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第1361回
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2020年10月2日(金)公表
※8 審議事項(1)インターネット活用業務実施基準の改定について は2020年11月27日(金)公表

日本放送協会第1361回経営委員会議事録
(2020年9月15日開催分)

第1361回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1361回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2020年9月15日(火)午後1時00分から午後4時50分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 槍 田 松 瑩
    佐 藤 友美子   堰 八 義 博 高 橋 正 美
    長谷川 三千子   水 尾 衣 里 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 正 籬 副会長 松 坂 専務理事
  板 野 専務理事 児 野 専務理・技師長 中 田 専務理事
  角   理 事 若 泉 理 事 松 崎 理 事
  小 池 理 事 田 中 理 事 林   理 事

 

 

<場   所>
○放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

1 意見募集の概要について

 

2 視聴者のみなさまと語る会(旭川)登壇者報告

 

3 集中討議

 (1) インターネット活用業務について

 

4 議事録確認

 

5 委員長報告

 

6 報告事項

 (1) 2020年度後半期の国内放送番組の編成について(資料1)(資料2)

 (2) 2020年度後半期の国際放送番組の編成について(資料1)

 (3) 契約・収納活動の状況(2020年7月末)(資料1)

 

7 その他事項

 (1) 公共放送の在り方に関する検討分科会について

 

8 審議事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の改定について(資料)

 

9 集中討議

 (2) 人事制度改革について

 (3) 意見募集の結果について

 

10 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、皆さまにはマスクを着用のうえ、出席いただいています。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 意見募集の概要について

 2021年度からの中期経営計画(案)に対する視聴者からの意見募集の結果の概要について、意見交換を行った。

 

 

2 視聴者のみなさまと語る会(旭川)登壇者報告

 9月12日にオンライン方式で開催された「視聴者のみなさまと語る会(旭川)」に登壇した、森下委員長、井伊委員から感想の報告を受けた。

 

<担当専務理事 入室>

 

 

3 集中討議

 (1) インターネット活用業務について

 執行部から説明を受けた「インターネット活用業務について」の内容を踏まえ、意見交換を行った。

 

<会長、副会長、専務理事、理事 入室>

 

 

4 議事録確認

 第1360回(2020年8月25日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2020年9月18日に公表することを決定した。

 

 

5 委員長報告

 (森下委員長)
 8月5日から9月3日まで実施しました「NHK経営計画(2021-2023年度)(案)に対するご意見募集」の結果について、報告します。
 「NHK経営計画(2021-2023年度)(案)」に対するご意見募集については、1,800件を超えるご意見が寄せられました。経営委員会では、すべてのご意見を確認するとともに、今後の審議・検討では十分に考慮していきたいと考えています。ご意見の全件を「NHK経営計画(2021-2023年度)(案)」の該当する領域ごとに整理した資料を作成しましたので、経営委員で議論のうえ、確定しだい執行部に提示します。
 今後、執行部で検討していただいたうえで、ご意見をどのように経営計画に反映させたか、また、取り入れられなかったご意見についてはどのような理由なのかを整理していただきたいと思います。
 なお、いただいたご意見、考慮した結果とその理由等については、中期経営計画の議決と同時期にホームページで公開する予定です。

 

 

6 報告事項

 (1) 2020年度後半期の国内放送番組の編成について(資料1)(資料2)

