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第1137回
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平成23年3月11日(金)公表

日本放送協会第1137回経営委員会議事録
(平成23年2月22日開催分)

第1137回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1137回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成23年2月22日(火)午後3時20分から午後4時40分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  安 田 喜 憲   石 島 辰太郎 井 原 理 代
    大 滝 精 一   北 原 健 児 倉 田 真由美
    幸 田 真 音   竹 中 ナ ミ 浜 田 健一郎
  ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 永 井 技師長
  金 田 専務理事 日 向 専務理事 溝 口 理 事
  八 幡 理 事 大 西 理 事 今 井 理 事
  黒 木 理 事 塚 田 理 事 吉 国 理 事

 

 

<場   所>
放送センター 22階経営委員会室、21階役員会議室

 

<議   事>

 議事に先立ち、評価・報酬部会を開催し、退任役員の退職金について、松本会長から説明を聴取。その後、経営委員による経営委員会で議決。また、「視聴者のみなさまと語る会」の和歌山と福井での開催について決定。その後、安田代行が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1136回経営委員会(平成23年2月8日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成23年2月25日に公表することを決定した。

 

付議事項

1 議決事項

 (1) 退任役員の退職金について

 

2 視聴者のみなさまと語る会(高知)報告(資料)

 

3 会長報告

 

4 議決事項

 (2) 協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務の実施について(資料)

 

5 報告事項

 (1) 「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (2) 放送受信料免除における更新手続きに関する意見募集結果について(資料)

 (3) 視聴者対応報告(平成23年1月)について(資料)

 (4) 契約・収納活動の状況(平成23年1月末)(資料)

 (5) 財政の現況(平成23年1月末)(資料)

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について(資料1)(資料2)

 

6 その他

 (1) 第86回放送記念日記念行事の実施について(資料)

 (2) 「第62回日本放送協会放送文化賞」の贈呈(資料)

 

 

議事経過

 

<経営委員による経営委員会>

<会長入室>

 

 

1 議決事項

 (1) 退任役員の退職金について

 (安田代行)

 先ほど行われた評価・報酬部会において、松本会長から提出された議案について審議した結果を、井原部会長からご報告願います。
 (井原委員)
 評価・報酬部会として議論した結果、会長から提出された議案が妥当という結論に達しましたので、経営委員会にご報告します。

 (安田代行)

 この件につきまして、ご異議ございませんか。

 (幸田委員)

 異論はありませんが、会長になられる方は皆さんそうだと思いますが、会長というのは、国会対応、マスコミ対応などを含めて、大変な激務です。まして福地前会長は、非常に厳しい時期に就任され、あれだけの改革をなさったという点からも、ねぎらいというか、なにかプラスの評価があってもいいのではないかという気がします。経営委員として少しでもその気持ちが表せないかという思いはあります。

 (井原委員)

 在任中の功労とこれまでのご尽力には感謝したいと思います。3か年経営計画の半ばでのご退任であることや、福地前会長自身がよくおっしゃっていた改革の途上ということもあり、こういう形になったと受け止めています。

 (松本会長)

 過去には、特別慰労金としての加算や、逆に減額などの場合もあります。今回、評価についてはいろいろな議論もありましたが、ご本人は全力投球して改革に取り組まれましたが、まだ道半ばだというお気持ちもありましたので、そういうことを踏まえ、最終的には、支給基準どおりにお支払いするということになりました。

 (竹中委員)

 3か年経営計画が道半ばであることや、一期限りでご退任されたことから、ご本人も特段のプラスをお考えになってらっしゃらないと思いますが、むしろご退任の時に、職員の方が大変多く集まられて、皆さんでお見送りをされたということをお聞きして、恐らく前会長にとっては、大きな報酬という受け止めではないかと思います。原案に異論はありません。

 (安田代行)

 本議案につきまして、松本会長から提案された退任役員の退職金について同意するということでよろしいでしょうか。

 −異議なし−

 

 (安田代行)

 本件は、原案どおり議決されました。

 

<副会長、技師長、専務理事、理事入室>

 

 

2 視聴者のみなさまと語る会(高知)報告(資料)

 (水田経営委員会事務局長)

 平成22年度の第8回は、12月4日(土)に高知放送局の第1スタジオで開催しました。時間は午後2時から午後4時まで2時間実施しました。出席者は、経営委員が井原委員、大滝委員、浜田委員、執行部が永井技師長、黒木理事、高知放送局の酒井局長の6名でした。司会は、末田正雄アナウンサーでした。事前の申し込みが54名あり、今回も申込者全員に参加案内をお送りしましたが、当日の参加者数は34名と、申込者数のおよそ6割でした。終了後のアンケートによりますと、参加者の約5割の人が「経営委員会の仕事を知らなかった」と回答していましたが、終了後には7割以上の人が「経営委員会の活動について理解が深まった」と回答しています。
 「語る会」終了後に、制作局の渡辺一貴ディレクターによる「『龍馬伝』制作舞台裏」と題した講演会を開催しました。概要や反響等については、報告書の2ページに記載しています。2ページの下段以降に、「語る会」の具体的な開催内容を記載しています。                        
 冒頭、井原委員から、協会の基本方針や重要事項の説明として、経営委員会の役割、3か年経営計画、平成22年度収支予算・事業計画について説明がありました。その内容は2ページから4ページに記載しています。
 意見聴取は「放送」と「経営全般」の2つのテーマで実施しました。最初のテーマ「放送」についての主なご意見等は5ページから10ページに記載しています。「龍馬伝」や「坂の上の雲」などドラマに関するご意見、「高知放送局制作の番組をもっと全国発信してほしい」というご要望、多様な生活時間に合わせた番組編成へのご要望など、数多くのご意見・ご要望をいただきました。
 2つ目のテーマの「経営全般」についての主なご意見等は、10ページから14ページに記載しています。「支払率」や「公平負担」への取り組みなど「受信料」についてのご意見・ご質問や、「経営の意識改革」、「組織風土改革」の取り組み状況など、多くのご意見をいただきました。
 最後に、井原委員、大滝委員、浜田委員がまとめのあいさつをして、「語る会」を終了しました。まとめと終了後の各委員の感想は14、15ページに記載しています。16ページには終了後の参加者当日アンケートの結果、17、18ページにはアンケートに記された主な内容を記載しています。

 

 

