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ローカルフレンズにNHK新人職員が会いにいってきた

~The locals~
  • 2024年4月15日

ローカルフレンズ滞在記」の協力者は番組開始から5年で約150人。NHK北海道では新人研修の一環として、18人の新人たちが北海道各地に広がるローカルフレンズのところに3日間滞在しました。その土地で生きる人たちを見て、今後のキャリアを考えました。


The locals 浦幌編
4人の新人たちは浦幌町のローカルフレンズ 古賀さんと出会いました。

一般社団法人 十勝うらほろ樂舎 古賀 詠風さん (写真向かって左)
浦幌町の次世代を想う姿勢に惚れ、大学卒業後地域おこし協力隊として浦幌町に移住。2022年「十勝うらほろ樂舎」入社。大学生の農業インターンシップ「アグリダイブプログラム」や企業研修などのコーディネートを担当。

今江 太一(記者) (写真向かって右から3人目)
浦幌町での出会いで感じた小規模なコミュニティーの上での綿密な関わりは、札幌では感じられないつながりの濃さだった。地域に住む一人ひとりが主体となり、町・そこで暮らす人のことを考えていた。報道に関わる者として、放送やコンテンツを届ける相手はそういった地域の人たちだ。電車も数時間に1本、バスやタクシーは走っていない町で求められている情報は、札幌の便利さなどではない。地域の豊かさを享受しているその土地の生活者に、記者として五感すべてを使って、地域に同調でも指導でもない視点で関わり、取材することこそがNHKの存在感を感じてもらうために私ができることなのではないだろうか。

佐々 春佳(視聴者対応) (写真向かって右から2人目)
「通常のまちづくりは大人目線で進むが、うらほろスタイルは子ども目線で進めるまちづくりである」という言葉が印象に残っています。浦幌でお会いしたみなさんは子どものために何かをしたいという一方的な想いではなく、子どもを中心として大人や地域が繋がり、みんなで浦幌というまちを創っていました。公共メディアもそのようにあるべきではないでしょうか。まずは、地域の方が何かをしたい、もやもやしていることを伝えたいと感じた時に、その相手として選ばれ相談していただけるメディア、職員を目指したいです。地域「に」何ができるのかではなく、地域「と」何ができるのか、考え続けていきたいです。

尾國 将大(記者) (写真向かって右)
浦幌町は人口4,200人と少ないが、3年連続転入超過の町。そんな町の魅力は地域コミュニティーの豊かさだと感じた。町やそこで生きる人たちが様々なチャレンジをし、それを応援してくれる気概ある人たちがいる。自分が今まで暮らしてきた世界には無かった地域のあたたかさ、そこで生きる人たちの思いは新鮮で自分が持ち合わせない視点をくれた。「あまねく伝える」。多くの人たちに必要かつ正確な情報を届けるNHKの使命がある。様々な問題が山積する現代社会。悩みながら日々を生きている人たちに、新しい発想や視点を届けることは視聴者の一助にきっとなる。そう信じて取材を進めたい。

北村 萌華(経理) (上記写真には写っていません)
事前に町について調べる中で感じたのは、伝統産業を継承したり、町を大好きになって移住を決断したりと、自分たちの手でまちの未来を作る浦幌町の方々の当事者意識でした。リモートでお話を伺えた竹田風子さんが議員になったのも、「手の届くところは幸せにしたい、声を拾い上げる存在になりたい」という信念から。NHK北海道と北海道の皆さんとの距離はまだまだ遠いのが現状で、NHKを必要だと感じてもらうためには、私たちも当事者・生活者の視点を欠かさないことが大切だと思います。北海道の人たちが我々に何を求めているのか、誰のために放送・サービスを届けるのかを意識できる職員を目指します。


The locals 枝幸編
3人の新人たちは枝幸町のローカルフレンズ 鷲見さんと出会いました。

鷲見 道子さん (写真向かって右から2人目)
新潟県出身。21年前に移住し、町とオホーツク海を臨める「三笠山の展望カフェ」の店主を18年勤める。「ここからは枝幸の全部が見える。だから大好きなんです。」