 (正籬副会長)
 2020年度後半期の国内放送番組の編成について、説明します。
 後半期についても、今年度の番組改定で定めた各波の大きな方針を堅持し、定時番組のさらなる定着と認知度の向上を目指します。そのうえで、主な変更点は、次の2点です。
 一つは、「NHK地域局発」と「列島ニュース」を新設し、各地域からの情報発信を強化します。コロナ禍で地域間の行き来がかつてのようにはなかなかいきませんが、NHKの強みである全国ネットワークを生かし、視聴者の期待に応えていきたいと考えています。
 もう一つは、「連続テレビ小説」、「大河ドラマ」の新シリーズなど、定期的に入れ替えている番組についてですが、今年度は新型コロナウイルスの影響で番組の入れ替えは例年とは異なるタイミングになる見込みです。
 その他にも後半期から新たに開始する番組はありますが、これまでに放送して好評を博したものをブラッシュアップするなどしたものが中心です。
 改定を実施する時期は各波とも9月28日になりますが、BS1については、野球のシーズン終了や欧米の夏時間の終了に伴う改定のため11月2日から実施します。
 まず、総合テレビからご説明します。
 大きな柱は地域情報の発信強化です。平日午前10時台に地域放送局が制作した番組を全国向けに放送する、「NHK地域局発」を新設します。さらに午後1時台には「列島ニュース」を新設し、地域放送局の「昼のニュース」をセレクションし、大阪拠点放送局から伝えます。
 朝の連続テレビ小説は「エール」に代わって11月30日から「おちょやん」が始まります。女優の道を生き抜き、「大阪のお母さん」と呼ばれるようにまでなった、ひとりの女性の波乱万丈の物語です。主演は杉咲花さんです。
 金曜よる10時の「ドラマ10」は、10月9日から「タリオ 復讐代行の2人」を放送します。元弁護士と詐欺師が泣き寝入りをせざるを得ない被害者に代わって、卑劣な悪人たちに復しゅうする物語です。主演は浜辺美波さんです。
 次の大河ドラマは「青天を衝け」です。主人公は「日本資本主義の父」と称され、新一万円札の顔としても注目される「渋沢栄一」です。幕末から明治へ、高い志を持って未来を切り開いた姿をエネルギッシュに描きます。
 日曜深夜0時10分は「進撃の巨人 The Final Season」を放送します。人類と謎の巨人の攻防を描く大ヒットアニメの第4弾で、最終章になります。放送開始日は調整中です。
 続いて、Eテレです。
 学校放送番組の新シリーズとして、木曜深夜0時45分からは「アクティブ10 レキデリ」が始まります。毎回「レキデリ(歴史デリバリー)」が歴史資料を届け、さまざまな歴史上の疑問について、探究する中高生向け番組です。
 木曜の深夜0時55分からは「アクティブ10 マスと!」を放送します。数学への苦手意識をなくし、生きるためにマストな数学力を身につけることをねらいとした中高生向け番組です。
 木曜のよる9時からは「ソーイング・ビー2」を放送します。英国全土から選ばれたアマチュアの裁縫自慢たちが、勝ち抜き戦でナンバーワンを目指す、BBCのドキュメンタリーの続編です。
 同じく木曜のよる10時からは「浦沢直樹の漫勉 neo」が始まります。2014年から放送してきた番組を3年ぶりにリニューアルします。
 火曜のよる10時50分からは「シュガー&シュガー」を放送します。サカナクション・山口一郎が「音楽に対する固定観念」をとりはらい、「新しい音楽の楽しみ方」を見いだす“エンターテインメント実験番組”です。
 水曜のよる10時50分からは「ねほりんぱほりん」の第5シリーズを放送します。なお、新型コロナウイルスによる感染が拡大し、再び全国で休校措置が行われるような場合には、前半期同様、児童・生徒の自宅学習を支援するための柔軟な編成を行うこともあわせて検討しています。
 続いて、BS1です。野球のシーズンオフや欧米の夏時間の終了に伴い、番組編成の一部を見直します。
 水曜よる9時からは「千鳥のスポーツ立志伝」を放送します。アスリートはなぜその競技に魅せられ、どこにハマったのか。選手独自の目線で、それぞれの競技が持つだいご味に肉薄します。
 土曜のよる10時からは昨年度後期にスタートした、本格派ヒューマンドキュメンタリー番組「ザ・ヒューマン」を放送します。
 土曜の午前11時には「週刊ワールドニュース」を新設します。日本と世界が新型コロナウイルスの感染拡大で大きく変わったことを意識した編成で、4月に立ち上げた世界の1週間の動きを振り返る番組の定時化です。
 このほか平日夜間(午後6時〜10時)の多くの時間を「BS戦略フリーゾーン」とし、社会の動きに反応し、特集を中心に機動的に編成していくゾーンとします。
 続いて、BSプレミアムです。
 火曜よる11時15分からは「魂のタキ火」を放送します。さまざまな世界で活躍する人々が、心ゆくまで炎の揺らめきを眺め、思いのままに語る、異色のエンターテインメントです。
 木曜よる8時からは「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」を放送します。「わたしたちの身体と心」に隠された驚異の世界を、最新研究と高精細CGで描きます。
 木曜よる9時からは「ザ・プロファイラー 〜夢と野望の人生〜」の第9シーズンを放送します。
 月曜から土曜の午前7時15分からは連続テレビ小説「澪つくし」を放送します。ヒロインは沢口靖子さんが演じます。
 続いて、BS4Kです。
 火曜のよる11時15分から「ウルトラセブン 4Kリマスター版」を放送します。1967年に放送開始された全48話です。
 日曜の午後6時から「オランウータン ジャングルスクール season2」を放送します。インドネシアにあるリハビリテーション施設での、個性的なオランウータンの孤児たちのドラマとハプニングを描きます。
 BS8Kでは、日中と夜間帯にそれぞれジャンルや番組の定時編成を開始します。
 続いて、ラジオ第1です。
 プロ野球の終了に伴って、土曜の午後2時5分から「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」を放送します。“NHKで初めて”パーソナリティーを務めるトーク番組で、等身大の「じぶん」を発信します。
 土曜の午後4時5分からは「ヤバイラジオ屋さん」を放送します。3人組のロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」をパーソナリティーに、関西出身である彼らのお笑い要素満載のトークで「音楽バラエティー番組」をお届けします。
 ラジオ第2では、月曜と火曜のよる10時から「ステップアップ中国語」を放送します。初歩を学んだ人が、よりレベルアップした内容に触れる番組です。
 土曜の午後6時45分から「ポルトガル語ステップアップ」を放送します。ポルトガル語の基礎を学んだ人を対象に、日常生活で使える自然な表現やコミュニケーションを学ぶ語学番組です。
 FMについては、後期は新設番組がございません。
 最後に、新たに実施する補完放送などの放送計画ならびにインターネット活用業務に関して、地方向け放送番組の提供を行うよう努めることについて記載しています。説明は以上です。