3 会長報告

 (松本会長)
 職員および元委託カメラマンの不祥事について、吉国理事から報告いたします。
 (吉国理事)
 昨日(21日)報道発表しました懲戒処分2件と、先週、職員が窃盗の疑いで逮捕された案件1件をご報告します。先月に続いて、またこのようなご報告をしなければならないことは、非常に恥ずかしいことであり、大変申し訳ございません。
 まず懲戒処分ですが、札幌放送局千歳報道室の27歳の男性記者が、1年5か月にわたって無免許運転をしていました。この記者は、平成21年9月に函館放送局から札幌放送局千歳報道室に異動しました。千歳報道室は記者が1人で勤務しており、取材業務に車が欠かせないため、業務用車両が用意されていました。先月末、この車両が一時車検切れになっていたことが発覚しました。この車の車検の有効期間は平成22年6月20日までで、事前に札幌放送局の担当者から連絡をしてあったのですが、本人は業務が忙しかったために失念したということで、車検を受けないまま使用していました。本人は、9月になって初めて気づき、車検を受けたのですが、この点について札幌放送局に報告していませんでした。その後、車検の経費請求が行われていなかったために、札幌放送局から本人に確認したところ、車検切れの期間があることが分かりました。これを警察に届けるという段階になって、実は運転免許の取り消し処分を受けており、無免許状態であることが分かりました。免許取り消しのままで運転していた理由について、本人は、「ちょうど函館放送局から札幌放送局千歳報道室への異動が決まったころであったために、運転免許がないことを言うと報道室で仕事ができなくなると思った。どこかで言わなければならないと思っていたが言い出せなかった」と話しています。報道局では、昨年の夏に全国の報道室記者を対象に、運転免許証の有効期限の確認をしているのですが、この記者は、その時の問い合わせに対して、口頭で事実と異なる「まだ有効期限はある」との報告をしており、運転免許証そのものの現物確認は行っていなかったので、見過ごされていました。この件については、警察に事情を説明しており、警察の処分についてはNHKとしても状況を見守っている段階です。昨日、職員就業規則の本則と責任審査規程に基づいて責任審査委員会を開催し、本人を懲戒免職としました。当時と現在の上司の2人については譴責処分としました。無免許運転や無車検車両の運転は法律に違反する許されない行為であり、特に交通事故や交通違反の取材をする記者が、長期間にわたってこうした行為をしていたということは極めて遺憾です。職員に対して法令の順守を徹底するとともに、運転免許証の現物確認を行うなど、再発防止策を講じていきます。
 次に、大津放送局放送部の27歳の男性職員が、視聴率のデータをインターネットの掲示板に不正に投稿していた案件です。不正に投稿されていたのは、NHKが視聴率提供会社のビデオリサーチから有償で提供を受けているテレビ視聴率のデータです。主に関東地区のNHK総合と民放5社の番組平均世帯視聴率を投稿しています。この問題は、昨年の暮れにビデオリサーチから指摘があり、NHK内部で調査を進めた結果、この職員が投稿していたことが判明しました。不正投稿は平成20年12月から今月初めまで断続的に行われており、約390日分のデータが投稿されていました。NHKの調査に対して、この職員は不正投稿していたことを認めています。本人は、視聴率データを外部に投稿することは行ってはならないということも認識していました。本人は、番組の出演交渉など仕事のうえでうまくいかないことがあって、「仕事に向いていないのではないか」と考えており、上司に相談していたこともありました。動機については、「ネットで注目を集めたかったから」と述べています。この件についても、昨日、責任審査委員会を開催し、本人を諭旨免職に、それから、上司の部長と副部長については、放送局長からの厳重注意としました。視聴率提供会社との契約に反する行為であり、今後、正式に謝罪するなど、誠実な対応を行っていきます。現在、調査に加わったITの専門会社からパソコンの解析結果などの報告を待っており、システム的な再発防止策が必要な場合は、できるものから実施することにしています。
 続いて、先週、名古屋放送局技術部の44歳の男性職員が、静岡放送局技術部の機材を盗んでネットオークションに出品していたとして、窃盗の疑いで逮捕された案件です。静岡放送局では昨年5月、オシロスコープという測定機器を紛失していることに気づき、探していたところ、先月、よく似た機材がインターネットのオークションに出品されていたため、警察に被害届を出しました。警察の捜査の結果、名古屋放送局の職員がこの機材を盗んでいたことが分かり、今月17日に逮捕されました。調べに対して、職員は容疑を認めているということです。この職員は、送信所の整備や保守を担当しており、静岡放送局には業務支援のために出張していました。静岡放送局では、ほかにも複数の機材の所在が分からなくなっており、警察は関連についても調べています。本人は捜査当局に勾留されていますが、今後、事実関係を調査のうえ、厳正な処分を行うことにしています。被害に遭った静岡放送局ですが、固定資産等の現物確認が十分ではありませんでした。このため、固定資産や備品については、再度チェックが必要だと考えています。その場合、担当者に任せるだけではなく、ほかの部署の人間とダブルチェックするなど、調査方法を改善していきたいと思っています。
 最後に、職員ではありませんが、金沢放送局が撮影業務を委託している映像プロダクションの元カメラマンが関係すると見られる、主婦の行方不明についてです。今月6日の夜、金沢市内の27歳の主婦が「市内のショッピングセンターで知人の男性と会う」と言って車で実家を出たまま行方が分からなくなり、警察で捜査しています。警察では、この元カメラマンが女性の行方を知っている可能性があると見て、数回にわたって事情聴取を行いましたが、元カメラマンは18日、自殺を図り、病院で手当てを受けています。その後、意識が回復し、21日から事情聴取を再開しました。また、元カメラマンの車の中から血痕が見つかっており、鑑定の結果、女性のDNAの型と一致したということです。金沢放送局では、警察の捜査に協力しており、今後の捜査の行方を見守ることにしています。なお、この元カメラマンは20日付でこの映像プロダクションを退職しているということです。

 (北原委員)

 金沢の元委託カメラマンの件は、NHKの全国ニュースで放送していますか。民放各社と比べてNHKの報道姿勢として、委託カメラマンなのでかばっているとは思いませんが、全国ニュースで放送するのが遅いような気がします。そういうことはありませんか。

 (今井理事)

 最初に、地元の北國新聞が主婦の失踪を朝刊で報じて、その日に民放各局も放送し、NHKは18日の金曜日にローカルニュースで放送しました。

 (北原委員)

 その後の展開を見ると、当然、全国ニュースでやるべき事案ではないのでしょうか。

 (今井理事)

 ローカルニュースにした判断については、主婦が行方不明であるということ、また、元カメラマンも参考人ということで、容疑者ではないという扱いであったことから、NHKの判断としてローカル放送の扱いとしました。容疑者に切り替わった、また、犯行を自供した場合には、全国ニュースとする取り扱いを報道局では行っていますので、そのような判断になりました。

 (北原委員)

 「NHKは身内に甘いのではないか」という批判を聞きましたので、質問しました。

 (今井理事)

 NHKの委託で働いていたカメラマンだからという判断ではなく、通常、こうしたニュースの扱いや判断と同様に、ローカルニュースにしたということです。

 (北原委員)

