質化し、原則ノーカットでお届けする番組を新設します。世界の名選手のプレーや日本代表の激闘の軌跡などをお楽しみいただきます。
 BSプレミアム4Kについても、12月から新しい編成がスタートしたばかりです。そのため、来年度改定では、この時刻表をほぼ踏襲する形にしています。ただし1点、4K波の編成に関して重要な方針があります。それは、4Kのコンテンツで2K版も制作して、NHK BSや他の波で放送する場合、原則、4Kを先に放送するということです。波の再編前はBSプレミアムと4Kで同じ時間帯に放送するケースが少なくありませんでしたが、4Kを先行放送することで、4Kの視聴者の受益感を高めたいと考えています。
 編成としては、月曜から木曜の午後7時台から8時台に、自然、紀行、歴史など4Kならではの、高精細で臨場感を味わえる番組を放送します。また、土曜の夜には、視聴者の関心が高いテーマを扱う大型特集や、まるで世界を旅しているかのような海外中継など、4Kならではの見応えやスケールの大きい番組で、視聴者の満足度を高めます。
 アーカイブス番組では、4Kリマスター技術でよみがえらせた上質な名作ドラマを随所に編成します。
 BS8Kは、変更ありません。8Kらしさを生かした圧倒的インパクトのある自然番組や美術番組、超一流のコンサートや極上のエンターテインメントなどを編成します。
 また、日本各地の貴重な文化財や優れた芸術、伝統文化・芸能、美しい自然など、映像資産として未来に残したいテーマを8Kの超高精細画質で記録・発信するとともに、各地の放送局での会館公開にも活用して、視聴者にNHKならではの新しい映像体験を届けます。
 続いて、音声波です。音声波は、2026年度からの2波化に向けた取り組みをさらに進めていきます。
 ラジオ第1です。平日の午後、日本各地の午後の空気感を生放送でお届けする番組を新設、全国のリスナーやコミュニティFM局などとのリアルタイムでのつながりを大切にします。2025年に迎える放送開始100年に向けて、ラジオ本来の魅力である「つながる力」を感じながら、リスナーとともにこれからのラジオの新たな可能性を探っていきます。
 また、土曜の夜のニュースを5分間、拡充します。週末に新たに気象予報士にご出演いただくことで気象情報を充実、災害が発生した場合に迅速に対応できるようにします。
 ラジオ第2は、音声波再編を前に、編成の大きな変更はしていませんが、語学の「基礎講座」の後に「ステップアップ講座」を置くなど、親和性の高い番組を連続して編成して、リスナーの聞きやすさの向上を目指します。
 FM放送では、2022年度、2023年度に引き続き、音声波再編を見据えて、教育番組を編成する取り組みを進めます。来年度からは、英語の語学番組に加えて、ハングルと中国語の講座番組を新たに編成します。
 次に、「新設番組等の概要」です。ここまでお伝えしたポイントと重なる部分が多いので、ご説明は省略させていただきます。
 17ページは、「放送時間等」です。放送波ごとに「教養」「教育」「報道」「娯楽」の各種別の定時放送時間および比率を記載しています。各波とも、免許や認定証の基準、もしくは「編集の基本計画」で定めた種別ごとの編成比率のいずれかを満たしています。
 18ページは、「地域放送時間」です。県域または広域に向けた地域放送の1日当たりの時間を記載しています。総合テレビは、1日平均2時間程度、ラジオ第1放送は2時間15分程度、FM放送は40分程度となります。
 19ページからは、「補完放送等の放送計画」です。「データ放送」は、頻発する地震や豪雨による災害を受けてニーズが高まる中で、安全・安心情報を引き続き充実させていきます。また、各種のスポーツイベントでは、試合や競技の結果、見どころ情報などを伝え、視聴者の関心にお応えします。今年度と大きな変更はありませんので、各波の詳細などは省略します。
 続いて、BSプレミアム4K、BS8Kの「データサービス」では、字幕表示を映像にかぶらない形で枠の外に行うサービスなどを提供します。視聴者から要望が多かったサービスです。
 次に、「字幕放送・解説放送・手話放送」等です。「字幕放送・解説放送・手話放送」は、誰もが快適に情報を入手できるよう、行政指針を踏まえて作成した長期計画に基づいて拡充してきており、その計画を実現する形で編成しています。放送波ごとに主な新規対象番組を掲載していますので、ご参照いただければと思います。
 次は番組ガイド(EPG)です。放送時間と放送内容について記載しています。
 24ページからは、インターネット活用業務についてです。「地上テレビ常時同時配信・見逃し番組配信」や「配信以外のサービス」、「地方向け放送番組の提供」などについて記載しています。ユニバーサル・サービス充実のため、2024年度から、NHKプラスの生字幕同期サービスを一部のニュースで開始します。
 最後に、「他の放送事業者が行う配信業務への協力」です。民間放送事業者によるテレビ番組配信サービス「TVer」経由で一部の番組を提供するほか、インターネットラジオ「radico」を経由したNHKラジオ第1放送、FM放送の配信を行います。
 「2024年度(令和6年度)国内放送番組編成計画」についてのご説明は以上です。

 (前田委員)

 2ページに「平日日中に生放送番組を編成」とあり、新しく生放送番組ができるようなのですが、「放送とデジタルを連携させたさまざまな手法で」ということに関してのお尋ねです。先日、福岡放送局に見学に行かせていただきましたが、7月の豪雨災害において、報道を24時間流すということをされていたことを伺いました。正にここに書かれている「放送とデジタルを連携させて」ということで、パソコンの画面を記者の方が扱いながら、そのようなことができる方を3人そろえて、それから気象予報士の方も3人そろえて、それで24時間体制でできるようにするということでした。それによって、ライブでずっとやっていても、視聴者のほうも常に新しい情報が見られるという、それはまさに、デジタルでリアルタイムのいろいろな情報を出していけるということです。そのときに伺ったのは、そのようなことができる記者やアナウンサーの方を育成しないといけないということもありますし、現状では足りていない、特に地方ではそのような体制になっていないということでした。今回、まさにそのようなことを地方でもやろうとしているので、ぜひやっていただきたいとは思うのですが、実際問題そのようなことができるような体制づくりや人材育成はどのようになっているのでしょうか。

 (中嶋理事)

