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卓球の小学生王者から世界へ! 石川の中学生 平塚健友選手

  • 2023年09月14日

    卓球場で一変する!?13歳の素顔

    金沢市内の中学校。 放課後、運動会で行われる応援合戦の練習が行われていました。 
    その中で、ひとりぎこちない動きをしていたのが中学1年生の平塚健友選手。 
    「教わったことをすぐにはできない」自らこう話す、少し不器用な13歳です。

    ところが、ひとたび卓球場に入ると様子が一変します。
     普段の練習相手は高校生。しかも全国大会常連の遊学館高校の選手たちです。 
    それでも自在にボールを操り、打ち勝つ平塚選手。高校生たちも実力に太鼓判を押します。

    「やりづらいです」

    「強いって思います」

    平塚選手
    「将来の夢は、オリンピックで優勝することです」

    プレースタイルは『カットマン』!

    平塚選手は全国レベルではほとんど見られない 独特なプレースタイルで勝利を重ねてきました。
    それが『カットマン』。

    上から切るように打ち、ボールに強烈な下回転をかけます。 
    そのボールは打ち返すのが難しく、 相手はミスをしないよう慎重な対応を迫られます。

    試合では、20回に及ぶラリーが展開されることも。
    どんなにラリーが長くなっても、辛抱強くカットで返し続けて相手のミスを誘う
    これがカットマンのスタイルです。 
    去年7月には、小学生の全国大会(全日本選手権ホープスの部)で優勝
    カットマンとして戦っていく自信をさらに深めました。

    平塚選手
    「カットマンは大きいラリーになることが多いので、
    そこで点数を取ると会場が盛り上がったり自分にペースが来たりするので
    カットで良かったと思う」

    カットマンを志したわけ

    平塚選手がカットマンになったのは卓球選手だった父・陽一郎さんの影響です。 
    3歳の頃から去年まで平塚選手を指導してきた陽一郎さん。
    最初はカットではなく、 オーソドックスな卓球を教えていましたが、
    2年間で1勝もできなかったといいます。

    陽一郎さん
    「優しい子といえばいい言い方なんですけど、おっとりしてるんですよね。
    へなちょこだったので、試合している姿を他チームの選手や保護者に
    笑われている姿を何回も見てきてるんですよ。
    物心ついたときに笑われ続けるのが、かわいそうだなと思っていました」

    小学1年時の平塚健友選手

    なんとか息子を勝たせたいと教えたのが、カットマンのスタイルでした。 
    そこで、息子のある才能に気づいたといいます。

    陽一郎さん
    「本当に彼には才能がないと思っていたけど、つらい練習でも一つのことに
    対してとにかく一生懸命やれる子ではあったんです。辛抱強く忍耐力がある。
    彼の性格がすごくマッチしたんじゃないかなと思っています」

    小学5年時の平塚健友選手

    その後、平塚選手は全国大会でも勝てるレベルに急成長。 
    辛抱強く守り抜くカットマンのスタイルが平塚選手の才能を開花させたのです。

    世界で勝つために・・・目指すは二刀流!

    平塚選手はいま、2ヶ月に1回あこがれの選手である、松下浩二さんに指導を受けています。
     松下さんは、平塚選手と同じカットマンで卓球界のレジェンド。
    日本選手初のプロとして強豪・ドイツのリーグでも活躍。オリンピックには4回出場しました。

    粘り強く守り抜く平塚選手の戦い方を高く評価している松下さん。
    しかし、いま教えているのは攻撃でした。

    「もうちょっと音が出るくらいに踏み込めると、もっとボールが速くなる。
    いまは手だけで打っているから、あんまりスピードが出ない。
    カットマンが打つときには決定打というか、決めて打った方がいい」

    「ありがとうございます」

    これまで重視してこなかった攻撃力強化に取り組んでいるのは、
    世界で勝つという目標を見据えているからです。

    いま、世界のトップは張本智和選手をはじめ、攻撃力を前面に押し出した選手ばかり。
    カットマンを圧倒しています。
    世界ランキングの上位を占める中国選手も、みな攻撃型の選手です。 

    高いカット技術がある平塚選手が攻撃を磨けば、
    誰もやっていないスタイルを確立できると考えているのです。

    松下さん
    「打つのもすごく強くて、鉄壁の守備を持っていたら勝つと思うんですよね。
    カットに弱い選手もいますからね。
    相手に合わせて攻撃を多くするのか、カットを多くするのかってできれば。
    なんと言ってもそういう選手はいないので」

    カットと攻撃の二刀流に挑む平塚選手。
    松下さんは自分のものにするまで、10年はかかると考えています。
    それでも平塚選手は、辛抱強く練習を続けていく決意を固めています。

    平塚選手
    「どれだけ時間がかかったとしても、
    そこから逃げてしまうと勝つことが難しくなってしまうので、
    そこはしっかりと認めて普段の練習でしっかりやるようにしたいです」


     

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