 分かりました。適切な処理をすることが、信頼の回復につながります。

 (石島委員)

 ビデオリサーチのデータを外へ流出させてしまった事件で、監査委員会でも報告を受けたように、専門会社にパソコンの解析を依頼されているということで大丈夫だとは思いますが、プログラミングの世界では、相当技量の高い人だということで心配なのが、編成用のサーバとコネクションしているので、痕跡が残っていないかということです。その辺も含めてチェックしていただく必要があるのではないかと思います。非常に巧妙に、例えば「トロイの木馬」タイプであるとか、いろいろな種類のウイルスのような働きをするプログラムがあり得ますので、特にネットワークの世界で注目されたかったという意図を聞きますと、そういうものが残されているという心配もあるような気がしますので、ぜひ慎重に調査をしていただければと思います。

 (幸田委員)

 あまりにも次々と不祥事が起こっていますので、その背景に何があるのかということを追及して、きちんと解明しないと、また起きるのではないでしょうか。一番気になるのは、どの案件も確信犯だということです。悪いと分かっていてしたとか、注目を浴びたかったとか、自分の運転免許が失効していたことは知っていたということです。その職場で何か鬱積するようなものがある状況なのか、例えば、非常に時間に追われている、上司からのプレッシャーが厳しい、あるいは忙し過ぎる、職場でのコミュニケーションがうまくいってないなど、その背景にあるものが何なのかということです。このようなことが起こると、NHKで働いていること自体に誇りが持てないというか、ロイヤルティーのようなものが落ちていくことがとても心配です。ですから、例えばカウンセリング部門のようなものが必要で、何かあったら相談ができる第三者的なところに、言えないものを吐き出せるというような手だても考えていかなければいけないと思います。こう次々と不祥事が起きると、職場の中に何か鬱積しているものがあるのか、悪意があってのことなのかは分かりませんが、NHKという存在であるがゆえに外からの目が違ってきている中で、どのように解決していくかということに関して、根本的なものが欠けていないかのチェックが必要な気がします。われわれが一生懸命よくしたいと思っても、結局、NHKのことを無責任に言う人も出てきて、それが逆に、頑張っている職員の士気にも関わってきます。ものすごく難しいことだと思うのですが、こういう人たちを救う何かがないかということも考えていかなければいけないという気がします。

 (吉国理事)

 ディレクターというのは当然、取材交渉で外の人と向かい合うとか、局内でもいろいろな人間を指揮していかなければいけないのですが、本人はそういうコミュニケーション能力が十分でなくて、うまくいかず悩んでいたようです。それが逆に、ネット上であのようなことをすると、みんなに注目されるので、それで気晴らしをするという行為をずっと続けていたということです。ただ、これは上司にもある程度悩みを打ち明けていたのですが、上司から、カウンセリングを受けてみるかということを話しているうちにこのようなことが起きてしまったということです。
 それから、千歳報道室の記者は、報道室への異動は、本人の希望で上司も後押ししていたようです。そのようなことがありましたので、「運転免許が失効していることが分かったら、報道室での仕事ができなくなると思って隠してしまった」と話しています。そのときに誰も相談する相手がいなかったというものです。
 したがってこの2人に関しては、コミュニケーションがきちんと取れていれば、少なくともここまでには至らずに済んだのかもしれないという感じは持っています。いずれにしても、大相撲の賭博のときの記者の情報漏えいもそうですが、どうしても今の時代は、上司である先輩と後輩のコミュニケーションが取りづらくなってきていて、自分たちが思っていることを相談できずに、変な方向に行ってしまうということがあります。今も呼びかけはしているのですが、もう少し何とかしなければいけないとは思っています。さらに正月の不祥事のケースは完全に個人の問題でしたが、今回のケースについては、管理上の問題として、それぞれチェックが甘いということがあり、それが不祥事を誘発している部分があるので、そこをきちんと防ぐことも重要だと思います。

 (幸田委員)

 われわれとしては怒りたいのです。しかし、こうした一連の事件は、現場からの「悲鳴」だと捉える視点も必要な気がします。彼らをただ守るわけでも弁護するわけでもないのですが、たたいて批判して懲戒免職にして終わりというのも抑止方法の1つではありますが、こういうことが職場から上がっている悲鳴だと捉え、何かをすくい上げるような視点が必要なのではと思います。われわれの立場としては、とんでもないと怒りたいのですが、根本にある本質的なものを見つめていくということが、やはり欠けてはいけないと思っているので申し上げました。

 (松本会長)

 コンプライアンスの問題は、NHKだけではなくて、どこの企業でも同じだと思います。不祥事を起こさない前提には、今のお話にもありましたように、基本的なところの価値観やものの考え方などが、きちんとないといけません。それがあれば、踏みとどまることができるのだと思います。今回の事象を見て、NHK全体の人がそうかというと、そういうことはないと思います。しかし、実際に起きたわけですから、これをどうしていくのかを考えて、一つ一つ積み上げていくしかないと思います。例えば1つの装置が無くなるという事象があれば、テレビ・パソコンが今きちんとあるのか無いのかということをもう1回確認することなどです。一つ一つその事象について潰して、それが二度と起きないようにしなければいけません。それでも何年かたつとまた同じようなことが起きる可能性があります。何年か前の、多分周期が来るようなものはもう一回チェックすることが必要です。そのようにして事象を積み上げていき、その数を多くすることは、逆に言うと、すき間がなくなるということです。それから、コミュニケーションについても、やはり今の時代、特に若い人などと取りにくいケースが多いです。昔ですと「一杯行こう」ということがあったのでしょうが、今、なかなかそういうことも難しいので、限られた時間の中で、お茶でも弁当でも、何でもいいのですが、とにかくスキンシップが取れる時間を作るようなことを、ずっと積み重ねていくことによって全体が防げると思います。その根底には、繰り返しになりますが、もともとの公共放送としての価値観をみんなが共有するということの積み重ねだと思います。

 (大滝委員)

 今、会長がおっしゃられたとおりだと私も思いますが、こうたくさんの不祥事を見ていると、地域放送局の現場に近いところでこのような問題が多く起こっていることが気になります。前々から、地域放送局の現場に近いところに、かなりいろいろなしわ寄せが来ているのではないかと思います。非常に少ない人数でいろいろなことを動かしているということは、経営委員会の中でもいろいろな議論があり、ここ何年かの間に随分人員を削減してきているということのひずみみたいなものが、出てきているのではないかと思っています。もちろん全職員がそうなっているわけではないので、そのこと1つだけですべての原因を説明できないと思いますが、特に地域放送局の非常に少ない人数でいろいろなことを行っていかざるを得ないというところに、陰に陽にいろいろなストレスがかかっているというような部分もあるのではないかと推測します。その辺りからの検討も、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 (松本会長)