竹之内 凌(記者) (写真向かって左)
流氷が流れてくる寒い地域。それだけの知識で枝幸町に飛び込んだ。現地に着くと、オホーツク海独特の潮の香り。冷たい潮風。しかし、出会った人達は全員熱い人だった。やりたいスタンスを曲げず、自分の思いをぶつけ合っている人達。田舎は閉鎖的と言われるなかで、ガンガンやりたいことを楽しそうにやっている人がいっぱいいる。だからこそ、町としては 様々な課題を抱えているのかもしれないが、枝幸町には熱い空気感が流れているのだと思う。「やりたいことをやる。」簡単なように見えて、非常に難しいことだ。ただ、この思いを忘れず、今後の業務に取り組んでいきたい。

川畑 響子(ディレクター) (写真向かって左から2人目)
「酪農家はいいですよ」。鷲見さんの紹介で訪れた、札幌出身の若き酪農家。放牧する牛の数はわずか30頭。規模拡大の予定はなく、身の丈に合った範囲で「楽しくできればいい」と話すのが印象的でした。鷲見さんの展望台の上のカフェも、女性たちが立ち上げた福祉施設も、若者が始めたシェアハウスも、まずは「町民が楽しめる場」を目指し、背伸びせず隣の人と手を取り合う姿がすてきでした。”地方創生”の号令がいつしか競争を助長し、地域を消耗しているような気がします。町の課題にも希望にも目を凝らした上で、179市町村が固有の価値を認めあえるように。番組制作でその一助を担いたいです。

小沼 映美里(技術) (写真向かって右)
枝幸町での多くの出会いの中で、課題として「本当の値を自覚できていない」「良いところはあるけど伝えられてない」という声を聴きました。その中で、私は「魅力に気付くこと」「魅力を引き出すこと」そして「その魅力を伝えること」の難しさを改めて感じました。そして同時に今回の滞在で、自分はこの町だけでなく今回出会った方々の魅力をもっと引き出せたのではという思いになりました。そこでの当たり前が他から見たら魅力になることがたくさんある。だからこそ、これから先、技術として人や物事の魅力を引き出し、その魅力が最大限に伝えられるような人になっていきたいと思いました。


The locals 広尾編
 3人の新人たちは広尾町のローカルフレンズ保志さん、中村さん、菊池さんらと出会いました。

保志 弘一さん (写真向かって左)
広尾出身広尾育ち。ピロロ10年目の自称オフェンス。三代続く漁家で、昆布を中心に様々な海産物を獲ってきた。海のハーブ「星屑昆布」の開発やピロロのプレゼンなど、“漁師”の枠に収まらない活動をしている。

中村 まやさん (写真向かって左から2人目)
ピロロの他称オフェンス。元「ヒトサラ」編集者。シカの狩猟をしながら、フリーの編集者として活動する。東京と広尾町の2拠点生活中。

菊地 亜希さん (写真向かって左から3人目)
ピロロ10年目のリーダー。ご夫婦で酪農をしながら、乳製品の製造や「菊池ファームカフェ」の運営をしている。

大屋 和貴(技術) (写真向かって右から3人目)
海山川に囲まれた広尾町は農林水産業が揃った第一次産業のまち。彼らは肉や魚や牛乳を売っているだけじゃない。「自分の仕事は食文化そのもの」と語る昆布漁師の保志さんは、捨てられるだけの屑昆布を加工して「保志さんちの屑昆布」を作ることで、昆布が食卓と共にある未来を描いている。NHKはどうか。いつも視聴者と共にある未来を、われわれは描けているだろうか。NHKはまず何よりも「国民の生命と財産を守る報道」をするべきだ、と思う。その未来のため、放送局の技術者である私は、放送という形態にとらわれない放送局の在り方を目指してみたい。NHKはテレビと共になく、国民と共にある。