 

 (2) 2020年度後半期の国際放送番組の編成について(資料1)

 (林理事)
 2020年度後半期の国際放送番組の編成について、説明します。
 2ページ、「NHKワールドJAPAN」のテレビでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会の変化について、さまざまな分野の専門家にインタビューをする「We,in the Time of Corona」やコロナ禍で変化する時代に求められる兆しを捉える番組「The Signs」を新設するなど、番組を刷新・強化します。
 「We,in the Time of Corona」は日本時間で月曜の午前8時台ほか、「The Signs」は土曜の午後0時台ほか、各地域での好適視聴時間帯にあわせて放送します。
 5ページ、「NHKワールドJAPAN」のラジオでは、英語放送で、前半期は金曜のみ放送していた「週間ニュース」を、後半期は「Asian View」として、月曜から金曜の週5回の放送に拡充し、日本の情報を伝えるとともに、アメリカの公共ラジオへ番組を提供します。
 また、英語ニュースの放送ローテーションを一部変更します。加えて、中国語とハングル語のニュースの放送ローテーションも、一部変更します。
 最後に、ラジオ日本ですが、日本語放送は、例年行っているラジオ第1のプロ野球終了に伴う措置を、新型コロナウイルスによるプロ野球のスケジュールの変更により、今年度は11月から行います。
 後半期の番組編成については、9月28日から実施します。説明は以上です。

 (長谷川委員)

 「Asian View」というタイトルで1週間のニュースを放送するとのことですが、日本のニュースがなぜ「Asian View」なのか、アジア全体を日本でカバーするということですか。

 (林理事)

 「NHKワールドJAPAN」では、日本およびアジアのニュースを日本の視点で世界にお伝えすることに力を入れています。番組名は「Asian View」ですが、まずは日本の情報をたっぷりとお伝えします。ただし、日本の情報だけではなく、日本から見たアジアの情報もしっかりお伝えするということで「Asian View」という番組名としました。

 

 (3) 契約・収納活動の状況(2020年7月末)(資料1)