 仕事のやり方として、効率的にということもありますし、コミュニケーションをどう行うかも重要なことです。全国局長会議もありますので、私からも話したいと思います。今は拠点局を中心に、地域放送局の仕事の割り振りをもう少し効率的にやろうと言っていますが、そういうことも踏まえながら、見ていきたいと思います。

 (大滝委員)

 よろしくお願いします。

 (安田代行)

 会長就任早々、小丸前経営委員長が辞任され、次々とこういう不祥事が起こり、本当に大変だと思いますが、こういう問題が起きるということは、そこに改革すべき道が示されているというように私たちは考えるべきだと思います。コンプライアンスの問題というのは、執行部だけではなく、経営委員会も含めて、NHK全体の大きな問題と考え、経営委員会と執行部が一丸となって、この問題に真剣に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 

4 議決事項

 (2) 協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務の実施について(資料)

 (日向専務理事)

 別添のとおり、総務大臣に認可申請を行いたいと思いますので、定款第13条第1項第1号ニの規定により、議決をいただきたいという案件です。放送法第9条第2項第8号の「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務を行うこと」ということで、この業務に関しては総務大臣の認可が必要になります。ラジオ放送のインターネットによる同時配信の目的は、特に都市のマンション等の鉄筋コンクリート住宅の中でAMラジオが聴こえにくい状況や、夜間の外国電波の混信の問題や家電製品等各種機器からの不要電波などの混信要因の増加があり、非常に今ラジオ放送が聴取しにくくなっているのを解消するということで、NHKの東京で放送しているラジオ第1放送、第2放送、FM放送を全国向けにインターネットで提供するというものです。提供エリアは国内に限定します。このラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するための補完的な措置が有効かどうかということについては、アンケート等により検証・確認を行うことにしています。それから、パソコンによる利用のほかに、インターネットにアクセス可能な携帯端末等による利用も可能にしたいと思っています。
 業務の収支見込みですが、平成23年度は約1.4億円、24年度、25年度は、運用経費として8,000万円を見込んでいます。このための予算は、既に23年度については一般勘定の収支予算に計上済みです。この同時配信については、平成23年10月ごろをめどに開始して、25年度末まで実施ということにしたいと思います。このような形で総務大臣の認可申請を行いたいということです。ご審議をお願いいたします。

 (石島委員)

 インターネットを通じたラジオ放送は、NHKの場合は、当面スタートの時は、独立した形になるかと思いますが、民放がすでに集まって実施しているradikoに、いずれ統合していくつもりなのですか。なぜかというと、整備されて、NHKも含めてラジオが全部インターネットを通じるようになると、インターネットから受信するほうが、電波で受信するよりもいいという話になる可能性があると思うのです。もちろん途中のキャリアは、例えばWiMAXのような高速通信網を使わざるを得ないので、電波を途中で使っているにしても、インターネットの中に組み込まれていき、専用のラジオのようなものも出てくるかなという気もするのですが、そういうときも、方式がそろっていないと、商品化もなかなか起こらないと思いますので、どうお考えなのかを聞かせてください。
 それから、25年度末まで実施するというのは、何か理由があるのですか。

 (日向専務理事)

 なぜ25年度末までかというご質問ですが、特認申請をすることになりますので、恒久的な申請はなじまないだろうということで、25年度末まで実施して、その結果を検証して、必要であれば継続するという形にしたいと思います。それから、radikoの件は、当面はリンクを張るなどの形を検討しようかと思っています。実は、radikoの場合はいわゆる地域制限がかかっており、radikoのシステムでは、関東と関西の一定のエリアでしか聴けません。それと同じように実施することはNHKとしてはできないだろうということで、将来的には一緒にということも可能性としてはあるかもしれませんが、当面はリンクを張るなどの形でできないかということを検討したいと思っています。

 (幸田委員)

 先日の横浜の「視聴者のみなさまと語る会」でも参加者から質問が出ていて、テレビのデジタル化が進んでいるのに、ラジオのほうはどうなのかというものでした。実際に横浜放送局ではラジオのポッドキャストもまだこれからということを言っておられ、驚きました。実は私自身も文化放送で番組を持っているのですが、何年も前からポッドキャストを実施しており、iPodで取り込んで聴くという若者たちや海外のリスナーが大勢いる中で、「NHKは遅れているな」という印象がありましたので、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。

 (日向専務理事)

 横浜放送局のような地域放送局は、まだいろいろな制限があるのですが、ラジオ第1放送は、例えば「NHKジャーナル」など、一部のものはダウンロードサービスを始めています。ぜひ今後お聴きいただければと思います。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

5 報告事項

 (1) 「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見について(資料)

 (金田専務理事)

 前回の経営委員会の最後にご報告したのですが、2月8日の電波監理審議会への諮問・答申を経て取りまとめられまして、「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、この意見を付されたうえで、2月15日の閣議を経て、国会に提出されました。
 資料2ページからの別紙1が「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見」です。「受信料収入の増加と事業支出の伸びの抑制により3年ぶりの黒字予算を編成しており、また、テレビ放送の完全デジタル化への取組を徹底するものとなっているなど、妥当なものと認められる」としています。そのうえで、「記」以下の各論にあたる部分で事業計画等の実施にあたって「特に配意すべき点」が挙げられています。
 1番目の「抜本的な経営改革」の項目では、「経営改革に組織を挙げて全力で取り組み、その成果を国民・視聴者に適切に還元すること」、「業務の合理化、効率化に努めること」、「協会と子会社等との間の適切な業務委託や適正な人員配置などに留意し、全体として最適な経営の実現に努めること」、「職員一人一人の倫理意識の向上とコンプライアンス(法令等遵守)の確保のための取組について、実効性のあるものとなるよう、その徹底に更に努めること」などが挙げられています。子会社については、これまでも常に「配意すべき点」として挙げられていましたが、今回は「全体として最適な経営の実現」という表現が特徴的です。
 2番目の「放送番組の充実」の項目では、「災害その他の緊急事態の発生時における報道体制を充実・強化するとともに、災害時の放送確保に関する研究を推進すること」、「地方向けの放送番組の制作に当たっては、地方の自立に向けた取組に配慮すること」、「字幕放送や解説放送等の計画的かつ着実な充実を進めること」、「外部制作事業者の能力の積極活用に努めること」、「国際放送の番組内容の充実や視聴地域・視聴者の拡大に努めること」などを挙げています。
 3番目の「テレビ放送の完全デジタル化への取組」の項目では、「本年7月のデジタルテレビ放送の完全移行に向けた取組に万全を期すとともに、アナログ停波後の対策にも積極的に取り組むこと」、「NHK共同受信施設のデジタル化、都市難視聴地域やいわゆる新たな難視地域における受信環境の整備において一層取組を強化すること」、「地上・BSアナログ放送終了に関する国民・視聴者へのきめ細かな周知・広報、受信者からの相談対応を徹底すること」、「地上デジタル放送日本方式の国際展開に取り組むこと」としています。アナログ放送停波後や、いわゆる都市難視聴、新たな難視など、具体的な課題への言及が今回の特徴と言えると思います。
 4番目の「新しいメディア環境への対応」は、22年度にはなかった項目のくくりです。この中では、「二次利用等コンテンツの積極的な流通促進への取組に努めること」、「NHKオンデマンドの収支改善に一層努めることをはじめ、インターネットの活用についての検討・取組を促進すること」、「立体映像をはじめとする、新たな放送技術の研究開発に一層努めること」を挙げています。「インターネットの活用」や「立体映像」など、今日的なキーワードが盛り込まれているということが特徴です。
 最後の5番目の項目は、「受信料の公平負担の徹底等」です。「受信料の体系の在り方について、広く国民の意見を聞きながら幅広く検討すること」、「未契約者及び未払者対策を一層徹底すること」、「契約収納業務の経費削減に努めること」としています。

