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満開のひまわり畑と思い出や日常を集める芸術祭

  • 2023年8月15日

地域にディープな人脈を持つローカルフレンズが最新のローカル事情をお伝えするローカルフレンズニュース。今回は今すぐ行きたくなる、おすすめスポットの話題が2つ届きました。

1つ目は、中標津町のおすすめスポット。紹介してくれるのは、ローカルフレンズの塩崎一貴さんです。どこまでも広がる「ほしのふる里 開陽の丘」のひまわりが見頃を迎えています。

この花畑は個人が整備した公園で、無料で開放されています。これまで何度もここに通ってきた塩崎さんは、だれがどんな目的でやっているのか探り続け、ついに畑をつくった人に話を聞くことができました。

隣町・別海町に暮らす佐藤やよいさん。畑をつくった理由を伺うと、こんな答えが返ってきました。

佐藤やよいさん
「うちの旦那がやりたかったってのが第一!」

左官をしている夫・文雄さんが熱望し、畑を購入したんだそう。「いろんなことで心痛む。忙しすぎても困るし、仕事なくても困る、そういうときに」と自分や誰かを癒したいと考えたといいます。

「サービス精神旺盛なんですよ、うちのお父さん」と笑う佐藤やよいさん。そんな夫婦がはじめた、ひまわり畑は中標津町の「開陽台」からすぐの場所にあります。ぜひ訪れてみてください。

2つ目は、斜里町のおすすめスポットへ。

斜里町の旧役場庁舎(旧図書館)で開催されている芸術祭「葦の芸術原野祭」。会場では、一風変わった展示が目を引きます。書かれていたのは「おもいでおあずかりします」……!?

ここで行われているのは、来場者の「思い出」と「思い出の品」を預かり、展示していくプロジェクト。取材中にも思い出を預けている人がいました。

来場者
「南斜里駅(の写真を持ってきた)。あっさり壊されちゃったんで」

ほかにも、会場にはユニークな思い出があちこちに並べられています。
たとえばこちらは……

斜里町に暮らすダイビングが大好きな高木唯さんが預けたもの。両足を入れてつかうモノフィンというもので、この夏も地域に暮らす子どもたちに体験を提供したんだそう。
そしてこちら、天井まで届くほどの長い昆布は、写真家の男性の思い出の品です。

知床半島に通算10シーズン以上通い続ける中西建太郎さん。昆布漁をする人が減る中で、ふんばって漁を続ける家族を応援してきました。

中西建太郎さん
「これは働いたお駄賃がわり」

こういった誰かの日常生活と結びついた表現が、この芸術祭がもつ最大の魅力です。

奥の部屋では、斜里町の景色が映し出されています。展示の名前は「だれかのどこか」。

映像を見てみると、おだやかな海辺や自転車がのぞく草の茂みなど、素朴な光景がつぎつぎと再生されています。

これを撮影したのは、斜里町の現役高校生。東京を拠点に活動する映画監督の今野裕一郎さんたちが高校生8人と共同制作しました。今野さんは動画を撮ってもらうときに、いくつかのルールを設けたそう。

ルール
1. 制限時間は1時間、その間であればどこへ行ってもいい
2. 動画を撮影するのは1分間、カメラは定点で固定して撮る
3. 動画は必ず「10本」撮影する

高校1年生の佐藤響歌さんは、旧役場庁舎から徒歩10分ほどの風が吹き抜ける草むらを撮影。この場所を選んだ理由は、学校の帰り道によく友達とおしゃべりをしている自宅前の風景に似ていたからだとか。そんな大切な日常をカメラに映しとりました。

佐藤響歌さん
「風に吹かれている草とか自然な状況を撮ることを意識しました」

別の町に住む来場者の方は、動画から斜里町の暮らしが垣間見えたといいます。

来場者
「生徒の好きな場所だったり撮っている時間を、その人の目線になって一緒に見れた感じがして、この町の暮らしがなんとなく知れた気がします」

また来場者の中には、斜里町で育ち、今も町で働いているという方も。

来場者
「いつも通る何気ない町の風景でしたけど、車で走ることが多かったので、じっと立ち止まって見ることのない風景ばかりでした。生徒さんたちが何を考えて映しているのかを想像するのがとても面白かったです」

町の人も、町外の人も。誰かのかけがいのない思い出や日常に触れることができる「葦の芸術原野祭」。公開は8月16日(水)~19日(土)までです。

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