 今おっしゃっていただいたのは、われわれの中ではリアルタイム解説と名付けているものなのですが、インターネットの画面にあるような地図情報に気象災害に関わる情報などを重ね合わせ、災害に関する専門性のある記者なりアナウンサーなり気象予報士が今までの取材した経験ですとか、あるいは現場の情報などをそれに付加して解説していくという形で、デジタルの効用とテレビの効用をうまく合わせた形で提供していくというものです。やはり東京からの放送だと、どうしても映像を通じて全体的にマスの情報が多くなりますので、地図を活用することで自分の地域が知りたいという情報に非常に適したやり方だと思っています。もともとは報道局のほうで始めた取り組みで、地方にも伝播させようということで、福岡は災害が非常に多いので一番先に手を挙げてくれて、ノウハウを共有し、福岡などで始まっています。それ以外の地域にもそれを今広げようと思っていまして、研修を行ったり訓練を行ったりしています。私のほうで言っているのは、少なくとも拠点局にはもうすでに何人かいるのですが、できれば1局に1人でも2人でも、そうした専門性のある伝え手がいれば、それぞれの地域のより細かい情報が出せるので、そのような形の体制整備ができないかということで取り組んでいます。

 (前田委員)

 今回の新しくできる番組も生放送番組なので、ぜひその辺りのノウハウがうまく生かせればと思います。よろしくお願いします。

 (水尾委員)

 TVerでも見られる番組があるとさきほど出ていました。TVerは無料配信ですが、そこにNHKのコンテンツを載せるということは、受信料を支払っていない人でも見られるということになってしまいます。また、NHKプラスとのコンテンツとの整合性はどう考えたらよいのでしょうか。

 (中嶋理事)

 TVerを通じたNHK放送番組の提供については、放送法第20条第15項の「他の放送事業者が実施する当該業務(番組提供業務)に相当する業務の円滑な実施に必要な協力をするよう努めなければならない」の趣旨にのっとって、TVer経由で、一部のNHK放送番組を提供しています。それはなぜかと言いますと、すでに放送した番組を提供することで、NHKの放送番組を見ていただく機会を増やすこと、それから、公共放送の理解を深めることといった目的があります。それともう一つ、TVerを経由したNHK放送番組の提供については、民放とNHKの「二元体制」の下で相互にメリットがある協調・連携を図るための取り組みという位置づけもあります。現時点では、おおむね5番組から10番組を放送後1週間程度、試行的な位置づけで行っていますが、番組名としては「ハートネットTV」ですとか、「きょうの健康」ですとか、そういった番組を提供しているということです。ただ、NHKは放送法で広告を禁じられていますので、TVerに載せたとしても、他人の営業に関する広告をNHK放送番組には付与しないこと、あとはTVerの広告収入はNHKには配分されないこと、当然ですが、そういったことに留意しながら進めている取り組みです。

 (森下委員長)

 限定しているというのは、どのようなところを限定しているのでしょうか。

 (中嶋理事)

 現時点では「大河ドラマ」であるとか、そうしたコンテンツについては、現在は提供していません。

 (森下委員長)

 どのような位置づけでやっているのでしょうか。

 (伯野メディア戦略本部長)

 先ほど中嶋理事が説明したように、これによってNHKの番組を知っていただくということが1つ最大の目的です。ですから「大河ドラマ」というよりは、例えば福祉番組などを、本当に限られた数だけ提供しているということです。ですので商業ベースに乗るような番組ではなく、そういったNHKならではの、NHKでしかやっていないようなコンテンツを、数を限定して提供しているという形になっています。

 (明石委員)

 私は、最近Eテレがおもしろいと思っています。海外のユニークな番組を放送したり、大人も楽しめるような科学解説の番組があったり、とてもNHKらしいと感じます。ただ、個人的な感想で思いつきですが、「教育テレビ」と言うとどうしても子ども向け番組のイメージが強く、教育も教養もエデュケーションで英語では同じEテレですが、教育と教養ということばは日本人の感覚では少し違って捉えられるのではないでしょうか。ですので、「教養テレビ」と言ったほうが「教育テレビ」よりも大人の視聴者が増えるのではないかという感想を持ちました。

 (森下委員長)

 BSに関して、去年はMLBが非常に話題になりましたが、たぶんことしも話題になるでしょう。そのときに、去年は2波あって、今度は1波になったということで、MLBの放送に影響が出てくるのではないかと心配していますが、そこはいかがでしょうか。

 (中嶋理事)

 ことしは大谷翔平選手をはじめ、去年までと同様あるいはそれ以上に関心が高くなると思いますので、MLBの放送に影響が出るような形のことは考えていません。むしろNHK BSで現在放送している通常の番組について、曜日や時間帯の変更、あるいは別の波で編成するというような形で、その辺の調整を今やっていますので、ご指摘のような視聴者のニーズに応えられない形にならないようにしていきたいと思っています。

 (森下委員長)

 12月から1波になっていますが、最近の視聴者のいろいろな意見や評価などの分析はされているのでしょうか。

 (伯野メディア戦略本部長)

 はい、しています。本当に毎日のようにしていますが、最初のころは当然なのですが、「この番組はどうやったら見られるのか」「BS103チャンネルで見ていたものが見られなくなったが、どこにどうやれば見られるようになるのか」といった問い合わせが非常に多かったのですが、そういった問い合わせは非常に減っており、今は本当に通常のような反響になっています。あと今一番多いのは、「BSプレミアムで放送していた番組がNHK BSでも見られているということに安堵している」という意見です。

 (中嶋理事)

 さきほど根本理事が報告していましたが、NHK BSの接触者率は、波の再編直前のそれぞれの波の接触率より高い値となっています。BS4Kのほうは、今回2波になったことで4Kを見ようという視聴者のみなさんの動機づけにもつながったのではないかと思います。4Kの接触率がこれまで以上にかなり上がっており、2波になったことの周知広報に力を入れたことなどによって4Kの認知度が上がってきたということなので、ここで4Kによい番組を編成して4Kに根づいていただくということが、大事な施策ではないかと思っています。

 (森下委員長)

 それでは、本件は終了します。

 

 (3) 2024年度(令和6年度)国際放送番組編成計画について(資料1)(資料2)