 

 (2) 放送受信料免除における更新手続きに関する意見募集結果について(資料)

 (大西理事)

 今回の意見募集は、放送受信料の免除制度において、免除事由の継続について確認調査が実施できない場合、該当の免除適用者に限り、再度申請をいただく更新手続きを導入することとし、この考え方について意見募集を実施したものです。
 まず、結果の概要についてご説明します。募集は、平成23年1月26日から2月8日までの2週間実施しました。寄せられた意見の数は57件でした。なお、1人の方が複数の意見を寄せられる場合もありましたので、延べ件数は78件となりました。意見募集の結果についてですが、寄せられた意見としては、NHKの考え方を支持する意見がある一方で、現行どおりの運用を求める声が一部あるとともに、証明先における確認調査に対する意見もありました。こうした意見に対しては、NHKとしても説明でき運用において対応できる範囲であることなどから、実施内容の骨格を変更する必要はないと判断し、更新手続きの導入を進めていきます。個別の指摘については、今後の運用の中でその趣旨を踏まえ、反映に努めていきたいと思います。
 次に、主な意見とNHKの考え方についてご説明します。資料では主な意見を5つのカテゴリーに分類し、それぞれについてNHKの考え方のポイントを整理しています。主な意見の2つ目の「運用面で工夫すべき」という意見に対しては、更新手続きの周知徹底や十分な手続き期間の設定等、運用方法の工夫に努めていく考え方を公表します。3つ目の「個人情報の取り扱いに留意すべき」という意見に対しては、取り扱いには十分留意していく考え方を公表します。4つ目の「確認調査は証明先の負担が大きい」という意見に対しては、証明先における確認調査は、免除継続を希望する方の負担を軽減する方法であり、引き続き可能な証明先にはお願いしたいという考え方を公表します。5つ目の「現行のままにすべき」という意見に対しては、更新手続き導入の必要性をお伝えするとともに、特段の事情がある場合については、別途対応等を検討する考え方を公表します。
 なお、各分類の意見数ですが、「賛成」が12件、「運用面の工夫」が2件、「個人情報の取り扱い」が6件、「確認調査の証明先の負担」が12件、「現行のまま」が7件となっています。また、今回の意見募集とは直接関係ありませんが、「免除の適用範囲の意見」が11件、「免除のその他の意見」が10件、全く関係ない意見が18件寄せられています。
 結果の公表方法としては、NHKホームページ(NHKオンライン)に掲載します。公表内容は、先ほどご説明しましたように、共通するカテゴリーの意見に対して一括してNHKの考え方を公表します。公表日は2月23日を予定しています。すべての意見については、個人情報に該当する部分を除き、全国のNHKハートプラザで閲覧可能とします。最後に、この意見募集における周知の実績です。これまでの意見募集と同様に、NHKオンラインにおける周知をはじめ、スポット、放送番組、報道発表により十分な周知に努めてきました。

 (井原委員)

 今回の募集結果そのものではなく、更新手続きに関連してですが、手続きそのものは基本的に受信料の公平負担を図るという観点からの措置だと承知しています。そうだとすれば、受信料の公平負担というのは、申し上げるまでもなくNHKの根幹となる課題ですので、こういった手続きをしているということを、今回の意見募集の際だけではなく、受信料に関する説明等のときに、説明として入れているのかどうかということをお尋ねします。私としては、さまざまな形で公平負担へのご理解をいただきたいというこのような取り組みを進めていくべきだと思っており、その意味でこういう説明を折々にお願いしたいと思ってのお尋ねであり、お願いです。

 (大西理事)

 説明については、受信契約時に日本放送協会放送受信規約をお渡ししていますので、そこに免除の取り扱い等は掲載しています。免除の部分だけに限ってこのようになっているという説明は現在していませんが、ご指摘のように親切丁寧に公平負担へのご理解をいただくよう説明していくことは、営業現場でも徹底していきたいと考えています。

 (井原委員)

 どのような形が望ましいのかは、さまざまな観点から検討していただかないといけないと思いますが、公平負担へのご理解をいろいろな形でお願いする努力をお願いしたいという趣旨です。よろしくお願いいたします。

 (大西理事)

 分かりました。

 

 (3) 視聴者対応報告(平成23年1月)について(資料)

 (大西理事)

