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第1345回
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2020年1月31日(金)公表

日本放送協会第1345回経営委員会議事録
(2020年1月15日開催分)

第1345回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1345回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2020年1月15日(水)午前10時から午後0時10分まで

 

<出  席  者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 佐 藤 友美子
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 長谷川 三千子
    水 尾 衣 里      
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  板 野 専務理事 児 野 専務理事・技師長 荒 木 専務理事
  松 原 理 事 黄 木 理 事 中 田 理 事
  鈴 木 理 事 松 坂 理 事 正 籬 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

1 報告事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の認可について(資料1)(資料2)

 

2 会長報告

 

3 議決事項

 (1) 2019年度(令和元年度)インターネット活用業務実施計画について

(資料1)(資料2)(資料3)

 (2) 2020年度(令和2年度)インターネット活用業務実施計画について

(資料1)(資料2)(資料3)

 (3) 令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画

(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (4) 2020年度(令和2年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料1)(資料2)

 (5) 2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 

4 報告事項

 (2) 関連団体運営基準の一部改正について(資料1)(資料2)(資料3)

 

 

<議事経過>

 

 森下委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<会長、副会長、専務理事、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。

 

 

1 報告事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の認可について(資料1)(資料2)

 (荒木専務理事)
 インターネット活用業務実施基準の認可についてご報告します。
 NHKがインターネットで国内テレビ放送の常時同時配信を行うことを可能とする改正放送法が昨年5月に成立し、本年1月1日から施行されました。
 この法改正を受けて定める新たなインターネット活用業務の実施基準については、昨年10月に経営委員会の議決を得て総務大臣に認可申請を行い、その後、総務省が示した「基本的考え方」等を踏まえ、12月に内容の一部修正についての議決をいただいたところですが、昨日開かれた総務省の電波監理審議会でこれを認可することを適当とする旨の答申が行われ、昨日、総務大臣の認可を受けました。
 資料に添付しています「認可書」にありますように、業務の実施により得られた知見を、民放事業者等との共有に努め、費用の抑制的管理のための具体的な仕組みについて、令和2年度中に一定の結論を得て、早期に導入することなど、12項目の認可条件が付されています。
 今後、これらの条件を遵守しつつ、新たな実施基準の下で、国内テレビの常時同時配信・見逃し番組配信サービスをはじめとするインターネット活用業務に取り組んでまいります。

 

 以上の「インターネット活用業務実施基準の認可について」の報告を受け、第1340回経営委員会(2019年11月12日開催)、第1341回経営委員会(2019年11月26日開催)、第1343回経営委員会(2019年12月10日開催)の「インターネット活用業務実施基準について」関連の議事録を承認した。あわせて、第1344回経営委員会(2019年12月24日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、2020年1月17日に公表することを決定した。

 

 

2 会長報告

 (上田会長)
 北朝鮮ミサイル発射を想定した訓練用速報文が、昨年12月27日に誤配信された件について報告します。
 この件については、12月30日付で、誤配信に関わった報道局の職員3人をはじめ、報道局長と報道局編集主幹のあわせて6人をけん責、報道局のおはよう日本部長を訓告とし、公表しました。また、放送総局長である木田専務理事と報道担当である正籬理事が、それぞれ、1か月の報酬の10%を自主返納することとしました。あってはならないミスであり、重く受け止めています。事案の経緯と再発防止策については、木田専務理事から説明します。
 (木田専務理事)
 国民の安全・安心に直結する情報を誤って配信してしまい、放送総局長として、心よりお詫び申し上げます。
 誤配信は、2019年12月27日午前0時22分に起きました。「北朝鮮のミサイル 海に落下と推定 北海道襟裳岬の東約2000キロ」という速報文が、NHKのホームページやNHKニュース・防災アプリに誤って配信されました。ミスは、Jアラートの速報の訓練中に起きました。担当者が、事前に決めていた操作手順には含まれていなかったボタンを誤って押したことが原因です。
 担当者が、訓練の内容や手順を十分認識しておらず、押してはいけないボタンの存在も周知徹底されていませんでした。
 Jアラートに関連する誤配信は、おととし1月にも起きています。この時のミスは、芥川賞の受賞者の速報文を選ぶ際に、同じ端末にあったJアラートの文面に誤って触れたことが原因でした。その後、Jアラート専用の端末を切り離すなどの再発防止策をとりました。
 前回の再発防止策は機能していましたが、今回は、本来の手順にはない操作ミスだったため、防ぐことができませんでした。
 ミスの根絶に向けて改めて検討を行い、次のような再発防止策をまとめました。訓練の実施責任者が、計画段階から、システムに精通した技術系の運行責任者とともに、誤配信につながるリスクを洗い出しておく。訓練に関わる担当者に、事前に、訓練の内容や手順を周知徹底する。訓練時はどのボタンを押しても外部に配信されないようなシステムの改修を速やかに実施する。
 訓練用の文面は、万一配信されても誤解を生じないような内容にする。以上の再発防止策を現場に徹底し、このようなミスを繰り返さないよう、努めてまいります。

 (村田代行)

 おととしにもあったということですが、Jアラートに関する誤配信というのは、おととしと今回と2回だけですか。

 (木田専務理事)

 そうです。

 (長谷川委員)

 訓練そのものについて伺いますが、これは万一のことがあった時にも、どんな時間でも素早く対応できるようにという訓練なのですね。

 (正籬理事)

 私から担当理事として今回の誤配信についてお話しします。この訓練については、ふだんは地震があった時の訓練を、毎晩、最終ニュース後の午前0時過ぎにやっています。ずっと地震のことでやっていたのですが、北朝鮮情勢が緊迫化してきた中で、今回はミサイル発射を想定してなるべくリアルにやろうということで起きたミスです。訓練についてはいつでもどこでもすぐ対応できるようにということで、毎晩午前0時の最終ニュースの後にしています。

 (長谷川委員)

 そうだとすると、実際にあった時に絶対にきちんと対応できるという、そのための訓練ですね。だから、あまり行き届いて、これも間違って押さない、これも間違わないとし過ぎると、逆に訓練の意味がなくなってしまうという心配がないでしょうか。

 (正籬理事)

 ミスが起きた後はしばらく図上訓練をしていたのですが、今は、通常の訓練に戻しています。今も毎晩やっています。再発防止として二度とミスが起こらないような対策をとり、訓練については続けていきたいと思います。

 (長谷川委員)

 むしろ今回の誤りを、今後の訓練に活用していっていただきたいと思います。

 (正籬理事)

 配信の手順をきちんと確認するという意味では、あってはならないミスなのですが、これを踏まえて、二度と視聴者の方々の混乱を招くようなミスは出ないようにしたいと思います。

