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かごしまWEB特集

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ふるさとで語る、これからの「生き方」。

  • 2023年09月25日

ことし全国14か所を巡るツアーを開催するなど、精力的に音楽活動を続ける我らがアニキ、
長渕剛さん。
8月下旬、長渕さん自身の強い希望で、あるイベントが開かれました。

題して、「長渕剛自然塾」
デジタル世代の子どもたちに、ふるさと鹿児島の大自然を全身で感じて欲しいと、
全国から24人の小学生を霧島市に集め、3泊4日のサマースクールを開いたのです。

長渕さん

僕が子どものころは、もっともっとたくさんの自然があった。この町(隼人)にはまだそれが少し残っている。だから、僕にとって天国だった小学校時代のことを君たちにも感じてもらいたくて、今回、こういう機会をつくらせてもらいました。

この日、向かったのは、隼人沖の無人島。
誰もいない海で泳いだり、魚釣りをしたり、その魚を食べたり。
どの体験も、参加した子どもたちにとって、初めてのことばかりだったといいます。

長渕さん)
僕が彼らと同じくらいの年のころ、もっと豊かだったんですよ。本当に心が豊かだった。
今を嘆いてもしょうがないんですけど、その豊かさっていうのは、いったい何かと。
自分の家の前は小さな田んぼなんだけど、夏はモンシロチョウの大群。
夕焼け時になると、トンボの大群が押し寄せてくるんです。それを網ですくってね。
(家のそばの)新川に行くと、ウナギが捕れたんだから。
「おい坊主、持っていけ!」って、どっかのおやじがウナギを僕にくれるわけですよ。
それを家に持って帰って母ちゃんに言うと、「あんた、ウナギどこから持って来たの!?」って。
そして、近所中でウナギを囲んでみんなで食べる。
地域のコミュニティーもすごく豊かだったし、うるさいおじちゃんおばちゃんがいっぱいいた。
父ちゃんと母ちゃんがケンカして、僕が独りぼっちになると、「うちに来い、飯食え!」ってね。
そういう、地域の豊かさがあったんですね。
そこまで僕は表現はできないんだけど、今の子どもたちに残してあげたいなと。
ほんの小さなことかもしれないけども、全部はできないけど、限りある自分の人生の中で、
そういったことを子どもたちと一緒に共有できたらいいなと思います。
きっと僕はあの子どもたちを見ながら、その中に自分がいるのよ。あの時の僕がいる。


自然塾のテーマは、「五感で感じ、自然と遊ぶ」。

乳搾り体験では、牛に蹴られそうになる場面も。
命あるものは、ときに、厳しさも教えてくれます。

長渕さん)
大人があんまり手を貸したりなんかしないで、危ないことやらせてあげなきゃだめ。
そうしないと、危険ということがわからないですよね。
「感じる」ということを、感じて欲しい。
子どもの中には、未知のものすごいものが隠されているんですね。
それを封じ込めようとするのが、いまの日本の教育です。
僕もそういう教育の下で学んできたんだけど、その逆を行ったクチです。
でもその中で、感じることだけは人一倍、感じさせてもらうことができた。
例えば音楽を作ること、絵を描くこと、これは父母に感謝しますね。
(両親は)ある規則の中に埋め込もうとはしなかったです。
鹿児島というのは、どちらかと言えば保守的な土地柄で、こうでなければいけないと、
子どもを封じ込めたりするんですけど、この自然塾では、その真反対を行きます。
何でもありというところから出発した指導をできたらいいなと。


子どもたちに、五感で感じることの大切さを伝えた長渕さん。
いま改めて、大切にしている「生き方」があるといいます。

長渕さん)
僕は、自分自身っていうのはないな、もう。
誰かのために生きたい。誰かのために生きるということを、感じながら生きたいですね。
自分のため自分のためと生きた20代は、決して幸せではなかったです。限界がありますよね。
ところが、人のために、こいつのためにと思うと、気力が伸びるんですよ。
生きる気力や、生きようとする気力がね。結局、自分に返ってきますよね。
そこを探し求めて、生き続けていきたいと思います。
やがて、こうなりますから。
(キャンプファイアのたき火を指して)燃え尽きる。

  • 水口 紋蔵

    鹿児島放送局ディレクター

    水口 紋蔵

    2021年入局
    3年目のひよっこ。福岡局で地域発コントドラマ「こりゃもてんばい」を演出。ことし8月に鹿児島局に配属。主にエンターテインメント番組を手がける。

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