(中嶋理事)
 「2024年(令和6)年度 国際放送番組 編成計画について、ご報告します。この「編成計画」は、1月9日の経営委員会で議決いただいた「2024年度(令和6)年度 国際放送番組 編集の基本計画」を踏まえて、来年度の編成計画の要点をまとめたものです。本日は、「編成計画」を中心にご説明します。また、前回の経営委員会で議決していただいた「編集の基本計画」も、必要に応じてご確認ください。
 資料の2ページ目から4ページ目については、各サービスの「編成計画の要点」を記載したものです。いずれも、1月9日に議決していただいた、「編集の基本計画」を踏襲したものですので、要点のみをご説明させていただきます。基幹サービスの「テレビ英語放送」では、「編集の基本計画」の「4つの重点事項」に沿って、4点を挙げています。1つ目は「日本の視座に立った信頼される確かな情報で世界に貢献」、2つ目は「日本の魅力やグローバルな課題への日本の取り組みを伝えるコンテンツの充実」、3つ目は「国内放送との連携やデジタル活用により、効率的な展開を推進」、4つ目は「訪日・在留外国人向け情報発信の充実」です。このうち、特に強化したいと考えているのが、1点目の「日本の視座に立った確かな情報の発信」です。日本やアジアのニュースに力を入れて、専門性を生かした深い解説を強化するとともに、国際放送のフラッグシップとなるドキュメンタリー枠を新設します。また、2点目については、気候変動あるいは高齢化社会など、世界が直面する課題に対する日本の先進的な取り組みの発信も強化します。4点目については、能登半島地震で被災した訪日在留外国人に向け、今まさに多言語できめ細かい発信に取り組んでいるところです。
 5ページには、今申し上げたうちの「テレビ英語放送」の2024年度の新設番組・刷新番組を記載しています。まず、4つの重点事項の1点目と2点目を強化するために、新たに立ち上げるのが、「Documentary 360」(ドキュメンタリー・スリー・シックスティ)です。先ほどご説明したとおり、国際放送のフラッグシップと位置づけるドキュメンタリー枠です。これまで別々の枠で放送していました「NHKスペシャル」あるいは「ETV特集」など、国内番組の英語版と、国際放送独自の番組をこの枠に統合してお届けして、本数も増やす予定です。「Documentary 360」という番組名に込めた狙いですが、「多様なテーマに多彩なアングルで迫り、世界の視聴者に広い視野を提供する」という意図を込めたものです。NHKの番組制作力と取材力が詰まった、えりすぐりのラインナップをとおして、日本ならではの視点や、グローバルな課題に対する日本の取り組みなどを、世界に向けて発信していきます。2つ目の「Chatroom Japan」(チャットルーム・ジャパン)では、在留外国人の悩みに寄り添い、その思いを伝える3分間のミニ番組です。これまでは特集番組として不定期に放送していましたが、来年度からは定時化します。3つ目の「FRONTRUNNERS」(フロント・ランナーズ)は、さまざまな分野で活躍する日本人を紹介するドキュメンタリー番組です。新年度は社会性のあるテーマを強化して、特に世界を舞台に、平和で持続可能な社会づくりに挑戦する日本人を、分厚く取り上げていきます。
 各サービスの「編成計画の要点」に戻ります。3ページの上段の部分、17言語の多言語による音声サービスでは、日本の最新のニュースや、日本語を学ぶ語学番組などを世界に向けて発信します。インターネットサービスでは、デジタルシフトが進む世界での認知・視聴拡大のため、公共メディアとしてニュースや特集番組など、信頼できる良質なコンテンツの発信を強化します。同時に、今回の能登半島地震での経験も踏まえて、訪日・在留外国人向けの安全・安心情報の充実に取り組んでいきます。
 4ページの在外邦人向けの日本語サービス「NHKワールド・プレミアム」と「ラジオ日本」では、いずれも特に大きな災害や事件・事故の際、「日本語のライフライン」として海外にお住まいの邦人向けの役割を果たしていきます。
 6ページ目以降は、それぞれの波の放送時間や、番組の種別ごとの編成比率を記載しています。各波とも、おおむね今年度並みの数字となっています。
 「2024年(令和6)年度 国際放送番組 編成計画」のご報告は以上です。

 (森下委員長)

 今回の能登半島地震での在日外国人に対する情報提供で、特にトラブル等はなかったのでしょうか。

 (中嶋理事)

 能登半島地震では、かなりきめ細かく、日本語を除くと19言語でのサービスを行い、自治体や支援団体などおよそ1,300団体を通じていろいろなところにSNSを通じた発信などもしています。十分に情報が行き届いたかについては検証していかなければいけないと思いますが、今のところ、NHKのやっていることに対して問題があるという指摘は受けていません。ただ、災害は起きるたびに課題もありますので、検証してさらに向上させていきたいと思います。

 (森下委員長)

 能登半島にも結構な数の、いわゆる研修生がいたようですので、そのような情報は非常に大事だったと思います。

 (中嶋理事)

 そうした方がかなりいらっしゃることを再認識しましたのできちんと対応していきます。

 

 (4) 視聴者対応報告(2023年10〜12月)について(資料)