 (明石委員)

 地震速報のようなものと違い、Jアラートの誤配信は、場合によっては国際問題になりかねない重大なことだと思います。私はこの話を聞いた時、1人の人が訓練で押したものが、NHKのホームページやメディアにすべて配信されてしまうシステムになっていたことに驚きました。そのような重要なボタンを1人の判断で押せるものなのでしょうか。本来、このようなものに関してはダブルチェック体制で、きちんと検証をしたうえで配信するシステムになっているべきではないでしょうか。もちろん速やかに配信することは必要な要件であると思いますが、間違いを起こさないという点では、ダブルチェックは必須の対策だと思いますが、その辺はどのようになっていますか。

 (正籬理事)

 おっしゃるとおりです。あってはならないミスで、1人の判断で押すことはありません。必ず編集責任者、それから今回は担当のチーフ・プロデューサー、それから技術のスタッフ、皆で確認して押すのですが、今回このボタンについては別系統であるということで、地震の訓練では押すことはないものでした。今回はミサイルを想定したもので、なるべくリアルに近づけようという現場レベルの判断があり、このボタンを押すとアクティブになるものだという認識が甘くて押してしまったということです。そのような速報スーパーについては、1人の判断で押すということはないのですが、今回は皆の認識が甘く、その点は今後も複数のチェックをし、システムもテストボタンを押したら全部が作動しないようにしておくべきだったところ、そうなっていなかったこともありますので、その改修も含め、きちんとやっていきたいと思います。

 (明石委員)

 もう一つ、配信された内容があまりにリアルで、その時に見ていたら誤送信という認識は持てなかったでしょう。テストであればもう少しテストらしい内容のものにしておけば、間違って配信されたとしても影響が少なかったと思います。非常にリアルな内容だったので、NHKがこのような内容をテスト配信として用意していることが外に知られてしまい、それがデメリットとして受け止められないかという懸念も持ちました。

 (正籬理事)

 それもおっしゃるとおりで、今回はリアルに近づけるということで、わざわざ文面をつくってテストしたわけですが、今回の反省も踏まえ、今、訓練に使っているものは「テストテストテストテスト」という文字にしています。

 (高橋監査委員)

 会長から報告のあった事案について、監査委員会の見解を述べます。
 本事案は、協会が公共メディアへの進化を目指す中で、先ほどから何度も指摘を受けていますが、起きてはならないものであり、極めて遺憾です。
 平成30年1月にもJアラートの速報の誤配信があり、今回の事案は、その再発防止に取り組んでいる中で起きたのものです。
 誤配信を含む誤報は報道機関としての信頼の喪失に直接つながるわけで、影響が極めて甚大であるということは言うまでもありません。また2年と経たない間に、同様の事案が起きたこと、これは視聴者・国民の目線でいえば、また同じことが起きたんだというようにしか捉えられませんし、ひいては「NHKはガバナンスが効いているのか」という疑念にもつながりかねないと思います。
 今回の事案がどうして起きたのか、前回の再発防止策が本当の意味で十分であったのか、さらには、その周知が全く問題なかったのか、前回の教訓がなぜ生かされないのか、この辺についてはしっかりと検証していただく必要があるのではないでしょうか。結構いろいろな案件で再発するケースが多いと思います。やはりこの辺を深掘りしていただく必要があるのではないかと強く感じています。
 協会が、国民の生命・財産を守る緊急報道の実施に向け、日々努力に励んでいることは十二分に理解しており、それだけに今回の事案は残念でなりません。
 2年と経たない間に、再び誤配信が起きたことを協会は猛省していただき、「誤報は報道機関の信頼の喪失につながる」ということを協会職員全員が肝に銘じて、善後策を不退転の決意を持って推進していくことを強く求めたいと思います。監査委員会からの意見は以上です。

 (上田会長)

 高橋監査委員が今、ご指摘なさったとおりだと思います。今後二度とこのようなことが起きないように執行部を中心にしっかり対応していきたいと思っています。

 (森下委員長)

 最後に、私からもひと言申し上げます。おととし1月に続き、またしても、国民の安全・安心に直結する重要な情報に関して、誤った配信をしたことは、誠に遺憾です。ただ今の監査委員会の見解にもありましたように、再発防止策を徹底し、二度とこのようなことが起きないよう、組織を挙げて取り組んでいただきたい。この件については、経営委員会も監査委員会と共に、今後の執行部の取り組みを注視していきます。

 

 

3 議決事項

 (1) 2019年度(令和元年度)インターネット活用業務実施計画について
(資料1)(資料2)(資料3)