 平成23年1月の視聴者対応報告をご説明します。
 まず、2ページをご覧ください。1月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は32万7,478件で、前月に比べて1万4,000件余り少なくなりました。内容を見ると、ご意見・ご要望が6万1,000件余りで全体の19%、問い合わせが23万2,000件余りで全体の71%となっています。また、2ページ下の分野別のグラフを見ると、受信料関係が15万3,000件余りで、前月より2万3,000件余り少なくなっています。奇数月は受信料の継続振込の払込用紙が送付されないことに加え、1月はふれあいセンターの営業の窓口が3日間休みになることが影響しているのではないかと見ています。
 4ページは、1月のピックアップとして、9日の日曜日から始まりました今年の大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」を取り上げました。1か月間で寄せられた反響は1,675件で、昨年放送の「龍馬伝」より少なくなりましたが、一昨年の「天地人」への反響とほぼ同数になっています。反響を寄せていただいた視聴者の性別、年代別のグラフを掲載しています。男女別ではほとんど差はありませんが、年代別では60代を中心に高齢者層の割合が増えている一方、20代、30代の割合が減っています。
 5ページでは、「史実」に関する視聴者の声をまとめました。1月に「江」に寄せられたご意見・ご要望のうち、脚本・演出に関しての声が359件と最も多く、そのうちの302件が「史実と異なる」など厳しい意見でした。内訳を表にまとめましたが、「家康役を信長より年長の俳優が演じているのは不自然」など、配役の年齢に関するものが55件、ことばづかいに関するものが36件となっています。それぞれに対するNHKとしての考え方をまとめ、視聴者に説明しています。具体的な例を2つ紹介します。1つ目は、配役についてですが、「第2回から上野樹里さんが登場したが、当時の江は7歳前後のはずで、上野樹里さんが演じるには無理があるのではないか」というご指摘がありました。NHKの考え方としては、伯父・信長との出会い、実母・市の死という江の成長期における2つの重要な出来事を上野さん本人が演じ、“江の大切な記憶”を実体験として積み重ねていただくことが作品全体にとって大切なことだと考えたということです。一般論としても、幼少年期から大人の出演者に演じていただくことはしばしばあります。例えば「巧名が辻」では、仲間由紀恵さんは千代が6歳のときから、「篤姫」では宮崎あおいさんは篤姫が11歳のときから登場しています。2つ目は、「予告番組で茶々(のちの淀)を豊臣秀吉の『妻』になると紹介しているが、違和感がある。妻は『おね』一人であり、茶々は『側室』と呼ぶべきではないだろうか」というご指摘です。これについては、淀は北政所(おね)と並んで「正室」の一人として処遇されていたとお考えの歴史研究者も増えており、時代考証をお願いしている先生方とも相談のうえ、「妻」と表現したというNHKの考え方を説明しています。
 6ページは、反響の多かった上位10番組と再放送希望の多かった上位10番組です。ともに上位5番組は「第61回NHK紅白歌合戦」と「ためしてガッテン」が占めています。
 7ページからは視聴者からのご指摘やご意見・ご要望への対応です。初めは、「ためしてガッテン」のFAXサービス開始についてです。6ページでご紹介したように、「ためしてガッテン」は定時番組としては最も反響の多い番組の1つです。視聴者からの問い合わせに迅速にお応えするため、番組では、1月19日の放送からFAXサービスを開始しました。番組内容のポイントや紹介したデータなどを「お役立ち情報」として、24時間いつでも取り出すことができます。サービスを開始した19日の放送以降、「FAXサービスをどのように利用したらよいか」という問い合わせが多くなり、1週間で310件に上りました。このため、番組では次週の26日の放送から、電話番号をより見やすく表示し、FAXサービスの利用方法も画面上で詳しくお伝えしました。その結果、FAXサービスについての問い合わせは26日の放送から1週間で124件と、前週に比べ半分以下になっています。
 8ページをご覧ください。連続テレビ小説「てっぱん」に寄せられたご指摘です。「村上鉄工所での溶接作業の場面で、防じんマスクをしないで作業をしているが、これは粉じん障害防止規則第27条に照らして問題だ。屋内ではマスクをしなければならないことになっているのに、このまま全国に放送されるのはよくない」という内容です。確認したところ、ドラマの中の溶接の場面では、一般に防じんマスクが必要であることが分かりました。ご指摘があった後の、第17週(1月17日〜22日)にも溶接作業の場面が放映される予定でしたが、すでに撮影済みで、改めて撮り直すことができないため、該当場面には「実際の作業では防じんマスクが必要です」とスーパーで表示しました。
 9ページは「日曜美術館 風濤(とう)を越えて〜薩摩焼と400年生きて〜」に関するご指摘です。薩摩焼を取り上げた1月16日の放送で、鹿児島県の湯之元温泉の泉源神社のほこらに納められていた、薩摩焼で作られた仏像を「阿弥陀如来像」とご紹介したところ、「手に壷(つぼ)を持っているし、温泉町には薬師如来が多いので、薬師如来の誤りではないか」というご指摘が寄せられました。改めて確認したところ、ご紹介した仏像は「薬師如来像」であることが分かり、1月23日の再放送ではテロップとコメントを正しく差し替えて放送しました。
 11ページは、誤記・誤読です。視聴者からのご指摘をもとに確認した結果、放送での誤読やテロップのミスなどは、1月は48件で、前月に比べて11件少なくなりました。「上を向いて歩こう」の作曲者を「永六輔」さんと、誤ってテロップで表示したミスや、半眼(ハンガン)を誤って「ハンメ」と読んだケースがありました。また「王将」の作詞者、西條八十(やそ)さんを誤って「西條ハナ」と表記するミスもありました。
 14ページは、大相撲の八百長問題への反響とNHKの対応について取りまとめました。2月2日、昨年の大相撲野球賭博問題で警視庁が押収した現役力士の携帯電話の中に八百長をうかがわせるメールが残っていたことが分かり、複数の力士らが関与を認めました。NHKでは、翌3日の会長会見で、2月11日に開催を予定していた「第44回NHK福祉大相撲」の中止を発表しました。会長会見の要旨を掲載しました。この中止の決定については、「福祉大相撲の中止の判断はよかったと思う。今の状況では本場所も中継すべきではない」という意見や「中止しなくてもよいのではないかと思う。本場所と違い、ショーとして楽しみにしている方が大勢いるはず」というご意見など、2月10日までに、84件の反響がありました。最後に2月6日に、日本相撲協会が春場所の中止を決定したことについて、NHKの見解を掲載しました。

 (北原委員)

 大西理事が視聴者対応報告の担当になったのですか。

 (大西理事)

 そうです。

 (北原委員)

 今までは今井前副会長が担当していましたが、小野副会長は担当しないのですか。

 (大西理事)

 視聴者総局長の所管になりますので、来月も私が担当します。

 (松本会長)

 小野副会長は会長補佐全般と考査室を担当してもらっています。

 (北原委員)

 分かりました。

 

 (4) 契約・収納活動の状況(平成23年1月末)(資料)

 (大西理事)