(安保理事)
 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、放送法第39条第4項に基づいてご報告させていただきます。
 まず、視聴者から寄せられた意見・要望への対応状況です。10月から12月に寄せられた視聴者の声の総数は、80万197件で、昨年度同期に比べて6万件以上増加しました。これは主に、12月1日にスタートした「衛星波の再編」に対して、「個別番組の放送予定」や「4K番組の視聴方法」などの問い合わせが多く寄せられたことが影響しています。苦情を含めた「意見・要望」は12万3,855件で、およそ9割は、ふれあいセンターなどの一次窓口で対応を完了し、残りは、本部や各放送局の担当部門で回答を作成するなどの二次対応を行いました。なお、衛星波の再編については、視聴者の皆さまからの問い合わせに丁寧に答えられるよう、ふれあいセンターのコミュニケーターを増やすなど、態勢を強化して対応しました。視聴者から寄せられた声の内訳については、ご覧のとおりです。
 続いて、4ページをご覧ください。こちらは「放送・番組」に対して寄せられた声の概要です。左の円グラフですが、最も多く寄せられたのは「放送内容」に関するもので、続いて「放送予定」「出演者」となっています。右の円グラフで、ジャンル別では、「ニュース/報道」が26%と最も多く、続いて「音楽」「ドキュメンタリー/教養」「ドラマ」の順となっています。また、声の内訳を見ると、「好評意見」が32.5%、「厳しい意見」は67.5%でした。「厳しい意見」の中には、表記の誤りや誤読などをご指摘いただいたものがあり、放送関連が196件、ホームページ関連では123件ありました。視聴者からの指摘については、直ちに番組担当者に連絡し、修正するなどの対応をとったほか、番組の責任者らが出席する各種の会議などでも情報を共有し、注意を促しました。
 次に、「インターネット業務」に寄せられた声です。今期は4万7,946件の問い合わせや意見が寄せられました。最も多かったのは「NHKプラス」に関するもので、全体の88%を占めています。登録や視聴方法については、放送やホームページ、ふれあいセンターの窓口でも丁寧に説明しました。また、大みそかの「NHK紅白歌合戦」でNHKプラスのPRをしたあとは、アクセスが集中したため、「つながらない」という意見・声が多く寄せられました。今回のことを教訓に、サーバーの増強など、対応策を検討していきます。
 続いて、「受信料」に関する声の概要と対応です。ふれあいセンターで受け付けた「意見・要望」は、1万2,811件、最も多いのは、受信契約の手続きや案内に関する送付物に関するもので、1万57件でした。10月から施行された「受信料の値下げ」と「学生を対象とする受信料免除の拡大」について、放送・ウェブサイト・SNS・ダイレクトメッセージなどさまざまな方法でお知らせしてきました。また、「データ放送」の画面上にある「受信料の窓口」をご案内するページを刷新するなど、環境の整備にも取り組んでいます。
 続いて、「技術・受信相談」に関する声の概要と対応です。受け付けた意見や問い合わせは、8,186件、最も多く寄せられた「受信不良」の申し出については、およそ6割を一次窓口で対応し、残りの4割は、訪問による二次対応で、直接、改善の指導や助言を行いました。
 続いて、「経営」に対する声です。経営に関して寄せられた声は、992件で、およそ半数が、「衛星波の再編」をきっかけとした受信料額や受信料制度に対するご意見でした。次いで、報道局の記者が不正な経費請求をしていた問題について、138件の厳しい声が寄せられました。
 7ページ以降は、視聴者から寄せられた声をもとに改善した事例を、3つご紹介しています。
 1つ目は、大相撲中継の取り組みです。NHKでは、70年以上にわたって大相撲を生中継でお伝えしていますが、さらに大相撲の魅力を伝えようと、場所ごとにさまざまな改善を重ねています。その一つが、スマートフォンやパソコンなどで視聴できる「大相撲特設サイト」です。「もう一度、あの取り組みを見たい」「郷土力士の結果を知りたい」という声に応えて、この特設サイトでは、十両や幕内の全取組を動画や特集記事で紹介しています。
 続いて、今年度から再開した「訪問学習」の新たな取り組みです。NHKでは、全国の中学生・高校生を対象に、各放送局のスタジオや制作現場の舞台裏を見学してもらう「訪問学習」を実施しており、キャリア教育の支援事業の一つとして、ご活用いただいています。以前から、特別支援学校の先生などから、「ぜひ、障害のある子どもたちも参加できるようにしてほしい」というご意見が寄せられてきました。こうした声に応えて、札幌放送局では、独自のプログラムを考案し、障害のある児童・生徒さんのための訪問学習を始めました。例えば、10ページの写真にあるように、視覚に障害のある生徒さんの場合は、カメラやスタジオセットに直接触れながら放送局の仕事を体験してもらうという工夫をしています。参加した子どもたちや保護者からは、「それぞれの障害に配慮した内容を考えていただき感謝しています」など、大変好評をいただいています。
 最後に、「AIアナウンス」の取り組みについてです。NHK放送技術研究所が開発したAIアナウンスの技術は、ニュース原稿などを専用のシステムに入力すると、アナウンサーの読み方を学習したAIが自動音声で読み上げます。現在、「おはよう日本」などのニュース番組のほか、全国27の放送局のラジオの気象情報のコーナーで導入しています。13ページをご覧ください。こうしたAIアナウンスの技術を、地域の防災・減災に役立ててもらう取り組みを進めています。2022年9月からは、「防災に関するさまざまな呼びかけ」の音声データを専用サイトで公開し、外部の方々にも自由に利用していただけるようにしました。東京・新宿区にある大規模バスターミナルでは、去年の夏、熱中症の対策として、この音声データを館内放送で繰り返し放送し、ターミナルの利用者や従業員の安全確保に活用しています。また、ことしの元日に発生した「令和6年能登半島地震」では、金沢放送局や新潟放送局で、繰り返し伝えるべきライフライン情報の放送にAIアナウンスを活用しています。これからも新たな技術を取り入れながら、さらなる放送・サービスの充実に取り組んでいきます。
 報告は以上となります。

 (村田代行)

 札幌放送局で障害がある生徒さんたちに見学に来ていただいたお話があり、大変よい試みだと思いました。札幌放送局に限らずほかのところでもやっていく予定や計画はありますか。

 (視聴者局 局長)

 ほかの局でもこうした取り組みについて共有し広げていきたいと考えています。

 (森下委員長)

 AIアナウンスについては、いろいろやってノウハウが蓄積されてきたと思いますが、今後、これをどのように使っていく考えでしょうか。まだそこまで至っていないという状況でしょうか。

 (中嶋理事)

 今の段階では1本1分前後の短いニュースがいくつか並んでいるようなニュースの中で使うことをやっています。例えば、今回の能登半島地震だと、ライフライン放送で被災者の方々の生活に関わる情報を繰り返し読み続けることになります。そのような場合には、やはり正確ですし、そのような部分をAIアナウンスが担って、アナウンサーは中継あるいは解説にさらに力を入れるなど、もう少しバランスを取っていきたいと考えています。まだ大きく展開していませんので、もう少し訓練したうえで、今後、情報棟の運用開始に向けて、質と量を確保しながら効率的に番組を出していくひとつのありようとして考えていければと思っています。

 (森下委員長)

 いろいろな局面でこれをうまく使いこなしていくのは大事だと思います。特に働き方改革もありますし、緊急の事態の人手が足りないときの対応など、いろいろと考えられると思いますので、今後とも研究していただきたいと思います。

 (中嶋理事)

 はい、分かりました。研究いたします。

 (大草委員)