 (荒木専務理事)
 昨日(1月14日)総務大臣から認可のあった「NHKインターネット活用業務実施基準」にのっとって策定した「2019年度(令和元年度)インターネット活用業務実施計画」(案)についてご説明します。
 2019年度の残りの期間の実施計画については、改正放送法附則第4条で「改正法の施行後遅滞なく定めること」とされていますので、現在の「インターネットサービス実施計画」に代わる新たな実施計画としてとりまとめたものです。
 実施計画(案)の表紙の次のページに、実施計画の位置づけと策定プロセスを記載しています。本実施計画の開始日は本日、1月15日です。実施計画の策定にあたっては、インターネット活用業務の適切性を確保する観点から、会長の諮問機関「インターネット活用業務審査・評価委員会」に見解を求め、これを尊重することとしています。審査・評価委員会には、昨年12月26日に諮問し、1月6日に答申をいただき、「公共放送の業務としての適切性を確保する観点から検討した結果、概ね妥当であると考えられる」との見解をいただきました。なお、参考資料として、答申全文を付けています。
 目次の冒頭に「インターネット活用業務基本方針」、「1 インターネット活用業務の種類」、続いて、「2 2号受信料財源業務(NHKオンライン、NHK公式アプリ等のサービス)について」「3 2号有料業務(NHKオンデマンド)について」など、業務の種類ごとに、内容、実施方法、料金その他の提供条件などを記しています。なお、「4 放送法上の努力義務に係る取り組みについて」は、2号受信料財源業務と2号有料業務の両方に関わる業務として、この位置に置いています。「5 3号受信料財源業務について」と「6 3号有料業務について」は協会が事業者に提供するサービスについてです。めくっていただき「7 インターネット活用業務の実施に要する費用について」、「8 インターネット活用業務の経理について」「10 インターネット活用業務に関する意見・苦情等への対応について」は、放送法施行規則で必ず記載すべき事項とされている項目です。
 1ページ、「インターネット活用業務基本方針」の冒頭には、6つの「公共的価値」の実現を追求していることを明示しています。2段落目から、インターネット活用業務の実施目的を記しました。放送を補完してその効果・効用を高め、放送法第15条に掲げられたNHKの目的を達成するために実施すること。放送を太い幹としつつ、環境変化や技術の進歩に対応しながら、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たしていくために、放送番組と、番組の理解増進情報の提供を行うことなどを記しています。
 1ページ目の下の方、最後の段落から次のページにかけて、地上テレビ常時同時配信と見逃し番組配信のサービス開始について記載しています。今月1日の改正放送法施行を踏まえ、2020年4月1日から、総合テレビと教育テレビの放送番組の常時同時配信・見逃し番組配信「NHKプラス」を開始するとしたうえで、2019年度中は、受信料制度との整合を保つ上で重要な認証の確実な実施のため、2020年3月1日から、総合テレビと教育テレビの番組を1日に17時間程度、放送と同時に配信するサービス(常時同時配信)と、総合テレビ、教育テレビの放送済みの番組を原則としてすべて配信するサービス(見逃し番組配信)を、試行的に実施するとしました。
 新しいサービスの名称は、視聴者のみなさまにとっての「新しい価値」を提供し加える、プラスするものとして、「NHKプラス」としました。
 2ページの真ん中あたり、インターネット活用業務の実施にあたっての留意点です。実施基準を遵守すること、受信料制度の趣旨に照らして不適切とならないこと、業務の実施に過大な費用を要するものとならないこと、万全のセキュリティー対策を講じること、個人情報や視聴関連情報の安全管理に努めることなどを記しています。加えて、受信料を財源として実施するインターネット活用業務については、効率的・効果的に実施するとともに、経理の透明性も確保すること。費用については、実施しようとする業務が真に必要で有効なものか、受信料財源によりまかなうことが妥当かなどの観点から検討し、実施基準に示した上限の中で、抑制的に管理することを明記しました。
 3ページには、公益性の観点から積極的に取り組むサービスとして、放送法上の努力義務に係る取り組み、ユニバーサル・サービスへの取り組み、国際インターネット活用業務について記載しています。民間放送事業者への協力については、二元体制を踏まえ、相互にメリットをもたらす連携・協調の一環として、適切に進めていくこととしています。
 4ページ、「1 インターネット活用業務の種類」に続き、5ページからは、「2 2号受信料財源業務(NHKオンライン、NHK公式アプリ等のサービス)について」記しています。放送番組等を広く一般に向けて提供する業務です。以下、実施する業務と、それによって目指す公共性について、記載しています。
 まず、「(1) 地上テレビ常時同時配信・見逃し番組配信」(NHKプラス)についてです。先ほども触れましたが、地上テレビ常時同時配信は、3月1日から31日まで、総合テレビと教育テレビで放送している番組を1日に17時間程度提供します。東京都と南関東3県で放送中の番組を全国に向けて配信します。
 地上テレビ見逃し番組配信は、総合テレビと教育テレビで放送した番組を、原則としてすべて、7日間提供します。
 6ページ、「(2) オリンピック・パラリンピック東京大会に係る取り組み」として、2020年3月から聖火リレーも始まることから、放送を補完するものとして、オリンピック・パラリンピックのニュースや番組の理解増進情報を提供します。
 7ページから10ページまで「(3) 上記以外の国内インターネット活用業務」については、多岐にわたることから、9つのカテゴリーに分類しています。番組ごとのサービスとしては、「a. 報道番組関連サービス」、「b. 教育・教養番組関連サービス」、「c. 娯楽番組関連サービス」。ジャンルにまたがる取り組みとして、「d. ラジオ放送を補完するインターネットサービス」、「e. 放送番組の周知・広報」、「f. 地域放送局のウェブサイトを通じた地域情報の提供」、「g. アーカイブス映像・音声等の提供」、「h. テレビ受信機向けのインターネットサービス」、「i. ユニバーサル・サービスへの取り組み」があります。それぞれ、主な内容と目指す公共性を記載しています。
 11ページには、「2.1.2 国際インターネット活用業務」の内容を記しています。国際放送の番組の同時提供、見逃し番組・聴き逃し番組の提供、理解増進情報の提供を行います。国際社会との相互理解のための世界に向けた積極的な情報発信に加え、訪日・在留外国人が増加する中で、災害時に命を守る情報など必要な情報を適切に提供することが一層重要になっています。
 11ページ半ばからは、「2.2 2号受信料財源業務の実施方法」です。原則として、NHKオンラインとNHK公式アプリを通じて提供することを明示しています。そして、外部プラットフォームを通じて提供する場合があることを記載しています。
 続いて、常時同時配信の提供時間が原則として毎日午前7時から翌日の午前0時までの17時間程度であること、そのほか、見逃し番組配信の提供期間、常時同時配信と見逃し番組配信および国内ラジオ放送の同時配信の提供対象地域は日本国内に限ることなどを記しています。
 13ページは「2.3 2号受信料財源業務の料金その他の提供条件」です。2号受信料財源業務は、対価を求めることなく実施します。続いて、常時同時配信と見逃し番組配信を、受信料制度を毀損させないように実施するための認証の概要について記載しています。受信契約を確認するために必要な情報を入力して利用申し込みをすることによりIDが発行され、利用時にはそれによる認証が行われること。認証されていない状態の時や受信契約が確認できない場合は、常時同時配信の画面上に、受信契約を確認するためのメッセージが表示されること。利用申し込み者(受信契約者)と生計をともにする人が利用できること。1つのIDで同時に視聴できる配信ストリームの上限を2019年度は5とすることなどを記しています。また、災害時などには、臨時かつ一時的にメッセージを表示しないで常時同時配信を行い、広く一般に利用可能とする措置を講じることがあることも記しています。
 14ページからは、「3 2号有料業務(NHKオンデマンド)について」です。内容、実施方法、料金その他の提供条件を記しています。15ページの下、常時同時配信・見逃し番組配信のサービス開始にともなって、2020年3月1日に、NHKオンデマンドのこれまでの「見逃し見放題パック」と「特選見放題パック」を統合して、「まるごと見放題パック」に一本化することなどを記しています。なお、27ページにサービス再編後のNHKオンデマンドの料金表を掲載しています。「まるごと見放題パック」は、2つの「見放題パック」を合わせたサービスになりますが、料金は、これまでの1つ分と同額です。
 17ページ、「4 放送法上の努力義務に係る取り組み」については、「4.1 地方向け放送番組の提供」と、「4.2 他の放送事業者が行う配信業務への協力」、それぞれ概要を記載しています。地方向け放送番組の提供については、2019年度は、提供に向けた体制や設備の整備について検討をすることとしています。他の放送事業者が行う配信業務への協力に関しては、民放公式テレビポータル「TVer」経由の番組提供、民放ラジオ局などが参加するインターネットラジオ「radiko」について記しています。
 18ページからは、受信料財源で事業者に提供する「5 3号受信料財源業務について」の概要を記しています。
 20ページは、有料でVOD事業者に提供する「6 3号有料業務について」です。
 21ページは、「7 インターネット活用業務の実施に要する費用について」を記しています。22ページの「8 インターネット活用業務の経理について」で記したように、2019年度の経理については、従前の例により費用を整理することとしていますので、21ページの費用についての記述もこれまでと同様の整理となっています。なお、2020年度の実施計画から、新たな実施基準第42条に規定する経理の整理、つまり、区分経理と費用明細表の添付を行います。
 23ページは、「9 インターネット活用業務審査・評価委員会について」です。競合事業者からの意見・苦情などへの対応については、審査・評価委員会に、公共性や市場競争への影響等、公共放送の業務としての適切性を確保する観点からの検討を求め、その結果を尊重して必要な措置を講じます。また、実施計画の実施状況の評価や、次の年度以降の実施計画の策定に当たっては、審査・評価委員会に、適切性を確保する観点からの見解を求め、それを尊重します。
 24ページは、「10 インターネット活用業務に関する意見・苦情等への対応について」として、「10.1 競合事業者等からの意見・苦情等への対応について」と「10.2 利用者からの意見・苦情等への対応について」をそれぞれ記しました。
 25ページは、「11 実施状況の評価とそれを踏まえた業務の改善について」です。年度終了後に、2019年度の実施状況の評価を行うこと、そして、改正放送法で3年ごとに行うと定められている実施状況の評価を2019年度終了後に行い、所要の改善措置を講じることを記しています。
 以上が、2019年度実施計画(案)のポイントについての説明です。ご審議いただき、議決をいただきましたら、改正放送法にのっとり、すみやかに、総務大臣に届け出、公表することとします。