岩上 舞(映像制作) (写真向かって右から2人目)
私は「顕在化しにくい生きづらさを映像というカタチにして、多くの人に伝えたい!」と思い入局しました。しかしこの半年間、目の前の仕事で精一杯になってしまい、漠然とした不安を抱える日々が続いていました。そんなモヤモヤがあるなか向かった広尾町。そこには、思い描く最高の未来に向かって突き進んでいるフレンズさんたちがいました。「この人たち、最高にカッコいい!」と、ひたすら感動した3日間になりました。
私も自分が一番ハッピーだと信じる世界、“どんな人でも暮らしやすくて、自分の幸せを追求できる社会”の実現のために、一歩一歩、少しずつでも進んでいきます。

山下 佳織(アナウンス) (写真向かって右)
広尾町で出会った方々に共通して感じるのは、広尾が好きだということ。コンブ漁から6次産業化に挑戦し、広尾昆布の価値向上を目指す保志さん。町の一次産業をもっと知ってもらいたいとピロロツーリズムの活動を10年続ける菊地さん。広尾の魅力を雑誌で形にするまやさん。それぞれの方が、広尾のために果たすべき役割を考えているのだと、熱をもって伝わってきました。「地域に寄り添う放送」を目指すNHKで、自分の役割を考えさせられた3日間。北海道1年目の今、私が出す答えは、”地域の課題を見つめ、地域のために頑張る人の声を拾い、道内外に向けて発信するスピーカーになりたい。”です。


The locals 津別編
4人の新人たちは津別町のローカルフレンズ津丸さんと出会いました。

都丸 雅子さん (写真向かって左)
2016年春に群馬県から津別町に移住。地域おこし協力隊を経て、現在は地域融合型ゲストハウスnanmo-nanmo のマネージャー、津別町移住定住サポートデスク・津別町空き家バンクを担当。

高橋 葉(ディレクター) (写真向かって左から2人目)
「めんこい」。過去に1ヶ月滞在していたディレクターの印象を尋ねたときに、クリーニング屋のおばあちゃんが発した言葉だ。そう思ってくれる地域の人がいるディレクターがうらやましいと思った。同時に、「めんこい」はNHK北海道の目指すべき方向のコンパスになっていると感じる。NHKが地域の人に愛され、地域のことを私が愛す。津別のみなさんに対し、私も「愛おしい」という感情が芽生えはじめている。これは、津別町へのラブレターかつ私の決意表明だ。取材する・されるだけで終わる仕事の壁を、越えられる兆しが見えたのかもしれない。地域の人にとって「めんこい」ディレクターになりたい!

風林 朋愛(メディア展開) (写真向かって中央)
津別を道東と思っている人たちに道北・オホーツクというエリア放送を届けていることに衝撃を受けた。「地域に寄り添った放送を届ける」というコンセプトのエリア放送ですら遠い存在だった。身近に感じてもらうにはどうしたらいいのだろう?私が地域の人にとって「NHKさん」だとしたら、「フレンズ」になれたとき、身近な存在になれるのではないだろうか。そのためには信頼が不可欠で、顔を合わせて、リアルで対話を積み重ねることで本音を語ることができる。「フレンズ」が自分たちの地域を発信し、イベントを開催する。信頼のおける関係を築いた先にあるメディア活動が身近な存在になる鍵である。

木村 岳瑠(視聴者対応) (写真向かって右から2人目)
津別峠から見た大雪山、阿寒岳、斜里岳、オホーツク海、そして津別町。そこにあることに意味はないけど、そこに至るまでの経緯と途方もない時間は実感できる。 その中で生活を営む津別の人の顔が浮かんだとき、自然の中で生きているという気づきと実感が持てた。気づきによってエリア肯定感は上がると思う。なぜ津別にはいきいきした人が多いんだろう?大人たちはそのことに気づいているが、言葉で伝えることは少ないのかもしれない。土を触れない子供もいると聞いた。自然の中で生きているという実感や町への愛着は薄れてきてしまっているのではないだろうか。そんな次世代の子供たちにNHKが伝えられることを探していきたい。