 英語のAI放送はどの程度実用化できているのでしょうか。

 (中嶋理事)

 これは国際放送の中で、災害などの有事のときも含めて有用に機能しています。日本語よりも英語のほうが、人間の声に近い形で滑らかに聞こえますので、日本語の方も続けていきますが、英語もかなり有用性は高いのではないかと思っていますので、森下委員長がおっしゃったように、どのような場合に使うのかということを、実践を踏まえながら考えていきたいと思っています。

 (前田委員)

 意見・要望を受けての改善・対応事例の中で、大相撲ファンの方に向けての特設サイトをつくられて、とても好評のようですが、今後このようなインターネットのコンテンツが限定的になる印象を受けますが、継続してできるのでしょうか。

 (中嶋理事)

 今まさに業務範囲を検討されているところなので、どの業務ができて、どの業務ができないかということを、この場で今申し上げられる環境にはないと思っています。ただ、放送法が改正された場合は、放送をご覧になっている方に対しても、インターネットだけをご覧になっている方に対しても、同じ効用を感じていただかなくてはならないので、それに見合ったサービスをこれから構築していきたいと思っています。

 (前田委員)

 受信料を払ってテレビを見ている人たちから、さらに要望があって、このようなサイトをつくって追加の情報を提供しているのだと思っています。それによって、テレビで得られる情報プラスアルファがもらえて、より中身に興味ができて、よく見ていただくためのものなので、よくよく検討していただきたいと思います。

 (中嶋理事)

 前田委員がおっしゃったことは受け止めさせていただきます。

 

 (5) 2023年度子会社の決算見通しについて(資料)

(熊埜御堂理事)
 2023年度の子会社の決算見通しについてご報告します。
 まず、売上高についてです。12社合計では、2,415億円の見通しです。事業を行わないNHKメディアホールディングスを除く11社では2,351億円で、「マティス展」や「恐竜博」などの展覧会が好調である一方、NHKからの番組制作委託の減や売上不振などによって、6社が減収となり、前年度比で34億円減少する見通しとなっています。
 次に、営業利益です。原価等のコスト抑制策に取り組んでいますが、売上減やシステム対応経費の増等で営業赤字の団体もあり、NHKメディアホールディングスを除く11社合計で52億円、前年度比で27億円減少となる見通しです。各社別に見ますと、NHKメディアホールディングスは前年度が設立初年度のため、今年度は、傘下子会社からのこれまでの経営指導料に加え、はじめて配当収入が計上されています。また、NHKメディアホールディングス傘下の子会社に関しては、NHKプロモーションが実施する展覧会が好調です。また、NHKエンタープライズは、NHKからの番組制作委託の減によって減収減益の見通しですが、売上原価の抑制など、コスト削減に取り組み、営業利益の減少幅を抑制しています。次に、営業赤字を見込んでいる4社です。NHK出版は、テキスト等の計画と実売のかい離や物価高の影響も受け減収となり、12期ぶりの営業赤字の見通しです。また、NHK文化センターは、事業規模に応じたスリム化が進まず、4期連続の営業赤字の見通しです。一方、NHKビジネスクリエイトとNHK営業サービスは、一時的な経費の増によって営業赤字の見通しですが、新規業務の受託や経費の精査によるコスト削減への取り組みにより、事業計画上の営業赤字を圧縮し、収支改善が図られる想定です。なお、純利益は35億円で、前年度比で94億円の減少となっていますが、これは、前年度にNHKメディアホールディングス設立に伴う子会社の持合株式の整理を行ったことにより、時価評価による売却益が特別利益に計上されたことによるものです。
 次のページは事業計画との比較です。NHKメディアホールディングスを含む12社合計で、売上高は26億円の増収、営業利益は5億円の増益となる見通しとなっています。
 以上、今期の子会社は、NHKからの委託の減や一部売上不振等によって、厳しい業績となる見通しですが、新規業務の受託や開発、経費削減の取り組みを推進するなどして、売上増や営業利益の改善に努めています。グループ経営戦略局では、主管部局とも情報を共有しながら、次期3か年中期経営計画の中で各社の方向性を明確にし、各社の業績を注視しながら、適切に管理していきます。
 ご報告は以上です。

 (尾崎委員)

 1ページ目の売上高見通しで、グループ外との取引額が550億円ありますが、この部分でどれぐらい利益が上がっているのでしょうか。

 (熊埜御堂理事)

 単純計算できないため、今、手元にはありません。

 (尾崎委員)

 例えば、NHKエンタープライズやNHKテクノロジーズなど、プロジェクトごとに損益を出しているのであれば、外と中で集計したら分かると思います。売上高のNHKと関連団体との取引は、連結したら消えてしまうので、子会社の価値は、グループ外でどれだけ稼いで、どれだけもうけたかということなので、そこはきちんと把握していただきたいと思います。ここで赤字にならないように経営をしていただきたいと思います。

 (グループ経営戦略局 専任部長)

 最終利益ベースは出せませんが、営業利益ベースは個社別には計算しています。

 (熊埜御堂理事)

 これから受信料外収入を伸ばす意味では、まさにそこを見ていくことが重要だと思っており、一般的な傾向でいえば、NHKエンタープライズはグループ外でも利益を出していますが、その他の個社だと、かなり厳しい状況で、受託に若干頼っている経営を行っている社もあるので、その数字をしっかり見ていきたいと思います。

 (尾崎委員)

 外で稼がなくても、内部コストを下げる目的で子会社にしているのであれば、それはそれで追求していただいたらよいと思います。外で勝負して、損を出して、もうからないようなビジネスをやっている子会社は、逆にコストセンターとして、コストをどう切り詰めていくかということをやっていただいたらよいと思います。みんながみんな、外で稼ぐことを追求しなくてもよいとは思います。

 (熊埜御堂理事)

 そのとおりだと思います。個社によって取るべき戦術は違ってくると思います。

 (森下委員長)

 基本的には、当然、グループ外のものも計算はできるわけでしょう。そこをちゃんと管理していただかないといけません。

 (大草委員)

 民間企業では、よく連単倍率を指標として見ています。売り上げと営業利益における連単倍率が分かったら、教えていただけますか。

 (グループ経営戦略局 専任部長)

 NHK本体に対しての連単倍率でしょうか。

 (大草委員)

 そうです。

 (グループ経営戦略局 専任部長)