 平成23年1月末の契約・収納活動の状況についてご報告します。まず、放送受信契約総数の増加状況です。第5期は、下半期から新しい委託契約収納員の体制がスタートした中で、引き続き契約・支払い再開活動へのパワーシフトに取り組みました。第5期の契約総数増加は9.0万件となり、前年度同期と比較すると7.4万件上回りました。1月末の累計増加数は43.4万件となり、前年度同時期と比較すると19.6万件上回りました。進捗率は、22年度の事業計画に対して124.0%となっています。また、第5期の契約総数取次数も委託契約収納員の取次をはじめ、法人委託等の取次、自主申出など、いずれも前年度同期を上回りました。なお、障害者免除や公的扶助受給世帯などの増加による有料契約から全額免除への変更は、第5期は前年度同期を0.4万件下回り、1月末の累計では前年度同時期と同水準になりました。
 2ページをご覧ください。衛星契約増加です。衛星契約増加については、第5期は「年末商戦」や「完全デジタル化への準備」などによる普及拡大に連動し、早期契約化への取り組みを展開した結果、期間の増加数は16.9万件となりました。前年度同期と比較すると5.1万件上回りました。1月末の累計増加数は75.3万件となり、前年度同時期と比較すると18.0万件上回っています。進捗率は、22年度の事業計画に対して115.8%となっています。衛星契約取次数は、契約総数取次数と同様に、委託契約収納員の取次、法人委託等の取次、自主申出など、いずれも前年度同期を上回りました。
 3ページをご覧ください。第5期の当年度の収納額ですが、1,102億円となり、1月末の累計で5,398億円になりました。前年度同期と比較した増収額は第5期が30.0億円、1月末累計では125.5億円となり、22年度の前年比増収額計画107億円を上回りました。前年度受信料の回収額実績は1月末の累計で前年度同時期を3.3億円上回る62.3億円となり、前年度の年間実績を上回りました。前々年度以前受信料の回収額実績は1月末で37.7億円となり、前年度同時期を17.9億円上回っています。これは、全額が雑収入として計上されます。
 4ページに移ります。支払い拒否・保留数です。1月末で22.9万件となり、17年度4期末のピーク時の128.0万件から105.1万件の削減となりました。未収数については、第5期に6万件削減して年間累計21万件の削減となり、年間計画の20万件を上回りました。
 5ページをご覧ください。口座・クレジット支払いの増加状況です。第5期が、14.3万件の増加となり、年間累計では前年度同時期を12.2万件上回る62.7万件となっています。

 (井原委員)

 今ご説明いただきましたように、総じて、まだまだ経済環境が厳しい中でこのように非常に好調な状況に対して、営業のご尽力を評価させていただくばかりなのですが、これに関連して1点お尋ねしたいのは、本日の「平成23年度収支予算、事業計画及び資金計画」に付する総務大臣の意見でもありましたし、また22年度にもありましたが、契約収納業務の経費削減との関わりについてです。傾向的にどのような状況にあるのかということをお尋ねしたいと思います。もとより、それを短期的にということだけではなく、例えば法人委託等については、まずは経費が先に必要だが、あとで成果が上がることもあるということは承知をしていますが、現在、傾向的にどのような状況になっているのかを教えていただけたらありがたいと思います。

 (大西理事)

 事業計画を上回る取次数により契約数が伸びていますので、手数料も伸びているということです。これから決算期を迎えるわけですが、当初計画していたより手数料あるいはその他の経費が上ぶれしている状況です。先ほど法人委託の話がありましたが、22年10月から新しい委託契約収納員体制をスタートさせて、2期が経過しましたが、さまざまな形で成果が生まれてきています。その中で、委託契約収納員以外で効率的な契約収納業務を行う法人委託の拡大も同時に進めてきています。そういうパワーシフトを、営業では20年10月に訪問集金を廃止した以降を第1ステージと言っていますが、22年10月から更なるパワーシフト体制の第2ステージをスタートさせています。これから決算期を迎えますが、より効率的な業務運営に努めていきたいと考えています。

 (井原委員)

 よろしくお願いします。

 

 (5) 財政の現況(平成23年1月末)(資料)

 (金田専務理事)