 (松崎理事)
 2020年度第2期(7月末)の契約・収納活動の状況について報告します。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、5月末までは全国で訪問活動を自粛し、第2期、6月と7月は感染拡大防止対策を徹底したうえで、受信契約に関するご案内の投函など非対面の営業活動を行いました。
 廃業や休業による事業所契約の解約が発生したことなどが影響し、契約総数増加、衛星契約増加がマイナスになるなど、営業業績は前年度を大幅に下回りました。営業収納額は、受信料の実質値下げと負担軽減策の影響などにより、前年同期と比べて減収になりました。
 1ページ、当年度分受信料収納額の状況です。2期の収納額は1,157億9千万円で、前年同時期を23億2千万円下回りました。
 次に、前年度分受信料回収額は2期が6億7千万円となり、前年同時期を2億8千万円下回りました。
 前々年度以前分の回収額は5億3千万円となり、前年同時期を1億7千万円下回りました。
 2ページ、契約総数増加の状況です。2期の取次数は26万6千件で、前年同時期を23万3千件下回りました。減少数は41万1千件で、前年同時期を4万7千件下回りました。契約総数は14万5千件の減少となり、前年同時期を18万6千件下回りました。
 次に衛星契約増加の状況です。2期の取次数は17万2千件で、前年同時期を15万4千件下回りました。減少数は22万1千件で、前年同時期を1万2千件下回りました。衛星契約は4万9千件の減少となり、前年同時期を14万2千件下回りました。
 3ページ、口座・クレジット払等増加の状況です。2期の口座・クレジット払等は、14万8千件の減少となり、前年同時期を19万8千件下回りました。口座・クレジット払等の利用率は90.4%でした。
 次に、未収削減の状況です。2期は未収数が、前年同時期を12万4千件下回り、11万4千件増えました。長期未収現在数は94万件となりました。
 契約総数増加と未収削減をあわせた支払数は25万9千件の減少となり、前年同時期を30万9千件下回りました。
 上半期9月末までは受信契約に関するご案内の投函などに限定した営業活動を行ってきましたが、10月以降は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を徹底したうえで、徐々に営業活動を正常化していきます。報告は以上です。

 (森下委員長)

 訪問活動は10月からは通常どおりですか。

 (松崎理事)

 営業改革で目指す訪問によらない取り次ぎを推進するうえでも、インターネットや文書による返送を依頼しつつ、訪問活動も徐々に進めていきたいと思います。

 

 