 決算のときもお示ししていますが、おおむね1.1倍弱ぐらいです。

 (大草委員)

 1.1倍というのは営業利益ベースですか。

 (グループ経営戦略局 専任部長)

 営業利益ベースは、別途でご用意します。

 

 (6) 子会社管理状況等の報告(資料)

(熊埜御堂理事)
 子会社の管理状況等について、報告させていただきます。
 まず、この報告の位置づけについて、ご説明します。子会社管理状況等報告は、放送法・内部統制関係議決・関連団体運営基準で定められている、子会社に対するガバナンスとして実施しています。内部統制関係議決に基づき、リスク管理・コンプライアンス、ガバナンス、業務の効率化の3つの視点を柱として報告を行います。
 1つ目の視点、「リスク管理・コンプライアンス」のご報告です。ことし7月から12月の取り組みからご説明します。8月以降、「ビジネスメール詐欺被害への対応」を行ってきました。NHKメディアホールディングスと被害に遭ったNHKプロモーションで、それぞれ再発防止策を実施するとともに、NHKメディアホールディングスの特命監査や研修を他団体を含め、幅広く実施しました。また、12月にあった子会社契約スタッフによる取材情報流出ですが、これについても現在も対応をしているところです。モニタリング・勉強会では、定例の勉強会などに加え、ジャニーズ事務所の性加害問題を踏まえ、同種事案の再発防止に向けた人権デューディリジェンスの勉強会を実施しました。また、セキュリティの向上を目指し、Microsoft365 E5の導入を進めています。今後の取り組みについては、詐欺被害の再発防止策はチェック体制を維持していきます。また、あらゆるリスクに対する感度を強化し、事前防止に努めます。Microsoft365 E5の導入は、今年度末をめどに、全団体で完了する予定となっています。
 ビジネスメール詐欺被害への対応についてです。NHKプロモーションの自主事業で、業務完了後、メールで届いた偽の請求書の口座に送金してしまい、被害にあった事案です。この偽の請求書の口座が、当初契約時とは全く異なる、別の国の口座であったにもかかわらず、送金先の確認をしなかったことや、この偽の口座登録時のチェック機能が働かなかったことといった問題点がありました。これを受け、NHKプロモーションでは、最初の契約時に口座番号を明記するとともに登録を行い、請求書の口座と登録口座とのチェックを行う等のルールを設定し、徹底することとしています。また、NHKメディアホールディングスでも特命監査を実施し、業務手順を確認、必要な見直しを促すとともに、グループ全体に研修を実施し、認識の共有を図るといった対応を行いました。
 次に、2つ目の視点、「ガバナンス」についてです。2段目の経営方針の周知では、今年度は特に次期中期経営計画の認識共有を図るため、団体トップの説明会をきめ細かに行うこと等に取り組んできました。今後の取り組みとしても、NHKの経営計画や方針についての浸透を図り、関連団体の事業計画や行動指針に反映させていきます。
 NHK文化センターの支援について、現状認識と課題です。NHK文化センターは、コロナ禍後、年々赤字幅は減少していますが、教室の顧客数と規模があっておらず、赤字経営が続いています。昨年度末で利益剰余金の残高は3.5億円で、一刻も早い事業収支改善の対策を図る必要があると判断しました。対応策について、事業基盤に見合う体制にするため、教室の規模や従業員の体制などのスリム化を実施します。また、近年取り組み始めたBtoB事業やオンライン講座などの新たな事業展開を強化し、収益改善を推進します。NHK文化センター単体では、こうした施策を行う資金やノウハウが不足することから、実施にあたっては、NHKメディアホールディングスとNHKエンタープライズを中心にNHKグループが資金・人材などを全面的に支援することで、再建を目指します。この取り組みについては、NHKとして収支改善・再建が計画どおり実施できているか、こまめにチェック、報告を行い、適切に指導を行っていきます。
 3つ目の視点、「効率性」についてです。1段目の、NHKメディアホールディングスについては、設立して1年でさまざまな効率化に取り組んできました。内部監査部門は、NHKメディアホールディングスで傘下団体の監査を集約し、グループ横ぐしでテーマ監査やプロセス監査等を実施してきました。効率化とともに、監査内容の平準化や、他社で検出された事例を、他の子会社に生かすといった、当初目標どおりの活動ができています。法務部門についても、外部の弁護士事務所との契約一元化、業務フローの策定・統一に向けた指導や傘下団体共通の法務セミナーの実施など、こちらも集約により効率化とともに、高度化に向けた取り組みを進めているところです。また、人材育成の一元化の視点では、サスティナブルな番組・イベント制作ノウハウを得るため、海外派遣による研修等、人材育成を行うなど、5社共同によるスケールメリットを生かして、本格的な人材育成施策を推進しているところです。こうした効率化や機能集約の取り組みに加え、傘下団体の事業連携をサポートする取り組みでも効果を発揮しています。例えば、横浜国際園芸博の基本設計とプロジェクトマネジメント支援業務の入札では、NHKメディアホールディングスが事務局となり、傘下団体共同で参加し、落札につなげました。今後も連携による受託を目指し、傘下団体の収益向上に寄与していきます。
 NHK財団については、管理部門の集約により、業務の効率化と要員削減を行っています。また、内部監査や収支改善施策の支援など、子財団であるNHK交響楽団のガバナンス向上や経営支援を行いました。統合による旧財団どうしの強みを生かした事業連携としては、上野の国立科学博物館の特設会場で公開した「防災デジタルミュージアム」です。NHKサービスセンター、NHKエンジニアリングシステム、NHK放送研修センターのそれぞれの専門性を生かした取り組みを進めています。今後の取り組みとしては、NHKメディアホールディングスは、NHKの経営計画と連動した傘下団体の3か年・事業計画の構築の指導を行うほか、NHK財団を含め、一層の効率化・高度化を進めていきます。
 ご説明は以上です。

 (不破委員)

 2ページの子会社の契約スタッフによる情報漏えいについてお尋ねしたいのですが、12月の経営委員会で報告された際、該当するスタッフが、ほかにどのような情報にアクセスしていたかを含めて、操作ログの調査をお願いしたところです。その当該のスタッフは、興味本位で閲覧したと述べているという報告が12月にあったので、そうであれば、ほかの情報も流出させた疑いもあるということで、早急な調査が望まれるところなのですが、調査状況について教えてください。

