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鹿児島城西 都大路 県勢13年ぶり入賞へ 飛躍の理由は?

  • 2023年12月22日

12月24日に京都・都大路で行われる全国高校駅伝に5年ぶりに出場する男子・鹿児島城西高校。
優勝したことしの県大会では、去年のチームの記録を4分以上更新し大きく成長をとげました。ことしチームがテーマにしてきたのは「スタミナ」と「1人で走る力」の強化です。(アナウンサー・黒田賢)

県大会を制した鹿児島城西。
去年まで3年連続2位という悔しい思いを晴らしました。記録は「2時間4分30秒」
去年より4分以上もタイムを縮め、各都道府県の優勝チームの中でも全国3位の好記録でした。

「スタミナの強化」夏の走り込みとけがの予防

去年からの大きな変化。その1つが「スタミナ」の強化です。
これまでも、800mや1500mなど中距離のトラック種目で活躍する選手がいましたが、
そのスピードを、3km以上を走る駅伝では生かしきれませんでした。
そこで、駅伝でも結果を出すために。取り組んだのが「夏の走り込み」です。
去年よりも長い距離を走ることを全員が意識してきました。夏には1日30キロ以上走った選手も…。
高校生としてはかなりの距離です。

一方で、走行距離が増えるほどけがのリスクは上がってしまいます。そこで走り込みを支えたのが……専門知識をもったトレーナーの存在です。週2回選手の身体をほぐすなどのケアを行っています。長距離を走っても故障のリスクが高まらないよう工夫してきました。

新森蓮
トレーナー

セルフケアについても口うるさく言うことで、これまではほぼ全員、足の裏とかパンパンに張っていましたが、ことしは足の裏など土台になる部分がほぐれてきました。加えて身体の使い方が上手くなってきたこともあり故障が少ないのかなと思います

県大会では4区で好走した3年生の齊藤莉樹選手もトレーナーとの会話の中で自らの体と向き合う時間が増えました。

齊藤選手

痛いときにどう伸ばせばいいのか、あまりセルフケアしていなかったので、ここをケアしてねと言われます。春から故障がほとんどなく継続して練習ができたので、スタミナはついているのかなって自分でも実感しています

「1人で走る力」の強化 ペース感覚を身につけるために

去年からの変化。もうひとつが「1人で走る力」の強化です。
横一列でスタートするトラック競技と違い、駅伝はタスキを受ける時点でライバルが近くにいないこともあります。そのときはひとりでペースを作らなくてはなりません。
これまでは先頭と差が開くとそのままずるずる離される場面も目立ちました。

1人でジョギングをする選手

そこでことしは、集団で競い合って走力を上げるのではなく、あえて1人で走る時間を意識的に増やしました。選手が自分でペースをコントロールできる力を培うことを重視したためです。

髙田監督

ジョギングでも単独で走る。しかも、自分のコンディションを考えながらペースを決めて走ることは駅伝で大きく生かされてきたんじゃないかなと思います。

成果が出たのが県大会。序盤にリードを許しながらも、ひとりひとりが自分のベストのペースを刻んだことで、最低限の差にとどめ逆転につなげたのです。その力を都大路でも発揮します。
 

知念主将

全国でも8位入賞は可能なことだと思うので、プレッシャーに負けずにそれぞれが自分の力を発揮していくことが大事なことだと思います。

監督・エントリー選手インタビュー

〈髙田敏寛監督〉

目標は入賞。4区までの前半区間で上手く上位につけていれば入賞が見えてくる。スピードを生かしながら持久力を向上させることはバランスが難しいが選手たちは上手くやってくれた。週2回、寮の近くの整骨院のトレーナーに寮へ来てもらっている。トレーナーには施術やけがを予防するトレーニングなどをお願いしている。走行距離が増えてもケガをしないような身体になって、継続して練習ができた。県大会では2010年に都大路を制した鹿児島実業の県大会の記録を13年ぶりに破っての優勝できた。気温が高い中でも2時間4分30秒で走れたのは自信になった。県高校最高記録は鹿児島実業の都大路優勝記録「2時間3分59秒」。この記録を上回った時は上位入賞も狙えると思っている。

〈小田夕琥 選手(3年)〉

コースを試走をしてみて、今までテレビで見ていた場所で走ることを実感した。入賞したい気持ちも強くなった。単独走ができるようにリズムを崩さず走ることを練習から意識している。下りが得意。チームの8位入賞に貢献する走りがしたい。自信はある。