 (明石委員)

 インターネットでコンテンツを配信することになると、当然、流用される可能性が普通のテレビ以上に多くなると思います。それに対する、コンテンツの著作権保護に関しての方針や取り決めは何か検討されていますか。

 (荒木専務理事)

 著作権の保護につきましては、非常に重要な課題であり、NHKが常時同時配信を運用していくうえで、例えば権利が侵害されるといった場合には、これまで通り、適切な手を講じていくことになります。著作権の問題は、特にインターネットについては非常に重要な問題ですので、きちんと対応していきたいと思います。

 (明石委員)

 大変リスクが高くなると思いますので、著作権保護の徹底をしていただきたいと思います。

 (井伊委員)

 2点伺います。利用申し込みをすればIDが発行されるということですが、具体的に、いつごろから利用申し込みができるようになるのでしょうか。
 それから、これは何度も荒木専務理事に伺っていることですが、基本的にインターネットというのは個人認証だと思います。世帯単位となると二段階認証が難しくなりますので、セキュリティーを高めるための工夫をいろいろされていると思いますが、改めてもう一回、そのあたりを説明いただけますか。

 (荒木専務理事)

 今ご審議いただいているのは、今年度分の3月1日からの3月分ですけれども、これは一応試行的に実施します。試行的に実施する目的には、今ご指摘がありましたように、認証をきちんとすることが担保されるかどうかを検証したいということがあります。3月1日から利用申し込みをしていただきましたら、認証によって、受信契約と照合して、さらにその後、はがきで本人の確認をもう一度行うという手続きを考えています。その辺をきちんとできるかの確認も、3月から実施します。
 確かにインターネットは基本的には個人がベースで、個人認証ということがありますが、受信料の契約そのものが世帯でということになっています。われわれとしては世帯、つまり生計を同一とする家族については契約者と同様に利用できるということで、対応していきたいということです。
 受信料制度をいかに毀損しないかということが重要であると思っており、業務の実施には非常に難しいところもあると思いますが、きちんと対応していきたいと思います。

 (村田代行)

 1つのIDで同時に視聴できる配信ストリームの上限は、2019年度は5つということですが、この5という数字はどのような根拠で出てきているのでしょうか。普通の世帯構成メンバーで、少し多いぐらいでとっているのかと思いますが、「2019年度は」と言いましたが、2020年度以降に見直しの可能性があるのかなども教えていただければと思います。

 (荒木専務理事)

 同時にご覧いただけるのを5までにする根拠につきましては、国勢調査にもとづき、「5」であれば、大多数の世帯(97%)をカバーできることなどをもとに決めました。この後、2020年度の実施計画についてもご審議いただきますが、2020年度についても5ということです。また、実施基準は、利用状況やニーズ、視聴者のご意見などで随時見直すことになっていますので、2019年度、2020年度はこれで始め、いろいろなご意見を伺いながら必要であれば見直しを含めて考えていきたいと思います。

 (村田代行)

 ただ、最初に5にすると、それより減らすのはなかなか難しくなるのではないかという気はします。

 (荒木専務理事)

 減らすのは難しいかもしれませんが、同時視聴が5ということであれば、例えば他人に、自分のIDを教えてあげて、不正に利用されるということはないのではないかと思います。

 (佐藤委員)

 今のお話だと、IDは人に付くということですよね。例えばスマートフォンを持っていて、パソコンも持っていてと、いろいろなデバイスを持っている場合、そのIDは全部使えて、例えば5という数字は、それは5台アクティブになっていたら、もうそれ以上使えないということでしょうか。どのようになっていますか。

 (荒木専務理事)

 そうです。ただ、1人の方が5台同時に作動させるということはあまりないかなと思いますが。

 (佐藤委員)

 それはないですけど、でも、インターネットをパソコンでもやっているし、スマートフォンでもやるしというようなことも十分あると思います。

 (荒木専務理事)

 その場合も同時に視聴できるのは5ということです。つまり、なかなかどなたがどう使っているかを確定できない。

 (佐藤委員)

 できないので、1つのIDでは5つしか使えないということですね。

 (荒木専務理事)

 はい。

 (デジタルセンター長)

 補足ですが、端末数を制限するのではなく、あくまでも1つのIDで同時に使えるのを5にする、絞るということです。

 (礒山委員)

 2ページのところに、今回のインターネット活用業務に当たって万全なセキュリティー対策をします、また、個人情報もとあります。具体的にはいろいろな措置を講じるでしょうが、使うインターネットサービスの会社や体制、技術面など、体制が整ったら、これから具体的にしていかなくてはいけないと思いますが、その辺の準備というのはどのようになっていますか。

