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NHK金沢・石川WEBノート

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金沢市電 元運転士 運転した電車に会いに行く 金沢 豊橋 岐阜

  • 2023年08月22日

かつて金沢を走っていた路面電車の運転士が、当時の思い出の電車と再会する旅に出ました。元運転士が旅先で見た光景とは。1985年8月22日放送のリポートです。

(編集:金沢放送局 記者 松葉 翼)

元金沢市電運転士 写真集を自費で出版

金沢市に住む、石川一雄さんは、ことし70歳。市電廃止と共に北陸鉄道を辞め、今は市内の料亭で働いていますが、電車への思いは変わりません。現役の頃から趣味を生かして数千枚の電車の写真を撮り続け、退職後貯金をはたいて写真集を自費出版しました。

石川さんが出版した写真集

金沢の市電は第一次世界大戦が終わった翌年の大正8年に開通し、48年間「北の都」を走り続けました。しかし自動車が普及するにつれ、交通渋滞の原因になるとして廃止論議が高まり、昭和42年2月、ついに廃止されました。要らなくなった電車は大半が解体されましたが、一部は同じ名鉄系の市電が走る、岐阜と豊橋に送られ第二の人生を歩むことになりました。

思い出の電車 再会の旅に

石川さんはこの夏、かつて運転した電車と18年ぶりに再会するため、旅に出ました。

愛知県豊橋市。ここには2両の電車が送られました。石川さんは始発が走る前の車庫を訪ねました。

これが金沢から来た電車です。2両はいずれも健在でした。色は塗り替えられていますが、少し小さめの車体は昔のままです。

(石川さん)
なんとも言えないですね。よく頑張っている。

金沢より道路が広く、車の少ない豊橋で、電車は悠々と走っているようです。営業係数、つまり100円の収入をあげるためにかかる費用は103円。少々赤字ですが市民の足としてすっかり定着しているようです。

元金沢市電が11両 岐阜の路面電車は…

残る17両の行方を求めて、石川さんは岐阜を訪ねました。岐阜では送られたうち11両が今でも走っていました。

ここでは金沢から来た車両が全体の3分の2を占め、いわば主力選手です。昭和25年に造られた電車は立派に市内の目抜き通りを走っていました。

しかし豊橋とはちょっと様子が違うようです。電車は市内の交通渋滞に巻き込まれ、いかにも走りにくそうです。営業係数は160。赤字の上に交通の邪魔になるということで、市議会で廃止決議が出るほどの厳しい状況です。

(名鉄岐阜常務区 森政明 庶務主任)
現在、我々の職場は厳しい状況に置かれています。お客さんがご利用いただけるために、諸官庁への折衝もいたしまして、定時運転を確保している現状でございます。

市電が公共輸送機関として機能している都市は全国いくつもあります。風雪に耐えて走る電車を見ていますと、金沢の市電廃止が早すぎたのではとの思いが頭をかすめます。

岐阜の電車を撮影する石川さん

(石川さん)
運転していた電車を見て、よくやってくれているなと思いますね。頑張っている姿が見えました。嬉しいですよ。だけどもやっぱり「時代の流れ」という感じがしますね。

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