7 その他事項

 (1) 公共放送の在り方に関する検討分科会について

 (松坂専務理事)
 総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」の下に設けられた「公共放送の在り方に関する検討分科会」の第7回会合が、8月26日に行われました。この分科会は、「三位一体改革のフォローアップ」と「受信料制度の在り方」を検討テーマとしており、第7回会合では、NHK執行部へのヒアリング、意見交換が行われました。
 会合では、前回の経営委員会の集中討議で事前にご説明した資料に基づいて、「中期経営計画(案)」および「受信料制度に関するヒアリング項目」に関する説明を行い、構成員の方々と意見交換を行いました。
 冒頭、高市総務大臣からは、「中期経営計画案については、支出規模の圧縮に取り組まれるなど、改革姿勢を示されたことについて、率直に敬意を示させていただくとともに、着実な実現を期待する」との発言があり、そのうえで、現時点での受け止めとして5項目の発言がありました。内容は、(1)衛星とラジオの放送波の削減スケジュールの具体化、(2)受信料の引き下げおよび衛星付加受信料の扱い、(3)新放送センターの事業規模についての再度の検討、(4)営業経費の削減について、訪問によらない営業や視聴者対応の確立の具体的手法や目指すべき規模感、(5)グループ経営改革の全体像の具体化、中間持株会社の具体化、の5点です。加えて「受信料制度に関しては、総務省としても仮に放送法の改正が必要となれば、しっかりと取り組んでまいりたい」との発言もありました。
 各構成員からの主な発言として、中期経営計画(案)に関しては、「公共メディアの具体的な位置づけや、民放との二元体制のもとでのNHKらしさについて説明して欲しい」、「すでに契約いただいている方への接点強化はどのように行うのか」、「衛星波や音声波の整理削減により費用的にはどのような影響があるのか」などの質問が出されました。
 これに対しては、二元体制のもとでのNHKらしさについては、例えば、安全安心について日頃から防災、減災に資する放送を行うとともに、災害時には、番組編成を大幅に変更し、インターネットも活用して地域や個人により細かく届く情報を提供し続けること、社会の課題を提示・検証するドキュメンタリーや教育や福祉番組の提供、全国ネットワークを駆使した地域情報の発信、そして、NHKだけが行っている国際放送を通じた日本と国際社会の相互理解の促進に力を入れていかなければならないと説明しました。
 契約いただいている方への接点強化としては、例えば、NHKの災害報道やNHKニュース・防災アプリの河川カメラ機能などを紹介するチラシをつくり住民に配る取り組み、地域の視聴者から寄せられる疑問について取材してニュースで伝えたりする取り組み、NHKの番組のホームページに受信料や公共放送についてご理解をいただくバナーを貼っていることなどを紹介しました。
 衛星波の整理削減による効果については、衛星のトランスポンダーの利用コストが減るほか、関係する要員の削減やコンテンツの見直しなどで費用が減ると考えていますが、一方で、2Kのコンテンツを4Kにするためのコストもかかるため、そのような点も踏まえて、経費効果について詳細を検討していきたいとお答えしました。
 「受信料制度に関するヒアリング項目」に関しては、「居住情報の利活用や受信設備の設置確認制度について導入されれば、どのような経費削減効果があり、値下げにつながるのか」などの質問がありました。
 こちらからは現在、契約世帯以外にはどなたがどこに住んでいるか分からないため、一軒一軒点検訪問する活動などでおよそ300億円かかっていますが、新しい制度が導入されれば少なくとも100億円以上は削減されると見ていることや、NHKの事業規模、事業支出に見合うものを受信料として負担していただいているので、事業支出が小さくなれば還元する形で対応することになるという旨を説明しました。
 このほか複数の委員から、「NHKの番組に興味がない層や若い世代に対して戦略が必要ではないか」という趣旨の意見がありました。ジャンル管理の推進によって、どのようなジャンルにニーズがあるかを的確に分析していくことや、放送の持つ一斉同報とデジタルの持つ、より個人に届く情報をあわせて提供することによって、放送の価値を再認識していただくこと。また、NHKのコンテンツを民放の公式テレビポータルのTVerやほかのプラットフォームを通じて配信することで、NHKに接する機会の少ない方にも番組に触れていただくことが重要ではないかと説明しました。
 この他、「今後の受信料制度についてのNHKとしての対応は」という点については、会長の諮問機関である受信料制度等検討委員会を活用して、検討を進めたいと説明しました。
 なお、第8回会合は9月15日に開催され、「NHK経営計画(2021-2023年度)(案)」等に対する日本民間放送連盟、日本新聞協会、衛星放送協会、日本ケーブルテレビ連盟からのヒアリングが行われます。説明は以上です。

 (明石委員)

 大変丁寧に分かりやすく回答していると思いました。1点だけどのように受け取られているのか気になるのが、②の「新規契約などの契約・収納業務において1件あたりに要する費用」に関しての回答が「把握していない」という点です。通常の企業感覚では、営業に関する費用、特にこれだけかかっている費用を詳細に把握していないと捉えかねられないという印象を持ちました。どのような意図があったのでしょうか。

 (松崎理事)

 一軒一軒点検するという営業活動の前段階として、引っ越しの際には引っ越し業者や不動産会社を通して契約いただく、あるいは、事前にフリーダイヤルやインターネットでNHKにお届けをいただくような努力をさまざまなところでしています。そして最終的なお届けがなかったところに訪問員が一軒一軒点検しながら訪問する。それぞれの契約単価は提示できますが、どの部分を提示するかによって相当印象が変わります。その点については、会合の中でしっかり説明を行い、さらに経費の総額を取次数で割れば1件あたりの計算ができるデータもお示しして、状況をご理解いただくように丁寧に説明させていただいたと思います。

 (明石委員)

 分かりました。ただ、数字のインパクトはあると思いますし、具体的なケースでコストを提示することによって、新規契約獲得にはコストがかかるという実態を理解していただくにも数字があったほうがよかったのではないかと感じたので、お伝えしました。

 (松坂専務理事)