莊司 一英(事業) (写真向かって右)
津別町での滞在で奇しくもローカルメディアにかかわる方々と対話を重ねることが出来た。彼らは各市町村レベルで情報を発信し、地域を巻き込んでその良さを共有していた。対してNHKの放送は津別町であれば最小単位で道北エリア向けの番組となる。テレビ以外のメディアが充実していく時代の中で、NHKだからこそ果たせる価値は何か。地域に根付くイベントを実施してマスとローカルのギャップを埋め、各地の人々に「生」の体験を届ける。そしてイベントの様子やそこで生まれたものを放送やSNSなど各種オウンドメディアに還元することで全道・全国に対してそれぞれの地域の魅力を発信していく。


The locals 下川編
 4人の新人たちは下川町のローカルフレンズ谷山さんと出会いました。

谷山 嘉奈美さん (写真向かって右から2人目)
愛知県出身。2021年移住。現在はサウナプロデューサーとして軽トラを改造したサウナトラックを運行。ジビエ料理家としても活動。

正木 優至(映像取材) (写真向かって左から2人目)
「1つの場所で様々な生き方を体現している方」。薪屋とみながの富永紘光さんの取材を通して最初に感じたことだ。薪の使用者に直接提供することで喜ぶ人の顔がモチベーションにつながるという。一方で薪の良さを普段触れる機会が無い人に知ってもらう活動も。「食」の観点から、かまどの作り方を指導し、薪の魅力を発信する。さらには「人に頼らない生活」。自ら鶏を飼育し、自ら畑を耕すなど自然に身を任せて生活を行う面もとても印象的だった。富永さんとの対話を通し、入局して7ヶ月と日は浅いが、様々なことに挑戦し、物事に様々な角度からアプローチができる取材者になりたいと感じた。

吉本 はづき(記者) (写真向かって中央)
私が印象的だった人物は、下川町でただ1人の新聞記者である名寄新聞社・下川支局の小峰博之さん。名寄新聞の紙面には全国の情報は載っていない。下川町の人々が下川町の情報を知り、地元の良さを再確認するための新聞社であるからだ。日々の取材に追われるのではなく、暮らしを最優先に。下川に根付いているからこそ「必要な情報は何か」を見抜いていると感じた。私はNHKの一番の役割は「権力の監視」であると考える。そのために深夜まで業務が及ぶことも多くある。しかし、日々の暮らしを軸に記者を続け、心穏やかに生活を送る小峰さんは、私がこれまでに出会った取材相手やどの記者よりも豊かな感性を持っていた。

加藤 健太(技術) (写真向かって左)
「自分のやりたいことが一番実現できる環境だった」。自分のお店で、手作りスイーツとお茶、アロママッサージを提供する塚本さん。誰にも縛られず自分のやりたいことをやるという強い信念をもっていた。ずっと下川にいる確証もなく、一生出て行かないかもしれない。塚本さんだからこその、下川での暮らし、人とのつながりを感じることができた。私はNHKでどうしてもやりたいことがある。「自分のやりたいことを曲げない」そんな彼女の生き方を忘れず、目標に向かって真っすぐに進んでいきたい。また、地域の人たちが集まって見たくなるような番組を作る。それが地域局にいる我々の使命だと滞在を通して感じた。

南﨑 美玖(ディレクター) (写真向かって右)
「紹介したい人がいっぱいいるの!」と、嘉奈美さんは滞在した3日間で12人の町の人を案内してくれた。「下川の人たちはみんなそれぞれ得意分野があって、お互いに助け合っている」サウナディレクターである彼女の軽トラを改造したサウナトラックも、町の人が制作を手伝ってくれたという。この滞在中にも嘉奈美さんが町民に頼る姿をたくさん目にした。町を愛し、町にも愛される。そんな彼女の縁のつなぎ方は、地方局でディレクターをする私の理想かもしれない。ただ情報を一時的・一方的に伝える関係ではなく、町の人たちとの交流の中で情報や課題を共有できるようなディレクターになりたい。



所属は2023年10月現在のものです。

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