夕方ニュースの裏側には……！？ “企画会議”に潜入しました

8月14日（月）にNHK北海道「ほっとニュース北海道」で放送された、こちらの夕方のニュース。 
道東・オホーツクのおすすめスポットとして、中標津町のひまわり畑と斜里町の芸術祭が紹介されました。 実は、この2つのニュース。放送までにとある“企画会議”が開催されていたのです。

地域のプレイヤーが大集合！ はじまったのは……

2023年8月6日（日）。オホーツクの斜里町に20人ほどのメンバーが集まっていました。近隣の標津町や中標津町、西興部村や下川町、そして札幌、さらには京都や東京からも！
集った目的の一つは“テレビの企画会議”を行うためでした。

ほっとニュース北海道で放送している木曜日の企画コーナー「ローカルフレンズ滞在記」と「ローカルフレンズニュース」は、地域のみなさんとNHK北海道が共同制作しています。「ローカルフレンズ」とは、地域にディープな人脈を持つ人のこと。この番組を作るにあたり「フレンズミーティング」と名付けて、ローカルフレンズをはじめとする地域のプレイヤーとNHKのメンバーが集まって企画会議を開催しているのです。
私は学生スタッフとして、その会議に潜入してきました。

「みなさんのグッドニュースは何ですか？」

ミーティングの冒頭、担当ディレクターが「みなさんの町のグッドニュースを教えてください」と発言。数人のグループに分かれて、地域のニュースをお互いに紹介し合いました。

そこでどんなグッドニュースが飛び出したかというと……

• 働いているゲストハウスのホームページに「趣味　短歌」と書いておいたところ、その趣味に興味を持ってお客さんが訪れてくれた

• ジビエをもっと楽しみたいが、これまで解体施設が少ないなどの課題があった。それを広域連携によって解消している好例がある

など、ほっこりする話や、知る人ぞ知る最新情報まで。

その中で中標津町のローカルフレンズ・塩崎一貴さんがシェアしたのはこんな情報。

というもの。これは面白そう！　とさっそく月曜日には、この内容を夕方のニュースで紹介できないか、塩崎さんとディレクターチームの話し合いがはじまりました。そして週末には塩崎さんがひまわり畑に行き、撮影を決行！

ミーティングからわずか８日後。テレビの画面には、満開のひまわり畑が映し出され、畑を手入れする佐藤やよいさん・文雄さんご夫婦の物語がオンエアーされたのです。

みんなで集まって、地域の人だからこそ知る情報を収集。そこからニュース企画を作るという新しいテレビの作り方が生まれていました。

話すだけじゃない　現場にも出ていく

さらに、ローカルフレンズのみなさんが地域のフィールドワークを行い、企画を作りあげるスタイルもあります。
今回の斜里町訪問時は、ヒグマの生息地である知床五湖の高架木道をみんなで歩いたり、地元の高校生が出店する地域のイベントを訪れたり、さまざまな場所を訪問。その一つが斜里町で3年前から開催されている地域の芸術祭「葦の芸術原野祭」でした。

会場は、斜里町旧役場庁舎（斜里町立旧図書館）。
入ってすぐローカルフレンズのみなさんが目を輝かせたのは、こんな文字。

「おもいでおあずかりします」

いったいなんでしょう？
なんだか面白そうな景色と雰囲気に、取材陣はすぐさまカメラを回し始めます（主催者の許諾はその場で取っていました）。

実はこれ、来場者の「思い出」と「思い出の品」を預かり展示していくプロジェクト。ちょうど思い出の品を持ってきた方にお話をお聞きすることもでき、あっという間にロケが進んでいきます。

ほかにも会場の奥の映像が面白そうだと思えば、その場で撮影を行っていき、ローカルフレンズのみなさんとディレクター陣がいわばアドリブでニュースを作っていました。そしてこの内容も8日後にはテレビを通じてお茶の間に届けられています。

みんなで一緒に、地域の宝を探すテレビ企画

地域のプレイヤーがみんなで顔を合わせ、ワイワイ話し合うなかで見つけた２つのニュース。ディレクターや記者が企画を練り、ロケクルーで取材をする従来の手法とは、ずいぶん違って見えます。

地域の視点だから見つけられる、地域の宝。その宝を見つけるために、取材ディレクターは道内各地を飛び回っています。ほっとニュース北海道内で放送している「ローカルフレンズ滞在記」と「ローカルフレンズニュース」では、こんなふうにメディアと地域の人が混ざり合って企画を制作しています。「今週の放送は地域の人がどんな関わり方をしているのだろう」。毎週木曜日の放送は、そんな視点で見ていただくのも面白いかもしれません！

2023年8月　谷郁果（学生スタッフ）