 (荒木専務理事)

 まさに個人情報の保護等のセキュリティー対策、インターネットのセキュリティーの確保は、今回の常時同時配信のもう一つの根幹部分であり、一番の基本的な条件と思っています。その意味では、選定する業者、それからその基盤等を万全なものにしていくということで詰めてきています。

 (堰八委員)

 NHKオンデマンドについてですが、3月から見逃しの一般と過去の特選ライブラリーが一つのサービスとして見られるようになりますが、その時にニュース番組の見逃し番組サービスがなくなりますね。これはどうしてなのでしょうか。16ページに、「ニュース番組の見逃し番組サービスは、2020年2月29日で提供を終了します」とあります。

 (木田専務理事)

 はい。現在のNHKオンデマンドでニュースは1週間しか見逃し配信をしていないのです。今度、この新しいNHKプラスになると、1週間の中に、今まで配信していた部分が全部入ってしまうので、実質上、やる必要がなくなります。

 (森下委員長)

 3月1日からということですので、準備の時間が短いと思いますが、環境整備等をしっかりとやっていただきたいと思います。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) 2020年度(令和2年度)インターネット活用業務実施計画について
(資料1)(資料2)(資料3)

 (荒木専務理事)
 2020年度(令和2年度)インターネット活用業務実施計画についてご説明します。2019年度と重複する部分は省略し、2020年度の特徴的な部分について説明します。
 表紙の次のページの2段落目、本実施計画の開始日は、2020年4月1日です。4段落目、2020年度実施計画(案)について、審査・評価委員会に諮問し、1月6日の答申で、「公共放送の業務としての適切性を確保する観点から検討した結果、2020年度実施計画(案)については、概ね妥当であると考えられる」との見解をいただきました。
 5ページ、「2 2号受信料財源業務(NHKオンライン、NHK公式アプリ等のサービス)」について、2020年度の特徴的な部分をご説明します。「2.1 2号受信料財源業務の内容」の3段落目に、2020年度に実施する業務の計画の策定にあたっては、利用状況などの分析に基づいて、サービスの統廃合などを、利用者に極力ご不便をかけないよう留意しつつ、一層推し進めるなど、業務に要する費用の削減を図ったことを記しました。オリンピック・パラリンピック東京大会以外の業務は、受信料収入の2.5%を費用の上限として実施するべく費用の一段の抑制に努めたことを、このように記述しました。
 5ページの下、「(1) 地上テレビ常時同時配信・見逃し番組配信(「NHKプラス」)ですが、地上テレビ常時同時配信については、2020年4月1日から、総合テレビとEテレ(教育テレビ)で放送している番組を1日にそれぞれ18時間程度提供します。インターネット活用業務を、2.5%という費用上限の中で抑制的に管理していくため、時間を限定して開始することとしました。
 続いて6ページ、「(2) オリンピック・パラリンピック東京大会に係る取り組み」について、特設サイト「東京2020オリンピック・パラリンピックサイト」を中心にサービスを提供するとして、詳細に記述しました。開催前から、順次、競技や選手紹介の記事、大会関連ニュースや動画など、さまざまな情報を提供します。大会期間中には、競技の実施予定、放送予定、結果などのほか、放送では伝えきれない競技の映像・音声のリアルタイム提供やハイライト動画等の提供を行います。あわせて、字幕・手話・多言語での展開などのユニバーサル・サービスも、最先端の技術などを活用しながら提供します。
 12ページ、「2.2 2号受信料財源業務の実施方法」の3段落目、地上テレビ常時同時配信の提供時間について、毎日午前6時から翌日0時までの18時間程度としています。2019年度の試行より、開始時間を1時間前倒ししています。通勤時間帯などに活用していただけたらと考えています。
 13ページから、「2.3 2号受信料財源業務の料金その他の提供条件」として、認証の手続きについて記していますが、14ページで、2020年度は最大350万IDに対してサービスを提供する場合まで対応できる体制で認証に係る業務を実施することとしています。この想定を超えるIDを発行し、運用する事態が生じた場合は、実施基準にのっとり、2号受信料財源業務の費用の上限を超過して国内インターネット活用業務を実施することがあります。
 また、臨時かつ一時的にメッセージを表示しないで常時同時配信を行い、広く一般に利用可能とする措置を講ずることがある場合として、災害時などの場合に加えて、2020年度は、オリンピック・パラリンピック東京大会の期間中、競技の中継およびその関連番組を提供する場合についても想定しています。
 17ページ、改正放送法で課された努力義務としての地方向け放送番組の提供については、2020年度は、地上テレビ見逃し番組配信の中で、全国向けに再放送した地方向け放送番組を提供すること。また、南関東エリア以外の地域で放送された地方向け放送番組の一部の提供を行うこととし、この提供に必要な設備の整備を行うとしました。地方向け放送番組を配信する費用は、2020年度は2億円としています。
 22ページ、「7 インターネット活用業務の実施に要する費用について」は、2020年度から、改正放送法等を踏まえた新たな実施基準にのっとって、費用の説明性を向上させる記述になっています。2号受信料財源業務の費用、つまり、受信料収入の2.5%を費用上限として管理する業務と別枠管理をするオリンピック・パラリンピック東京大会の費用の合算は、189億円。そのうち、常時同時配信等業務に係る費用は54億円であることを記す形になっています。
 そして、内訳については、31ページに別表2として、費用明細表を掲載しています。一番上の段、「実施基準附則第4条関係」とあるのが、オリンピック・パラリンピック東京大会関連の費用です。そして、「常時同時配信等業務」「左記以外の業務」「国際インターネット活用業務」をあわせて「2.5%の上限」の中で管理する形になっています。費用上限174億円に対応する予算は170億円となっています。
 2号有料業務(NHKオンデマンド)、3号有料業務の費用については、22ページの本文と、32ページの別表3に記載しています。有料インターネット活用業務勘定の事業収入は12億円、事業支出は13億円で、収支差金は、0.9億円の赤字です。
 23ページから25ページにかけては、放送法施行規則にのっとって行う「区分経理」の実施方法、費用の配賦基準などについて記載しています。
 26ページから28ページには、「9 インターネット活用業務審査・評価委員会について」、「10 インターネット活用業務に関する意見・苦情等への対応について」、「11 実施状況の評価とそれを踏まえた業務の改善について」記しています。28ページ、放送法に基づいて少なくとも3年ごとに行うこととなっている業務の実施状況の評価については、2022年度終了後に行う予定としています。
 以上が、2020年度実施計画(案)のポイントについての説明です。ご審議いただき、議決をいただきましたら、改正放送法にのっとり、すみやかに、総務大臣に届け出、公表することと致します。よろしくお願いします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (3) 令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (松坂理事)
 それでは、「令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画」について説明します。
 これまでの議論を踏まえ、昨年12月24日にご審議いただいた「収支予算編成要綱」の内容を、放送法および放送法施行規則にのっとった予算書としてとりまとめました。内容は、収支予算、事業計画、資金計画の3つからなっていますので、順を追ってご説明します。
 資料がいくつかありますが、「令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画」、これがいわゆる予算書です。これに沿って説明します。