 平成23年1月末の財政の現況についてご説明します。
 予算の執行状況ですが、事業収入については、予算6,786億円に対して5,680億円の収入がありました。進捗率は83.7%となっています。1月末の標準進捗率は83.3%ですので、順調に推移しています。一方、事業支出は、予算6,847億円に対して1月末実績は5,426億円となり、進捗率は79.2%です。この結果、事業収支差金が254億円の黒字となっています。受信料収入を中心に、事業収入は順調に推移している一方、事業支出については、全体として堅調に推移していますが、今後の見通しとして、デジタル化に伴う経費助成など、年度末に支出の増加が見込まれるものがあります。さらに、NHKも民放各社と同じようにアナログ放送設備の撤去経費の引当金を計上する必要があります。そのために、1月末の事業収支差金254億円は決算時には大幅に圧縮されますが、最終的にはなんとか黒字を確保できる見込みです。
 続いて、事業収支のポイントについてご説明します。まず、事業収入ですが、1月末の受信料の実績額は5,485億円です。予算に対する進捗率は83.7%となっています。地域スタッフや法人委託等による契約・支払再開活動への一層のパワーシフトに取り組んだことや、デジタル機器の急速な普及に合わせて衛星契約勧奨活動を徹底したことなどにより、契約総数増加と衛星契約増加ともに前年同月の実績を上回り、受信料は順調に推移しています。後ほど受信料の状況について、受信料収入の内訳をご説明します。副次収入ですが、1月末の実績は66億円となり、予算に対する進捗率は63.1%になっています。今後は、コンテンツの二次使用料やイベント等の収入が見込まれますが、映像商品の売り上げ減や出版不況等の影響を受けていることなどにより、やや低い進捗率となっています。雑収入は、未収者への文書対策等の効果により、前々年度以前受信料の回収額が増加し、予算額を大幅に上回っています。特別収入は、一部の固定資産の売却が翌年度以降にずれ込むことなどにより、低い進捗率となっています。
 次に、事業支出です。国内放送費の1月末の実績は2,294億円となり、予算に対する進捗率は80.6%です。これまでに「2010FIFAワールドカップ南アフリカ」と「2010広州アジア大会」の放送や参議院議員選挙報道などの支出がありましたが、全体としては堅調に推移しています。契約収納費の1月末の実績は511億円となり、予算に対する進捗率は87.5%と少し高くなっています。地域スタッフの体制を契約・未収対策へさらにパワーシフトしたことにより、業績が向上しています。その結果、手数料も増加しています。また、法人委託の拡大や未収者への文書対策の追加実施等により、やや高い進捗率となっています。受信対策費の1月末の実績は104億円となり、予算に対する進捗率は38.5%となっています。自主共聴デジタル化改修等の対策に係る経費助成が決定するまでに一定の期間を要すること、および助成対象施設の減などにより、支出額が少なくなっています。今後は、ビル陰共聴等の受信環境インフラのデジタル化支援等の支出が見込まれています。
 続いて、損益の状況です。損益計算書については、放送法施行規則に基づき収入と支出を経常事業収支、経常事業外収支、特別収支に分けて表示しています。前年同月との比較で分析しています。まず、経常事業収支ですが、受信料収入が116億円増加している一方、国内放送費が「2010FIFAワールドカップ南アフリカ」等の関連経費や受信対策費としてのデジタル化対応経費などが増加しています。その結果、経常事業収支差金は、前年同月と比べて12億円増加の298億円となっています。経常収支差金ですが、前々年度以前受信料の回収額が増加したことなどにより、財務収入と雑収入を合わせて17億円増加しており、前年同月比で27億円増加の263億円となっています。事業収支差金は、固定資産売却益等の減により減少しています。以上の結果、事業収支差金については、6億円減少の254億円となっております。
 3ページをご覧ください。参考として、主要事業支出項目の前年同月比較とデジタル化対応経費の執行状況を記載しています。主要事業支出項目の前年同月比較では、国内放送費、国際放送費、契約収納費について、それぞれの実績額と増加理由を記載しています。デジタル化対応経費についても、建設費と事業費に分けてそれぞれの1月末の実績および進捗率を記載しています。デジタル化対応経費の執行状況ですが、建設費が予算400億円に対して、1月末の実績は274億円です。進捗率は68.6%となっています。事業費は予算327億円に対して、1月末の実績が169億円となり、進捗率は51.7%となっています。建設費については、12月末までに、総務省が発表したロードマップに掲載されているすべての中継局の建設が完了し、開局しています。現在は、新たな難視対策計画に基づく中継局の整備を進めています。また、NHK共聴のデジタル化についても、22年度末までに全施設のデジタル化対応が完了する予定です。進捗率が68.6%とやや低くなっていますが、これは、デジタル中継局の整備局数がケーブル移行などにより、予算策定時のおよそ90%になっていることに加えて、仕様の見直しや効果的・効率的な調達により経費削減が図られたことによるものです。事業費については、今後、ビル陰共聴等の受信環境インフラのデジタル化支援や、アナログ放送終了に向けた周知広報活動の徹底のための支出が見込まれています。
 次に、貸借対照表をご覧ください。前年度の決算額と1月末を比較した比較貸借対照表になっています。1月末の協会の総資産が8,587億円で、前年度決算額の8,533億円と比べて53億円増加しています。主な増減としては、固定資産の長期保有有価証券が266億円増加しています。一方で、有形・無形固定資産については、減価償却額が取得額を上回っており、簿価が73億円減少しています。負債ですが、1月末は2,702億円で、前年度決算額の2,904億円に比べて201億円減少しています。主な増減ですが、契約総数・衛星契約の増加などにより受信料前受金が102億円増加している一方で、設備整備費関係の未払金が減少していることなどから、その他の流動負債が331億円減少しています。この結果、純資産ですが、1月末は5,884億円となり、前年度決算額の5,629億円に比べ254億円増加しています。この結果、自己資本比率ですが、前年度決算における66.0%から2.5ポイント増加して、68.5%となっています。
 受信料の状況ですが、放送受信契約に基づく収納すべき債権額、いわゆる損益計算書上の受信料収入は、1月末で5,553億円となり、対前年同月で116億円増加しています。これは、契約総数および衛星契約が増加していることや未収が削減されていることによるものです。損益計算書の受信料収入から欠損償却額を控除した事業収支の受信料収入は5,485億円で、対前年同月で118億円増加しています。1月末までの受信料収納額は5,398億円で、対前年同月で125億円増加しています。順調に収納が進んでいます。そのために、2月以降から23年度末までの回収予定額は、前年同月を7億円下回る86億円を見込んでいます。
 なお、5ページの右下に、参考として「前年度・前々年度以前受信料の回収額」を記載しています。前年度受信料回収額については、今年度回収予定額の58.8億円に対して、1月末実績で62.3億円となっています。また、前々年度以前受信料回収額についても、1月末の実績は37.7億円となり、いずれも順調に進んでいます。
 6ページの一番下に、番組アーカイブ業務勘定の状況を記載しています。1月末の実績は、事業収入が4.9億円、事業支出が17.2億円となっています。1月は、見逃し見放題契約が堅調に伸びるとともに、12月から開始しました特選見放題契約が引き続き好調であったことから、売り上げは12月を上回る過去最高となりましたが、事業収入の進捗率は40.4%にとどまり、事業収支差金は12.3億円の赤字となりました。

 

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について(資料1)(資料2)

 (日向専務理事)

 地方放送番組審議会委員として、四国地方で、早川賢治氏(帯屋町筋商店街次世代委員会代表)に、平成23年3月1日付で2期目の再委嘱をいたします。また、北海道地方で、山本卓氏(北海道新聞社論説委員)は、本人の申し出により退任されるため、任期の途中ですが、平成23年2月28日付で委嘱を解くことといたしました。

 

 

6 その他
 (1) 第86回放送記念日記念行事の実施について(資料)

 (八幡理事)
 第86回放送記念日記念行事を、放送記念日の3月22日に開催します。式典は、会長のあいさつに続いて、総務大臣をはじめ来賓の方々からごあいさつをいただいたあとに、第62回放送文化賞贈呈式、職員表彰(会長賞)受賞者紹介など、例年と同様の内容です。ただし、記念演奏は、NHK交響楽団が海外公演中のためにN響楽団メンバーが少なく、13名の弦楽合奏団となります。参加人数は全体で1,200人程度を予定しています。記念式典終了後は懇親会を開催して、来賓の皆さまと交流を深める機会にしたいと考えていますので、経営委員の皆さまにも式典、懇親会ともにご参加いただければありがたいと存じます。

 

 (2) 「第62回日本放送協会放送文化賞」の贈呈(資料)

 (八幡理事)

 先ほどご説明しましたように、放送記念日記念式典にて、「第62回日本放送協会放送文化賞」の贈呈を行います。1月19日の選考委員会にて、7名の方々への贈呈が決定しました。簡単に、7名の方についてご紹介します。青柳正規さんは、ローマの歴史やイタリア美術の番組に多数出演していただいており、平成23年実施の「大英博物館 古代ギリシャ展」の開催にもご尽力いただいた方です。池端俊策さんは、脚本家で、NHKの代表作としては「帽子」、「聖徳太子」、「大化の改新」等があります。小沢愼治さんは、NHKの番組での3次元画像処理など、テレビ番組の映像表現に不可欠な技術の基盤を築いていただいた方です。桂三枝さんは、ご存じのとおり、テレビ、ラジオ、舞台とマルチに活躍する上方落語の大看板です。鎌田實さんは、諏訪中央病院の名誉院長ですが、平成15年からラジオ第1放送の「鎌田實 いのちの対話」で一貫して命の大切さを訴え続けておられます。外山雄三さんは、30年以上、NHK交響楽団の正指揮者をされています。富司純子さんは、ご存じのとおり昭和41年の大河ドラマ「源義経」で静御前を演じられて以来、さまざまなNHKの番組に出演されており、今は連続テレビ小説「てっぱん」でご活躍中です。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成23年3月8日    

安 田 喜 憲

 

井 原 理 代