 当日は、2019年度の実績で訪問巡回活動や契約取次、支払再開などにかかる費用はあわせて394億円で、新規契約、住所変更、支払再開などの合計件数は447万件という説明をしました。
 また、世帯契約と事業契約に関する説明の中では、推計の世帯支払率が81.8%で、会えない方などもいることも要因ではないかということと、事業所の支払率については、日中お会いできることが多いので、94%になっていることもあわせて説明しています。

 

 

8 審議事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の改定について(資料)

 (森下委員長)
 次は、審議事項です。インターネット活用業務実施基準の改定について、松坂専務理事から説明をいただき、審議したいと思います。それでは、松坂専務理事、よろしくお願いします。

 (松坂専務理事)
 インターネット活用業務の実施基準の改定については、総務大臣に認可申請する変更案を経営委員会に議決いただく際に、法令に基づき、経営委員会において意見募集を行うこととなっています。改定に向けた変更素案を取りまとめましたので、審議をお願いします。
 資料は3点あります。別紙として変更の素案、別添として変更素案における「『インターネット活用業務の実施に要する費用に関する事項』の算定根拠」、参考として、「NHKインターネット活用業務実施基準の改定ポイントについて」です。
 変更素案に沿って説明します。対照表の形を取っており、表の左側が現行の条文、右側が変更後の条文の案となっています。
 まず、第8条について、インターネット活用業務の実施状況の評価に関して、評価の視点を明確にするため、「技術の発達及び需要の動向その他の事情を勘案して」という文言を追加しています。
 第9条では、インターネット活用業務審査・評価委員会の役割について、より正確な表現に改めています。
 続いて、第14条の3項は、放送番組等の提供期間等に関する規定です。NHKプラスにおける見逃し番組配信に関して、放送法上の努力義務である地方向け放送番組の配信については、東京から放送していない一部番組の見逃し番組配信を今年度から段階的に実施し、来年度以降配信を強化したいと考えています。ただし、拠点放送局からの配信は、放送直後から配信が開始できない場合もあります。このような場合に、通常7日以内としている見逃し番組配信期間が相当程度短くなることを避けられるよう、配信期間を14日以内とする規定を設けます。
 同じく第14条の4項は、放送番組等の提供対象地域に関する規定です。国際インターネット活用業務の充実に向けて、来年度から、在外邦人(日本人)向けのテレビ国際放送について、NHKワールドJAPANのウェブサイトでの放送同時配信と見逃し番組配信を開始する計画です。これらの番組は、国内放送(総合テレビ)でも放送しており、NHKプラスで提供する際には、受信料制度を毀損しないよう受信契約に係る認証を行っていることとの整合性を確保する観点から、在外邦人向けのテレビ国際放送の配信では、提供対象地域を日本国外に限る規定を設けます。
 次に、第17条は、業務実施に要する費用についての規定です。
 第1項では、2号受信料財源業務の実施に要する費用について、「実施しようとする業務が真に必要で有効なものか、受信料財源により賄うことが妥当かなどの観点から検討して抑制的な管理に努めるものとし、放送法第71条の2第1項に基づき策定し公表する中期経営計画に記載する」と規定します。第2項、第3項は、第1項の変更に伴い、文言を整理しています。
 また、第32条についても費用に関する文言を整理します。
 最後は附則です。附則第1条第1項では、施行日を来年の4月1日としています。第1条第3項などでは、すでに不要となった経過措置の規定を削除します。
 附則の元の第4条はオリンピック・パラリンピック東京大会に関する規定で、変更後は第3条になります。オリンピック・パラリンピック東京大会の開催延期に伴い、同大会の開催時期に関わる文言を改めます。また、同大会に関する業務の費用について別途上限を設けていた規定を削除します。変更素案の説明は以上です。
 次に、別添の「インターネット活用業務の実施に要する費用に関する事項の算定根拠」をご覧ください。
 「インターネット活用業務実施基準」の改定にあたっては、総務大臣への認可申請に際し、「インターネット活用業務の実施に要する費用に関する事項の算定根拠その他の参考となるべき事項を記載した書類を添付すること」とされています。また、経営委員会が意見募集をするに際しても、「算定根拠その他のこれに関連する資料」が必要とされています。
 2号受信料財源業務については、「ア 実施に要する費用」について、中期経営計画に記載することとしました。現在策定中の中期経営計画において、令和3年度から令和5年度の費用について記載することになります。
 「イ 計上する費用」は、今年度と同様、実施費用に加えて給与や共通管理費、減価償却費を計上することを記載しています。
 「ウ 算定根拠」では、中期経営計画において、協会の業務全体の中でインターネット活用業務のあり方や費用を検討していくことを記載しています。
 2ページの中ほどからは、計画期間中の費用の考え方を示しています。常時同時配信等の業務については、サービス実施時間を増加するなどの充実、セキュリティやプライバシー対策の強化、また、地方向け放送番組の見逃し番組配信強化に伴う費用増を見込む一方で、より効率的な実施方法により費用の抑制を図ります。
 常時同時配信等以外の国内インターネット活用業務については、民放との連携・協調やユニバーサルサービスの実施、東京オリンピック・パラリンピック等におけるデジタル展開に要する費用を見込んでいる一方、既存業務の費用を一層抑制することで、総額の圧縮を図ります。
 国際インターネット活用業務については、国際放送番組の配信強化や多言語化の推進、コンテンツ強化の一方、既存業務の費用の見直しを行い、必要な取り組みを効率的・効果的に実施します。
 4ページでは、現時点での見通しを明らかにしています。それぞれ総額で、令和3年度は197億円、令和4年度は194億円、令和5年度は193億円と見通しています。今後、実施基準変更の認可申請までにさらなる精査を行い、中期経営計画に記載します。
 5ページでは、ほかの事業者に対するBtoB提供を無償で行う3号受信料財源業務の費用について、表現を少し改めていますが、現行の実施基準の考え方と同じです。もう一つの参考資料は今回の改定のポイントをまとめたものです。説明は以上です。