 まず、1〜17ページは令和2年度収支予算ですが、これは、予算総則と科目別収支予算で構成されます。3ページから始まる予算総則は、受信料額や予算の流用、繰越、予備費など予算の使用方法に関して規定しています。内容について簡単に説明します。
 3ページ、第1条で、2年度の収入及び支出を、別表第1のとおり定めるとしています。別表第1については後ほどご説明します。第2条では、契約種別ごとの受信料額及び割引額等について規定しており、第1項から第5項まであります。これは多数一括割引や家族割引、事業所割引などが順次記載されています。4ページの第3条では、予算の目的外使用の禁止について規定しています。5ページの第4条以降、7ページの第12条までは、予算の流用や予備費の使用などについて規定しています。
 8ページから11ページは、別表1です。一般勘定、有料インターネット活用業務勘定、受託業務等勘定の事業収支、資本収支を科目別に記載しています。
 まず、8ページは一般勘定の事業収支の予算です。事業収入は7,204億2,035万円2千円です。このうち、受信料は6,974億703万6千円とします。事業支出は7,354億1,857万4千円です。事業収支差金は149億9,822万2千円の不足となり、繰越金の一部で補てんします。9ページは一般勘定の資本収支の予算です。建設費は総額952億6,000万円を計上しています。10ページはNHKオンデマンド事業とVOD事業者への番組提供業務の収支に係る有料インターネット活用業務勘定の予算です。11ページには協会の保有する施設の賃貸等による受託業務等勘定の予算です。
 12ページから17ページは、予算総則第2条に関連して、受信契約の契約種別や受信料額、団体一括支払における割引額などを記載しています。令和2年度は、10月から受信料の値下げを行います。そのため、その値下げを織り込んだ受信料額や割引額を記載していますが、これは13ページと15ページにおいて、9月30日までと10月1日以降で別々に記載しています。
 19ページ以降は、事業計画です。NHKが令和2年度に行う事業内容について、放送法施行規則の定めに従い記載しています。まず、21ページからの「1 計画概説」には、予算・事業計画の概要を記載しています。加えて、国内放送等の事業運営の基本的な考え方を記載しています。東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスの実施や常時同時配信・見逃し番組配信サービスの実施、10月からの受信料の値下げ等について記載しています。それに続く24ページからの「2 建設計画」では、新放送・衛星放送施設整備計画、テレビジョン放送網整備計画、放送会館整備計画、放送番組設備整備計画など、予算の科目別に、重点事項と金額をそれぞれ記載しています。
 26ページからの「3 事業運営計画」では、国内放送、国際放送などの科目別に重点事項と金額をそれぞれ記載しています。順を追って主な項目をご説明します。
 26ページから28ページまでは、「(1) 国内放送」の取り組みについて、地上テレビジョン放送、衛星テレビジョン放送、ラジオ放送のチャンネルごとに記載しています。
 29ページからは、地域放送について、29ページの中段からは、補完放送について記載しています。30ページからは、放送番組の提供等について、記載しています。
 30ページの下段からは、「(2) 国際放送」について、記載しています。正確で公平・公正な情報を発信し、日本とアジアを中心に世界の情勢を幅広い人々に伝えていきます。
 32ページの中段からは、放送法改正に伴って新たに科目が追加されました「(3)国内放送番組等配信」についてです。常時同時配信・見逃し番組配信サービスの実施や東京オリンピック・パラリンピックでのサービス提供、民放との協力についても記載しています。
 33ページの中段からは、同じく追加されました「(4) 国際放送番組等配信」についてです。国際放送の同時提供や既放送番組の提供などを行うとともに、災害時のインターネット発信や多言語によるサービスの充実などに取り組みます。
 33ページの下段からは、「(5) 契約収納」についてです。受信料の公平負担の徹底に向けて効率的な契約・収納手法を推進して実施するとともに、受信料制度の理解促進を図り、支払率の向上と受信料収入の確保に努めます。
 35ページの「(9) 給与」につきましては、引き続き適正な水準の維持を図ります。また、働き方改革を推進します。
 35ページの下段には、「(12) 有料インターネット活用業務」について記載しています。
 36ページは「(13) 受託業務等」について記載しています。
 36ページの中段には、「(14) 創造と効率、信頼を追求」として、NHKグループ一体で働き方改革や透明性の高い組織運営、コンプライアンスの徹底などを推進していくことを記載しています。
 次の37ページから40ページは、「4 受信契約件数」として、地上契約と衛星契約、特別契約という契約種別ごとの有料契約見込件数と受信料免除見込件数を記載しています。
 41ページは「5 要員計画」です。2年度の予算要員は1万343人とします。
 以上が事業計画全体の構成です。
 最後は、43ページ以降の「令和2年度資金計画」です。45ページの「1 資金計画の概要」は、入金と出金の概要について記載しています。資金計画は、一般に決算の際に作成するキャッシュ・フロー計算書とは異なり、放送法施行規則の定めに従い、資金の動きを入金と出金に区分して、四半期ごとに増減を把握し、記載しているものです。
 具体的には、46ページをご覧ください。四半期ごとの入出金の計画を記載しています。令和2年度末の資金有高は、右下にあるとおり600億7,518万1千円となる見込みです。全体として、資金が不足することなく、事業運営を行う計画となっています。
 以上が予算書の説明です。
 続いて、資料1から3についてご説明します。資料1は、「令和2年度収支予算と事業計画の説明資料」です。こちらは、12月24日の経営委員会でご説明した「収支予算編成要綱」をベースに作成したものです。「収支予算編成要綱」から、内容に大きな変更はありませんが、少し追加した事項がありますので、簡単にご説明します。
 27ページに、「ジャンル別の番組制作費」を記載しています。これは、番組を「生活・社会情報」や「ドラマ」などのジャンル別に区分し、それぞれの出演料や美術セット費などの直接制作費と番組の制作に要する職員の人件費、編集設備などの機材費を合わせた番組1本あたりの制作単価の目安を幅で示しています。
 最後になりますが、45ページの「令和2年度末予定貸借対照表」、これは協会全体のものです。令和2年度末の資産は、有価証券の償還などにより令和元年度末に比べて285億円減の1兆2,207億円を見込んでいます。負債は、134億円減の4,647億円を見込んでいます。東京オリンピック・パラリンピックの放送実施による引当金の取り崩し等により減少する見込みです。純資産については、令和2年度の事業収支差金の不足等により、150億円減の7,560億円を見込んでいます。
 46ページ以降には資料として、単体、連結の平成30年度貸借対照表・損益計算書を載せています。追加した事項は以上です。
 資料2は、「NHK令和2年度収支予算と事業計画〔要約〕」です。予算・事業計画のポイントや経営計画重点事項の取り組み、収支予算について、説明資料のポイントをA3版の1枚にまとめたものです。記者発表など外部への説明では、主にこの資料を使って説明していきます。表のページには、受信料の値下げや、東京オリンピック・パラリンピックの取り組み、常時同時・見逃し番組配信サービスや防災・減災報道など来年度の重点事項を、見開きのページには経営計画の重点事項に沿って、主な取り組みを記載しています。インターネット活用業務については、左下の部分にあらためて記載しています。最終のページが収支表などになっています。
 もう一つ、資料3の白黒版の冊子は、「日本放送協会令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画に関する資料」です。予算書の参考資料として、収支予算の内訳などを詳しく記載しています。
 以上が、「令和2年度収支予算、事業計画及び資金計画」についての説明です。ご審議のほどをお願いします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (森下委員長)