 (中嶋理事)

 委員からご指摘いただいて、解明を進めたところです。動機の解明、あるいはほかにもやっていなか、一緒にやったものの有無を特定するために、報道情報端末の連絡メールという共有のところのキーワード検索のログについて調べました。
 1つは、全体の検索について、この検索に関わるもので外部に流出したものは確認されていません。
 一方で、何でこれだけキーワード検索をしたのかということについては、最初は興味本位という形で動機について話していましたが、2回目の調査に対しては、「この企画が放映される可能性があることを関心がある人たちに伝え、SNSが盛り上がるのを見たくて、興味本位で送ってしまった。自分にとってメリットはなく、冷静ではなかった。大変なことをしてしまい、申し訳ない。」と話しています。この女性支援団体に対して、本人も関心を持っていましたし、関心がある人たちに伝えたかったということが、前回以降、明らかになった事実です。

 (不破委員)

 女性支援団体への検索のアクセスが、非常に多かったということでしょうか。ほかの団体や事項についての検索でも、多いものがあれば、ちょっとそこが怪しいと思いますが、いかがでしょうか。

 (中嶋理事)

 去年12月29日から先月までの1年間、この女性支援団体が登場したあとを見ると、団体名だけではなく、関係するものも含めて、これだけ集中して検索しているものは、ここだけです。

 (不破委員)

 引き続き、何か進展がありましたら、よろしくお願いします。

 (礒山委員)

 リスク管理とコンプライアンスのところにあったビジネスメール詐欺事件の件ですが、最終的にどのような決着をしたのか、報告をいただいていません。再発防止のためにも、この間の記者の不正経費請求では数百万円で、これもたしか2,000万円ぐらいあったのではないかと思いますが、該当者に対する人事的な処分のしかたも含めて、何度も徹底していかないと、再発すると思います。今、マネーロンダリングで相手先のどこに送るかなど、銀行も厳しくチェックしているはずで、すり抜けていくのは大変恐ろしいことだと思っています。

 (熊埜御堂理事)

 この秋以降、先方といろいろな交渉をしてきました。今、最終段階です。先方の会社での情報セキュリティに関しては問題なかったと、私どもには報告をしていますが、口頭での報告でしたので、その現物の提供を求めているところです。そのようなことなども確認し、一方でこちらに多大な非はあるものの減額交渉も行い、トータルとして両者でどのように今回の被害損額に関して分担するのかの交渉の大詰めですので、決着したら、改めてご報告したいと思います。また、それが決着すると同時に、委員がおっしゃられた今回のことに対する処分も、あわせて決定したいというスケジュールで考えていますので、もう少々お待ちいただければと思います。

 (前田委員)

 リスク管理・コンプライアンスのこれからの施策のところで、Microsoft365のE5ライセンスの導入と書いてありますが、これはライセンスを入れただけでは何も始まりません。グループ会社全体となると、ライセンスだけで数千万円を超えるぐらいの費用がかかっているはずです。そのライセンスを使って、どのようにコンプライアンスの管理、リスク管理をするかなどのほうが問題で、それをちゃんとコントロールして、そのような仕組みにするところが必要なのですが、どのようにされているのですか。

 (熊埜御堂理事)

 それはグループ経営独自、それから本体のこのようなものを管理する部署の両方がチェックしていて、現在のシステムでも社内の運用のどこに漏れがあるか、弱点があるかを検証とチェックをし、また、勉強会を開催していますので、Microsoft365の導入に向けても当然、研修を実施しています。

 (前田委員)

 全体のシステム管理を構築しないといけません。情報漏えいしないようにするパソコンの使い方や、いろいろな制限をする必要があります。

 (熊埜御堂理事)

 それは本体も先んじて導入しています。グループがちょっと遅れての導入となっていますので、本体の知見を含め、本体の管理している部署と連携して、グループ全体の運用管理を行っていきます。

 (前田委員)

 そこのところが肝になります。

 (森下委員長)

 この件は検討中と書いてありますから、検討したら、またご報告をお願いしたいと思います。

 (尾崎委員)

 先ほどの不破委員の質問の関連ですが、件数が多すぎるとか特定の案件に集中しているという事は事後には分かりますが、例えばひとつのことに極めてたくさんの検索をすれば、管理者側でやり過ぎているというのがリアルタイムで分かるようにはなっていないのでしょうか。この人は関係ないのに、ここにばかり検索しているという事が即座にわかるような防止・予防的なシステムは入れていないのですか。もちろん見られていることは分かっていて、あとになったらわかるというのも牽制になりますが、やっている最中にここばかり見ていると、普通、会社だったら関係ないところをのぞかないようにウォーニングが出てくるのですが、そこはフリーにやれるシステムになっているのですか。

 (中嶋理事)

 本件に関しては、この立場の人間に業務上必要ではない部分までのアクセス権限を与えていたところに、大きな反省点があると思っています。
 業務のキーワード検索という観点で言うと、いろいろなニュース番組を扱っているものは、この分野のニュースだけと限って扱っているわけではなくて、幅広い分野のニュースを扱っています。ウォーニングする仕組みはありませんが、業務上必要のないものにアクセスができないようにすることがいちばん肝腎と思っています。また、大事な情報はパスワードをかけて見えないようにすることが大事かと思っています。今はその2つの施策で徹底しようと思って、今月末ぐらいまでアクセスの絞り込みをやっているところです。そこに大きな反省点があると思っています。

 (尾崎委員)

 非常に多くのアクセスを特定なところにしているということに対するウォーニング、管理者に対しての警告は出ないということでよいでしょうか。

 (中嶋理事)

 そうです。時期によって一つのテーマに多くの人が集中してアクセスする場合がありますので。

 (尾崎委員)

 それは前の不正のときに調査されましたが、みんなで平均的にアクセスしているというのであれば問題ないですが、この人だけここに集中しているという分析もできるはずです。本当にホットなニュースだからみんなが見ているのなら、AさんとBさんのプロファイルはそんなに変わりませんとなりますが、Aさんはここばかり見ていて、ほかのところは見ていませんというようなことをやれば、正当な理由のことも多いとは思いますが、今回のような件を見つけることはできるのではないかと思います。

 (中嶋理事)