〈齊藤莉樹 選手(3年)〉

全九州高校駅伝で1区・区間3位に入ったレースで手ごたえを感じている。
どこでも走れるように準備していきたい。春からほとんど故障がなく継続して練習ができているのでスタミナがついているなと実感している。誰かのために走るのではなく自分たちのために気負わず走る。5000mは13分台も狙える力がついてきている。

〈立迫大徳 選手(3年)〉

11月に5000mで自己ベストの13分57秒を出したレースは、位置取りでミスをしてしまったが13分台が出せたことは長い距離への自信になった。かごしま国体800mで優勝したが、今年は基本的に長い距離に向けた練習をしてきた。5km以上を走るレースは県駅伝が初めてだったが8kmの距離でも自信はあった。ペース感覚を身につけるために1人で走る時には時計を見ないで走るなど工夫している。櫨元や齊藤は元々速かったがそれぞれ結果を出してくれて心強い。気も楽になった。800mのスピードを活かしたスピード感のあるレースをしたい。

〈知念優斗 選手(3年)〉 主将

下り坂が得意。アップダウンがあっても安定した走りができることが自分の強み。チーム全体の練習の質が上がり、皆しっかりこなせているので1人1人の走力が上がった。ことしは1km5分より遅いゆっくりのジョグでなるべく長い時間走ることを意識した結果、スタミナがついてきた。ことしは創部20周年。これまで支えてくれた保護者やOBに8位入賞して恩返ししたい。

〈花輪琉太 選手(3年)〉

過去の全国高校駅伝の動画を見たりして気分が上がってきている。出身地は沖永良部島。家の周りが坂ばかりだったので上りが得意。夏はチームで一番走りこんだ。1日で一番走った日は40㎞ほど。去年は後半で失速したがことしはそれがなく、スタミナがついてきた実感がある。単独走はあまり得意ではないので、ジョグから1人で走る事を意識して自分のリズムで走れるようにしている。島出身でも全国で戦えるという姿を見せたい。

〈小園竜成 選手(2年)〉

(トラックシーズンは1500mなどの中距離で活躍したが…)ロードも走れてきているので自信がある。夏は1日20~30kmの走り込みをしてスタミナにも自信が出てきた。自分でペースを刻んでいけてオーバーペースになることもないので単独走が得意。

〈櫨元優馬 選手(2年)〉

県大会では1区2位でチームの足を引っ張ってしまったので、都大路で借りを返したい。ハイペースで入っても大崩れしないのが自分の強み。11月に5000mで14分02秒の自己ベストが出た。13分台を出したかったが、大幅に自己ベストが出たので駅伝に向けて勢いがついた。けががなく質の高い練習を継続できたことが要因。単独走は苦手ではない。練習ではフォームとリズムを大事にしている。

〈山口寛太郎 選手(2年)〉

身体の調子は上がってきている。県大会5区で2位でもらったタスキを1位に上げた走りは自信になっていて都大路では区間上位を狙いたい。上りは得意。周りよりも粘りがある走りが持ち味だと思っている。夏は調子が上がらなかったが距離を踏んでスタミナを向上させられた。

〈地所莉央 選手(2年)〉

トラックシーズンは800mでスピードを磨いてきた。県駅伝よりも都大路のコースはアップダウンがあるが、いつも練習している日置市・伊集院は坂道が多いのでコース上に苦になるような坂はない。駅伝がやりたくて鹿児島城西に入った。体幹トレーニングなどで筋力がついて走りが安定してきた。

〈弓指浩史郎 選手(2年)〉

寮長を務めている。寮生活は自由はきかないが、みんな仲が良くて楽しい。コース近くにある大徳寺は叔母の同級生の家族がやっている。瞬発力はないが地味に上るのは得意。やっと14分台も出て、長い距離も走れるようになってきた。単独走は中学の頃から得意でチームでも得意な方だと思う。

全国高校駅伝 NHKで生中継!

全国高校駅伝は12月24日(日)
午前は女子、午後は男子のレースが行われます。

女子 NHK総合/ラジオ第1  午前10時05分~

男子 NHK総合/ラジオ第1  午後0時15分~

  • 黒田 賢

    NHK鹿児島放送局 アナウンサー

    黒田 賢

    2021年入局。スポーツ実況やニュースなどを担当。
    大学時代は競走部。箱根駅伝で給水ランナーを務める。山形県出身。K-POPを愛する。

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