 議決にあたり、経営委員会としてひとこと申し上げます。「令和2年度収支予算・事業計画及び資金計画」 は、現3か年経営計画の最終年度として、国民的イベントである東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスを実施し、近年甚大化している自然災害に備えた緊急報道の強化などを図りつつ、10月から実施する2.5%の受信料額値下げや既存業務の見直し、業務全般にわたる経費削減を盛り込んだ計画となっており、高く評価します。執行部には、新たな体制の下でも、予算が国会で全会一致の承認を得られるよう、全力で努力していただきたい。今年度に続き、事業収支差金はマイナスとなる見込みですが、視聴者・国民の受信料から成り立っていることを深く自覚し、コスト意識を持って効率的で無駄のない業務執行をお願いします。
 インターネット活用業務実施基準が認可され、NHKが長年にわたって希望していた常時同時配信の体制が整いました。実施にあたっては、セキュリティー対策などを万全にし、安心して利用できるサービスとなるよう心掛けていただきたい。そのうえで、利用する視聴者や民放をはじめとする関係者の意見を受け止め、公共メディアとしてさらに充実したサービスに進化させていくことが必要です。今後の取り組みがとても重要だと考えています。
 NHKには、業務・受信料・ガバナンス、この3つの改革が強く求められています。2021年度からの中期経営計画の策定にあたっては、NHKの果たす役割をもう一度見つめ直し、スピード感を持って改革に取り組む姿勢を示す必要があります。視聴者・国民の皆さまに納得いただけるNHKの将来像をみずから描き、国民的な議論につなげられるよう、新たなリーダーシップの下で誠心誠意取り組んでいただきたい。経営委員会としても、経営の最高意思決定機関として執行部と共に議論し、真摯に取り組む所存です。

 

 (4) 2020年度(令和2年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料1)(資料2)

 (木田専務理事)
 「2020年度(令和2年度)国内放送番組 編集の基本計画」について、定款15条第1項第1号ケの規定により、議決をお願いします。
 この「編集の基本計画」は、昨年12月の第1342回経営委員会でご審議頂き、それを受けて内容の一部を書き換えています。全体につきましては、前回ご説明をしていますので、今回は変更した部分について説明します。
 1ページ、「編集の基本方針」です。来年度の「NHKインターネット活用業務実施基準」は、昨日(1月14日)の電波監理審議会を経て、総務大臣の認可が下りましたので、3行目の最後は「『見逃し番組配信』を実施します」と修正しました。
 このページの下から3段落目、「東日本大震災から10年」関連の記述の部分ですが、前回の委員からのご意見を受けて、「いまだ多くの課題を抱える被災地に寄り添い」と丁寧な表現に改めました。
 2ページの「編集の重点事項」の1項目ですが、委員から「防災・減災について明記すべきだ」とご意見をいただいたことを受けて、4行目の後半以降を「日頃から防災・減災に取り組むとともに、災害時には状況を的確に伝え、全力で身を守るための情報を発信します。」と改めました。
 重点事項の2項目の2行目は、年金という言葉を加え、「医療、介護や年金をはじめとする社会保障のあり方」と修正しました。
 以上が、前回からの変更点についての説明です。この「2020年度国内放送番組編集の基本計画」は、昨年12月16日、中央放送番組審議会に諮問し、同日、全員一致で「可」とする旨の答申をいただきました。
 来年度もこの「基本計画」のもと、視聴者のみなさまの期待にしっかりと応えていきたいと考えます。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

(5) 2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 (正籬理事)
 定款第15条第1項第1号ケの規定により「2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画」の議決をお願いします。
 「国際放送番組編集の基本計画」につきましては、昨年12月10日の経営委員会でご審議いただきました。その際のご意見を受けて、1ページの「編集の基本方針」冒頭のパラグラフにおいて、基本である「正確」という文言を入れたほうがいいというご意見をいただきました。それをふまえ、冒頭パラグラフにおいて、「正確」ということばを付け加えまして「正確で公平・公正な情報を発信」という文言に改めました。
 こちらの内容で昨年12月17日の「国際放送番組審議会」に諮問し、審議の結果原案を可とする旨、答申を得ました。本日改めまして議決をお願いします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

4 報告事項

 (2) 関連団体運営基準の一部改正について(資料1)(資料2)(資料3)