 (明石委員)

 附則第3条のオリンピック・パラリンピック東京大会に関する記述についてですが、全体的なところでは非常に普遍的な実施基準になったのに、個別の項目が記載されているのはここだけという印象を受けます。今後のオリンピック・パラリンピックやワールドカップなどを意図しているのなら、ここの文言は少し幅を広げた書き方にしたほうが、分かりやすいのではないかと思います。

 (松坂専務理事)

 オリンピック・パラリンピック東京大会については、現在の実施基準にも書いてありますが、附則第3条でインターネットをどのように活用するか、聖火リレーや関連番組などの提供や、期間中にNHKプラスでもメッセージを表示しないで提供することなどがありますので、来年度については記載のとおりにしています。

 (明石委員)

 わかりました。

 (森下委員長)
 それでは、この案を大筋で了承し、意見募集の手続きに進みたいと思いますが、皆さまいかがでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

 (森下委員長)
 それでは、ただ今の審議を踏まえ、インターネット活用業務実施基準の改定について、経営委員会は執行部案を大筋で了承します。1か月間の意見募集の後、本件については、あらためて審議します。それでは、本件を終了します。

 

 (森下委員長)
 執行部との合同会議は以上となりますが、皆さまからは何かありますか。

 (正籬副会長)
 前回の経営委員会で新型コロナウイルスへの対応について報告しましたが、私の説明に対して質問がありましたので、補足させていただきます。
 世界で再生回数が3,000万回を超えたマイクロ飛まつ感染のショート動画の言語的な内訳は、英語を筆頭に、中国語、インドネシア語、ポルトガル語、スワヒリ語、ベトナム語です。

 

<会長、専務理事、理事(一部) 退室>

 

 

 9 集中討議

 (2) 人事制度改革について

 2021年度からの中期経営計画に関する集中討議として、執行部から説明を受けた「人事制度改革について」の内容を踏まえ、意見交換を行った。

 

<副会長、担当理事 退室>

 

 (3) 意見募集の結果について

 2021年度からの中期経営計画に関する集中討議として、中期経営計画(案)に対する視聴者からの意見募集の結果について、意見交換を行い、ご意見の全件を領域ごとに整理した資料を確定し、執行部に提出することを決定した。

 

 

10 今後の経営委員会運営について

 今後の経営委員会運営について、意見交換を行った。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2020年9月29日    

森 下 俊 三

 

 

高 橋 正 美