 もともとアクセスできないようにするのがいちばん大事だと思いますが、これから先、そのようなリスク事案を未然に防ぐためには、システム的に制御していくことも大事かと思いますので、検討できるのかどうかも含めて、現場と話をさせていただきたいと思います。

 (明石委員)

 NHK財団は、随分性格の違う4つの法人を1つに統合して、1年弱が経過しましたが、1つの組織としてうまく機能しているのかが心配です。いろいろな部分で効率化や削減をしたというご報告はありましたが、NHK財団の価値を高める活動が機能する状況になっているのでしょうか。

 (熊埜御堂理事)

 これまでの個社を事業本部制にして一体感を出し、それぞれの専門性が生きる形の事業を開発しています。例えば、NHKエンジニアリングシステムの技術、NHK放送研修センターのアナウンスメントなどのコミュニケーションにおける専門性、NHKインターナショナルの多言語施策、NHKサービスセンターがもともと持っている多機能な部分などを融合させた事業の開発をやっています。ここに載せたものに関しても、NHKエンジニアリングシステムが開発した8Kの技術、もともとNHK放送研修センターが持っていることばコミュニケーションをアナウンサーが関与し、さらにNHKサービスセンターがこのような新しい社会貢献事業を取ってくるということで、少しずつその効果を出すべく財団になったわけですから、結果を1つずつ積み上げていきたいと思います。ただ、管理部門は用賀に一元化されていますが、それぞれの現場はまだいくつかバラバラにあるので、一体感も含めて、2年目は第2フェーズのプロジェクトチームをつくって、第2フェーズでどうジャンプアップするかを全員で検討していると聞いています。

 (森下委員長)

 また成果が出たら報告をお願いします。

 

 

6 監査委員会報告

 (1) 子会社管理状況等の報告に対する監査委員会の意見

 (大草監査委員)
 きのうの監査委員会で、熊埜御堂理事から子会社管理状況等について報告を受けましたので、監査委員会で出た意見をここでお伝えします。
 まず、総務省の公共放送ワーキンググループの中で、子会社の事業が民業を圧迫しているのではないかという懸念が出ていましたが、エビデンスベースできちんと議論、説明していただきたいと思います。
 次に、中間持ち株会社の設立で、各社にあった内部監査部門が集約され、ただいま説明があったような集約の効果がある一方、各社にとっては、社長が直接監査を指示できる人間がいなくなっています。このことについて、不安を感じている社もあるので、何らかの方法でカバーできるよう、対策を考えていただきたいと思います。
 NHKメディアホールディングスは事業会社ではないので、今のスキームでは、たまった資金を再投資に回す形にはなっていません。中間持ち株会社のあり方については、2025年に見直しをすることになっていますが、こうした点も実施時期も含め、検討材料のひとつになるのではないかと思います。
 以上です。

 

原委員 入室>

 

 

7 報告事項

 (7) 関連団体事業活動審査委員会報告(資料)

(熊埜御堂理事)
 「第42回 関連団体事業活動審査委員会」について、ご報告します。
 本日の「事業活動審査委員会に関する報告」は、関連団体の事業活動についての適正性を確保する取り組みのひとつとして、「審査委員会」で得た助言などの知見を、監査委員会にもご活用いただくことを目的としています。
 委員会の概要です。10月31日に放送センター内で開催、委員全員が出席しました。議事は2つ、「2023年度上半期の『審査委員会』活動状況の報告」と、「関連団体の事業活動の適正性を確保するための取り組みの報告」です。
 1つ目の「2023年度上半期の『審査委員会』活動状況報告についてです。上半期、関連団体の事業活動の適正性に関する、委員会への苦情、意見の受け付けはありませんでした。議事の2つ目、「関連団体の事業活動の適正性を確保するための取り組み報告」です。前回同様、NHKの委員が、グループ経営改革の現状について説明し、それを受けて、外部委員からの意見を受けました。
 まず、NHK経営計画の検討状況については、一定の理解・評価をいただきました。そのうえで、「世界市場を見据えたコンテンツの制作・展開では、視聴者の理解を得られるよう配慮して進めるべきこと」、「受信料外収入を増やす施策を進めるにあたっては、NHKが取り組むべきものの視点を重視し、民放などとも理解を深め、公共メディアとして貢献する視点を踏まえた共同制作などのあり方も検討していくべき」、「共同利用型モデルの導入で長期的にコストが減っていくよう、慎重に検討していくべき」といったご意見をいただきました。
 次に、関連団体の誤送金等のリスク事案と対応については、「NHKメディアホールディングスは、傘下子会社のガバナンス強化に加え、業務のスリム化・コスト削減も設置目的にあるが、スリム化の推進が弊害とならないよう留意すること」、「誤送金の案件は、内部管理体制以前の初歩的な問題で、内部管理体制の見直しや再発防止策はもちろん、根本的な問題であることの認識をすること」という発言があり、NHKとして深刻に受け止めており、リスクに対する感度を高め、再発防止策を徹底すると答えました。
 委員会のまとめとして、NHK委員から、今後も経営環境にあわせたグループ経営施策を検討していくと意思表明をしました。NHKでは、今後も、事業活動審査委員会からの助言を、グループ経営改革の推進に活用していきます。
 ご報告は以上です。

 

 

8 監査委員会報告

 (2) 関連団体事業活動審査委員会報告に対する監査委員会の意見

(大草監査委員)
 きのうの監査委員会で出た意見をお伝えいたします。
 2ページに関連して、外部委員からこのような意見がありました。受信料外収入の拡大を検討する中で、地域でのイベント業務等の需給が民業圧迫につながるといった指摘もあるわけですが、実際には地域の新聞社や自治体と共同でイベントを実施することで地域に貢献しているという話も聞いています。視聴者に対して実態を正しく知っていただくためにも、エビデンスベースで議論・説明をしっかりやってほしいと申し上げました。
 以上です。

 

 

9 報告事項

 (8) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

(森下委員長)
 報告事項(8)について、特段の質問等がなければ、資料の確認のみで、報告に代えさせていただきます。

 

<林専務理事、中嶋理事、安保理事、熊埜御堂理事、山内理事 退室>

 

 

10 監査委員会報告

 監査委員会の報告について、情報共有と意見交換を行った。

 

 

11 今後の経営委員会運営について

 今後の経営委員会運営について、情報共有と意見交換を行った。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2024年2月13日       

森 下  俊 三 

 

 

大 草  透