 (板野専務理事)
 放送法や同法施行規則等の改正、総務省の新たな「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」、および昨年12月24日の経営委員会で内部統制関係議決の見直しが行われたことに伴い、「関連団体運営基準」を1月7日付で別紙のとおり一部改正しましたので報告します。
 今回の主な改正の内容は、次の5点です。「別紙② 『関連団体運営基準』新旧対照表」と合わせてご覧ください。
 1点目は、第1条での「新たな内部統制関係議決の反映」です。12月24日の経営委員会で内部統制関係議決の見直しが行われ、放送法第29条第1項第1号ハ(6)に規定する協会及び子会社の内部統制に関する経営委員会議決に加え、同じく第1号「オ(その他経営委員会が認めた事項)」として新たに関連会社および関連公益法人等についても子会社に準じた内部統制体制の整備を定める経営委員会の議決が行われました。そのため「およびオ」の文言を「第1条〔運営基準の目的〕」に追加しました。
 2点目は、「監査委員会による監査での外部知見の活用、監査委員会への報告」関連です。総務省の新たな「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」において、監査委員会の監査の実効性向上に向けた外部知見の活用として、関連団体事業活動審査委員会が例示されています。これに対応し、第20条で監査法人による業務運営状況調査の結果の報告先として関連団体事業活動審査委員会を追加しました。
 また、関連団体事業活動審査委員会についても、これまでの「関連団体の事業活動に関する外部からの意見・苦情等の受け付け」に加え、第21条で、NHKによる関連団体の事業活動の適正性を確保するための取り組み等についても審査し、監査委員会へ報告することにしました。
 なお、第22条の監査委員への定期的な子会社の管理状況の報告も、子会社以外や審査委員会の状況なども監査委員会へ報告することになり、新たに内部統制関係議決でも「子会社管理の状況報告『等』」としているため、第22条に「等」の文言を追加しました。
 なお、関連団体事業活動審査委員会は、役割や委員構成等の見直しも行い、1月7日付で関連団体事業活動審査委員会規程も改定いたしました。
 3点目は、第29条での「子会社の配当方針の明確化」です。これまでの内規としての運用から「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」での指摘もあり、関連団体運営基準の第29条に「子会社の配当方針」として新たに記載するものです。「子会社の配当については、財務状況、事業計画、株主構成などを勘案したうえで、実施、規模等を決定する」こととし、NHKへの事前協議にあたっては、「当期純利益の50%相当額を下限」とし、「取締役会で承認された事業計画上の利益と比較して、上回る場合、その超過分は80%を配当に充てる」ことにしています。この他、特例的な配当の実施や理事会、監査委員会および経営委員会への報告も盛り込んでいます。この項目は、2020年度事業計画から適用とし、運営基準の最後に「付則」として注記をします。
 4点目は、第32条での「子会社等の事業運営に関する基礎的な情報の公開」です。放送法第84条の2第1項第3号の規定に基づき、法人の基礎的な情報の提供がNHKに義務付けられました。具体的には、放送法施行規則第55条の2第5項および総務省の「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」において、「公開の対象となる情報」などが示されており、NHKは関連団体の基礎的な情報の公開を行い、関連団体は当該情報を提供することを第32条第3項で規定するものです。なお、NHK公開ホームページの「関連団体について」のページを昨年12月末にすでに更新し、求められている情報の公開は対応しています。
 5点目は、総務省の「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」(別紙)「NHKの子会社等の業務範囲」の反映です。子会社等の業務範囲については、関連団体運営基準(別紙2)に「第6条第2項に定める子会社等の業務範囲」としていますが、第11号、第12号などで、「既放送番組」に限られていたものが、同時配信も意識した表現へ見直しがされてきています。これらを反映するとともに、ひらがな表記を漢字に、協会をNHKになど、「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」(別紙)の表記に合わせ、全体の表記の見直しも行いました。
 この他、「現行の業務実態に合っていない部分の一部字句修正」として、「第15条〔事前協議等の特例〕」の部分で修正があります。「NHKの直接出資のない子会社」の表記がありますが、こうした子会社、いわゆるNHKからみると孫会社は現在ありません。NHKの子会社の(株)NHKエンタープライズが出資しているNCMA(NHK Cosmomedia America,Inc.)やNCME(NHK Cosmomedia(Europe)Ltd.)はありますが関連会社の位置づけですので、これらを含む「関連団体」の表記にするなど必要な修正を行いました。
 改正期日は、1月7日の理事会で審議後、同日から改正としています。「関連団体運営基準の一部改正について」の報告は、以上です。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会が最後のご出席となります上田会長から、ごあいさつをいただきたいと思います。

 (上田会長)

 来週金曜日24日、3年の任期が満了して退任することになりました。この3年間いろいろご指導を賜りまして、どうもありがとうございました。
 正直申しまして、会長としての3年間は、一日一日が本当に緊張を強いられました。いろいろな出来事が突然起こりますし、先ほどもオペレーションの誤りがありましたけれども、不祥事その他、いろいろ対応は考えてきたのですが、本当に毎日、一日が終わる時には非常に長く感じていました。でも、考えてみますと、3年は意外と早かったような気もします。
 私が会長に就任した時に、「通信と放送の融合」ということで、長年のNHKの課題でありましたインターネットの活用に関して取り組み、おかげさまで昨年5月に放送法が改正され、昨日、インターネット実施基準の認可が下りました。小さな一歩ではありますけれども、これをしっかりとNHKの公共メディアとしての発展につなげてもらえればと思っています。
 きょう、この経営委員会で議決いただきました予算を、本日午後、大臣に提出します。私としては3回目の提出になりますが、実は1回目は4つの負担軽減策による1.5%の受信料の還元、2回目は4.5%の値下げということで、収支の状況を見ながらできる限りの還元、値下げをやってきたつもりです。プログラム、システムの修正などがあるため、1年を通してこれらの還元と値下げが効いてくるのは2021年度になります。還元と値下げの規模が約420億円となりますが、400億円を超える収支差金はこれまでありません。したがって、どうしても収支差金は赤字になってしまいます。きょう提出する予算も赤字ですが、公平負担の努力、営業の努力もあり、支出の抑制ということを含めて、2、3年の間には収支相償のところまで何とかたどり着けるという見込みを持っています。執行部にはしっかり頑張ってもらいたいと思います。
 それから、会長の間に3つの改革、働き方改革、地域改革、グループ経営改革ということで、業務の改革にも取り組んできたつもりではありますし、何とか前に歩みを進められたのではないかと思いますが、まだまだ完全ということではありません。これから新しい会長のもとでさらに歩みを進めていただくことを期待しています。
 それ以外に取り組まなくてはいけなかったことは、オリンピック・パラリンピック対応と放送センターの建て替えです。これも今までのところ順調に来ていますので、しっかりと対応していただきたいです。
 いずれにしましても、環境が激変する中で、経営のかじ取りが極めて難しく困難な状況に直面しているところがあります。今回の放送法改正で経営委員会のガバナンス強化などもうたっていますし、今後、経営委員会にお世話になる機会はさらに多くなると思いますが、しっかりとNHKのさらなる発展につなげていただければと思います。
 改めまして、本当にこの3年間お世話になりました。どうもありがとうございました。

 (森下委員長)

 上田会長、ありがとうございました。監査委員としてご活躍の後、会長として3年間やっていただきまして、大変多くの改革を推進していただき、感謝しています。ありがとうございました。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2020年1月28日    

森 下 俊 三 

 

 

高 橋 正 美